結膜炎に使用できる市販薬はある?結膜炎の分類と市販目薬の効果を解説

結膜炎という病名は、多くの人が一度は耳にしたことがあるでしょう。また、薬局やドラッグストアにも「結膜炎に効果がある」と書かれた市販薬が売られているのを目にした方も多いはずです。

しかし、ひとくちに「結膜炎」といってもその原因はさまざまです。原因が違えば行うべき治療も異なります。
このコラムでは結膜炎の分類を紹介すると同時に、その治療において市販薬がどのような位置づけになるのか解説します。
※この情報は、2018年8月時点のものです。

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1.結膜炎の分類

結膜炎は、その名の通り「結膜」に「炎症」が起きる病気です。結膜とは、まぶたの裏側から白目の部分にかけて覆っている、薄い膜です。

 

一方の炎症ですが、これは多くの症状を引き起こします。一例を挙げれば、病変部位が赤くなる、腫れる、などです。打撲などで該当箇所が腫れるのも、炎症の一種です。これが結膜で起きれば、結膜炎です。

 

たった今あげた打撲の例では、何かをぶつけたという物理的な刺激が炎症の引き金です。しかし、炎症を起こす原因は他にもたくさんあります。結膜炎に関していえば、重要なのは感染とアレルギーです。

 

感染とは、病原体がとりつくことをいいます。これによって起こる病気を感染症と呼びます。卑近な例では、風邪やインフルエンザは感染症の一種です。ヒトに感染する病原体にはたくさんの種類があり、その生物学的特徴によっていくつかのグループに分けられます。

 

結膜炎を起こす病原体として重要なグループは「細菌」と「ウイルス」です。両者の違いを細かく説明すると長くなりますので詳細は割愛しますが、ここではひとまず細菌はいわゆる「ばいきん」のことであり、ウイルスは細菌よりもっと小さな生物だ、くらいに理解しておいてください。

 

以上のことから、結膜炎はその原因によって以下の3つに分けることができます。

 

  • 細菌性結膜炎 (細菌がとりついて起きたもの)
  • ウイルス性結膜炎 (ウイルスがとりついて起きたもの)
  • アレルギー性結膜炎 (アレルギーが原因であるもの)

 

どうして一つの病気を細かく分類する必要があるかといえば、それぞれ治療法が異なるからです。これについては、以降のセクションでもう少し詳しく解説します。

 

 

2.結膜炎の種類と市販薬の効果

2-1. 細菌性結膜炎の治療

さきほども書いた通り、細菌性結膜炎の原因は病原体である細菌が結膜にとりついたことです。代表的な症状は以下の通りです。

 

  • 目やにが出る
  • 充血する

 

また、このあとに紹介するアレルギー性結膜炎と比較して、かゆみは起きにくいと知られています (1)。感染による結膜炎のうち、大人がかかるのは大部分がウイルス性ですが、子供の場合、細菌性が比較的多く見られます。

 

細菌性結膜炎の原因はとりついた細菌なのですから、これがいなくなれば治ります。このために、細菌を退治する効果を持った成分を含んだ目薬を使用すればよい。いわゆる「抗菌目薬」です。ひとくちに抗菌目薬といっても、その種類はたくさんありますが、使用法には薬の種類による差はさほどなく、病院でもらう薬の場合1日に3-4回点すようにいわれるのが一般的だと思います。

 

 

①治療の目的は治るまでの期間を短くすること

ところが、細菌性結膜炎には必ずしも薬が必要ではありません。というのも、大人の場合は特別な治療をしなくても1週間程度で自然によくなるケースが大部分だからです (1)。

 

特に目に関しては、涙の中に抗菌活性を持った成分がそもそも含まれていることも関係していると考えられます。したがって、細菌性結膜炎に抗菌目薬を使う場合、その目的は治るまでの時間をいくらか短くすることです。今述べた「いくらか」は、実際には1-2日くらいと考えられています (1)。

 

このように効果は限定的ではあるものの、病院を受診したときには目薬を出されることが実際には多いでしょう。薬を使うべきか否かは、それによってもたらされるメリット (治療効果など) が、デメリット (副作用や経済的負担など) を上回ることが期待されるかによって判断されます。

 

抗菌目薬には、点したときに目がしみることなどの軽度なものを除けば副作用が問題となることは稀です。また、薬の値段も一般に安価です。こうしたことから、細菌性結膜炎に対する抗菌目薬のメリットはあまり大きくなくても、デメリットがより小さいのでトータルで考えれば使った方がよいと結論付けられることが多くなるのです。

 

 

②使える市販薬の成分は1種類だけ

これまで述べてきた特徴から、細菌性結膜炎は市販薬での治療に向いている病気といえます。症状などから細菌性結膜炎が疑わしい場合、ひとまず薬局などで抗菌目薬を購入して使ってみる。それでよくなれば問題ありませんし、3-4日使ってもよくならない場合は別の病気の可能性が高いので、その時点で病院を受診すればよいのです。

