ボラギノールとプリザエースはどちらが痔に良く効く?成分の違い・特徴を比較

痔疾患は国民病とも呼ばれており、成人の3人に1人が罹っているとされています。痔になったときは肛門科を受診するのがベストですが、心理的な抵抗が大きいため、一人で治療したいと思っている方がほとんどでしょう。

そこで、今回の記事では、市販の痔疾患治療薬として有名な「ボラギノール」と「プリザエース」について、その特徴や成分の違いを解説し、どちらがよりお勧めなのかをお伝えしたいと思います。

ドラッグストアで薬剤師や登録販売者に痔の薬について質問するのは恥ずかしいという方は、ぜひ本記事をご覧ください。
※この情報は、2018年8月時点のものです。

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1.痔疾患とは?

痔疾患とは肛門内または肛門周囲にできる病気の総称で、痔核(イボ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろう(穴痔)の大きく3つに分けることができます。以下、それぞれの特徴をご説明します。

 

1-1. 痔核(イボ痔)

痔核(イボ痔)は痔の中で一番多く見られるもので、肛門と直腸の境目に密集している血管がうっ血し、膨らんでイボのようになる状態です。このイボは直腸内にできる場合(内痔核)と肛門の外にできる場合(外痔核)とがあります。

 

内痔核は、通常、知覚神経が通っていない場所にできるため痛みは少ないですが、排便時に多量の出血を伴うことがあります。

 

一方、外痔核は知覚神経が通っている場所にできるため、痛みを感じることが多いです。痔核は症状が重いと手術が必要になることもありますが、軽度であれば市販薬を使って自分で治療することも可能です。

 

1-2. 裂肛(切れ痔)

裂肛(切れ痔)は、排便時に便によって肛門の皮膚が傷づけられて生じる病態です。硬い便が何度も肛門の皮膚を刺激することによって傷が深くなり、出血や激しい痛みを伴うようになります。切れ痔になった人は排便を恐れて我慢するようになるため、便秘が悪化してますます便が硬くなり、さらに肛門を傷づけるという負のスパイラルにはまりやすくなります。

 

切れ痔は通常、排便習慣を改善しながら患部に市販薬を塗布することで治療することが可能ですが、重症例の場合は手術が必要となることもあります。

 

1-3. 痔ろう(穴痔)

痔ろうは痔疾患の中で最も重い病態です。直腸から肛門周囲に細菌が入り込み、その部分が化膿すると肛門内部に膿が溜まります。これを肛門周囲膿瘍と呼びますが、この状態を放置していると、たまった膿が皮膚を突き破って体外に排泄されてしまいます。この時の膿の通り道が体内に残ったままの状態が痔ろうと呼ばれます。

 

痔ろうになると、常態的に膿が体外に排出されることとなり、下着が汚れるなどかなりの不快感を感じることになります。痔ろうは自然治癒することはなく、市販薬でも治療できないため、治すためには肛門科などを受診することが必須となります。

2.痔疾患に効く薬の成分の解説

市販の痔疾患治療薬には様々な種類がありますが、主に以下のような成分が含まれています。

 

抗炎症成分

ステロイドやグリチルレチン酸などが配合されており、患部の炎症を取り除きます。

 

組織修復成分

アラントインなどの成分が含まれており、組織を修復して傷の治りを促進します。

 

局所麻酔成分

主にリドカインと呼ばれる局所麻酔成分が含まれており、患部の痛みやかゆみを取り除きます。

 

ビタミン成分

主にビタミンEが配合されており、患部の血循環を改善してうっ血を取り除きます。

 

軟膏、注入用軟膏、坐剤はどのように使い分ける?

 

ボラギノールやプリザエースには軟膏、注入用軟膏、坐剤といった複数の剤型があるため、どれを選択すればよいのか迷われている方もいることでしょう。ここでは、それぞれの剤型の特徴と、それに適した病態についてご説明しますので選択するときの参考にしてください。

 

①軟膏

一般的な形をしたチューブに入っており、チューブの先から押し出した軟膏を手で直接患部に塗布するか、ガーゼなどに伸ばして患部に張り付けて使います。主に肛門の外側や肛門近くのいぼ痔やきれ痔に用いるのに適していますが、肛門の奥深くには使いづらい形態といえます。

 

②注入用軟膏

注入用軟膏は先端が細くなった小さな容器に入っており、肛門内に直接注入することのできる便利な形状をしています。肛門内だけでなく肛門の外側に直接塗布することもできるため、万能タイプの軟膏といえるでしょう。いぼ痔、きれ痔のいずれにも使うことができ、肛門の内と外の両方に使いたい方に適しているといえます。

 

また、注入軟膏は患部や軟膏に手を触れずに塗布できるため、衛生面でも優れています。1回使い切りタイプである点も通常タイプの軟膏と比べてより衛生的であるといえます。

 

③坐剤

坐薬とも呼ばれ、半固形の塊を直接肛門に挿入するタイプの薬です。肛門内で溶けることで、薬の成分が徐々に放出されて患部に作用します。坐剤は肛門内側にできたきれ痔やいぼ痔に適した剤型といえます。

 

ステロイドを含んだ薬を使用しても大丈夫?

