【薬剤師が解説!】抗菌薬『クラリス』の飲み合わせや副作用について

風邪やニキビ、胃腸炎などの幅広い感染性疾患に対してよく使用される抗菌薬の一つに『クラリス』があります。

使用頻度の高いクラリスですが、特徴として「飲み合わせの悪い薬が多い」ことが挙げられます。飲み合わせが悪いことを知らずに一緒に服用してしまうと、副作用のリスクが高くなってしまいます。

今回は、クラリスと他の薬の飲み合わせを詳しく解説すると共に、有効成分の作用・副作用、注意点などについてもお伝えします!
※この情報は、2018年6月時点のものです。

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1.クラリスについて

1-1. 有効成分と作用

有効成分

クラリスの有効成分は「クリラリスロマイシン」という抗生物質です。

 

作用の仕方

クラリスロマイシンは、リボソームというタンパク質を合成する細胞小器官の働きを抑制することで、抗菌作用を発揮します。

 

 

2-2. どんな症状に使われる?

以下のような感染症に使用されます。

 

・皮膚感染症

・リンパ節炎

・肛門周囲膿瘍

・咽頭炎

・扁桃炎

・急性気管支炎

・肺炎

・尿道炎

・子宮頸管炎

・感染性腸炎

・中耳炎

・副鼻腔炎

・歯周組織炎

・ピロリ菌感染症

 

 

2-3. クラリスの剤型

クラリスには、以下の錠剤とドライシロップ(DS)が発売されています。

 

・クラリス錠剤200

・クラリス錠50小児用

・クラリスドライシロップ10%小児用

 

小児の場合は、服用量を体重に合わせる必要があるため、1回量を細かく調節出来るDSが処方されます。

小児用の錠剤も発売されていて、体重が20kgぐらいを超えると小児用錠剤が処方されることもあります。

 

 

クラリスDSの飲ませ方

 

乳幼児に使用される「クラリスドライシロップ10%小児用」は、イチゴ風味で甘くコーティングされていますが、原薬はかなり苦味が強いため飲むのを嫌がるお子さんが多いです。

 

苦くて飲んでくれない場合は、牛乳、アイス、ココア、練乳などと一緒に服用すると飲みやすくなります。しかし、薬を混ぜてから時間が経つと、コーティングが剥がれて苦味が出てきてしまうので、服用する直前に混ぜるようにしましょう。

アイスには混ぜるのではなく薬をアイスでサンドするようにして服用すると苦味を感じにくくなります。

ヨーグルト、乳酸菌飲料、オレンジジュース、スポーツドリンクなど酸味のある飲食物では逆に苦みが増してしまうので混ぜないようにしてください。

 

また、痰切りの薬「ムコダインDS」と混ぜても苦味が増すので、別々に服用してください。「ムコダインDS」を先に服用すると、より苦味を感じにくくなります。ジェネリックについても同様です。

 

お子さんへの薬の飲ませ方について詳しくはコチラ↓

 

薬剤師執筆

薬剤師が伝授!薬を嫌がる赤ちゃん・子供への薬の飲ませ方

薬剤師:篠ケ瀬 蒼惟
2018.06.06
くすり

 

2.マクロライド系抗生剤について

2-1. 抗生剤の分類

主に使用される抗生物質は、作用の仕方により以下の7つの系統に分類されています。

 

抗生物質の種類

 ・ペニシリン系抗生物質

 ・セフェム系抗生物質

 ・カルバペネム系抗生物質

 ・マクロライド系抗生物質

  ・テトラサイクリン系抗生物質

 ・アミノグリコシド系抗生物質

 ・ニューキノロン系抗菌薬

 

クラリスの有効成分「クラリスロマイシン」は、マクロライド系抗生物質に該当します。

 

2-1. マクロライド系抗生剤の特徴

マクロライド系抗生物質は、細菌のタンパク質の合成を行う「リボソーム」という細胞小器官を阻害することによって抗菌作用を発揮します。

すでに存在している細菌を殺菌するというよりも、細菌を増殖させない効果があります。

 

溶連菌、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、カンピロバクター、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ、ピロリ菌といった幅広い菌に対して有効です。

 

しかし、広い有効性があることから処方される機会が多いため、現在ではマクロライド系抗生物質が効きにくいマクロライド耐性菌が問題になっています。不必要に抗生物質を使用することは、耐性菌を生み出してしまうのです。

中でも肺炎球菌やマイコプラズマでは、80%以上がマクロライド系抗生物質に対して耐性を持っていると考えられていて、とても深刻な状況といえます。

 

 

クラリスが副鼻腔炎に使われる理由

 

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)にクラリスが使われることがあります。

これは、抗菌作用によるものではなく以下の作用により副鼻腔炎を改善するためです。

 

・炎症を抑える作用

・鼻水の分泌を抑制する作用

・痰や膿の排出を促進する作用

・菌のバイオフィルム形成を抑制する作用

 

これらの作用は、「14員環マクロライド」というタイプに分類される薬が有しています。医薬品としてはクラリスの他にクラリシッド、エリスロシン、ルリッドが挙げられます。

 

抗菌薬は耐性菌の問題から、一般的には長期で服用することはありません。しかし、慢性副鼻腔炎に使用する場合は、2~6ヶ月服用を継続することがあります。

慢性副鼻腔炎で使用する場合は、通常使用する用量の半分で服用するため、長期的に服用しても耐性菌の発生の可能性は低いと考えられています。

 