 

市販薬の値段も1000円かそれ以下くらいと、それほど高額ではありません。

 

さて、そうなると次の疑問は「どの市販薬を選ぶのがよいのか?」だと思います。ですが、いきなり結論を述べれば「どれでも構わない」となります。

 

なぜなら、抗菌成分として市販の目薬に含まれる成分には「スルファメトキサゾール」の1種類しかないからです。

 

濃度に関しても、ごく一部の例外を除いて、4%に統一されています。上では「抗菌目薬にはたくさんの種類がある」と書きましたが、これは病院などでもらう、いわゆる「医療用医薬品」についての話です。つまり、市販薬を使う場合には実質的に選択の余地がないのです。目薬の種類こそたくさんあるのですが、それらの違いは補助的に含まれている充血止め・かゆみ止めなどの種類と量程度ですから、外見は異なっていても、中身はほぼ同じと考えて差し支えありません。

 

実際には、パッケージに「ものもらい・結膜炎に」などと書いてあるものを手に取ればだいたい妥当ですが、念のために薬剤師か登録販売者に確認するのがよいでしょう。

 

一つだけ市販薬選びの際にポイントとなる点を挙げるなら、普通の目薬にするかユニットドーズ製剤にするか、です。

 

「ユニットドーズ製剤」とは聞きなれない言葉だと思います。これは、小さなスポイトのような入れ物に1回分だけの薬液が入っているタイプの目薬です。要するに、1回ごとの使い捨てタイプです。

 

一般的な容器に入った目薬は、どうしても雑菌などが混入してしまいます。それゆえに、通常の目薬は開封して以降はあまり日持ちがしません。具体的にいつまでならOKかについては確定した基準はありませんが、おおむね1カ月くらいが目安となります。これに対して、ユニットドーズの場合は汚染の心配がない分、長期の保存に適しています。

 

 

2-2. ウイルス性結膜炎の治療

ウイルス性結膜炎には、残念ながら有効な薬がありません。これまで述べてきた「抗菌目薬」は、細菌にしか効きません。上で説明したように、細菌とウイルスは生物学的な特徴が異なり、抗菌目薬の有効成分は細菌に特徴的な性質に作用するようにできているからです。

 

複数のウイルスが結膜炎の原因になると知られていますが、頻度が高く臨床的に重要なのは「アデノウイルス」という種類によるものです (2)。このアデノウイルスにはいくつかの亜種があり、種類によって流行性角結膜炎 (いわゆる「はやりめ」) や咽頭結膜熱 (いわゆる「プール熱」) などの特別な結膜炎をおこします。

 

 

①基本的には眼科の受診を推奨

上に書いたように、ウイルス性結膜炎には有効な治療薬がないので、当然ながら市販薬で対処することもできません。2週間前後で自然によくなる病気ではありますが、基本的には眼科の受診をお勧めします。

 

というのも、ウイルスによる結膜炎では、黒目の部分にあたる「角膜」にも影響が出るケースがあるからです。この場合、視界がかすむなどの症状が出るほか、黒目部分に跡が残ることがあります。これにはウイルスを排除するのとは異なる治療が必要となります (具体的には、炎症を抑える目薬を使うなどです)。

 

また、結膜炎の原因となるウイルスは伝染力が強いことが知られています。別の表現をすれば、人にうつりやすいのです。それゆえ、家庭においては顔を拭くタオルを共用しないなどの対策が必要になります。このあたりに関する指導を受ける意味合いからも、眼科を受診することには意義があります。

 

 

②ウイルス性結膜炎に抗菌目薬が処方された?

眼科に受診して、ウイルス性結膜炎だと診断されたとします。そのときに抗菌目薬が処方されることが、実際にはよくあります。ここまで順に読み進めてきた方は「ウイルスに抗菌目薬は効かないと上に書いているから、処方されるのはおかしいのでは?」こう感じたかもしれません。

 

結論をいえば、これはおかしなことではありません。なぜなら、この場合の抗菌目薬はウイルスを直接排除することが目的ではないからです。実は、結膜炎をおこしている直接の原因がウイルスである場合でも、一緒に細菌がとりついていることがよくあります。こうしたケースでは現状、細菌は悪さをしていませんが、のちのちになって悪影響を持つ可能性がある。それを見越して、いわば予防目的に、細菌を退治するための抗菌目薬が処方されているのです。

 

 

2-3. アレルギー性結膜炎の治療

アレルギーとは原因物質である「アレルゲン」が身体に入り込んだ際に、特定の免疫反応が引き起こされたものです。こうしたアレルギー反応によって生じた結膜炎が、アレルギー性結膜炎です。

 

ご存知のように、目は外界に向かって直接開かれている関係上、アレルゲンが入り込みやすい部位であるといえます。そういった事情もあってか、アレルギー性結膜炎は頻度の高い病気で、アメリカにおいては最大で人口の40%に認められるという推計もあるほどです (2)。

 

