命を落とす危険もある?恐ろしい病気「喘息」治療のすべて

「喘息」とは気管支喘息のことであり、気道が慢性的に炎症を起こしている病気のことです。気道が炎症を起こすことで粘膜が腫れ、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)や呼吸困難が生じ、最悪の場合死に至ることもある病気です。

日本では年間1500人前後の人が喘息によって命を落としています。喘息は非常に恐ろしい病気ですが、適切な治療を行うことで症状を抑え、健康な人と変わりない生活を送ることが可能です。

ここでは、喘息とはどのような病気なのか、その治療はどのように行っていくのかについて詳しく解説します。
※この情報は、2018年8月時点のものです。

※この記事を読んでいただいている皆様へ

処方せんネット予約サービスの普及の為に皆様から利用したいと思う薬局をお答えいただいております。
60秒ほどのアンケートにお答えいただき、ご協力いただいた方には 全員に500円分のAmazonギフト券を必ずプレゼントさせていただいております。
(2017/12/25現在、224,000人にの方にご回答をいただいております。)
ぜひアンケートにご協力ください。

今すぐアンケートに答える>

株式会社フリービットEPARKヘルスケア一同

1.喘息とはどんな病気?

気管支喘息とは、気管や気管支に慢性的な炎症が生じる病気のことです。では、気管支喘息を発症すると気道にどのような変化が生じ、どのような症状が出るのでしょうか?その原因も含めて詳しく見てみましょう。

 

1-1. 気道とは?

私たちは呼吸によって空気を吸い込むと、気管や気管支などの気道を通って肺に空気が送り込まれます。私たちの体は酸素がなければ生きて行けず、肺に送られた空気中の酸素は血液に渡され、全身に行きわたるのです。また、体内で発生した血液中の二酸化炭素を回収して呼吸によって排出する働きも行っています。

このように、私たちが生命を維持するため、気道は非常に重要な働きをしているのです。

 

1-2. 喘息の気道はどうなっているの?

気道は平滑筋と呼ばれる筋肉でできており、内側には気道上皮、その下層には気道粘膜があります。平滑筋は気道の太さを調節する役割があり、気道粘膜には線毛と呼ばれる構造があって、細菌やウイルスなどの異物を捕らえ、体外へ排出する役割があります。

 

正常な気道は、平滑筋が適度な緊張を保ってしっかりと内腔を保ち、気道粘膜が異物をブロックするために働いています。しかし、喘息の人の気道は、慢性的に炎症が起こっているため、気道粘膜が腫れて異物をブロックする働きが悪くなり、粘膜から多くの粘液が分泌されることで気道の内腔が狭くなった状態となります。また、平滑筋は縮み、内腔を保つことができなくなるのです。

 

1-3. 喘息の症状が出ているときの気道は?

喘息は喘鳴や呼吸困難などの症状が生じますが、常にこのような症状が生じているわけではありません。慢性的に炎症が生じることで変化した気道に、更に刺激が加わることで粘膜の腫れや粘液などの分泌物が一時的に増えて、気道へ送られた空気が肺に届きにくくなるのです。喘息に特徴的な喘鳴と呼ばれる呼吸音は、「ゼーゼー、ヒューヒュー」といった音が近くにいる人にまで聞こえますが、これは粘膜が腫れて狭くなった気道の内腔に空気が通るときの音です。

 

このような症状は喘息の「発作」と呼ばれます。発作はアレルゲンを吸入したり、冷たい空気や乾燥した空気を吸い込んだりすることで過敏になった気道の粘膜が反応し、むくむことで引き起こされるのです。

1-4. なぜ喘息を発症するの?

喘息の発症年齢は、幼少期と40~50歳前後の2つのピークがありますが、最近では高齢者の発症も増えています。喘息を発症する原因は大きく分けて2つあり、それぞれの特徴は次の通りです。

 

①アトピー型喘息

アレルギーを起こすIgE抗体を産生しやすいアトピー体質の人は、喘息を発症する可能性が高くなります。小児に見られる喘息の多くはアトピー体質によるものです。

 

このため、アトピー型喘息は、ハウスダストや花粉、動物の毛や糞、食べ物などのアレルゲンを体内に取り入れてしまったときに発作を生じます。これらのアレルゲンを取り込むことで、IgE抗体の作用によって粘膜の腫れやかゆみを引き起こすヒスタミンが分泌され、結果として気道の粘膜にむくみが生じるのです。

 

②非アトピー型喘息

アレルギーが原因ではない喘息です。成人になってから発症する喘息の多くはこのタイプであり、アトピー型喘息よりも重症であるのが特徴です。

 

明確な原因は解明されていませんが、喫煙やアルコール、ストレス、ウイルス感染、過度な運動などがきっかけとなって発症することが多いとされています。

2.喘息の治療薬にはどんなものがあるの?

