【薬剤師が解説】赤ちゃんにも使用、アズノール軟膏の正しい効果・使い方・注意点

竹中 孝行
コトブキ調剤薬局 横須賀店

赤ちゃんのおむつかぶれなどにも使われることもある「アズノール軟膏」。

アズノール軟膏は、植物の成分に由来し、抗炎症作用・皮膚保護作用をもつ非ステロイド性の塗り薬です。効果は穏やかですが、安全性が高いため、様々な場面で処方されることも多い塗り薬です。

そんなアズノール軟膏ですが、あれ?と思うような間違った使い方を患者さんから聞くこともあります。今回は、アズノール軟膏の正しい効果を解説するとともに、実際に遭遇したことがある使い方に関する相談にお答えする形で、詳しく説明していきます。

※この情報は、2018年1月時点のものです。


 

1.アズノール軟膏とは?

アズノール軟膏とは、植物の成分に由来しており、非ステロイド性の抗炎症作用や皮膚保護作用をもつ塗り薬(外用薬)です。まずは、アズノール軟膏について解説します。

1-1. アズノール軟膏の成分と作用

アズノール軟膏の成分は、「ジメチルイソプロピルアズレン」です。

この成分は、もともと「カミツレ」と呼ばれるキク科の薬用植物に由来しています。カミツレは民間薬として古くから使われていました。やがて、カミツレの抗炎症作用が「アズレン」とよばれる成分に基づいていることが分かり、そこから研究が重ねられました。

アズノール軟膏は、そのアズレンの一種であるジメチルイソプロピルアズレン(グアイアズレン)を主成分として含んでいます。

また、アズノール軟膏は、その他に精製ラノリン白色ワセリンを基剤(賦形剤)としており、皮膚の保護や保湿作用も持ち合わせます。

 

<組成>

本剤は300g中、ジメチルイソプロピルアズレン0.1gを含有する。(0.033%

 

<添加物>

精製ラノリン、白色ワセリンを含有する。

 

<効能・効果>

湿疹
熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍

 

<薬効・薬理>

薬効としては、次の4つの作用が期待できます。

・抗炎症作用(炎症をおさえる)

・創傷治癒促進作用(傷が治るのを助ける)

・ヒスタミン遊離抑制作用(アレルギー反応をおさえる)

・抗アレルギー作用(アレルギー反応をおさえる)

 

効果としては穏やかで比較的軽傷の皮膚の炎症や、広範囲や長期に渡って塗布することが予想される場合などに使用されることが多いです。副作用が少なく安心して使用できるためです。

 

ご存知のとおり、皮膚の炎症に対してはステロイドの塗り薬が効果的で使用されることが多いですが、広範囲に渡っての使用や長期で使用する場合には副作用が心配されることもあります。その一方で、アズノール軟膏は、ステロイドほど高い抗炎症作用はありませんが、赤ちゃんに対しても安心して使用することができます。

1-2. アズノール軟膏の使い方

様々な場面で使用されるケースが多い塗り薬で、比較的軽度の症状、お薬を吸収しやすい小さなお子さん、顔周りや陰部などの皮膚が敏感な部分にも使用されます。

・あせも

・かぶれ

・火傷(やけど)

・皮膚のただれ・潰瘍

・褥瘡  など

 

<用法・用量>

通常、症状により適量を1日数回塗布する

 

基本的には副作用が少ないお薬ですので、主治医からの指示に従って安心して塗っていただいて問題ありません。

 

アズノールうがい液ってアズノール軟膏と同じ?

アズノールと聞くと、うがい液を思い浮かべる方もいるかもしれません。名前のごとく、アズノールうがい液の成分もアズレンの一種です。ジメチルイソプロピルアズレン(グアイアズレン)の水溶性誘導体であるアズレンスルホン酸ナトリウムを主成分としています。アズノールうがい液は、抗炎症(炎症を鎮める)効果があり、腫れや痛みなどを和らげる作用があり、のどや口内に炎症を起こしている場合などに用いられます。

1-3. まとめ

アズノール軟膏は、アズレンという植物の成分に由来した成分を主成分とし、抗炎症作用や皮膚保護作用などをもつ塗り薬です。副作用がほとんどなく安全性が高いことから幅広い用途で使用されます。

比較的軽度の症状、お薬を吸収しやすい小さなお子さん、顔周りや陰部などの皮膚が敏感な部分にも用いられます。

2.アズノール軟膏の正しい効果・使い方に関する相談

続いて、アズノール軟膏について、実際に受けたことがある使い方に関する相談にお答えする形で、説明していきます。

2-1. 顔に塗っても大丈夫ですか?

顔の皮膚症状をはじめ、唇などの皮膚が薄い部分にも使用されることがある塗り薬です。

ただし、眼科用としては使用してはいけないので、目の中には入らないように注意しましょう。目に万が一入ってしまった場合には、水で洗い流し、何か異常があった場合には直ぐに医療機関を受診するようにして下さい。

 

2-2. ヘルペスにも使われるお薬ですか?

