医師監修

咳止めシロップは子どもが飲んでも安心?咳止め成分の効果や注意点を解説

まりもぐみ

風邪などにより咳が続く場合、一旦は市販の咳止めを購入して対処しておこうと考える方が多いでしょう。

 

市販の咳止めも効き目が良いものが多いですから、それで症状が治まることが多いのです。しかし、咳が出るからといって無闇に市販の咳止めを使うのは良くありません。咳が続く場合はその咳が一時的なものなのか、喘息のように症状が慢性的に続くものなのかを判断して治療しなければいけないからです。

 

市販の咳止めはどれを選んでいいか分からないほど種類がたくさんありますが、ほとんどの咳止めには「麻薬性鎮咳成分」とよばれる咳止めの成分が含まれています。麻薬が入っているの?と不安に思う方もいるでしょう。

 

しかし、「麻薬性鎮咳成分」は咳止めに一般的に配合されている成分なので正しい使い方を守っていれば特に心配はいりません。今回は、咳症状について解説するとともに、市販薬に含まれる咳止めの成分や効果、咳止めシロップに含まれる麻薬性鎮咳成分の安全性、注意点についても説明していきます。

 

※この情報は、2018年5月時点のものです。

 

1.咳症状の様々な原因

「咳」とひと口で言うことが多いですが、咳の原因は思っているよりもさまざまです。原因によっては市販の咳止めシロップを使わずに早めに病院へ行ったほうが良い場合もあります。

 

1-1. 咳症状の種類と原因

まずは咳の種類や原因について代表的なものを見ていきましょう。

 

①咳は2種類に分けられる

咳は痰がからむか、からまないかで大きく2種類に分けられます。痰が出るものを湿性咳嗽、痰が出ないものを乾性咳嗽といいます。湿性咳嗽は咳き込む際に痰がのどにからまって「ゴホゴホ、ゲホゲホ」というような湿った咳が出ます。一方で乾性咳嗽は「コホコホ、ケホケホ」というような乾いた咳が出ます。

 

②咳の原因は多数

・自律神経の働き

人の体は自律神経の働きによって内蔵や呼吸、血管などの調節をしています。交感神経が優位になると気管支が拡張し、副交感神経が優位になると気管支は収縮します。夜になると副交感神経が優位になるため気管支が収縮し、咳が出やすくなります。

 

・ほこりやウイルス

ほこりやウイルスのような異物が気管支や気道、のどに付着します。するとほこりやウイルスを刺激として受け取り、咳を出そうとする咳中枢が刺激されます。咳中枢が刺激されると咳が起こります。

 

・気管支の炎症

インフルエンザウイルスやアデノウイルスの感染により気管支が炎症を起こすことがあります。気管支が炎症を起こすことにより咳や痰の症状が起こります。

 

・気管支喘息

気管支喘息の方はウイルスなどの感染に関係なく慢性的に気道に炎症が起きています。炎症が悪化すると横になるのもきついくらいの酷い咳が起きます。

 

1-2. こんな咳の場合は早めに病院へ

呼吸するときに「ゼーゼー、ヒューヒュー」というような喘鳴が聞こえる場合は気道に炎症が起きている可能性があります。気道の炎症を抑える薬は病院でしか貰えません。無闇に市販の咳止めを使うべきではありません。そのまま症状を放置しておくと、どんどん症状が悪化して日常生活を送るのもつらい状況になってしまいます。

 

また、喘鳴が聞こえなくても咳の症状が長引く場合、症状がとても酷い場合は、原因をしっかり見極めて適切な治療を受けるためにも、なるべく早めに病院を受診しましょう。

 

2.咳症状に用いる咳止めシロップ(市販薬)

市販薬には多くの咳止めシロップがあります。どのような種類の咳止めシロップがあるのか、またその安全性はどうなのかをご説明します。

 

2-1. 市販薬咳止め成分の種類と効果

市販の咳止めシロップには主に以下のような成分が含まれています。

 

