早期診断・早期治療が重要ー関節リウマチの治療薬について解説

関節リウマチは、いわゆる「膠原病 (こうげんびょう)」の一種で、主に手や足の関節に痛みは腫れを生じる病気です。その一方で、近年数多くの薬が開発され、併せてそれらの使い方の研究が進んだ結果として、治療法が進歩している病気でもあります。

関節リウマチに使用する薬には、飲み方がやや特殊なものもありますので、このコラムでそうした点を含めて解説します。
※この情報は、2018年1月時点のものです。

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1.関節リウマチ治療の基本的な考え方

 関節リウマチは、主として手指や足といった末梢の関節に炎症を生じる病気で、女性に多く発症します (1)。昔は「慢性関節リウマチ」と呼ばれていた時期もありましたが、現在は「慢性」が取り去られた「関節リウマチ」が正式名称になっています (2)

具体的な症状としてよく見られるのは、炎症の生じた関節に痛みや腫れが生じるために動かしにくくなるというものです。一般に症状は朝に強いことが多く、調子のよい時期と悪い時期がありますが、こうした症状が長期間続きます。そのため、日常生活におけるいろいろな動作が上手くできなくなることが多く、この点が患者さんにとって1つ目の大きな問題になります。

 

加えて、関節の炎症が長期間継続すると、次第に関節の骨や軟骨が破壊されていきます。こうなると、関節は変形し通常もとには戻らなくなります。これが、患者さんにとって大きな問題の2つ目です。

 

いいかえれば、関節リウマチの治療をする意義は、短期的には患部の痛みや腫れを鎮めること、中長期的には関節が破壊されるのを防ぐことであるといえます。その治療ですが、大きく次の3つに分類することができます。

 

  1. 薬物治療
  2. 手術
  3. リハビリテーション

 

いずれも重要な治療ですが、ここでは「A」の薬物治療に絞って述べます。近年における関節リウマチに使用する医薬品の進歩は特筆すべきもので、それもあって薬物治療は関節リウマチ治療の中心的な地位を確立したといえます。

 

 

1-1. 薬は早めに開始したほうがよい

 現在では関節リウマチと診断されたら、早い段階から薬を使う傾向にあります (3)。これは、早期に薬を使って関節の炎症を鎮めることにより、関節の破壊を食い止めやすくなることが分かっているからです。また、先ほども書いたようにある程度を超えて関節の破壊が進んでしまうと、元に戻すことはできません。つまり、病気の進行に先手を打つような形で治療を進めておく必要があるのです。逆にいえば、「だいぶ病気が進行してきたな。じゃあそろそろ薬を始めようか」では遅いのです。

 

要するに、異常を感じたら早めに病院を受診し、診断がついたら速やかに薬を使用する、こうした方針がもっとも治療の恩恵を受けやすいということです。いきなり薬を使うことに抵抗を感じる患者さんは比較的多いものですが、関節リウマチに関していえばこれは適切な考え方ではなく、むしろ最初だからこそ薬を使うべきなのです。

 

もちろん、薬を使う以上は副作用などのリスクが生じます。しかしながら、このあと紹介するように関節リウマチに使う薬にはたくさんの種類があり、それぞれに特徴が異なります。したがって、必要な知識を持って注意深く薬を使うことができれば、リスクを回避することは十分に可能です。

 

 

1-2. 治療の目標となる「寛解」「低疾患活動性」とは?

 治療が始まるとまずは「寛解」または「低疾患活動性」という状態を目指すことになります (3)。それぞれ聞き慣れない言葉だと思いますので、少し説明します。

 

まず「寛解」ですが、これは病気の症状・兆候がなくなり落ち着いた状態のことをいいます。治療を行う以上、これを目指したいところですが、状況によってはなかなかそれが難しいケースもあります。そうした場合には次善策として、「低疾患活動性」という状態をひとまずのゴールとすることもあります。「疾患活動性」とは、簡単にいえば病気の勢いです。つまり低疾患活動性とは、寛解までには至らないものの、関節リウマチという病気の勢いをかなり弱めた状態、ということです。

 

どうして寛解や低疾患活動性を目指すことが重要かといえば、これらの状態を維持できれば関節の破壊が進行しない (またはほとんど進行しない) からです。要するに、寛解や低疾患活動性の達成は、関節の破壊を防ぐという関節リウマチ治療の目標とほぼイコールの関係にあるのです。

