大人のアトピーは治りにくい?その症状・特徴や治療方法を解説

清益 功浩

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なかなかかゆみが取れない、粉を吹いた感じになってきた、皮膚がゴワゴワしてきたなど、大人のアトピーは子どものアトピーと違った感じになることがあります。大人のアトピーの問題点を知っておきましょう。

今回は、大人のアトピーの症状の特徴について解説するとともに、治療方法、生活環境の中でできる対策なども合わせて説明していきます。

※この情報は、2018年4 月時点のものです。

1.アトピーとは?

アトピーは、「アトピー性皮膚炎」(以下、アトピー)と言って、多くはアレルギーを起こしやすい体質があって、アレルギーによる炎症が皮膚に起こった結果として、湿疹が出てくる病気です。

 

湿疹は、免疫細胞が皮膚に集まって、慢性的に炎症を起こした結果です。子どもの場合は、アレルギーを起こす物質であるアレルゲンが特定されることもありますが、大人の場合は、アレルゲンだけでなく、皮膚のバリア機能の低下、保湿因子の不足、思春期以降の皮脂の不足など様々な原因で慢性的にアレルギーの炎症が持続しているために、なかなか治りにくいのが特徴です。また、良くなったり悪くなったりを繰り返します。

 

2006年~2008年度の厚生労働科学研究では、大人のアトピーは、20歳代は10.2%、30歳代は8.3%、40歳代は4.1%、50~60歳代は2.5%と大人での比較的若い年齢に多く見られます。乳幼児健診の調査では、生後4カ月では16.2%がアトピーを発症しており、1歳6カ月では70%が良くなっていたと報告されています。大人のアトピーでは、子どもの頃から引き続き見られるアトピー、思春期までによくなって再び発症したアトピー、大人になって発症したアトピーが含まれています。

 

2.大人のアトピーの症状・特徴

大人のアトピーは、頭、首、胸、背中などの上半身に湿疹が強い傾向があります。膠原病と呼ばれる自己を攻撃する自己免疫疾患、乾癬と呼ばれる自己免疫による湿疹、悪性リンパ腫などによる湿疹との鑑別を必要とします。

 

かゆみが強く、全体的に皮膚が赤くなった紅皮症や丸く盛り上がった湿疹で非常にかゆみの強い痒疹型が見られます。湿疹の経過が長くなるために、皮膚が硬くなったような苔癬化、魚のうろこのような鱗屑、掻いてかさぶたができる痂皮なども見られます。

 

又、顔に湿疹が見られることで、目の周りをたたいたり、こすったりすることで、白内障や網膜剥離などの合併症を起こすことがあります。さらに、口の周りに水疱ができる口唇ヘルペスやとびひ(伝染性膿痂疹)などの皮膚の感染症も見られます。

 

3.様々な要因が関与、大人のアトピーの原因

大人になると、食物が原因であるアトピーは少なくなり、ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛などの環境にみられる成分が原因になることが多くあります。さらに、乾燥肌、ストレスなども、アトピーの湿疹の悪化因子になります。

 

また、

・不規則な生活やストレスによる自律神経の失調による皮膚のバリア機能の低下

・アンバランスな食事によって皮膚を良い状態に保つ成分や皮脂が不足

・汗などの体温調節の低下と汗を放置することによる湿疹の悪化

・湿疹が出ているときに皮膚への血流が良くなることでかゆみが増す

 

など様々な要因が複雑に関与しています。

そのため、1つだけを改善してもなかなか良くならないことが多く、原因や悪化因子を減らしても、すぐに効果が出てこないことが多いために、長続きしないことがあります。治療に関わることですが、スキンケアは自分でできる治療の1つです。

 

4.アトピーの治療方法

まずは、

・アトピーの悪化因子などで思い当たることがありませんか?

・夜更かしや寝不足はありませんか?

・イライラしたりストレスはたまっていませんか?

など自分の生活習慣を見直してみましょう。それだけで改善することもあります。

 

アトピーの原因がバリア機能の低下と保湿の低下であることから、スキンケアも重要です。

 

 

詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

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アトピーは治る?アトピーの治療の目標と3つの治療の柱

 

4-1. 炎症を抑える外用薬

湿疹がひどく、かゆい場合は、まずは、アレルギーの炎症を抑えることが重要になります。炎症を抑えるために、抗炎症薬として、ステロイド外用薬や免疫抑制薬の外用薬が使用されます。ステロイド外用薬を最初に塗布し、しっかりと炎症を抑える必要があります。

ステロイド外用薬の強さは5段階に分類され、強い順に、

 

・ストロンゲスト

・ベリーストロング

・ストロング

・ミディアム

・ウィーク

です。

 

重症なアトピー、炎症病変が強い場合、苔癬化、紅斑、丘疹の多発、多数の掻き傷がある場合、痒疹などが見られて、なかなか治りにくいことが予想されるので、ベリーストロングないしストロングクラスのステロイド外用薬が第一選択となります。

 

ステロイド外用薬は、頬、頸部、陰嚢では、吸収率が高いので、副作用に注意する必要があり、長期間連用しないようにします。

ステロイド外用薬でよくなれば、急に中止するのでなく、良い状態を保ちながら、減量したり、間隔をあけて使用し、徐々に中止していくことが望ましいです。

 

