小児喘息の発作が心配。薬は効くの?治療に用いられる薬を薬剤師が解説

突然、お子さんが小児喘息と診断され、お薬の治療を進めているものの、なかなか発作がよくならず、不安を抱えている親御さんも多いのではないでしょうか?

不安の中で生活をしていると、治療中のお薬がお子さんに合っているのか疑ってしまうこともあるかと思います。

小児喘息の治療には、ガイドラインがあり、重症度に応じてお薬が選択されます。まずは、どのような意図があってそのお薬が処方されているのかを理解することが大切です。効いていないと感じた場合には、遠慮せずに医師に相談するべきです。 今回は、小児喘息の治療に用いられるお薬について、みなさんに理解していただき、医師にスムーズに相談できるよう解説していきます。
※この情報は、2017年2月時点のものです。

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1.まずは安心を。喘息の治療はここまで進んでいる

2014年の喘息の推定患者数(患者調査データ)は、約118万人となり、約4割が20歳未満となり、若い方で多い疾患です。胸に耳をあてると、ヒューヒュー、ゼーゼーという音(喘鳴)が喘息のひとつの特徴です。

厚生労働省人口動態調査によると、全年齢における喘息による死亡者数は、1950年に16, 233人 だったものが、1995年に7,253人とピークを示したのち、年々徐々に減少しています。2013年には1,728人、2014年には1,550人、2015年には1,551人となっています。

また、2015年でいうと、死亡者数1,551人のうち、19歳未満の方の割合はわずか0.3%、その約9割が65歳以上の高齢者です。 喘息による死亡数が減少しているのは、医療が進歩し、吸入ステロイド薬 など、喘息の治療に用いられるお薬が充実したためです。そのため、 喘息の適切な治療を行なっていくことで、十分にコントロールしていくことが可能です。

 

2.小児喘息の治療に用いられるお薬について

2-1. 小児喘息のガイドラインとは?

小児喘息の治療について、日本小児アレルギー学会が作成している「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」が参考になります。

医療の場におけるガイドラインとは、専門の医師が研究や臨床結果に基づき定めた治療方針となっており、多くの医師が、治療の際参考にしています。 一般の方向けではないのですべてを理解することは難しいですが、ガイドラインは、現在服用しているお薬がどのような意図によって医師が処方したかということを理解する手助けになります。

2-2. 小児喘息の重症度の判断基準を知ろう

小児喘息の治療方針、どのお薬を使用するかを決めるにあたって、「重症度」という指標があります。

治療を考えるにあたって、重症度を判断することが大切です。
治療前の臨床症状に基づく小児気管支喘息の重症度分類は、次のようになります。

 

 

 

2-3. 重症度に応じて処方されるお薬の種類

お薬は重症度に応じて処方されますが、逆をいうと、処方されているお薬から重症度を推測することも可能です。

症状と処方されているお薬が見合っていないと感じた場合は、遠慮せずに医師に相談してみることも大切です。
小児喘息のお薬の治療方法の判断基準に治療ステップ1〜4というものがあります。症状と現在の治療内容を考慮して、正しい重症度(真の重症度)を判定し、重症度に応じた治療ステップの治療が行われます。

年齢によっても、薬の使い方は変わります。 ここでは、具体的な治療ステップ1〜4については細かく記載しませんので、詳しく知りたい方は、参考のリンク元でご確認下さい。 治療ステップ1〜4はそれぞれが喘息重症度の間欠型、軽症持続型、中等症持続型、重症持続型に対応します。

治療の中心となる薬剤に吸入ステロイド薬があります。
吸入ステロイド薬の投与量(次の図を参考)によって、喘息の重症度をある程度推定することが可能です。
というのも、吸入ステロイド薬が低用量であれば「軽症持続型」、中用量であれば「中等症持続型」、高用量であれば「重症持続型」
と推定することができるためです。

少し難しい話になりましたが、ここで理解して頂きたいことは、現状の喘息の症状(重症度)に応じて治療ステップに沿ってお薬の種類が決められおり、処方されているお薬から重症度を推測することもできるということです。

吸入ステロイド薬の量から重症度を推測しよう

少し難しくなりますので、読み飛ばして頂いても問題ありません。吸入ステロイド薬の量から重症度を推測するにあたって、その見方を説明します。

各吸入ステロイド薬の用量対比表(単位はμg/日)

 

 