 

1-3. 定期的に医師の診察を受けるのが重要

 では、「寛解あるいは疾患活動性といった状態はどのように判断するのか?」次の疑問はこれだと思います。その答えは、診察によって医師が決める、となります。具体的には患部を触ったり、レントゲン写真を撮ったりして総合的に判断することになります。ここで重要なのは、疾患活動性は痛みなど患者さん本人が自覚する症状だけでは決まらないことです。もちろん、先に書いたように痛みなどの症状を和らげることも治療における目的の1つですが、最終的な治療方針はもっと包括的な観点から決定する必要があります。そのためには、定期的に医師の診察を受け、その都度の状態を評価することが必要です。

 

特に、レントゲン写真などの画像検査では、そのとき一回の結果はもちろん、時間を空けて同じ検査を行うことでどのような変化が見られるのかチェックすることが重要です。関節リウマチの診察内容は、患者さん目線からすればいつも同じことの繰り返しで、果たしてこれに意味があるのか疑問に感じるかもしれませんが、こうした地道な診察が中長期的に見れば大切です。そのため、指定された間隔できちんと受診するようにしてください。

 

1-4. これまでの内容を今一度まとめると・・・

 

  • 関節リウマチの治療をする目的は、痛みなどの症状を抑えること、関節の破壊を食い止めることにある
  • 多くのケースで治療の中心は薬を使うことによる
  • 診断がついたらできるだけ速やかに薬を使い、寛解または低疾患活動性を目指す
  • 疾患活動性は医師の診察を受けないと分からないので、定期的に受診することが重要である

 

となります。これらの点を踏まえたうえで、実際にどのような薬が使われるのか、これから説明します。まず、関節リウマチの治療に使う薬をおおまかに分類すると、次の3種類になります。

 

■抗リウマチ薬

■ステロイド

■生物学的製剤

 

それぞれについて、次の章から紹介します。

 

2.抗リウマチ薬について

 このグループに属する薬は、関節の炎症を鎮める効果を持ち、多くの場合で治療の中心的なポジションを占めることになります。関節リウマチの原因はいまだに不明なのですが、一方で病原体などから身体を守る「免疫」システムの異常が発症に関連していることは、ほぼ確実であることが分かっています。抗リウマチ薬には多くの種類がありますが、いずれも身体の免疫機能に何らかの作用を及ぼす効果を共通して持っています。

 

数ある抗リウマチ薬の中でも、もっとも重要なのは「メトトレキサート」という薬で、通常はこれが第一選択薬となります (3, 4)。したがって薬を開始するときは、まずはメトトレキサートを考慮し、何らかの理由でこれが使えない場合に次善策として他の薬を使う、というパターンが基本になります。

 

 

2-1. 第一選択薬であるメトトレキサート

 多くの症例で、まず使用されることになる薬が、このメトトレキサートです。さきほど述べたように、関節リウマチの治療目的は関節の破壊を防ぐことですが、メトトレキサートは他の抗リウマチ薬と比較してその効果が高いこと、効果が得られるまでの期間が比較的短くすむことが、大きな理由です (4)。他方、このあと説明する生物学的製剤と比べると、若干効果が弱い傾向にあります (4)。しかし、メトトレキサートは飲み薬であり使用が簡単なこと (生物学的製剤は基本的に注射薬です)、価格が生物学的製剤と比較してかなり安いことから、使いやすい薬であると評価できます。実際、メトトレキサートだけで上手く病状をコントロールでき、他の薬を使わなくてもすむケースも多いものです。

 

この薬を使うにあたって、患者さんに注意してほしいことが大きく2つあります。1つ目は薬の飲み方、もう1つは副作用です。

 

2-2. メトトレキサートの飲み方

 最初に、もっとも重要なことを述べます。メトトレキサートは、毎日飲む薬ではありません。12時間間隔で週に1-3回飲みます (5)。具体的にいえば、週3回服用する場合の一例として、月曜日の朝と晩+火曜日の朝に飲む、という具合です。それ以外の週5-6日は、お休みの期間となります。

 

どうしてこのような変わった飲み方をするかといえば、薬の有効成分が身体から抜けるまで十分な時間を確保する必要があるからです。間違って毎日飲んでしまうと、必要以上に有効成分が身体に溜まり、重い副作用を生じる可能性が高くなります。そのため、飲み方を間違えないように、医師や薬剤師から十分な説明を受けてしっかりと使い方を理解してから使用することが大切です。