喘息は発作が起きていなくても治療を続ける必要があります。なかには数年にわたって発作が起きていないからといって完治したと思い込み、治療を自己中断する人もいます。しかし、喘息は発作が起きていなくても気道が慢性的に炎症を起こしている状態です。この炎症を抑える治療を続け、できる限り発作を予防する治療を続けなければならないのです。

 

このため、喘息の治療は気道の慢性的な炎症を抑えるための「コントローラー(長期管理薬)」と「リリーバー(発作治療薬)」の二本立てで行う必要があります。

 

 

2-1. コントローラー(長期管理薬)とは?

発作を予防するための治療で、気道の慢性的な炎症を抑える効果を持つ治療薬です。また、炎症によって狭くなった気道を広げる気管支拡張薬も併用されるのが一般的です。

 

抗炎症薬として一般的に使用されるのはステロイドの吸入薬であり、気管支拡張薬としては長時間作用型β2刺激薬、テオフィリンなどが使用されます。ステロイド吸入薬には様々なタイプがあり、気管支拡張薬の成分が含まれたものは一回の吸入で治療を行うことができます。重症な場合には、吸入薬の他にもステロイドの飲み薬が使用されることも少なくありません。また、他にも抗ロイコトリエン薬、抗アレルギー薬、抗IgE抗体薬などアレルギー反応を抑える薬が使用されることもあります。

 

2-2. リリーバー(発作治療薬)

万が一発作が起きた場合に、素早く発作を鎮めるための治療薬です。常に飲み続ける必要はありませんが、発作が起きた時のために常備しておく必要があります。

抗炎症薬としては高用量のステロイドの飲み薬が使用されますが、発作が起きて病院を受診した場合にはステロイドの注射が行われるのが一般的です。

 

気管支拡張薬としては、短時間作用型β2刺激薬、テオフィリンの注射などが使用されます。

また、非常に重症な場合には気管挿管などの必要もあり、発作時の治療は発作の重症度によって選択されます。

3.喘息の治療には段階があるの?~コントローラーの使い分け~

喘息は重症度によって4つの段階に分類され、それぞれの段階でコントローラーとして使用される薬が異なります。具体的には次のようなステップがあります。

3-1. ステップ1(間欠性喘息)

日常的に発作がコントロールされている軽症な喘息に対して行われる治療です。

 

コントローラーとしては低用量のステロイド吸入が使用されます。副作用などでステロイドが使用できない場合には、テオフィリンや抗ロイコトリエン薬などが使用されますが、発作が稀ならこれらの薬は使用しないこともあります。

 

3-2. ステップ2(軽症持続性喘息)

週に二回以上の発作が起きている状態の喘息に対して行われる治療です。

 

低~中用量のステロイド吸入薬が基本となり、気管支拡張薬として長時間作用型β刺激薬の吸入が使用されます。この二種類の吸入薬は配合されているものも販売されていますので、通常は配合吸入薬を使用します。

 

 

3-3. ステップ3(中等症持続性喘息)

呼吸機能テストが正常の人の80%以下の中等症喘息に対して行われる治療です。

 

基本は中~高用量の吸入ステロイドを使用し、長時間作用型β刺激薬やテオフィリン、抗ロイコトリエン薬などが追加して使用されます。

 

3-4. ステップ4(重症持続性喘息)

呼吸機能テストが正常の人の60%以下の重症な喘息に対して行われる治療です。

 

高用量のステロイド吸入薬の他にも、長時間作用型β刺激薬やテオフィリン、抗ロイコトリエン薬の他に、ステロイドの飲み薬や抗IgE抗体薬の注射が用いられることもあります。

 

ステップアップ?ステップダウン?

喘息の治療には、このように4つのステップがあります。呼吸機能検査やアレルギー検査などを行って、喘息の原因や重症度を判定しますが、それによって治療方法が異なってくるのです。

 

しかし、このステップ別の治療法は最初に決めた治療ステップをずっと続けるのではなく、発作が頻回に起こるときは更に次の治療ステップに「ステップアップ」し、治療を続けて三か月以上発作がない場合には下の治療ステップへ「ステップダウン」します。

 

このため、日常の喘息の状態をしっかりと把握するために、治療中の人は症状の有無などを日々記録する喘息日記をつけるようにしましょう。

4.まとめ

喘息は死に至ることもある恐ろしい病気であり、毎年多くの人が亡くなっています。しかし、きちんと治療を続けて発作をコントロールすれば、正常な日常生活を送ることが可能です。

 

喘息の治療は発作時だけではなく、長期管理を行うためのコントローラーが非常に重要です。自身に合った治療を行って症状をコントロールするためにも治療中の人は喘息日記でコントロールの状況を把握するようにしましょう。

執筆
医師:ママさん女医あっきー
この執筆者の記事をもっと見る