【呼吸器専門医執筆】気管支炎の診断から治療までを分かりやすく解説

病院に行って、「気管支炎」と言われたことはありませんか?

気管支炎とは、「咳を主症状とする気管支に炎症を起こす病気」のことです。実は、気管支炎の診断と治療は、あまり定まったものがありません。症状だけでは、風邪か気管支炎かの判断がしづらいということもあります。ここでは、呼吸器専門医が気管支炎についての基本的な知識を解説するとともに、気管支炎の診断から治療について分かりやすく説明していきます。気管支炎と診断された方の不安を少しでも和らげられますと幸いです。
※この情報は、2017年8月時点のものです。

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1.そもそも気管支ってどこ?

気管支炎とは、読んで字の如く「気管支に炎症を起こす病気」のことです。さてみなさん、気管支とはどこにあるかご存知でしょうか?ここらへんでしょ、と胸のあたりを指せる人もいるかもしれませんが、解剖まで理解している人はどれほどいるでしょうか。
ざっくり模式図にあらわした肺と気管支の絵が図のようになります。

図. 気管支と肺 http://www.irasutoya.com/

 

ピンク色の2つある風船が肺、そしてそれをつないでいる赤い糸のようなものが気管支です。

要は、肺に空気を送り込むダクトのような役割をしているのが気管支なのです。気管支の上は、私たちののどに繋がっています。ごはんや飲み物をムセて、ごほごほとした経験がある人もいると思いますが、気管・気管支の入口はそこにあるのです。

さて、気管支炎というのはこの赤いダクトの部分に炎症をおこした状態です。肺にまで炎症は起こしていないので、肺炎よりは軽症と言えます。

2.気管支炎の基礎知識

気管支炎には、「急性気管支炎」と「慢性気管支炎」があります。

ゴホゴホと咳をして病院を受診することが多いのは圧倒的に前者であって、慢性気管支炎はさほど多くありません。慢性気管支炎は主にたばこによって起こる慢性の呼吸器疾患(COPDの一種)であり、一般の方がイメージされている「気管支炎」とは全く別の疾患と考えた方がよいでしょう。
そのため、ここでは主に急性気管支炎のことを書いていきます。

2-1 気管支炎の原因の多くはウイルス

気管支炎は、その多くが「ウイルス」とされています。代表的なところでは、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、ライノウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどです。そのため、風邪の延長で気管支炎を起こす方もいます。
その他、マイコプラズマやクラミドフィラといった珍しい病原微生物によっても気管支炎を起こすことがありますが、頻度は高くありません。
 基本的には風邪症状を起こすウイルスが急性気管支炎を起こすものと理解してください。

2-2 気管支炎の主な症状は“咳”

気管支の症状として最も多いのは、咳です。肺炎のように熱が出ることはあまり多くありません。

ただ、咳が出るからといってイコール気管支炎というわけではありません。ただの風邪ということも往々にしてあります。また、気管支炎だと思っていたら喘息だったり肺炎だったりすることもあるので、気管支炎の自己診断ほど信頼性の低いものはありません。「気管支炎が長引くなぁ」と思ったら、必ず医療機関を受診してください。

後述しますが、症状だけで気管支炎なのか風邪なのかは判断が難しく、また両者の治療は基本的に同じであるため、実地臨床では同一のものとして扱ってよいかもしれません(異論はあるかもしれませんが)。

喘息もちの人だと、気管支炎を起こすとその後に喘息発作を起こすことがあるため、注意が必要です。咳をするときにヒューヒュー、ゼイゼイとした音がしていないか観察してください。

3.気管支炎の検査と判断の難しさ

気管支炎は、胸部レントゲン写真で肺炎のような異常はみられません。そのため、症状だけでは風邪なのか気管支炎なのかわからず、両者はオーバーラップしているものと考えて下さい(分ける必要がないという専門家もいます)。

気管支炎の診断ほど難しいものはないとすら言われているくらいで、要は肺炎がないことを確認することが重要なのだと私は考えています。

聴診や喀痰検査をしても気管支炎の確定診断にはせまることはできず、医師が「肺炎がない」という根拠でもって気管支炎と診断していることが多いように思います。

4.抗菌薬は処方しない気管支炎の治療

急性気管支炎は、ウイルスが原因のことが多いので、抗菌薬を服用する必要はありません。そのため、特別な治療をしなくても勝手に治る可能性が高いことを患者さんに説明することが重要です。

ただ、症状が強い場合、症状に合わせて「鎮咳薬」や「解熱鎮痛薬」を処方することもあります。私の場合、抗菌薬はまず処方しません。
世界的にも不適切な抗菌薬の使用は、この急性気管支炎に対するものであると警鐘が鳴らされています。

5.まとめ

・気管支炎とは、読んで字の如く、気管支に炎症を起こす病気。

・気管支炎の症状は咳が主である。

・症状だけでは、気管支炎と風邪の判別が難しい場合がある。

・気管支炎の治療は保存治療であり、抗菌薬は積極的に用いられない。

執筆
医師:倉原 優
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