ステロイドが入っている薬と聞くと不安を覚えてしまう方も少なくありませんが、一口にステロイドと言っても様々な種類があります。ステロイドには内服薬、注射薬、外用薬、吸入薬がありますが、このうち副作用のリスクが高いとされるのは内服薬と注射薬です。

 

ボラギノールAやプリザエースなどの市販薬は外用薬のため、正しい使い方を守っていただければ副作用の心配はほとんどありません。ステロイド外用薬は強さによって、weak、medium、strong、very strong、strongestの5段階に分類されますが、このうち、ボラギノールAやプリザエースに配合されているステロイドはweekやmediumになります。この点からも、これらの軟膏はステロイドの中でもリスクが低いと言えます。

 

ただし、ステロイドには炎症を抑える働きだけでなく、免疫機能を抑制する働きもあります。このため、痔ろうなど患部が感染した状態でステロイド軟膏を使うと免疫機能が弱まってしまい、かえって症状が悪化してしまう可能性があります。患部が化膿している場合は、市販薬には頼らずに肛門科を受診することをお勧めいたします。

3.ボラギノールの特徴

痔の薬として有名なボラギノールにはボラギノールA、ボラギノールM、内服ボラギノールEPの3種類があります。以下に、それぞれの薬の特徴を説明します。

 

【ボラギノールA】

注入軟膏、坐剤、軟膏の3つの剤型があり、それぞれ、以下の有効成分が含まれています。

 

・プレドニゾロン酢酸エステル:強さがweekのステロイドで、炎症、腫れ、かゆみを鎮めます。

・リドカイン:局所麻酔作用があり、痛みやかゆみに効きます。

・アラントイン:組織の修復を助けることで傷の治りを促進します。

・ビタミンE酢酸エステル(トコフェロール酢酸エステル):血液循環を改善します。

 

【ボラギノールM】

坐剤、軟膏の2つの剤型があり、それぞれ、以下の有効成分が含まれています。ボラギノールMはステロイドを含まないため、作用はボラギノールAよりもマイルドであり、軽度の痔疾患向けとなります。

 

・リドカイン:局所麻酔作用があり、痛みやかゆみに効きます。

・グリチルレチン酸:患部の炎症を抑える作用があります(ステロイドより作用は弱いです)。

・アラントイン:組織の修復を助けることで傷の治りを促進します。

・ビタミンE酢酸エステル(トコフェロール酢酸エステル):血液循環を改善する作用があります。

 

【内服ボラギノールEP】

3種類の生薬とビタミンEを有効成分とする飲み薬です。1日2回の服用で、痔核、きれ痔、痔出血に対して効果を発揮します。

 

・ボタンピエキス:炎症を抑え、血液循環を改善する作用があります。

・セイヨウトチノキ:炎症を抑え、血液循環を改善する作用があります。

・シコン:炎症を抑える作用があります。

・ビタミンE酢酸エステル(トコフェロール酢酸エステル):血液循環を改善する作用があります。

4.プリザエースの特徴

プリザエースはボラギノールAと同じく、注入軟膏、坐剤、軟膏の3つの剤型があり、それぞれ、以下の有効成分が含まれています。

 

・ヒドロコルチゾン酢酸エステル:強さがmediumのステロイドで、炎症、腫れ、かゆみを鎮めます。

・塩酸テトラヒドロゾリン:血管を収縮させて、出血を抑える作用があります。

・リドカイン:局所麻酔作用があり、痛みやかゆみに効きます。

・l-メントール:患部に塗布したときに清涼感や爽快感をもたらします。

・アラントイン:組織の修復を助けることで傷の治りを促進します。

・ビタミンE酢酸エステル(トコフェロール酢酸エステル):血液循環を改善する作用があります。

・クロルヘキシジン塩酸塩:殺菌作用があり、患部を清潔に保ちます。

5.ボラギノールとプリザエースはどちらがお勧め?

