【咳止め】コデイン類を含む薬が2019年より12歳未満の小児は禁忌に。その理由を解説

古くから使用されている一般的な咳止め成分であるコデイン類が、2019年より12歳未満の小児に対して禁忌となるという方針が厚生労働省より通知されました。
このコデイン類ですが、市販の風邪薬などにも含まれていることも多く、非常に多くのお薬が禁忌の対象です。


突然なぜ12歳未満の小児に禁忌になったのかと不思議に思う方や、今まで飲んでいて大丈夫だったのかと不安に思われる方もいるかもしれません。

今回は、咳止め成分であるコデイン類が12歳未満に禁忌になる理由や経過、またどんなお薬が対象になるかなど詳しく説明していきます。
※この情報は、2018年7月時点のものです。

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1.咳止め、コデイン類とは?その作用

コデイン類とは、コデインリン酸水和物ジヒドロコデインリン酸塩などの成分のことをいいます。コデイン類は古くから用いられているお薬です。

 

コデイン類は、「麻薬性鎮咳成分」とよばれ、延髄にある咳中枢に作用して咳を抑える作用があります。咳を鎮める作用の他にも、下痢症状を改善させる作用や疼痛時の鎮痛作用などもあり、様々な用途で使用されます。

 

麻薬というと驚く方もいるかもしれませんが、非常に少ない量で使用するため、規定されている量で服用する場合には、副作用の心配はほとんどいらず、一般的に安全性が高いお薬として使用されています。そのため、市販の風邪薬にも咳止め成分として含まれていることは多く、効果も期待できるお薬です。

 

2.コデイン類を含む薬が12歳未満の小児に禁忌に

そんな今まで臨床の場で長く用いられてきたコデイン類ですが、今回、12歳未満の小児に対して禁忌とする方針が厚生労働省より通知されました。

 

2-1. どういった経緯で?禁忌になる理由

2017年4月に、米国食品医薬品局(FDA)がコデイン類及びトラマドール塩酸塩を含む医療用医薬品の12歳未満の小児等への使用を禁忌とすることを発表しました。EUでは、2015年4月に12歳未満の小児への使用はすでに禁忌となっています。

 

理由としては、重篤な副作用である「呼吸抑制」のリスク(※1)があります。12歳未満の小児ではそのリスクが高くなるためです。

 

日本では、これを踏まえ、国内でも、米国と同様に使用制限をするべきとの声があがり、コデイン類及びトラマドール塩酸塩の安全対策について検討されました。そして、12歳未満の小児に対して禁忌とするよう方針として決定されました。

 

但し、日本では、コデイン類の副作用だと疑われる呼吸抑制による死亡例の報告はなく(※2)、欧米に比べて遺伝的にそのリスクが低いと推定されました。そのため、直ちに使用制限をかけるのではなく、経過措置期間(1年半程度)がとられ、その期間内に、12歳未満の小児にはしないように添付文書などの改定を行うことや、コデイン類を含む市販薬の年齢の適応の変更・販売中止などを行うこととなりました。

 

鎮痛薬として使用されるトラマドール塩酸塩も、コデイン類と同様に呼吸抑制のリスクが考えられることから注意喚起と対応が実施されます。

 

※1

 

コデイン類は、体内では、代謝酵素(CYP2D6)によって効果を示す化合物(モルヒネ等)に代謝され、鎮咳作用を示します。この代謝酵素(CYP2D6)には遺伝性があり、遺伝的に活性が強い方の場合、モルヒネ等の血中濃度が高まってしまい、呼吸抑制の副作用が発現しやすくなることがあります。

※2

 

コデイン類において、米国の副作用データベースでは、64例の呼吸抑制の報告があり、その内24例が死亡(21例が12歳未満)。日本では、4例の呼吸抑制の報告(処方薬2例、市販薬2例)があり、死亡報告はありません。

 

2-2. いつから禁忌になるの?経過措置が設けられている

経過措置期間が設けられており、2018年末までとされています。そのため、2019年中には、再度、使用上の注意の再改訂があり、医療用医薬品では12歳未満の小児には使用を禁忌とし、市販薬においては、小児に使用しない旨を記載し、処方が制限される見込みです。

 

2-3. どんな薬が禁忌の対象になる?

