【皮膚科医が解説】ワキガとはどんな病気、その対策は?

暑い日が続き汗をかく季節は、汗のにおいも気になる季節です。汗の臭いで悩まれている人は多いようです。
ワキガは医学の正式名称では腋臭症といい、特有のにおいを有する状態を指します。

このワキガ(腋臭症)についての病気とその対策について、記述していきます。
※この情報は、2018年8月時点のものです。

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1.ワキガ(腋臭症)はどんな病気?

まず汗をたくさんかく病気である多汗症と、ワキガ(腋臭症)の違いは何でしょうか。

 

多汗症とは全身あるいは体の一部に汗を多くかく症状のことを指します。多汗症には特に原因のない原発性と感染症、内分泌代謝異常や神経疾患に合併するものがあり、体の一部である局所での多汗症では手のひら、足のうらや脇という限局した部位に過剰な発汗を認める病気です。

 

人の汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺があります。エクリン腺はほぼ全身にあり、温度の刺激で汗を出して体温を下げたり、精神的緊張によって汗がでます。一方、アポクリン腺はわきの下や陰部の周囲に分布しています。アポクリン腺は思春期になると性ホルモンの影響で分泌が多くなります。

 

ワキガ(腋臭症)のにおいのもとはアポクリン腺の汗の中の脂肪酸が皮膚の表面の細菌によって分解されて臭いを出すようになります。同じように腋に多くの汗をかく人の中でも、ワキガの人はアポクリン腺が大きくて、その数も多く分泌量が多い傾向があります。

 

ワキガは優性遺伝し、親から子へ遺伝することが多く、ワキガの人は耳垢が湿っている人が多いです。日本人などの黄色人種ではその頻度は10%程度と少数派ですが、白人や黒人ではほとんどの人に多少ともワキガがあります。ワキガの予防は皮膚表面の細菌を減らすため、洗浄などでいつも腋を清潔に保つ必要があります。

 

2.多汗症、ワキガ(腋臭症)の重症度の判定は?

多汗症の重症度の判定はHDSS(Hyperhidrosis disease severity scale)というスケールを用いて4段階にランク分けをされます。

 

①まったく気付かない、邪魔にならない。

②我慢できる、たまに邪魔になる。

③どうにか耐えられる、しばしば邪魔になる。

④耐えがたい、いつも邪魔になる。

 

このうち③、④を重症の指標とされています。その他に、発汗量測定法を用いて重症度を決める方法があります。

 

なお、ワキガ(腋臭症)は、臭覚という人の感覚に依存するものであり、重症度判定は確立されたものはありませんが、だからこそ人の気にならない程度であっても本人は気になり、周りを不快にしていないかなどと悩まれる人がいることも現状です。

 

3.ワキガ(腋臭症)や多汗症の治療法はどんなものがあるの?

ワキガ(腋臭症)の治療はいわゆる腋の多汗症の治療と重複します。日本皮膚科学会にて腋の多汗症についての診療ガイドラインが確立されており、下記のようなアルゴリズムになります。

 

塩化アルミニウムの単純外用/密封療法は第1選択で有効です。副作用としては刺激性皮膚炎がありますが、外用の休止やステロイド外用で改善されます。治療の第二選択はA型ボツリヌス毒素(BT-A)の局所注射療法です。ボツリヌス毒素局注療法は、腋窩に対して欧米では非常に推奨度の高い治療ですが、本邦においては現時点で保険適応外です。

 

保険診療として認証されていない理由としては、疼痛が強く、またワキガ(腋臭症)の重症度に応じた投与単位数に決まった見解がなされていないことが挙げられます。この他に、併用療法として神経ブロック、内服療法などがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.ワキガ(腋臭症)の外用薬と外用方法は?

10%のフォルムアルデヒドをホルマリンとして処方したもの、グルタールアルデヒドの10%溶液、メテナミンの8%クリームや塩化アルミニウムが使われてきましたが、塩化アルミニウム以外は長く使うとかぶれをおこすことがあります。

 

現在は塩化アルミニウムの20~30%アルコール溶液あるいは水溶液が一般的に使われています。 腋窩に20~30%塩化アルミニウム溶液を寝る前に外用します。通常は一日1回でいいですが、日中に外用してもかまいません。効果がでるまで2~3週間かかりますので継続して外用してください。

 

汗が止まってきたら外用回数を1週間に2~3回に減らしてもかまいませんが、中止すると再発することがあります。皮膚のかさつきがひどくなったら、しばらく中止し、ステロイド外用剤などで改善されたら再開してください。手足の汗の量が多い人は塩化アルミニウム溶液外用後サランラップやプラスチック手袋などで覆い密封療法を行うとより効果的です。

 

5.A型ボツリヌス菌毒素製剤の局所注射療法ってどんなもの?

発汗の機序は興奮などの刺激で交感神経からアセチルコリンが分泌されて指令がでることによります。A型ボツリヌス菌毒素製剤はそのアセチルコリンの分泌を抑制する働きがあります。標準的な方法として、腋に2cm間隔で局所注射をおこない、1週間程で汗の量が減少し、約6ヶ月間持続します。副作用は注射時の痛みと局所の筋力低下があります。また、こちらも重症度に応じた投与量などが確立されておらず、保険診療がきかないため数万円以上の高額な医療費がかかることもあります。

 

6.交感神経遮断術の実際は?

交感神経遮断術とは、先ほどの発汗する指令となる交感神経を断絶する手術です。実際の手術は全身麻酔のもとで行うことが多いです。術後の合併症として、断絶された部位以外の局所から代償として多くの発汗がみられることなどがあります。

 

7.その他の治療について

その他の治療としては、同様に手術を行い腋下のアポクリン腺自体を摘出するという治療法があります。合併症としては取り残しなどが多いこと、また腋下は汗がたまりやすく不衛生になりやすい場所でもあり、二次感染を起こすことがあります。こちらも同様に保険診療外の治療となります。

 

8.まとめ

今回、ワキガ(腋臭症)の病気とその治療について述べました。まずは悩んでいるワキガ(腋臭症)の正体を理解し、こまめなシャワーなどによる洗浄や衣服の着替えなどを工夫されたうえで、医学的に可能な治療方法について希望がある場合は医療機関にご相談ください。

執筆
医師:ミーマンバナナ
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