薬剤師が解説!ニキビ治療薬『ベピオゲル』の作用と副作用対策

ニキビに対して高い治療効果があるベピオゲル。2015年の発売開始時から処方される機会が多い薬ですが、乾燥やヒリヒリするといった副作用が多くみられるのも特徴です。

しかし、副作用はしっかりと対策すれば最小限に抑えることが可能です。

今回は、ベピオゲルの作用や使用上の注意、他の抗菌薬との違いについて解説するとともに、ニキビが発症するメカニズムや副作用対策などについても説明していきます。
※この情報は、2018年6月時点のものです。

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1.ニキビができるメカニズム

 

ニキビは以下のように段階的に形成されます。

 

  • ホルモンバランスの乱れ、寝不足・食生活などの生活習慣、ストレス、紫外線などが原因で、肌のターンオーバーが乱れる。
  • 毛穴の皮脂の出口が塞がれる
  • 本来毛穴から分泌される皮脂が毛穴の中に溜まる(白ニキビの形成)
  • アクネ菌が毛穴の中で増殖する
  • 増殖したアクネ菌をやっつけようと免疫細胞がやってくる
  • 炎症を引き起こし、化膿する(赤ニキビの形成)

 

以上から、ニキビ治療は「毛穴の詰まりの改善」と「アクネ菌に対する除菌療法」が重要といえます。

 

 

アクネ菌について

 

ニキビの原因菌として有名なアクネ菌(正式名称:プロピオニバクテリウム・アクネス)ですが、ニキビになりやすい人だけに存在しているのではありません。

 

誰の皮膚にも存在している「常在菌」の一種で、肌の水分を保つ、病原菌の増殖を防ぐ、紫外線から保護するなどの肌の健康を守る役割を担っています。

 

しかし、アクネ菌は性質として「空気が大嫌い」かつ「脂質が大好物」であるため、皮脂の詰まった毛穴の中は、アクネ菌が非常に好む環境といえます。これが、アクネ菌がニキビの原因菌になる理由です。

 

 

2.ベピオゲルについて

2-1. ベピオゲルの成分と作用

ベピオゲルは、「過酸化ベンゾイル」を有効成分とする、ゲル状の外用薬です。

顔以外のニキビにも使用できます。

 

過酸化ベンゾイルを英語では「Benzoyl Peroxide」、略して「BPO」と呼び、商品名から有効成分を連想できるように「ベビオ(BEPIO)」と名付けられました。

 

過酸化ベンゾイルは、主に以下の2つの作用によりニキビを改善します。

 

 

①強力な酸化作用

酸化作用とは、簡単に言えば酸素を与えるということです。

酸素はヒトにとってはなくてはならないものですが、実は毒性が高い物質なのです。

 

酸素は生体内で「フリーラジカル」と呼ばれる活性酸素になり、DNAを損傷したり、タンパク質や脂肪を変性させる働きを持っています。ヒトの体内ではこのフリーラジカルを無毒化する酵素を持っているため、ほとんど影響はありません。

しかし、アクネ菌にはその酵素が存在していないため、ダイレクトにフリーラジカルの影響を受けてしまい、生存できなくなってしまいます。

 

②角層剥離作用(ピーリング作用)

過酸化ベンゾイルには皮膚の角層を剥離させ、毛穴の詰まりを取り除く作用もあります。この作用により、新たなニキビの発生を抑制する効果も持っています。

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2-2. 他の抗菌薬とはココが違う!

一般的な抗菌薬には「薬剤耐性菌」の問題があります。

抗菌薬は有効成分が細菌の細胞壁やタンパク質合成酵素の働きを抑制することで抗菌作用を発揮します。

しかし、長い期間同じ抗菌薬を使い続けると、細菌は自己のDNAを改変し、その薬に対して耐性を持つ細菌に変わってしまうことがあります。この細菌を「薬剤耐性菌」と呼びます。薬剤耐性菌になってしまうと、抗菌薬が効きにくくなるので治療が難しくなります。

そのため、従来のニキビ治療では長期間の抗菌薬の使用はできませんでした。

 

一方、ベピオゲルは、活性酸素のフリーラジカルが細胞膜や酵素、DNAなど複数の器官を物理的に破壊するため薬剤耐性菌が出来にくいとされています。

実際に、欧米ではニキビの治療薬として40年以上使用されていますが、ベピオゲルに対する薬剤耐性菌の報告は1件もありません。

耐性菌が問題にならないベピオゲルにより長期間の抗菌治療が可能になりました。

 

 

2-3. ベピオゲル+〇〇(配合剤について)

有効成分である過酸化ベンゾイルには、他のニキビ治療薬の有効成分と一緒に配合された薬(配合剤)も販売されています。

 

①デュアック配合ゲル

ベピオゲルの有効成分の過酸化ベンゾイルと、ニキビに良く使われるダラシンTゲルの有効成分のクリンダマイシンの配合です。

クリンダマイシンを長期的に使用すると、耐性菌が発生する可能性があるため、短期的に使用します。

 