ヘルペスの症状に対しては、通常、アシクロビルやファムシクロビルなどの抗ヘルペスウイルス薬が主に使用されます。アズノール軟膏自体に抗ウイルス作用はありませんが、病変部の炎症を鎮める効果や、皮膚の保護を目的として抗ヘルペスウイルス薬と一緒に用いられることはあります。

 

2-3. 赤ちゃんのおむつかぶれやあせもに使って良い?

アズノール軟膏は、効果は穏やかですが、副作用がほとんどなく安全に使用できる塗り薬です。そのため、小さなお子さんにも使用されることも多く、おむつかぶれやあせもに対しても処方されることがあります。

症状がひどい場合には、ステロイドの塗り薬が適することもあるため、医師に症状をよく診てもらい判断を仰ぐようにして下さい。

 

2-4. ニキビに効果がありますか?

小さなお子さんに処方されるケースはあるかもしれませんが、ニキビに対して使用するケースは少ないでしょう。炎症を鎮める効果や皮膚の保護作用から一定の効果は期待できるかもしれませんが、主流ではありません。医師の指示がない限りは、自己判断で使用しないほうが良いでしょう。

 

現在、ニキビ治療薬として処方される塗り薬として代表的なお薬は下記です。


・ディフェリンゲル [成分:アダパレン]
・ベピオゲル [成分:過酸化ベンゾイルゲル]
・ダラシンTゲル [成分:クリンダマイシン リン酸エステル]
・アクアチムクリーム [成分:ナジフロキサシン]
・イオウカンフルローション [成分:イオウカンフルローション]
・デュアック配合ゲル [成分:クリンダマイシン・過酸化ベンゾイル]
・ゼビアックスローション[成分:オゼノキサシン]など。

 

その他、内服薬[飲み薬]も別にあります。

ちなみに、ニキビは、医療の専門用語では、「尋常性ざ瘡」といい、アズノール軟膏の効能効果には記載がありません。ニキビ治療に対しては、上記で紹介した別の処方薬が出ることが一般的です。

 

※関連記事※

【ニキビに効く市販薬】ペアアクネクリームWの成分・効果と副作用

2-5. 長期間塗っていても問題ないですか?

長期に渡って塗っていても副作用は少ない塗り薬です。但し、症状が治れば塗り続ける必要はありません。また、保湿効果目的で使用する場合には、抗炎症成分を含まない白色ワセリンやプロペトなど単独の塗り薬等を使用したほうが良いでしょう。

 

3.アズノール軟膏の注意点

正しい方法で使用すれば、副作用症状はほとんどない塗り薬です。

小さなお子さんから、顔周りや陰部などの皮膚が敏感な部分にも使用されます。

 

<副作用について>

稀に、次のような刺激症状や

・ほてり

・かゆみ

・ヒリヒリ感

 

お薬の成分に対するアレルギー症状(接触性皮膚炎)として、

・かゆみ

・かぶれ
・発疹、発赤

・水ぶくれ

などの症状ができることもあります。このような症状がみられた場合には、使用中止し、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

 

<注意点>

目に対しては使用しないようにしましょう。

症状がひどくしばらく塗布しても改善が見られない場合には主治医に相談しましょう。

 

4.市販でアズノール軟膏は購入できる?

アズノール軟膏は医療用医薬品で、病院を受診し、処方せんがなければ購入できないお薬です。

残念ながらアズノール軟膏と全く同じ成分で販売されている市販薬はありません。

しかし、次のようなアズノールの成分の内容に近い市販薬は販売されています。

 

  • タナールAZ軟膏【第3類医薬品】 / 日邦薬品工業株式会社

100g中】

 

 

 

 

添加物として白色ワセリンを含有します。

 

アズノール軟膏とは含まれている成分と量の比率が異なります。

 

その他、非ステロイド性の塗り薬は、市販でも販売しております。詳しくは、ご自身の症状に合わせて店頭の薬剤師や登録販売者の方に相談するようにしましょう。

 

5.おわりに

今回は、赤ちゃんのおむつかぶれなどにも処方されることがあるアズノール軟膏の正しい効果を解説するとともに、実際に受けたことがある使い方に関する相談にお答えする形で説明しました。

アズノール軟膏は、期待できる抗炎症作用は、ステロイド塗り薬等と比較すると穏やかですが副作用が少なく、安心して使用できる塗り薬のひとつです。比較的軽度の症状に用いられますが、医師の判断で幅広い疾患に対して合わせて用いられることもあります。

アズノール軟膏と全く同じ市販薬は販売されていませんが、成分が近いものはあります。ご自身の症状に合わせて店舗にてご相談下さい。

症状がひどい、続いているような場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

 

参考

アズノール軟膏インタビューフォーム

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