それぞれのアルファベットはお薬の成分を示しています。

  • FP=フルチカゾン(*フルタイドなど)
  • BDP=ベクロメタゾン(*キュバールなど)
  • CIC=シクレソニド(*オルベスコなど)
  • BUD=ブデソニド(*パルミコードなど)
  • BIS=ブデソニド吸入懸濁液(*パルミコード吸入液など)


お薬の商品名のあとにかかれている数字、フルタイド○○、アドエア○○、キュバール○○、この○○が用量(μg)です。

例えば、フルタイド50 1回1吸入を1日2回吸入した場合は、FPが100μg/日です。つまり、低用量の吸入ステロイド薬を使用していることになるため、喘息は軽症持続型なのかなと推測できます。また、キュバール50 1回2吸入を1日2回吸入した場合には、BDPが200μg/日です。つまり、中用量の吸入ステロイド薬を使用していることになるため、喘息は中等症持続型なのかなと推測できます。

3. お薬が効かないときは、遠慮せずに医師に相談を

お薬を服用していても喘息発作が止まらない、吸入薬があまり効いていないと感じたときは、遠慮せずに医師や薬剤師にご相談下さい。

喘息発作は、命に関わることもあります。というのも、日本小児アレルギー学会・窒息死委員会の報告によると、喘息による死亡の原因は主に窒息死で、急激な症状の悪化や適切な救急受診の遅れが理由となる場合があります。喘息発作をいつも通りだと軽くみてしまったり、発作への適切な対応ができなかったことが要因です。 そのため、発作かなと思ったときは医師 にすぐに相談して下さい。

4. 小児喘息の治療に用いられるお薬

次に、小児喘息の治療の用いられる代表的なお薬について説明します。それぞれのお薬の特徴を踏まえて、症状に応じて、お薬が処方されます。

4-1. 吸入ステロイド薬

気管支の炎症をおさえるのが、ステロイド薬です。強い抗炎症作用を持っており、吸入を続けることによって、喘息発作を起こりにくくします。 今出ている発作を即効的に止めるというわけではなく、発作を予防するお薬です。喘息の治療の基本は、この吸入ステロイド薬です。 主なお薬としては、パルミコート(ブデソニド)、オルベスコ(シクレソニド)、キュバール(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)、フルタイド(フルチカゾンプロピオン酸エステル)などがあります。

ステロイド=副作用がこわい

ステロイドというと副作用を心配し、必要以上に不安になる方も多いですが、吸入ステロイドは「吸入」ですので、体内に悪影響を与えることはほとんどありません。

ただし、小さい頃から吸入ステロイド薬を使用していると、最終的に身長が1cmほど小さくなる可能性があります。とはいえ、小児喘息を治療せずに放置することは、成人まで喘息を持ちこすことに繋がります。将来への影響を考えると、吸入ステロイド薬による治療の恩恵の方が圧倒的に大きいはずです。 もちろん、お薬ですので、稀に副作用を起こすことはあります。 副作用としては、 ・声がかすれる、喉がイガイガする ・手のふるえ ・動悸 ・口腔咽頭の不快感 ・口腔ガンジタ症(口の中に白いものができる) などがあります。 吸入後に口や喉にお薬が残ってしまうと、副作用の原因になります。吸入後にしっかりうがいをすることが大切です。指示された用法・用量をしっかり守るようにしましょう。

4-2. ロイコトリエン受容体拮抗薬

気管支の収縮などのアレルギー症状に大きく関わっているのが、「ロイコトリエン」とよばれる体内物質です。ロイコトリエンの作用を抑えることによって、アレルギー症状を鎮静化し喘息症状を改善する効果があります。この薬も発作に対して即効性があるというわけではなく、予防目的で使用されます。 主なお薬としては、オノン(プランルカスト)、キプレス、シングレア(モンテルカスト)などがあります。

4-3. クロモグリク酸ナトリウム

こちらもアレルギー症状に関与している「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」などの 作用をおさえることによって、喘息症状を改善する効果をもたらします。こちらも予防することを目的としており、発作を直接止める作用はありません。 主なお薬としては、インタール(クロモグリク酸ナトリウム)などがあります。

4-4. β2刺激薬

気管支を拡張する働きを持つのが、β2刺激薬です。気管支に存在しているβ2受容体をお薬で刺激することで、気管支を拡げ空気の通りをよくし、咳を抑えるはたらきがあります。