・ジヒドロコデインリン酸塩

リン酸ジヒドロコデインと記載されていることもあります。麻薬性鎮咳薬です。咳止めシロップの他、風邪薬などにも配合されています。鎮咳作用が強いため、高い咳止めの効果が期待できます。

 

・コデインリン酸塩

リン酸コデインと記載されていることもあります。麻薬性鎮咳薬です。ジヒドロコデインリン酸塩よりもやや効果が弱めです。

 

・dl-メチルエフェドリン塩酸塩

交感神経を刺激する作用を持つ鎮咳薬です。交感神経のβ2受容体を刺激し気管支を拡張し呼吸を楽にします。

 

・デキストロメトルファン 臭化水素酸塩水和物

非麻薬性の鎮咳薬です。咳を引き起こす咳中枢に直接働いて咳を引き起こさないようにします。

 

・クロルフェニラミンマレイン酸塩

抗ヒスタミン薬です。アレルギーが原因となって起こる咳の症状を抑えます。

 

・グアイフェネシン

去痰作用のある成分です。痰の粘度を薄くして痰を切りやすくします。

 

2-2. 麻薬性鎮咳成分は飲んでも大丈夫?安全?その根拠

ジヒドロコデインリン酸塩やコデインリン酸塩は麻薬性鎮咳薬に分類される咳止めの成分で、多くの咳止めシロップに含まれています。

 

これらの成分は麻薬のアヘンに含まれているモルヒネと同じ構造を持っています。そのため麻薬性鎮咳薬は依存性がある、服用は危険というような情報が広まっているのです。事実として麻薬性鎮咳薬には依存性があります。

 

ただし、依存性が問題となるのは、咳止めシロップを用法用量に従わずに間違った使い方をした場合のみ。正しい使い方を守っていれば依存性が問題になることはありません。

 

一方で、ジヒドロコデインリン酸塩とコデインリン酸塩は現在、依存性とはまた違った問題が浮上しています。

 

12歳未満の子どもにこれらの麻薬性鎮咳薬を使うと呼吸困難などの重篤な副作用を起こす可能性があることが分かりました。2017年には12歳未満への子どもへジヒドロコデインリン酸塩、コデインリン酸塩の投与を避けるよう注意喚起がされています。2019年には12歳未満の子どもへコデイン系の咳止めを使用することが禁忌となる予定です。

 

つまりジヒドロコデインリン酸塩やコデインリン酸塩が安全に使えるのは現在のところ12歳以上の方のみ、そして使用方法を守れる方のみということです。

 

2-3. 市販で販売されている咳止めシロップ(代表例)

市販ではどのような咳止めシロップが販売されているのでしょうか。代表的なものをいくつかご紹介します。ちなみにですが、咳止めシロップはどれも茶褐色ですがこれは着色料ではなくお薬そのものの色です。着色料が気になる方も安心して服用できます。

 

①新ブロン液エース

〈配合成分〉

・ジヒドロコデインリン酸塩

・グアイフェネシン

・クロルフェニラミンマレイン酸塩

・無水カフェイン

 

〈特徴〉

咳止めの効果が非常に高いジヒドロコデインリン酸塩が配合されています。痰を薄めるグアイフェネシンも含まれているので痰がからむ咳にも使えます。使用できるのは12歳以上からです。

 

②アネトンせき止め液

〈配合成分〉

・コデインリン酸塩水和物

dl-メチルエフェドリン塩酸塩

・クロルフェニラミンマレイン酸塩

・無水カフェイン

・セネガ流エキス

 

〈特徴〉

アネトンせき止め液にも麻薬性鎮咳薬であるコデインリン酸が入っています。ジヒドロコデインリン酸塩よりも効果はやや劣りますが、それでも咳止めの効果は市販薬の中では高い方です。セネガ流エキスは痰を薄めて出しやすくする成分です。

 

③キッズバファリン せきどめシロップS

〈配合成分〉

・デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物

dl-メチルエフェドリン塩酸塩

・グアイフェネシン

・キキョウ流エキス

・セネガ流エキス

・ジフェンヒドラミン塩酸塩

 