 

患者さん自身ができる対処法もいくつかあります。メトトレキサートにはジェネリック医薬品も発売されていますから、パッケージは各社異なるのですが、ほとんどのものには何月何日に飲むのか、書き込むことができるスペースが薬のシートに設けられています。薬を受け取ったら、そこに服用予定日をすぐに書き込んでおくことで、飲み間違いのリスクを低減できるでしょう。必要なら、調剤をしてくれる薬剤師に頼んであらかじめ書いてもらっておいてもいいでしょう。

 

また、錠剤やカプセルを受け取ったとき、シートを切って1個ずつにばらす習慣を持っている患者さんがときにおられますが、特にメトトレキサートに関していえばこれはお勧めできません。なぜなら、この薬は先ほど述べた服用日時を書き込むスペースや服用に当たっての注意事項 (「毎日飲む薬ではありません」など) が印刷された特殊なシートに入っているからです。薬をばらすと、こうした重要な情報を読むことができなくなり、うっかり間違った使い方をする可能性が高くなります。

 

 

2-3. メトトレキサートの副作用

 どの薬にもいえることですが、副作用には大きく

 

①頻度は高いが軽いもの

②稀にしか起きないが重篤なもの

 

があります。メトトレキサートに関していえば、①の例は吐き気・腹痛・下痢といった消化器系に関するもの、肝臓の機能が悪化する、などが代表的です (5)。肝臓の機能悪化に関しては、血液検査で指摘されるくらいで、患者さん本人が自覚するような症状が出ることは普通ありませんが、消化器系の症状などは現実的に困ることがあります。しかし、メトトレキサートの副作用を軽減する目的で、「葉酸」という薬を併用することがあり、これによって①の副作用は多くのケースで上手く抑え込むことができます。

 

より注意すべきは②です。この代表格が「間質性肺炎」という病気です。「間質」とは臓器における特定の部位を指す言葉なので、ここでは「少し特殊な肺炎」と思っておいていただければ大きな問題ないでしょう。一般に、この副作用は重症化しやすく、ひとたび発症すると入院が必要になることも稀ではありません。間質性肺炎の初期症状として一般的なのは以下のものですから (5)、こうした症状があればすぐに医師や薬剤師に連絡を受けて、指示を仰ぐようにしてください。

 

■発熱

■空咳

■息苦しさ

■身体のだるさ

 

2-4. その他の抗リウマチ薬

 主に、メトトレキサートが使用できない、あるいはメトトレキサートだけでは効果が不十分な場合に考慮されることになる薬たちです。とてもたくさんの種類があり、ここで個別に詳しく紹介することはできませんが、代表的なものをいくつか列挙しておきます (括弧の中は代表的な商品名)。また、ここに挙げているものはいずれも飲み薬です。

 

■ブシラミン (リマチル)

■イグラチモド (ケアラム・コルベット)

■レフルノミド (アラバ)

■タクロリムス (プログラフ)

■サラゾスルファピリジン (アザルフィジン)

■トファシチニブ (ゼルヤンツ)

 

 

これらの中で、特に取り上げるべきは最後に書いたトファシチニブでしょう。これは、飲み薬でありながらヨーロッパのガイドラインにおいてはこの後紹介する「生物学的製剤」と同じような位置づけがなされています (3)。生物学的製剤は、メトトレキサートなどを使っても十分な効果がなかった場合に上乗せされるのが基本ですから、簡単にいえば一般的な抗リウマチ薬よりも効き目の強い薬と表現できます。飲み薬でありながらこれに近い効果を持つ意味で、トファシチニブは他の抗リウマチ薬とは異なった特徴を持つといえます。

 

一方で、トファシチニブは副作用としてさまざまな感染症を起こしやすいこと (6)、薬価がかなり高いことも生物学的製剤と共通しています。

 

3.治療に用いられるステロイドについて

 先ほど紹介した抗リウマチ薬に上乗せする形で、昔から使用されている飲み薬です。これも同様に、関節リウマチにおける炎症を鎮める効果を持っています。

 

