糖質と炭水化物は別の物?炭水化物を摂ることの大切さを解説

大見 貴秀

糖質と炭水化物は違うということをご存知でしょうか?実は、炭水化物は、「糖質」と「食物繊維」によって構成されています。

炭水化物ダイエット(ご飯を食べないなど)が流行しているように、炭水化物を食べると太ってしまうというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

ある面では正しいことではありますが、完全に正しいというわけではありません。というのも、炭水化物を構成する、糖質、食物繊維は、ともに重要な栄養素だからです。

今回は、糖質と炭水化物がどのように違うのかを解説するとともに、糖質、食物繊維の栄養素としての役割、炭水化物の摂取を制限する危険性なども合わせて説明します。

 ※この情報は、2017年11月時点のものです。


1.糖質と炭水化物は別のもの?その違いとは

炭水化物とは一つの栄養素ではなく、「糖質」と「食物繊維」によって構成されています。そのため糖質と炭水化物は全くの別物ではありませんが、糖質は炭水化物に含まれているものというのが正しい表現です。

 

炭水化物とは「単糖」で構成されている栄養成分のことを指します。ブドウ糖や果糖、麦芽糖などが単糖にあたり、これらの組み合わせででんぷんやグリコーゲン、セルロース、キチンといった「多糖類」が構成されます。単糖類やでんぷん、グリコーゲンなどは「糖質」にあたり、人間が消化・吸収できる物質です。

一方で、セルロールやキチンは「食物繊維」にあたり人間が消化することができません。そのためエネルギー源として利用することができない物質です。

 


2.炭水化物を構成する栄養素

次に炭水化物を構成する栄養素である糖質と食物繊維について詳しく解説します。

 2-1. 糖質ってどんな栄養素?

糖質は人間のエネルギー源となる重要な栄養素です。単糖類はそのまま、穀物に含まれるでんぷんや動物性食品に含まれるグリコーゲンといった多糖類は唾液や膵液などの働きにより単糖に分解され、腸壁から吸収されます。糖質は1gあたり4kcalのエネルギーとなります。脂質やタンパク質と比べて即効性のあるエネルギー源として利用されます。

 

特に脳のエネルギー源は基本的に糖質です。朝食を食べないで学校や仕事に行くと頭がフラフラするように、糖質が不足すると脳の機能が低下します。

又、糖質は即効性のあるエネルギー源なので、スポーツや仕事、勉強で疲労を感じたときにチョコレートや果物のジュースを飲むとすぐに回復します。

 

ただし、糖質はエネルギー源なので、食べすぎると中性脂肪として体内に蓄積されていきます。過剰な糖質は肝臓で中性脂肪に再合成され、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。中性脂肪はメタボリックシンドロームの原因となり、動脈硬化や循環器疾患のリスクを高めます。糖質はエネルギー源として重要な栄養素ですが、過剰摂取にならないようにうまくコントロールする必要があります。

 2-2. 食物繊維ってどんな栄養素?

食物繊維は、でんぷんやグリコーゲンと同じ多糖類の一つです。人間が消化することができないため、糖質とは異なりエネルギー源として利用することができません。ただし、食物繊維は腸内の余計な脂質や有害な物質を吸着して、便として排泄する作用があります。また糖や脂肪酸の吸収を穏やかにして、血糖値が急激に高まるのを防ぐ作用もあります。

 

さらに食物繊維は腸内の善玉菌を増殖させる作用もあります。腸内に善玉菌が増えて腸内環境が改善されると、悪玉菌が減少し有用なビタミンの合成量が増えるなどのよい効果があります。また、「短鎖脂肪酸」という酸性の物質を生産することで、人間の体を太りにくくするため、糖質とは反対にメタボリックシンドローム対策になります。

 

食物繊維は、精白する前のお米や根菜類、葉物野菜、海藻類、豆類などにも、豊富に含まれています。近年、食物繊維の摂取量が低下している傾向にあるので説教的な摂取が推奨されています。まずは精白米を玄米に変えたり、食事の中に野菜を使った副菜を増やしたりするところから始めるとよいでしょう。

 

3.炭水化物の摂取を制限したときのデメリットは?

炭水化物は確かにエネルギー源であるため、摂取しすぎると肥満の原因となります。炭水化物抜きダイエットが話題になっているように、食事から炭水化物を除くことで摂取エネルギーが減少し体重を減らす効果はあります。ただし、極端に炭水化物の摂取を制限した場合、デメリットが現れることがあります。

 

まず一つ挙げられるのは脳の機能の低下です。炭水化物の摂取量を減らして糖質が不足すると、脳がフラフラした状態が続くようになり、仕事や勉強の効率が低下します。

 

また、日常の食生活から炭水化物のみを減らした場合、エネルギー不足も深刻になります。ご飯のエネルギー量は1膳(160g)で約270kcalとなります。3食分、計810kcalを抜いたとすると成人の1日に必要なエネルギーの1/2から1/3が不足することになります。

極端にエネルギー量が不足すると、人体は筋肉を分解してエネルギー源を作り出そうとします。その結果、筋肉量が減少し、基礎代謝(体温の維持や心臓、神経の働きなど生命維持に必要なエネルギー量)も低下して太りやすい体になってしまいます。

 

近年、糖質は悪く言われる傾向にありますがそれでも重要な栄養素には違いがありません。極端な炭水化物の摂取制限は決してお勧めすることはできません。炭水化物抜きダイエットを行う場合は、1食当たりのご飯の量を2/3程度にしたり、朝と昼は通常通りに食べて夜のみ抜いたりするなどの適度な制限をお勧めします。

 

厚生労働省の日本人の食事摂取基準2015では炭水化物からのエネルギー摂取量は全ての年代で50-65%ほどになるように推奨しています。おおよそ1000kcalから1400kcalほどは炭水化物からエネルギーを摂取することになるので、この範囲から極端に逸脱しないようにしましょう。

 

4.まとめ

炭水化物は、糖質と食物繊維から構成される栄養素です。糖質は脳や体のエネルギー源となり、食物繊維はメタボリックシンドローム対策や腸内環境の改善をする働きがあります。どちらも人間の健康のためにはとても重要な栄養素です。炭水化物抜きダイエットが話題となっていますが、極端に摂取量を減らすと健康に害が出る可能性もあります。1食にご飯1膳、パスタ80g、食パン2枚程度の適量を意識するようにしましょう。

 

薬剤師・その他医療機関関係者の方へ
正確な医療情報を発信するために、医師、薬剤師監修のもと、誤りがないよう万全を期しておりますが、もし誤りとお考えになる情報があった場合には、ご指摘いただけますと幸いです。
医療情報に関するご指摘お問い合わせ
その他記事へのお問い合わせ