貧血の原因・種類も様々。何科を受診すべきか病気別に詳しく解説

子煩悩神経内科医

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貧血というと、どんな症状を思い浮べるでしょうか。小学校の朝礼のときなどにいきなり倒れてしまう人を想像する人もいるかもしれません。

これは正確にいうと失神という症状です。貧血で起きることもありますが、貧血以外の原因でも起こります。

 

「貧血気味なので早起きできない」という方もいますが、これも医学的にいう貧血は必ずしも早起きできるできないとは関係がありません。

 

医学的には、貧血は血液の中の赤血球の数が減っている状態を指します。多くの場合赤血球の数が減ったからといって、すぐに失神したりするわけではありません。

 

ひとくちに貧血といっても、原因によっていくつかのタイプに分かれます。どの場合には何科にかかったらよいのでしょう。以下でご説明していきます。

※この情報は、2018年5月時点のものです。

1.貧血の症状とは?

それでは、貧血になり、血液中の赤血球の数が少なくなるとどのような症状を起こすのでしょうか。赤血球の数が減ると、血液中にある赤血球を構成する血色素(ヘモグロビン)の量も減ります。

 

赤血球のヘモグロビンは酸素を運搬しているので、赤血球の数が減ると、血液が体の組織に酸素を運搬する能力が低下してしまいます。そのため組織の酸素が不足しやすくなり、だるさ、つかれやすさ、運動すると息切れしやすくなるなどの症状が出現します。

 

貧血が高度になると、顔面が青白くなります。とくに眼の白目の色が白くなるのが目立ちます。失神、めまい、たちくらみ、脈が弱く速くなる、呼吸が速くなるなどの症状も出てきます。

 

貧血は基本的には内科の病気ですから、一般に内科にかかればよいのですが、病気の種類によって、対応が大分異なります。ここでは貧血の様々な種類とかかるべき科について、解説していきます。

 

2.貧血の原因によるタイプ分け

貧血には大きく分けて、赤血球が失われること、体が十分な赤血球をつくれないことの二つの原因があります。

前者は通常大量の出血が起きたり、慢性の出血が続くことにより起きます。これに比べて稀ですが、いったん作られた赤血球がこわされてしまう場合もあります。

 

後者は、赤血球を作る材料が不足する、あるいは作る工場(骨髄)がうまく働かないなどによります。赤血球を作る材料としては、鉄、ビタミンB12、葉酸の3つが重要ですが、その他にもビタミンC、リボフラビン、銅もごく微量ながら必要とされます。赤血球を含む血球をつくる骨髄に何等かの病気が起これば、赤血球が作られなくなります。その他にも腎臓から分泌されるエリスロポエチンというホルモンが必要です。

 

3.赤血球が失われることによる貧血

3-1. 鉄欠乏性貧血

貧血の中でも最も多いタイプで、日本人の貧血患者の約7割、女性全体の約1割を占めるとさえいわれています。文字通り、赤血球の中の色素であるヘモグロビンの材料になる鉄が欠乏するために起きる貧血です。とくに高齢者では鉄欠乏性貧血の頻度が高いといわれています。

 

通常は何らかの出血により体内の血液が失われることが原因となります。出血が起きる原因としては、男性では消化管の出血が多いです。女性の場合は生理などの出血により、正常でも貧血の傾向がある方も多いです。また生理の他、子宮筋腫や子宮内膜症が原因で起こる過多月経、不正出血、尿路の異常による出血などがあります。

 

出血だけでなく、過度なダイエットなどによる摂取不足などが原因になることもあります。鉄の需要が増えた場合、例えば成長期には筋肉や血液を作るために、多くの鉄が必要となりますので、貧血を起こすことがあります。

 

鉄欠乏性貧血では一つ一つの血球のサイズが正常より小さくなり、含まれるヘモグロビンの量も減るのが特徴です。血液中の鉄の濃度を測定すると低下しています。慢性的な出血が続くと、体内の鉄分の貯蔵分がさらに少なくなり、貧血がさらに悪化します。

 

何科にかかるべき?

鉄欠乏性貧血では、まず便潜血を調べます。便に血が混じっているかを調べる検査です。

出血がある場合、タール便といって便がタール状に黒い色になる場合もありますが、通常は眼に見えるほどの出血がないことも多いので、微量に混ざっている血液を検出するのです。

消化管の出血は胃、もしくは大腸から起きることが多く、腫瘍、潰瘍、炎症など様々な原因があります。ですから便潜血が陽性の場合、上部内視鏡検査(胃カメラ)、下部内視鏡検査(大腸カメラ)によってその原因を調べる必要があります。

 

出血の原因として、腫瘍、ポリープ、潰、憩室(大腸などの壁の一部が弱くなって外に膨らんだ部分、その中に消化管の内容がたまったり、細菌などが感染して炎症が起きたりすることがあります)、炎症(クローン病、潰瘍性大腸炎などの慢性的な炎症など)があります。

 

この場合は、消化器内科、手術が必要な病気の場合、消化器外科を受診することになります。女性の場合、消化管の問題が疑われる場合は、消化器内科、消化器外科を受診しますが、不正出血などが原因の場合は、婦人科を受診します。

 

3-2. 赤血球がこわれてしまうことによる貧血

いったんできあがった血球がこわれてしまうことによる貧血もあります。

 