もちろん、場所が変われば病気の頻度も変わること、推計には誤差がつきものであることから、日本においても同じ割合で発症すると単純に結論付けることはできませんが、いずれにしてもとてもよくある病気とはいえます。症状としては他の結膜炎同様、充血・目やにが出るほか、目のかゆみが強いのが特徴です。

 

結膜炎に限らず、アレルギーには一年のうち特定の時期にだけ生じる「季節性」と、時期に関係なくおこる「通年性」があります。季節性の代表は、花粉症です。この場合の「季節」はたいてい春ですが、原因物質 (アレルゲン) である花粉が飛んでいるのが春だからです。対する通年性の代表的なアレルゲンは、ハウスダスト (ほこり) です。ハウスダストは季節に関係なく、いつも発生するものだからです。

 

 

①市販の抗ヒスタミン剤が治療に有用

アレルギーの症状の主な原因となっているのは、「ヒスタミン」と呼ばれる物質です。アレルゲンに晒されることで、もろもろの免疫反応が生じ、最終的にヒスタミンが放出されます。

 

一例として、アレルギーを起こしたときに、その部位が赤くなった経験をお持ちの方も多いでしょう。これは、ヒスタミンに血管を拡張するはたらきがあるからです。血管が開くと、そこを通る血液の量が増え、血の赤色が目立つようになるのです。こうしたヒスタミンのはたらきを抑制する成分を「抗ヒスタミン剤」といい、アレルギー性結膜炎の治療に役立ちます (3, 4)。

 

市販の目薬にも、抗ヒスタミン剤を含んだものはたくさんあります。軽度のものなら、こうした市販薬を買って使ってみるのは、十分に現実的な対処法です。購入の際には「目のかゆみに」などと書いているものを選べば、おおむね問題ありませんが、やはり薬剤師や登録販売者に相談するのが確実です。

 

市販薬レベルでも、抗ヒスタミン剤にはたくさんの種類がありますが、現時点ではアレルギー性結膜炎に対する効果に明確な優劣は知られていないので、成分の種類にあまりこだわる必要はないでしょう。

 

3.こんな時は早めに眼科へ

結膜炎に限ったことではありませんが、市販薬を使う場合は3日くらい続けても症状が改善しないなら、早めに病院に受診すべきです。

 

その他、結膜炎に関していえばさきほども書いたように、ウイルス性の場合は眼科に受診したほうがいいでしょう。感染した病原体が細菌でもウイルスでも、目やに・充血といった症状が共通してみられます。

 

では、症状から両者をある程度見分けることはできないかと問われば、必ずしもそんなことはありません。一般に、症状の出方はウイルス性の方が派手になる傾向にあります。例えば、目やにについて。ウイルス性結膜炎で眼科を受診した患者さんから話を聞くと、「朝起きると、目やにがすごくて目が開けられなかった」のようなことをおっしゃる方が結構おられます。

 

通常、細菌性ではここまでの目やにが出ることはまずありません。充血についても同様で、ウイルス性の場合、特別な専門知識のない方でも一見して「あ、明らかに病的だな」と分かることが多いものです。

 

アレルギー性の場合も、症状が激しい場合は眼科で治療を受けた方がよいといえます。重症なアレルギー性結膜炎では、角膜にも影響が及ぶケースや、感染を合併する例もあるからです。このような場合、抗ヒスタミン剤とは別種の、アレルギー反応を抑える目薬などを使うことになります。

 

月並みな結論にはなりますが、以上の事情から、症状がひどい場合・長引く場合は眼科への受診をお勧めします。

 

4.まとめ

結膜炎には市販薬が役立つことが多い一方で、眼科での専門的な治療を要するケースもあり、両者の線引きはときに微妙です。市販薬のことで迷った場合には、薬剤師や登録販売者にまずは聞いてみるのを勧めます。

 

市販薬というと「自分の独断で買って使うもの」のようなイメージを抱きがちです。しかし、最初の方で述べたように、薬にはメリット・デメリットがあります。上手く使えば有用ですが、下手に使うと危険です。ぜひ、専門家を役立ててください。

 

■結膜炎は大きく、細菌性・ウイルス性・アレルギー性に分けられ、それぞれ治療方針が異なる

■細菌性は市販薬で対応可能なものも多い

■ウイルス性には有効な市販薬がなく、眼科での治療を考慮するべきである

■アレルギー性は、軽症の季節性なら市販薬でも十分対応できるが、重症例・長期化するものは眼科で治療を受けた方がよい

 

参考文献

 

  1. Epling J, BMJ Clin Evid. 2012 Feb 20;2012. pii: 0704. PMID: 22348418
  2. Azari AA, et al. JAMA. 2013 Oct 23;310(16):1721-9. PMID: 24150468
  3. La Rosa M, et al. Ital J Pediatr. 2013 Mar 14;39:18. PMID: 23497516
  4. Kari O, et al. J Asthma Allergy. 2010 Nov 24;3:149-58. PMID: 21437049
執筆
薬剤師:黒田 真生
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