【呼吸器内科医が解説】咳が出て苦しい?気管支鏡検査の流れや合併症を解説

倉原 優

突然、「気管支鏡検査を次回行いましょう」と言われたものの、気管に異物を入れるなんて苦しい、痛いなどのイメージをお持ちで不安の方も多いのではないでしょうか?

気管支鏡検査とは、いわゆる気管支カメラのことで、気管・気管支・肺に対して行う内視鏡検査のことです。胃カメラや大腸カメラほど有名ではありませんが、呼吸器科では頻繁に行われる検査です。

咳などで苦しい思いを軽減するため、局所麻酔や鎮静剤を使用して行います。また、気管支鏡検査では、ただ見るだけではなく、つまんだり、洗ったりを行い、検体を採取します。気胸などの合併症などを引き起こす場合もあるため、注意が必要です。

今回は、気管支鏡検査の内容、流れを解説するとともに、起こりうる合併症リスクなども合わせて解説していきます。
※この情報は、2017年9月時点のものです。

1.気管支鏡(気管支カメラ)とは?

気管支鏡は「気管支カメラ」とも呼ばれますが、これは胃カメラや大腸カメラと同じように体の中に内視鏡をすすめていき、診断を行う検査です。

しかし、気管支というのがそもそもどこなのかよく分からない人もいると思うので、詳しく説明しましょう。
まず、口からモノを食べると、そのまま食道・胃に入っていきます。しかしここで、ごはんがおかしな方向に入って、ムセてしまった経験のある人もいるでしょう。このムセてしまうところが、気管です。気管は食道よりも前にあり、ごはんを食べるときには喉頭蓋がフタをしてくれるのでそう簡単には気管に食べ物が転がり込むことはありません。

 

図. 気管と食道

普段なかなか入らないそんなところにカメラなんか突っ込んでも大丈夫なのでしょうか?

大丈夫です!検査は安全に行えます。しかし、「しんどいかしんどくないか」と問われると、ちょっとしんどいとお答えしなければなりません。えー、そんな検査受けたくないよ!とおっしゃられる方もいるかもしれませんね。

2.気管支鏡検査は咳が出て苦しい?

ご飯粒が入っただけでムセてしまうところにカメラを突っ込むのですから、当然ながらゲホゲホと咳が出ることが多いです。そのため、どれだけ鎮静(中枢神経に作用する苦痛や不安を和らげる薬)をかけていても、一定数の患者さんは咳が出ます。
昔とは違ってしっかりと鎮静をかけることができるので、気管支鏡検査が終わったら咳のことなんて忘れてしまっている人も少なくありません。

そのため、ものすごく咳が出てしんどい検査、というほどの恐ろしい検査ではないのでご安心ください。

3.局所麻酔と気管支鏡検査の流れ

まず口をアーンと開けてもらって、のどの奥を「局所麻酔」します。
歯医者さんで使う麻酔薬と同じです。のどの奥を麻酔しておくと、カメラがやってきても「オエ!」という反射が起こりにくくなるのです。麻酔の薬にアレルギーがある人は必ずここで申し出て下さい。

のどの周りに麻酔薬が浸透すると、なんだかのどが気持ち悪くなってつばが飲み込みにくくなりますが、それは麻酔薬が効いている証拠です、ご安心ください。

次に、気管支鏡を受ける台に移動して、鎮静薬を点滴してもらいます。使う鎮静薬は病院によって異なりますが、「ミダゾラム」という類の睡眠薬を用いることが一般的です。点滴していると、ボーっと眠たくなってくるはずです。

眠りに落ちたのを確認してからカメラを入れますが、刺激が大きいので少し覚醒することもあるかもしれません。ただ、何が何でも睡眠状態にしなくてもよいので、少し起きてもらった状態で検査を継続することの方が多いです。

 

写真. 気管支鏡は口や鼻からファイバーを挿入して気管まで到達させます。

4.気管支鏡検査ではどんな処置をするの?

気管支鏡中に行う検査は、主に2種類です。「つまむ検査」と「洗う検査」です。

4-1. 検体採取、つまむ検査

つまむ検査というのは、がんなどの腫瘍性疾患を疑った場合に、直接エイヤっとそれをつまみにいくことを指します。腫瘍の表面には感覚神経なんてありませんので、別にブチっとやられたところで痛くもかゆくもないはずです。ただ、大きな腫瘍だとつまんだところから出血することがあるので、私たちも慎重に検体を採取します。

4-2. 液体を回収、洗う検査

洗う検査というのは、肺の中を150mLくらいの水で洗う検査のことです。洗ってどうするの?と思われる方もいるでしょうが、大事なのは回収した液体です。150mL注入してもせいぜい半分くらいしか回収できないのですが(残った水は自然に体内に吸収されます)、この細胞成分を顕微鏡でみたり、分析器にかけたりするのです。

つまむ検査も洗う検査も両方やったとしても、1人あたりの検査時間は長くて30分くらいです。

5.気管支鏡検査で起こりうる合併症

気管支鏡検査の合併症として最も重要なのは、「気胸(ききょう)」です。
気胸というのは、肺がしぼむことを意味します。肺がんなどの腫瘍性病変があるのは往々にして肺の端っこのほうです。そのため、どれだけ注意しても肺がやぶれてしまうことがあるのです。その頻度は施設によって異なりますが、多くても1%くらいと言われています。100人に1人なので大丈夫!と思われる方もいるかもしれませんが、1%というのは私たち呼吸器科医からみれば日常茶飯的に遭遇する合併症と言えます。

たとえ気胸になっても、外科的な処置まで必要になるケースは少ないとされています。ただ、1泊入院あるいは外来で気管支鏡検査を受けたにもかかわらず、気胸の合併症のために数日入院を余儀なくされることがある点をご承知ください。

その他に重要な合併症としては、検査後に「血痰」が続くことが挙げられます。上述したように、腫瘍などをつまんだらそこから出血します。すぐに止まればいいですが、1時間くらいダラダラ出血していた場合、固まった血液は肺や気管支の中にたまってしまいます。処置後に咳とともに血が出てくるのはそういう老廃物を出しているためです。

気管支鏡検査の後の血痰は長くても2~3日くらいと言われていますので、5日~1週間以上続くような場合には病院に連絡するようにしましょう。

6.まとめ

・気管支鏡とは、気管や肺にカメラを入れる内視鏡検査である。
・気管支鏡検査には、つまむ検査(生検)と洗う検査(洗浄)がある。
・気管支鏡検査の合併症として、気胸と血痰がある。

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