最近になって、その有用性が見直されてきており、以前と比べて積極的に考慮される機会が増えています (3)。ステロイドはいろいろな病気や症状に使用される薬ですが、関節リウマチに使う場合は、かなり少量を用いるのが普通です。特に、抗リウマチ薬を使い始める段階で併用すると効果が高いと考えられています (3, 4)

 

ステロイドの問題点は、長期間にわたって使い続けると、いろいろな副作用が生じやすくなることです。具体的には、次のようなものが挙げられます。

 

■骨がもろくなる

■眼圧の上昇

■血圧の上昇

■免疫機能の異常

 

前述のように効果は高い薬ですから、その恩恵だけを享受して、一方でこうした副作用をできるだけ起こさないように、症状が落ち着いて来たらできるだけ早めに中止に持っていくことが望ましいといえます。一般には、6カ月くらいの期間であれば比較的安全であると考えていますが (3, 4)、このあたりはケースバイケースですから、主治医の指示を守るようにしてください。

 

また、ある程度の期間ステロイドを使い続け、それをいきなり中止すると危険な場合があります。いわゆる「リバウンド」という現象で、これを避けるために時間をかけて少しずつステロイドの投与量を減らしていく必要が生じることがあります。この必要性、具体的な方法もケースバイケースですから、やはりきちんと指示を守るようにしてください。

 

4.新しい薬、生物学的製剤について

 いわゆる「バイオテクノロジー」を利用することで生産される薬たちです。製造にあたって高い技術力を要求されるため、関節リウマチに使う薬のなかでも最近になってできた新しいグループです。投与方法は薬の種類によってまちまちですが、いずれも特定の間隔で点滴または皮下注射します。皮下注射で投与するもののなかには、薬液が最初からセットされたキットが用意されており、患者さん自身が自宅で投与を行うことができるものもあります。代表的なものを、以下に列挙します (括弧内は代表的な商品名)。

 

■インフリキシマブ (レミケード)

■エタネルセプト (エンブレル)

■アダリムマブ (ヒュミラ)

■トシリズマブ (アクテムラ)

■アバタセプト (オレンシア)

■ゴリムマブ (シンポニ―)

■セルトリズマブ (シムジア)

 

 

4-1. 共通する3つの特徴

 このように、いろいろな薬がありますが現時点ではどれかが他のものに比べて絶対的に優れている、といったことは知られていないので、投与法や実際に使った効果などから個々の患者さんにあったものを選べばよいと考えられます。作用メカニズムは薬によって異なるものの、生物学的製剤には共通して以下の特徴が認められます。

 

①関節リウマチに対する効果は高い

②副作用として感染症に注意が必要である

③薬価がとても高い

 

①の特徴があるため、多くのケースではメトトレキサートをはじめとした抗リウマチ薬を使っても効果が十分なかった場合に、生物学的製剤が使用されることになります。②についてですが、生物学的製剤はいずれも関節リウマチにおいて異常を来した免疫機能の一部を抑制する効果を持っています。そのため、免疫の持つ病原体から身体を守るはたらきにも影響を与えてしまいます。したがって、生物学的製剤を使用している間は、カゼなどの感染症にかかりやすくなることを念頭に、以下のような症状が見られた場合には速やかに医師・薬剤師に連絡することが肝要です。

 

■発熱

■身体のだるさ

■頭痛

■咳

 

 

最後に③ですが、ある意味でこれがもっとも現実的な問題となります。

 

先述したように、生物学的製剤は開発に高い技術力が必要になる関係上、価格にそれが跳ね返ってきます。具体的にどのくらいの金額となるかは、薬の種類・投与法などによってかなりの幅がありますが、ひと月の薬代 (原価) が10万円を超えることもさほど珍しくありません。もっとも、保険医療における自己負担額は多くても3割ですから、仮に10万円を超える薬代になっても、実際の支払額は3万円や4万円くらいで済む計算になりますが、それでも大変な負担といわなくてはなりません。

 

こうした経済的な問題をクリアするうえで、医療費を軽減する制度を知っておくと有利です。関節リウマチで生物学的製剤を使うケースで利用できる可能性が高いものには、次のものがあります。

 

■高額医療費制度

■限度額適用認定証

■高額医療費貸付制度

 