コデイン類を含むものが禁忌の対象ですが、医療用医薬品では、ジェネリック医薬品等も含めると65品目が該当し、市販薬は、流通しているものが約600品目あり、その内、小児専用のものが約100品目あると発表されています。

市販薬は非常に多くのお薬が該当しますので、注意が必要です。

 

医療用医薬品の一例をご紹介します。

 

・フスコデ配合錠

・フスコデ配合シロップ

・カフコデN配合錠

・サリパラ・コデイン液

・セキコデ配合シロップ

・ライトゲン配合シロップ

・オピセゾールコデイン液

・クロフェドリンS配合錠

・クロフェドリンS配合シロップ

・ニチコデ配合散

・ジヒドロコデインリン酸塩/原末「メーカー名」等

・コデインリン酸塩錠/散/原末「メーカー名」等

 

また、トラマドール塩酸塩を含む

・トラマールOD錠25mg/50mg

・トラムセット注100

・トラムセット配合錠

・ワントラム錠100mg

も別途、該当になります。

 

3.お子さんやご自身にコデイン類が処方された場合

2019年には12歳未満の小児で禁忌になると聞いて、今まで服用したことがあり不安に思う方もいるでしょう。

 

冒頭でお伝えしたように、コデイン類は、古くからあり、咳を鎮める高い効果が期待でき、かつ副作用が少ないために一般的に用いられてきたお薬です。まず、13歳以上の方は、心配せずに服用していただいて問題ありません。呼吸抑制は重篤な副作用であるものの、その発生頻度は稀です(3)。また、国内においては死亡例の報告はありません。安全性が高いからこそ、市販薬にも含まれている成分です。

 

そのため、指示された量をしっかり守って服用すれば、安全かつ効果が期待できるお薬です。

 

もし12歳未満のお子さんにコデイン類を含むお薬が処方された場合には、現状では禁忌にはなっていませんが(2019年以降)、重要な基本的注意として、12歳未満の小児には投与しないことと添付文書に掲載されているため服用に慎重になるべきで、医師や薬剤師にしっかりと確認されることをおすすめします。

 

(※3)

 

医療情報データベース(MID-NET)の試行的利活用の結果(2009-2015年7医療機関)によると、コデイン類含有製剤が処方された6.859人中、一定の検索条件に該当するコデイン類含有製剤の投与後に呼吸抑制の発生が疑われる症例は、24 例であり、発生割合は 0.3%とされています。

 

4.コデイン類を含まない咳止め薬(参考)

咳止めとして代表的なものとしては、麻薬性鎮咳成分であるコデイン類の他には、非麻薬性鎮咳成分にあたる「デキストロメトルファン」があります。市販の風邪薬にも含まれている成分です。脳の延髄にある咳中枢に作用して咳を抑える作用があります。麻薬性ではないので、習慣や依存などの心配もなく、安全性が高いお薬です。小児に対しても用いられます。

 

コデイン類と同様に、痰がからまない乾いた咳に用いられることが一般的です。

 

デキストロメトルファンを含む医療用医薬品としては、

・メジコン散10%

・メジコン錠15mg

などがあります。

 

デキストロメトルファンを含む市販薬としては、様々なものがあります。

・宇津こどもせきどめシロップA  / 宇津救命丸株式会社

・キッズバファリンせきどめシロップS / ライオン

・ムヒのこどもせきどめシロップSa / 池田模範堂

など、詳しくは、店頭の薬剤師又は、登録販売者にご相談下さい。

 

そのほかの市販の咳止めの成分としては、

・交感神経を刺激し、気管支を広げ空気のとおりをよくする成分(メチルエフェドリン塩酸塩など)

・痰を出しやすくする成分(グアイフェネシンなど)

・抗ヒスタミン作用によりアレルギー性の咳を鎮める成分(ジフェンヒドラミンなど)

があります。

 

また、喘息の場合の咳症状には、吸入ステロイド薬や気管支を拡張させる薬など、適したお薬が処方されます。喘息が疑われるような場合には市販薬では対処できず、専門的な治療が必要となりますので、必ず専門の医療機関を受診して、お薬を処方してもらうようにしましょう。

 

5.おわりに

今回は、咳止め成分であるコデイン類が12歳未満に禁忌になる理由や経過、またどんなお薬が対象になるかなど詳しく説明しました。

 

コデイン類は、古くからあり、咳を鎮める高い効果が期待でき、副作用が少ないために一般的に用いられてきたお薬です。市販の風邪薬にも含まれています。

国内でも、米国と同様に使用制限をするべきとの声があがり、コデイン類及びトラマドール塩酸塩の安全対策について検討され、12歳未満の小児に対して禁忌とするよう方針として決定されました。

 

大人が服用する分には問題ありませんので、今までどおり服用して下さい。今後、小児の場合には、コデイン類以外のお薬が処方されるようになります。また、市販で咳止めのお薬を購入する際には、薬剤師や登録販売者に相談されることをお勧めします。

 

参考

 

厚生労働省:コデインリン酸塩水和物又はジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の「使用上の注意」改訂の周知について(依頼)

 

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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