このお薬は、さらに長時間作用が持続するタイプと、短時間で素早く効果を表す2つのタイプに分かれます。短時間タイプでは、喘息発作に対して効果が期待できます。吸入薬の他にも、貼付薬などがあります。 主なお薬としては、長時間タイプだと、 ホクナリンテープ(ツロブテロール)、セレベント(サルメテロール)があり、短時間タイプだと、メプチン(プロカテロール)、サルタノール、ベネトリン(サルブタモール)などがあります。

4-5. テオフィリン徐放製剤

テオフィリン徐放製剤は、「キサンチン系」とよばれるタイプの気管支拡張薬です。狭くなっている気管支を拡げることで、呼吸器症状を抑える作用があります。ただし、喘息ではテオフィリンはあまり使用されなくなっています。 主なお薬としては、テオドール・テオロング・スロービット (テオフィリン)などがあります。

5. 喘息と学校との関わり方

喘息のお子さんがいらっしゃる場合、学校で発作が起こらないか不安を抱える親御さんも多いのではないでしょうか?

喘息発作には十分な配慮が必要ですが、必要以上に運動などの生活の制限をかけることは本人にとって良くありません。通常の治療を続けていれば、ほとんどのお子さんは、まわりのお友達と同じように生活することができます。

まずは、学校で必要な配慮について医師に相談し、確認をとりましょう。そして、学校の先生に、今のお子さんの喘息の状態をしっかりと伝えるようにします。喘息の状態によっては、できることとできないことが出てくる可能性もありますので、話し合いが必要です。

なかなか理解が進まない場合には、医師、薬剤師など医療関係者から情報提供をしてもらう必要もあります。 また、実際に発作が起きた 場合の対処法についても情報を共有するようにしましょう。

また、お子さん自身にも喘息について理解してもらい、少しずつ自分でできることを増やしていくことが大切です。高学年になるにつれて、発作に対して自分で対処し、病院に行ったほうがよいかどうかなど判断できるようになっていくよう指導しましょう。

6.小児喘息は、大人になると治るもの?

親御さんにとって不安なのが、いつまで喘息の治療が続くの?ということです。

一般的には、小児喘息は大人になるにつれて軽快していきます。

長期にわたって、小児喘息の予後を調査しているデータはあまりないのですが、 小児喘息の30年後の予後をみたデータがあり、こちらでは、完全寛解※が22%、臨床的寛解※が30%、合わせて、約半数(52%)の方が寛解しているということでした。少し昔のデータですが、参考になるかと思います。

※ 完全寛解・・・喘息症状がなく、吸入ステロイド薬を使用せず、肺機能が正常 臨床的寛解・・・喘息症状がなく、吸入ステロイド薬を使用しない 喘息では、「治癒」ではなく、「寛解」という言葉を使用します。なぜかというと、喘息発作がしばらく出ない場合でも、その素因は残っており、大人になって、ふとしたきっかけで再発する可能性があるためです。女性の場合、妊娠をきっかけに再発するケースもあります。 そのため、大人になるにつれて喘息発作が軽快したとしても、ある程度は 発作に注意しておく必要があります。

7.まとめ

今回は、小児喘息の治療に用いられるお薬について、治療の参考とされるガイドラインの重症度や治療ステップなどを解説させていただきました。

お薬が効かないと感じた場合には、すぐに主治医にご相談下さい。 また、小児喘息の発作は、もちろん本人が一番苦しいですが、家族もとても不安になるものです。そのため、日頃から親御さんも喘息について勉強しておく必要があります。それにより、学校の先生に詳しく説明したり、患者本人にわかりやすく伝えられたりすることができます。 今回の記事をご参考に、小児喘息の治療に対する不安を少しでも解消できると幸いです。

参考文献

(1)小児気管支喘息治療・管理ガイドライン ハンドブック2013ダイジェスト版 作成:日本小児アレルギー学会喘息治療・管理ガイドライン委員会

(2) 小児喘息の理解に役立つ書籍を紹介します。一般の方でもネット等で購入することが可能です。ぜひ、ご参考にして下さい。 家族と専門医が一緒に作った 小児ぜんそくハンドブック 日本小児アレルギー学会 (著)

(3) J M Vonk, et al. Childhood factors associated with asthma remission after 30 year follow up, Thorax 2004; 59: 925-929

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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