ステロイド外用薬の副作用は、全身に対する副作用は少なく、皮膚が薄くなる、皮膚の血管が拡張する、にきび、赤くなる、多毛、皮膚の感染症が悪化することなど局所的で、中止などで良くなっていくことが多いです。

 

ステロイド外用薬に対する誤解がステロイドに対する不安になっていることがあります。又、不適切な使用によって、効果が得られないことによる不信感もあります。そのため、ステロイド外用薬は、多くの症例で使用され、その副作用もよく知られていますので、安心するとともに、適切に使用することが望まれます。

 

免疫抑制薬の外用薬としては、タクロリムス軟膏があります。顔や首での湿疹に効果がありますが、皮膚にびらんや潰瘍ができている時には使用できません。16歳以上大人では0.1%、2~15歳の子どもでは0.03%の濃度の軟膏が使用されます。

 

副作用としては、一時的に熱く感じる灼熱感、ほてり感があります。

湿疹が良くなると、皮膚から吸収されにくいので、よくなれば、止めてもよい薬になります。2歳未満と妊婦および授乳中では使用することはありません。

 

4-2. 皮膚の良い状態を維持するプロアクティブ療法

湿疹が見た目良くなっても、皮膚での炎症が残っていることがあります。プロアクティブ療法とは、保湿外用薬によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を間歇的に(週2回など)塗布し、よい状態を維持する治療法です。つまり、湿疹がよくなっても抗炎症薬の外用を続けます。

 

一方、炎症が再燃した時にのみ抗炎症外用薬を使って炎症をコントロールする方法をリアクティブ療法と言います。リアクティブ療法では、症状が出てくるので、かゆみで悩むことになりますし、どの程度で外用薬を使用するのか悩むこともあるかもしれません。

 

プロアクティブ療法では、湿疹のでない状況を維持しますので、日常生活の質は向上します。しかし、いつまで継続していくのかは人それぞれで、その期間について不安を覚えることもあります。慢性のアレルギーの炎症であるために、しっかりと治療していく必要があります。

 

4-3. 内服薬の使用やその他の治療法

かゆみの原因の1つであるヒスタミンを抑える抗ヒスタミン薬があります。多くの抗ヒスタミン薬が出ており、最近の抗ヒスタミン薬は、非鎮静性と言って、眠気が少ない薬がほとんどです。

 

抗ヒスタミン薬は種類が多いので、その人に合わせて、効果のある薬を選ぶことになりますが、できるだけ副作用の少ない薬が選択されます。また、副作用と効果は比例しないので、できるだけ副作用の少ない薬が望ましいです。子どもと比較すると、大人では多くの種類がありますので、自分に合った薬を見つけることができます。

 

免疫抑制薬で移植にも使用されるシクロスポリンと呼ばれる薬を内服することもあります。2008年10月より日本でも16歳以上、ステロイド外用薬などで十分な効果が得られない重症のアトピーの方で使用されています。8~12週間で終了したほうが望ましく、良くなれば、ステロイド外用薬を中心した治療に切り替えたり、2週間以上の休薬期間が必要になります。

 

ステロイド内服薬は、アトピーが急に悪くなった時、重症の患者を良くして他の薬に変更するための導入として、使用されます。しかし、長期に使用すると、高血圧、肥満、多毛、低身長、大腿骨骨頭壊死、骨粗しょう症、感染症になりやすくなるなどの副作用が起こってしまいますので、あくまで短期間での使用になります。

 

漢方薬では、消風散と補中益気湯が有効であったと報告されています。これ以外にも人によって効果が期待されると思われますが、研究が少ないのが現状です。漢方薬と言っても副作用がないわけでなく、肝機能異常や黄疸などの報告があります。

 

10歳以上であれば、今までの治療で効果がない場合に、311nmをピークにするナローバンドUVB療法による紫外線療法が有効との報告もありますが、現時点では、プロトコール、ガイドラインがないために、積極的には推奨しにくく、皮膚がんなどの長期の副作用が懸念されています。

 

5.生活環境にアトピーの悪化因子あり

汗の付着と皮膚への黄色ブドウ球菌などの感染は悪化因子であることから、入浴、シャワー浴が推奨されています。36~40℃の温度で、入浴後は速やかに保湿剤を使用します。石鹸は、自分に合うもので、皮脂までを除かない程度のものが望ましいです。

刺激がなく、使用感が良くて、低アレルギー性、添加物が少ないものが望ましいと考えられています。皮膚の汚れを落とす程度で、洗浄剤が皮膚に残らないように十分にすすぎましょう。

 

さらに、皮膚に接触するものの中には、アトピーを悪化させるものがあります。

唾液、汗、髪の毛、衣類などです。そのため、唾液や汗は洗い流す、濡れたタオルで拭きとります。髪の毛は短くしたり、刺激性の低い衣類が望ましいです。

 

身体を洗うタオルもナイロンなどの硬い素材は避けましょう。規則正しい生活とバランスの取れた食事を心がけて生活のあるストレスは解消しておきたいものです。

「言うは易し、行うは難し」かもしれませんが、「案ずるより産むがごとし」と言って、意外とできたりしますので、できることからしていきましょう。

 

6.まとめ

大人のアトピーの発症のパターン、子どもと比較して、治りにくいことがあり、子どもでは使用しない薬が使用されます。

 

アトピーが悪化すれば、スキンケアや生活環境の見直しはしたいものです。アトピーは、人それぞれの原因、悪化因子が異なりますので、自分に合った治療と生活が必要になります。

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