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3.クラリスの服用方法と注意点

3-1. 服用方法

クラリス錠200

通常、1回1錠を1日2回服用します。

症状によって、1回2錠、1日4錠まで増量することができます。

 

ピロリ菌の除菌の場合は、1回1錠を、抗菌薬の「アモキシシリン」と胃酸の分泌を抑える「プロトンポンプインヒビター(PPI)」の2剤と同時に1日2回、7日間服用します。

 

クラリス錠50小児用

クラリスドライシロップ10%小児用

通常、小児には1日体重1kgあたり10~15mg(クラリスロマイシンの量として)を2~3回に分けて服用します。

 

 

 

3-2. クラリスと飲み合わせの悪い薬

クラリスは飲み合わせの悪い薬が多く、併用薬には注意が必要です。

 

併用禁忌薬

・オーラップ (統合失調症の薬)

・クリアミン (片頭痛の薬)

・ジヒデルゴット (片頭痛の薬)

・ベルソムラ (睡眠薬)

・ジャクスタピッド (コレステロールの薬)

・アドシルカ (肺高血圧症の薬)

・ブリリンタ (血栓の薬)

・イムブルビカ (白血病の薬)

・スンベプラ (C型肝炎の薬)

・ジメンシー (C型肝炎の薬)

・バニヘップ (C型肝炎の薬)

 

上記の薬を服用中の方はクラリスの服用はできません。絶対に併用してはいけない禁忌薬です。

 

また、これらの薬以外にも心不全の薬、血圧の薬、血栓の薬、糖尿病の薬、コレステロールの薬、睡眠薬、鎮痛薬などの一部でも、クラリスと併用すると副作用のリスクが高まるため、注意が必要です。

 

このように、クラリスと飲み合わせの悪い薬は多岐にわたるため、クラリスが処方された際には服用中の薬を医師・薬剤師に伝えるようにしましょう。

 

 

3-3. 妊婦さん・授乳中は服用できる?

動物実験において、クラリスロマイシンを高用量で投与すると胎児の発育に影響を与えることが分かっていますが、ヒトにおいては、通常服用する量では影響はほとんど問題ないと考えられています。

しかし、同じマクロライド系抗生物質のアジスロマイシン(ジスロマック)やエリスロマイシン(エリスロシン)の方が比較的安全に使用できるとされています。

 

授乳中の方が服用した場合は、お子さんへの影響は少ないと考えられています。

 

 

3-4. その他の注意事項

・以前にクラリスロマイシンを服用して、過敏症を起こした方は服用することができません。

 

・不整脈をお持ちの方は、症状が悪化する可能性があります。脈の乱れ、動悸などが見られる場合は主治医へご相談下さい。

 

・決められた期間きちんと服用しなければ、薬が効きにくくなる「薬剤耐性菌」を生み出す恐れがあります。症状が良くなっても自己判断では服用を中止せず、処方された日数分を最後まで飲みきってください。

 

 

4.クラリスの副作用

抗菌薬は、下痢・軟便などの消化器症状を起こしやすいのが特徴ですが、クラリスにおいては他の抗菌薬と比較して頻度は高くありません。

 

下痢・軟便を起こした場合でも、症状が軽いようなら水分補給を行いながら服用を継続しましょう。症状が激しい下痢、血便、粘液が混ざった便などがみられる場合は、使用を中止し直ぐに受診してください。

 

滅多に起こりませんが、クラリスには他にも以下のような重篤な副作用が報告されています。

次のような初期症状がみられる場合には医師・薬剤師に相談してください。

 

アナフィラキシーショック

皮膚の痒み、蕁麻疹、喉の痒み、冷や汗、息苦しい、動悸、めまい、意識の低下 など

 

皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)

中毒性表皮壊死融解症(TEN)

高熱(38℃以上)、目の周りや唇のただれ、喉の痛み、皮膚の広範囲の赤み など

 

QT延長

 頻脈、脈の乱れ、動悸、立ちくらみ、痙攣 など

 

肝機能障害

 倦怠感、食欲不振、発熱、発疹、吐き気、皮膚の痒み、皮膚や白目が黄色くなる など

 

偽膜性大腸炎

重篤な下痢、粘性の便、お腹の張り、腹痛、発熱、吐き気 など

 

間質性肺炎

軽い運動(階段を登るなど)での息切れ、痰が絡まない咳、発熱 など

 

横紋筋融解症

筋肉の痛み、手足の痺れ、手足に力が入らない、全身のだるさ、尿が赤褐色になる など

 

 

5.おわりに

風邪や胃腸炎で「クラリス」を服用したことがある人は多いのではないでしょうか?

 

飲み合わせに特に注意しなければいけない薬なので、怖い薬だと感じた方もいるかもしれません。

 

併用薬に問題がないかをチェックするのは、薬剤師の大切な仕事ですが、服用中の薬を把握できないと不可能です。薬局へは是非お薬手帳をお持ち下さい。

 

ちなみに、クラリスロマイシンを有効成分とする先発医薬品には「クラリス」の他にも「クラリシッド」があります。有効成分は同一ですので注意事項も同様と考えて頂いて問題ありません。

 

ラクトプランL-137
執筆
薬剤師:篠ケ瀬 蒼惟
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