赤血球が通常よりも早く壊されて赤血球の寿命が短くなることで起こる貧血を「溶血性貧血」といいます。赤血球がこわれる原因にはいくつかありますが、

①赤血球が出来上がる段階で不完全なものができる場合、②赤血球の内因性異常や、赤血球の形などが異常なためにこわれやすくなる場合、③赤血球はきちんとできあがるが後天的な理由、たとえば赤血球表面にくっつく抗体などの外的要因によりこわされる場合などがあります。

 

 

赤血球の形の異常

赤血球は通常は円盤の真ん中が凹んだような形をしていますが、弾力性を持っており、毛細血管などの狭い場所を通過するときは、真ん中で二つ折れになったようになって通過します。

 

赤血球がまんまるの形になる球状赤血球症では、このように二つ折れになることができないため、狭いところを通ることができず、溶血してしまいます。

 

また鎌形赤血球症は遺伝的に異常なヘモグロビンができて赤血球が鎌形に変形する病気です。赤血球の形が変わるだけでなく、赤血球が弾力的に変形する能力を失い、細い血管を通ったりするときにこわれて溶血してしまいます。ただしこれらの病気は、上で述べた異常と比較すると稀です。

 

赤血球がこわれる場合

自己免疫性溶血性貧血という種貧血では赤血球に対して抗体という蛋白がつくられ、この抗体が赤血球にくっつくことによって赤血球が壊されてしまうものです。

抗体は外から感染した細菌やウイルスのような病原体を攻撃するため白血球などが作り出す蛋白で、自分の体は本来攻撃しないのですが、何らかの原因で免疫の調節機構が狂うと、自分の赤血球を攻撃するような抗体が作られるようになるのです。

 

自分の体を免疫系が攻撃する状態を自己免疫といいます。このタイプの貧血を自己免疫性溶血性貧血と呼んでいます。

 

何科にかかるべき?

内科を受診してください。必要に応じて、血液内科などに紹介される場合もあります。

 

4.十分な赤血球がつくれないことによる貧血

4-1. ビタミン不足による出血

ビタミンB12や葉酸の欠乏でも貧血が起きることがあります。赤血球をつくる上で、これらのビタミンが必要となるからです。このタイプの貧血では一つ一つの赤血球のサイズが大きくなるという特徴があります。そのため巨赤芽球性貧血と呼ばれます。

 

これらのビタミンは通常の食事をしている人では欠乏することはまずありませんが、極端な偏食がある人(毎食同じものしか食べないなど)では起きることがあります。

また、ビタミンB12欠乏は、胃がんなどで胃を切除している人で起きやすいことが知られています。ビタミンB12は胃の粘膜にある壁細胞がつくる内因子という物質と結合して吸収されるのですが、胃を全摘した人などでは内因子が欠乏するので、ビタミンB12が吸収されなくなるのです。

また、悪性貧血という病気では、内因子に対する抗体ができて内因子が働かなくなるため、ビタミンB12の欠乏がおこります。ビタミンB12の欠乏では、手のしびれ、脊髄の障害などの神経症状が出てくることも特徴です。認知症と間違われるような症状が出ることもあるので注意が必要です。

 

何科にかかるべき?

内科を受診して下さい。内因子が欠乏している人では、ビタミンB12を経口的に投与しても吸収されないので注意が必要です。この場合、筋注などで投与が行われることがあります。

 

4-2. 血液の病気による貧血

貧血の原因として血液の疾患により赤血球の産生が減少することもあります。

赤血球は骨の中にある骨髄というところで作られます。従って骨髄の造血の機能が低下すると、十分な赤血球が作られなくなります。

 

例えば、再生不良性貧血という病気では、骨髄の働きが弱り、赤血球だけでなく、同じく骨髄で作られる白血球、血小板の数も減ってきます。再生不良性貧血にはいろいろな原因があり、放射線、薬剤が原因になることもありますが、多くは原因が特定できない特発性といわれるものです。

 

骨髄の造血機能が低下する病気としては白血病もあります。白血病はいわば血液のがんともいうべき状態です。白血病では骨髄で異常な白血球が沢山つくられて、骨髄に浸潤するだけでなく、血管の中にもこのような異常な血球がたくさん出てきて一杯になっていきます。

 

これに伴って骨髄のスペースも白血病の細胞により置き換えられるため、作り出す骨髄が圧迫され、正常の血球は赤血球も含めてあまり作られなくなってしまい、貧血が起こります。正常な白血球の減少によって免疫力も低下し、様々な感染症にもかかりやすくなります。

 

何科にかかるべき?

このような血液の疾患では血液内科にかかって専門的な治療を受けることをおすすめします。

 

4-3. 腎臓の病気による貧血

腎不全などで腎臓の機能が低下してくると、貧血が起こることがよくあります。これは腎臓から分泌され、赤血球の産生を刺激するエリスロポエチンというホルモンの分泌が減るためです。

 

エリスロポエチンは骨髄に働いて造血の機能を刺激します。腎臓の病気による貧血では、程度がひどい場合、エリスロポエチンの投与が行われることもあります。

 

何科にかかるべき?

内科を受診してください。腎不全などがある場合、専門は腎臓内科になります。

 

5.最後に

以上のように貧血の原因となる病気には様々なものがあり、また病気の種類によって対応、かかるべき科も異なることがお分かりいただけたと思います。

 

貧血の原因には生理的なものから、腫瘍からの出血、白血病のような重大な病気までありますが、これらの病気を症状だけ、診察だけで区別することはできません。

 

ですから、かかるべき科がわからなくても、まずは内科にかかって検査してもらうことが大切なのです。診察や検査の結果によって、さらに専門の科に紹介してくれると思いますので、迷う場合は、まずは内科を受診して下さい。

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