上記で解説したように、プリザエースには7種類の有効成分が含まれており、4種類からなるボラギノールAと比べてより強い効き目があるいえます。特に、プリザエースには出血を止める塩酸テトラヒドロゾリンが含まれているため、患部に出血がみられる方にはお勧めです。

 

ステロイドを含まないボラギノールMは、プリザエースやボラギノールAと比べて炎症を抑える作用が弱いため、症状の軽い痔疾患にお勧めです。また、ステロイドの使用に抵抗があるという方もボラギノールMを検討されると良いでしょう。

 

このように、総合的な効き目の強さについては、プリザエース>ボラギノールA>ボラギノールMの順であると言えるでしょう。また、内服ボラギノールEPについては、外用薬と比べて効果の強さや即効性は劣ると考えられるため、外用薬の使用には抵抗がある方や、外用薬を補強するために一緒に用いたいという方向けになります。

 

これらの特徴をまとめる、製品別のお勧めのタイプは以下のようになります。

 

【プリザエースがお勧めの人】

・総合的に強い効果を期待する人

・患部に出血が見られる人

・夏場などに使用するため患部に清涼感が欲しい人

・患部が蒸れて細菌が繁殖しやすい人

 

【ボラギノールAがお勧めの人】

・総合的に強い効果を期待する人

・プリザエースが手に入らないが同程度の強さの薬が欲しい人

 

【ボラギノールMがお勧めの人】

・症状が軽い人(炎症が激しくない人)

・ステロイドの使用に抵抗がある人

 

【内服ボラギノールEP】

・塗り薬や坐剤の使用にはやや抵抗があり、飲み薬で治したい人

・塗り薬や坐剤と一緒に服用してより強い効果を得たい人

 

病院で処方される薬との違い

病院で処方される痔疾患の薬で、ボラギノールやプリザエースと異なる特徴をもつものには以下のような薬があります。

 

ネリプロクト軟膏、ネリプロクト坐剤

吉草酸ジフルコルトロンと呼ばれるvery strongクラスのステロイドが含まれています。このため、ボラギノールやプリザエースでは対応できない、炎症の激しい痔疾患に適しています。

 

強力ポステリザン軟膏

約2.6億個もの大腸菌死菌やステロイドを含む軟膏です。体に無害な大腸菌死菌がワクチンのような働きをし、患部の免疫力を高めることによって傷ついた組織の修復力を高めるという画期的な作用をもつ薬です。

 

サーカネッテン配合錠

パラフレボンと呼ばれる炎症を抑える働きのある成分に、センナ末、イオウなどの緩下剤を加えた飲み薬です。患部の炎症を抑えつつ、緩下剤により便を柔らかくして排便時の肛門への刺激を減らすことで、疾患の治癒を促進します。

 

このように、病院の薬には市販薬にない成分が含まれているものが複数存在します。これらに加え、病院では専門医の診察を受けたり、手術などの外科的治療を行うことも可能ですので、ボラギノールやプリザエースで思うような効果が得られない方は受診を検討することをお勧めいたします。

6.ボラギノールとプリザエースの副作用

ボラギノールとプリザエースはどちらも外用薬であり、正しい使用方法をお守りいただければ副作用についてはそれほど心配する必要はありません。ただし、人によっては、ごくまれに塗布した部位にかぶれや炎症を起こすことがあります。このため、万一異常が見られた場合はすぐに使用を中止して医師、薬剤師、登録販売者などに相談してください。

 

また、ボラギノールAやプリザエースはステロイドを含むため、稀に、皮膚表面に炎症、ガサガサ、ブツブツ、かゆみ、毛疱炎などを生じる可能性があります。こうした異常が見られた場合も同様に上記の専門家に相談するようにしてください。

7.こんなときには早めに病院へ

以下に示すような症状が見られる場合は、市販薬での治療が不適切であったり、痔疾患以外の重大な病気に罹ったりしている可能性がありますので、速やかに肛門科などを受診することをお勧めいたします。

 

・ボラギノールやプリザエースを10日間ほど使用しても症状の改善が見られない場合

・激しい痛みが続く場合

・肛門の外に飛び出た痔核を指で押しても肛門内に戻らなくなった場合

・排便時の出血が月に4回以上見られる場合

・肛門付近から膿が出てきて下着が汚れる場合

8.痔疾患を予防するには?

痔に罹らないように予防したり痔を早く治したりするには以下のような点が大切になります。日常的にこれらを実践することで、辛い疾患の予防に努めていきましよう。

 

・排便を我慢しない

・1日2リットルの水分補給を心がけ、食物繊維の豊富な食事をとる

・座ったままや立ったままの状態が長く続かないようにする

・お風呂などでお尻を温めて血行を良くする

・睡眠をしっかりとって体に疲労をためないようにする

・細菌に対する抵抗力を高めるためにストレスをためないようにする

・過度の飲酒を避ける

9.まとめ

ボラギノールやプリザエースは効果の強さにやや違いはあるものの、どちらも優れた痔疾患治療薬であると言えます。軽度~中等度の痔核(イボ痔)や裂肛(切れ痔)でしたら、これらの薬を使いながら正しい生活習慣を送ることで治療することが可能なのでぜひご検討ください。

執筆
薬剤師:おくすり スペシャリスト
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