②エピデュオゲル

べピオゲルの有効成分の過酸化ペンゾイルと、ディフェリンゲルの有効成分のアダパレンの配合剤です。

どちらにも角層剥離作用があるため、刺激感や乾燥などの副作用リスクが高くなります。

 

ディフェリンゲルについての記事はこちら↓

薬剤師執筆

塗り続けても大丈夫?ニキビ治療薬『ディフェリンゲル』の副作用について解説

薬剤師:篠ケ瀬 蒼惟
2018.05.30
くすり

 

3. ベピオゲルの使用方法と使用上の注意

3-1. 使用する回数とタイミング

ベピオゲルは1日1回、夜に使用します。紫外線が当たると副作用症状がみられる場合があるので、朝に使用するのは避けましょう。

患部を清潔に洗い、しっかりと水分を拭き取ってからお使いください。

 

①使用する量と塗り方

人差し指の先から第一関節まで出した長さで、顔全体に使用する適切な量になります。

額だけ、頬だけ、顎だけなど部分的に使用する場合はその1/3の量ぐらいで良いでしょう。

ニキビができている部位とできやすい部位に、薄く広げるように塗ってください。

 

②避けるべき場所

同じニキビ治療薬のディフェリンゲルは顔のニキビのみに使用するのが一般的ですが、ベピオゲルは顔以外のニキビにも使用することができます。

 

しかし、ディフェリンゲルと同じように粘膜には使用できませんので、目や目の周り、唇、鼻粘膜には薬が付かないように注意しましょう。

 

③その他の注意事項

 

ベピオゲルを使用した部位に強い紫外線が当たると乾燥・刺激感などの副作用がみられることがあるので、強い日差しは避け、日焼けランプの使用や紫外線治療は行うことはできません。日焼け止めクリームや日傘の使用をおすすめします。

 

過酸化ベンゾイルには漂白作用があるため、衣服やタオル、髪の毛に付くと脱色を起こしてしまうことがあります。使用する際は薬が患部以外に付かないように注意してください。

 

使用した後はすぐに手を洗いましょう。

 

3-2. 保管方法

高温な場所で保存すると有効成分が変化する可能性があるため、ベピオゲルは25℃以下で保管することになっています。

冬場でしたら室温でも問題ないかもしれませんが、夏場は冷蔵庫に入れておきましょう。ただし、凍結させてしまうほど低温で保管するのも良くないので、冷気の吹き出し口付近に置いてしまわないように注意が必要です。

 

3-3. 使用できない人

妊娠している方や授乳中のお子さんがいる方、12歳未満の小児に対しては、胎児やお子さんへの安全性が確立していないため、一般的には使用しません(※医師の判断により使用する場合もあります)。

また、一定割合で過酸化ベンゾイルに対してアレルギーがある人がいます。

 

3-4. ベピオゲルの副作用

ベピオゲルは比較的副作用が起こりやすく、約4割の方に以下の症状がみられます。

 

 ・皮膚が薄く剥がれる(粉がふく)

 ・ヒリヒリした感じなどの刺激感

 ・乾燥

 ・皮膚が赤くなる

 

これらの症状は、使用開始1か月以内にみられることが多いですが、使用していくうちに症状が軽減されることが多いです。

顔全体が腫れたり、目の周りが荒れるなど我慢できないぐらい症状が強く出るようでしたら使用を中止し受診してください。

症状が軽いようなら次に説明する対策を行いながら、使用を継続することをおすすめします。

 

 

3-5. 副作用を起こさないために

ペピオゲルによる副作用を軽減するポイントは、「優しく洗浄を行うこと」と「しっかりと保湿を行うこと」です。

 

洗顔フォームやボディソープは洗浄力の強すぎないものを使用し、泡立てネットなどで、きめ細かく泡立てて使用しましょう。スクラブ入りのものは、肌への負担が大きくなってしまうため使用は避けた方がいいです。

メイク落とし時には、クレンジングオイルをたっぷりと手に取り、なるべく手で直接肌を擦らないように行いましょう。

 

保湿はべピオゲルの使用前だけでなく、こまめに行うことで副作用を軽減することができます。お風呂上がりはなるべく早く(5分以内)に使用すると効果的です。

 

べピオゲルと一緒に保湿剤(ヒルドイドやプロペト、白色ワセリンなど)が処方されることもありますが、ドラッグストアなどで売られている化粧水や乳液でも問題ありません。市販の保湿剤を使用する際には、低刺激性でノンコメドジェニック(ニキビができにくい成分で構成されていること)の表示があるものを使用するのがお勧めです。

 

 

5.おわりに

今回は、発売以来多くの方に使用されているベピオゲルの作用や副作用対策について解説しました。この記事を読んで、ベビオゲルの副作用に悩まされている方の症状が少しでも軽減されると幸いです。

 

ニキビ治療薬では薬の使用も大切ですが、ストレスを溜めない、健康的な食生活、適度な運動、十分な睡眠など、生活習慣を改善させるとより治療効果が高まりますので心がけてみてください。

 

 

 

執筆
薬剤師:篠ケ瀬 蒼惟
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