〈特徴〉

麻薬性鎮咳薬の成分が入っていないため3ヶ月以上のお子様から服用できます。小さなお子様も飲みやすいいちご味です。子どもの眠りを妨げるカフェインも入っていません。

 

3.咳止めシロップを服用する際の注意点

①用法用量を必ず守る

咳止めシロップを服用する際は麻薬性鎮咳薬が入っているか入っていないかに関わらず、必ず用法用量を守って服用してください。呼吸困難や息切れなどの症状を起こす可能性があります。

 

②喘息の方は市販の咳止めは使わない

特にジヒドロコデインリン酸塩やコデインリン酸塩のような麻薬性鎮咳薬は喘息の方に効き目がほとんどありません。それだけでなく、これらのコデイン系の薬は気管支を収縮させ余計に喘息を悪化させます。発作が起きているときの使用は禁忌です。喘息の方は市販の咳止めは使わずに病院で貰ったものを服用してください。

 

③痰が酷い方は痰切り剤を使う

痰を伴う咳は風邪によって起こることが多く、安静にしていれば自然と治ることがほとんどです。ただ、どうしても気になる方は痰を切る成分が入った市販薬を選びましょう。

 

この際、ジヒドロコデインリン酸塩やコデインリン酸のように咳を無理やり止める成分が入っているものは避けます。痰の排出を抑制して症状の悪化を招く恐れがあるためです。デキストロメトルファン 臭化水素酸塩水和物のような非麻薬性鎮咳薬を使ったものを選びましょう。

 

④海外に持ち込む場合は成分に注意

ジヒドロコデインリン酸塩やコデインリン酸塩のような麻薬性鎮咳薬は乱用の恐れがある薬物として扱われ、海外に持ち込めない場合があります。国によって規制が違うので薬を持ち込む予定がある場合はあらかじめ調べておきましょう。

 

妊娠中、授乳中の咳止めシロップの服用は?

 

ジヒドロコデインリン酸塩やコデインリン酸塩を妊娠中に服用すると口唇口蓋裂や先天性心疾患のリスクが高まるという報告があります。そのため妊娠中の服用は避けた方が良いでしょう。非麻薬性鎮咳薬のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物は妊娠中でも比較的安全に使えるものですが、安全性が確立されているわけではありません。コデイン系の薬剤は母乳中へ移動し乳児がモルヒネ中毒になったという報告があるため、授乳中の服用はできません。

 

市販の咳止めシロップは原則として妊娠中や授乳中には使えない、という認識を持っていてください。どうしても咳の症状が気になる場合は担当医に相談してから使うようにしましょう。母体にとってすぐにでも咳を止めた方が良いのか、それとも胎児を優先して今は薬を使わない方が良いのかの判断は担当医にしかできません。

4.まとめ

なかなか治まらない咳の症状をどうにかするために市販の咳止めシロップを購入される方はとても多くいます。

 

ただし使い方を間違えると別な症状を悪化させたり、依存性や呼吸困難などの副作用を起こしたりする危険性もあります。ジヒドロコデインリン酸塩やコデインリン酸塩は2017年から12歳未満の方には使わないように注意喚起されていますので、お子様に咳止めシロップを使う際は麻薬性鎮咳薬が入っていないものを選んでください。

 

また、症状が何週間も続いたり、喘鳴がしたりする場合は市販薬での治療ができません。必ず病院を受診して適切なお薬を処方してもらうようにしましょう。

 

咳止めシロップは危険、という認識を持っている方がいますが、確かに使い方を間違えれば危険です。しかし、用法用量を守って使うことで咳止めシロップも他の薬と変わらないように安全に服用できます。

 

薬剤師・その他医療機関関係者の方へ
正確な医療情報を発信するために、医師、薬剤師監修のもと、誤りがないよう万全を期しておりますが、もし誤りとお考えになる情報があった場合には、ご指摘いただけますと幸いです。
医療情報に関するご指摘お問い合わせ
その他記事へのお問い合わせ

このまとめ記事に関するタグ