1.基礎体温とは?体温の基礎知識
基礎体温とは「体がもっとも安静な状態のときの体温」のことを指します。起床してすぐに体温を測ると基礎体温を把握することができます。
人間の体温は様々な要因により変化しますが、女性は生理による体温変化が顕著です。女性の体温は排卵を境にして「高温期」となり、生理が近づくにつれ「低温期」となり徐々に基礎体温が下がってきます。そして再び排卵を迎え、高温期が始まります。
基礎体温の計測を続けていると生理周期をほぼ正確に把握できるようになります。そうすると
・いつ生理が起こるか
・PMS(月経前症候群)で不調が起こる時期
・排卵がきちんと行われているか
・妊娠しやすいタイミングか
・なんらかの婦人病の早期発見
などを知ることができます。
2.排卵を境に変わる基礎体温
低温期と高温期では体温がおおよそ0.3-0.5度ほども異なり、生理周期の把握に役に立ちます。生理が始まるのを1日目とするとおよそ14日で排卵期となります。その後、基礎体温が高まる高温期がおよそ14日程度続き、基礎体温が下がってくると生理が再び始まります。
生理中は体温が低くなります。排卵した卵子が受精卵となり着床すれば妊娠となりますが、妊娠しなかった場合、不要になった子宮内膜は剥がれ落ちて体外に排出されます。これが「生理」です。
生理を終えると卵胞期となり卵胞刺激ホルモンの働きにより、再び子宮内膜が増殖し厚みを増していきます。卵胞期も体温は低くなります。
卵胞期のあとに排卵期を迎えます。排卵した卵子に精子が受精することで受精卵となります。排卵期が近づくと徐々に基礎体温が高くなっていきます。基礎体温を計測しておくと排卵が近づいていることが分かるようになります。最も妊娠しやすいタイミングは排卵前々日から前日なので、妊娠を希望する場合知っておくと妊娠する確率が高くなります。
排卵期を終えると黄体期となります。黄体期には黄体ホルモンの作用で子宮内膜が厚く柔らかくなり、受精卵が着床できるようになります。黄体期に妊娠が成立しないと徐々に基礎体温が低下していき、再び生理となります。
女性の生理周期はおおよそ28日周期となっています。生理から排卵期までがおよそ14日、排卵期から再び生理が始まるまでがおよそ14日なので覚えておくとよいでしょう。
3. 基礎体温と女性の健康
女性の体は女性ホルモンの影響を大きく受けます。きちんと基礎体温を計測することで、女性特有のトラブルのリスクを低下させることができます。
例えば、頻発月経、稀発月経などの生理不順は放置すると将来的な不妊に繋がることがあります。しかし、しっかりと基礎体温を計測し記録することで生理周期の異常を早期に気づければなんらかの対策を取ることができます。
高温期の生理ではない時期に出血が見られるようならば「子宮筋腫」などの婦人病の可能性を疑うことができます。また、高温期が長く続く場合は「妊娠している可能性」に気づくことができます。このように基礎体温と女性の健康は密接に繋がっています。きちんと基礎体温を計測しておくと、医療機関で診察を受けるときも大きな助けとなります。
4.正しい基礎体温の測り方
基礎体温はとてもデリケートなものです。高熱器と低温期といっても0.3-0.5度程度の違いしかないため少しでも体を動かすと熱が発生して正確な基礎体温を測ることができません。正確に基礎体温を測るためにはいくつかポイントがあります。
- 基礎体温計(婦人体温計)を使用する
基礎体温の変化は小さいものなので専用の物をしようして計測する必要があります。小数点2桁まで測ることのできるデジタルの基礎体温計を使用するとよいでしょう。
- 起床後すぐに計測する
起床後少しでも体を動かすと体温が上がり正確な基礎体温を測ることができません。枕元などの取り出しやすいところに基礎体温計を置いて、起床後すぐに測れるようにしましょう。
- グラフを作成する
体温は気温や体調にも左右されるため、単一で数値だけ見ても基礎体温の変化が分かりづらいことがあります。グラフで基礎体温の記録を付けると高温期と低温期が分かりやすくなるのでお勧めです。
- 無理をしすぎない
毎日かかさず測らなきゃいけないと思うとプレッシャーになってしまいます。1日や2日測らなくても問題はないので、無理をしすぎないようにしましょう。
5.まとめ
女性の基礎体温は生理周期によって変化します。排卵を境に徐々に高温となり、生理が近づくにつれ低温となります。
基礎体温を計測して記録を続けると、きちんと生理が来ているかどうか、PMSのタイミング、妊娠しやすいタイミング、婦人病の早期発見などの把握に役立ちます。無理のない範囲できちんと記録するようにしましょう。