5.医療費の負担を軽減する制度

5-1. 上限額を超えた分は返金、高額医療費制度

 高額医療費制度とは、月ごとに一定の額を上回る医療費を支払った場合、申請をすることで後日に上限額を超えた分が返還される仕組みです。この上限額のことを「自己負担限度額」と呼びます。では、自己負担限度額は具体的にいくらかですが、これは所得の額や年齢、高額医療費制度の利用状況によって異なるので、ここで明記することは困難です。加入している保険 (会社員の方なら協会けんぽや組合管掌、自営業者の方などは国民健康保険など) の担当部署に確認してみることをお勧めします。連絡先はお手元の保険証に記載されているはずです。

 

高額医療費制度の具体的な利用法ですが、まずは病院や薬局等で必要な診察・検査・調剤などを受けます。そこで自己負担分の医療費を支払い、受け取った領収証などを添えて「支給申請書」という書類を作成・提出します。不備がなければ、後日オーバーした分の医療費が返還される、という仕組みです。また、このときの計算に用いる医療費は世帯で合算することも可能です。そのため、例えば夫婦2名の世帯においてどちらか一人の医療費が自己負担限度額に少し届かなさそうでも、もう一人分も足すことで高額医療費制度を利用できるケースもあり得ます。医療費が多めにかかった場合には、ひとまずその際の領収証をきちんと保管しておくことを推奨します。

 

 

5-2. 手間を減らすことができる、限度額適用認定証

 高額医療費制度の欠点として、受診のたびに申請書を作成する必要があり、手間がかかることが挙げられます。これを解消する方法として、2番目に挙げた「限度額適用認定証」があります。これは、あらかじめ申請をすることで発行してもらえる大きめのカードのようなもので、医療機関で提示することで支払額を自己負担限度額までにできるものです。

 

要するに、限度額をオーバーした部分は、最初から支払わなくてよくなります。結果として、「一度支払ったものを申請して返してもらう」というプロセスが必要なくなり、手間が省けます。近いうちに、高額な薬を使う可能性が出てきたら、早めに手続きをしておくとよいでしょう。

 

 

5-3. 無利子で借りることができる、高額医療費貸付制度

 もう一つ、自己負担限度額を超えた分は後日に返ってくると書きましたが、この「後日」が結構長く、おおむね3カ月くらいかかります。そのため、高額医療制度を普通に利用する場合では、3カ月分程度の医療費を一旦は自前で賄う必要が生じます。そのときに利用可能なのが、3番目に書いた「高額医療費貸付制度」というもので、高額医療費が支給されるまでの間に、80~90%の額を借りることができます (無利子です)。

 

 

5-4. クレジットカード等での支払いも考慮する

 なお、限度額適用認定証を使った場合でも、窓口での負担額が3万円とか5万円になるケースもあります。すると、「普段そんなに現金を持ち歩いていない・・・」という方もいると思います。大きな病院などでは、施設内にATMが設置されており、必要時そこからお金を引き出せるところもありますが、薬局で薬を受け取る場合はそうもいかないでしょう。

 

そこで提案したいのが、クレジットカードや電子マネーでの支払いに対応している薬局を、近所で探すことです。以前はかなり珍しかったものですが、最近ではちらほらと目にするようになりました。こうした薬局で調剤を受ければ、現金を持ち歩く必要がなくなるので、金額が大きい場合は無視できないメリットになります。かかりつけの薬局があれば、そこで相談してみるとよいでしょう。

 

6.まとめ

 

■関節リウマチでは早期に薬を開始することで、関節の破壊を防ぐことが重要である

■まずメトトレキサートを考慮し、効果がない場合は生物学的製剤を使うパターンが多い

■ステロイドは長期使用には向かないものの、有用性は高い

■生物学的製剤の効果は高いが、薬価も非常に高い

■医療費が高額になる場合は、これを軽減できる仕組みが助けになる

 

7.参考文献

 

(1) Walker-Bone K, et al. BMJ Clin Evid. 2007 Aug 1;2007. PMID: 19454108

(2) https://www.ryumachi-jp.com/info/yogo.html

(3) Smolen JS, et al. Ann Rheum Dis. 2017 Jun;76(6):960-977. PMID: 28264816

(4) 日本リウマチ学会 関節リウマチ診療ガイドライン 2014

(5) リウマトレックスカプセル2mg 添付文書 ファイザー株式会社

(6) Fleischmann R, et al. N Engl J Med. 2012 Aug 9;367(6):495-507. PMID: 22873530

 

執筆
薬剤師:黒田 真生
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