【薬剤師が解説】ニキビの治療、ダラシンTゲルの正しい効果・使い方・注意点

ニキビに対して処方されることがある塗り薬として「ダラシンTゲル」があります。

ダラシンTゲルは、抗生物質の成分を含む塗り薬で、にきび(ざ瘡)に関与するとされるアクネ菌に対して抗菌作用が期待できます。基本的には、1日2回、洗顔後に塗って使用します。

そんなダラシンTゲルですが、たまに勘違いされているような使い方を聞くこともあります。また、使用する際のお顔の手入れの順番を気にされている方も多くいらっしゃいます。

今回は、ダラシンTゲルの正しい効果を解説するとともに、使い方に関する相談にお答えする形で、詳しく説明していきます。
※この情報は、2018年2月時点のものです。

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1.ダラシンTゲルとは?

ダラシンTゲルは、にきび(ざ瘡)に関与するとされるアクネ菌に対して抗菌作用が期待できる抗生物質の塗り薬(外用薬)です。

 

1-1. ダラシンTゲルの成分と作用

ダラシンTゲルの成分は、「クリンダマイシンリン酸エステル」です。正式な商品名は、ダラシンTゲル1%で、1g中に10mgのこの成分が含まれています。

 

この成分は、「リンコマイシン系」とよばれる抗生物質の一種で、細菌のタンパク合成を阻害することによって、抗菌作用を示します。ブドウ球菌やアクネ菌などに対して有効で、主には、化膿性の炎症を伴っているにきび(ざ瘡)に対して使用されます。炎症を起こしているにきびとは、いわゆる“赤にきび”のことで、ニキビの悪化につながるアクネ菌の増殖を抑え、炎症をしずめる作用が期待できます。

 

また、ゲルの他にローションタイプもあり、両者は同じ成分になるので効果に差はありません。ゲルは、無色透明の粘性のある半固形状の塗り薬で、乾燥肌や局所的に塗る場合に向いており、ローションは、無色透明の液状の塗り薬で、背中にきびなど広範囲に渡って塗る場合に向いています。このように皮膚状態によって判断され、適切なタイプが選択されます。

 

添付文書上の効能・効果の記載は次のとおりです。

 

【効能・効果】

〈適応菌種〉

 クリンダマイシンに感性のブドウ球菌属、アクネ菌

〈適応症〉

 ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)

 

今回は、塗り薬(外用薬)の紹介がメインなので説明を省きますが、ダラシンは、その他、内服薬である「ダラシンカプセル」や、注射薬である「ダラシンS注射液」があります。これらは、塗り薬(外用薬)とはまた適応症が異なってきます。

 

ダラシンTゲルのジェネリック医薬品

 

また、ダラシンTゲルでは、ジェネリック医薬品が販売されています。

(例)

クリンダマイシンゲル1%「タイヨー」

クリンダマイシンゲル1%「クラシエ」

クリンダマイシンリン酸エステルゲル1%「サワイ」    など

 

ダラシンTゲル1%(薬価 1g 35.6円)で比較すると、ジェネリック医薬品ですと、薬価1g 21.1円ですので、幾分価格が下がります。

参考として、他の代表的なニキビの塗り薬である、ディフェリンゲルは1g95.2円、アクアチムクリーム1g34.5円、ペピオゲル1g115.4円となります。

 

 

 

ジェネリック医薬品とは

先発品(新薬)の特許がきれたあと、他のメーカーが先発品(新薬)と同じ有効成分で効能・効果が原則同じで販売します。開発コストを抑えて開発できるため、先発品(新薬)より価格が安くなります。

 

 

その他、にきび治療薬として処方されることがある塗り薬

 

ダラシンTゲルの他にも、にきび治療薬として用いられる塗り薬には、次のようなものもあります。にきびの状態や皮膚状態によって医師が判断し、適切なお薬が処方されます。

 

ディフェリンゲル [成分:アダパレン]
ベピオゲル [成分:過酸化ベンゾイルゲル]

アクアチムクリーム [成分:ナジフロキサシン]
イオウカンフルローション [成分:イオウカンフルローション]
デュアック配合ゲル [成分:クリンダマイシン・過酸化ベンゾイル]
ゼビアックスローション [成分:オゼノキサシン]  など。

 

その他、内服薬[飲み薬]などもあります。 

1-2. ダラシンTゲルの使い方

主には、化膿性の炎症を伴うにきび(ざ瘡)に使用されます。

 

<用法・用量>

本品の適量を 1 日 2 回、洗顔後、患部に塗布する。

 

基本的には、皮膚全面に塗るのではなく、指示された患部に局所的に塗布します。1日2回ですので、朝の洗顔後、夜の入浴後などを目安に塗られると良いでしょう。洗顔は、石鹸を利用してしっかりと洗うようにして下さい。

 

参考)ダラシンTゲルの効果はいかほど?

 

ダラシンTゲルのにきび(ざ瘡)に対する効果は臨床で認められています。

公的なインタビューフォームをご覧いただくと参考になるデータを見ることができます。

 

1日2回朝・夕食後に洗顔後、4週間下記の3パターンを塗布した

・ダラシンTゲル1%

・ダラシンTゲル2%

・基剤のみの塗り薬(有効成分を含んでいない)

この3者の効果を比較したところ、

ダラシンTゲル1%では、にきびに有効とされた有効率は、81.8%、ダラシンTゲル2%では、80.9%、基剤のみの塗り薬では、54.0%となりました。

 

こちらのデータより、ダラシンTゲルは基剤のみの塗り薬と比較すると明らかに効果を示し(有意差あり)、また、1%と2%を比較すると、量を多くしても効果に差がない(有意差なし)という結果でした。

ダラシンTゲルは効果が期待できますが、一方、効果を期待したいからといって、多く塗っても高い効果は期待できないということですね。

1-3. まとめ

 

・ダラシンTゲルは、にきび(ざ瘡)に関与するとされるアクネ菌に対し抗菌作用がある

・化膿性の炎症を伴っているにきび(ざ瘡)に対して使用する

・基本的には、1 日 2 回、洗顔後、患部に局所的に塗布する

・ダラシンTゲルには、ジェネリック医薬品がある

 

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2.ダラシンTゲルの使い方に関する相談

次にダラシンTゲルの使い方に関して、よく受ける相談にお答えする形で説明していきます。

 

2-1. ダラシンTゲル塗る際の洗顔、化粧水、保湿ケアの順番は?

広い範囲に塗布するものから塗っていくのが一般的です。そのため、まずは、石けん等でよく洗顔し汚れを落としてから、その後で化粧水、保湿ケアなどあれば塗布し、その後で少し時間を置いてから、ダラシンTゲルをにきびのある患部に局所的に塗布します。

先にダラシンTゲルを塗布してしまうと、化粧水などを塗

布した際に患部以外にも拡がってしまう可能性があるためです。

 

もし、ダラシンTゲルの他に別の塗り薬が合わせて処方されている場合には、同じ理由で、より広範囲に塗るものから塗布していくのが一般的です。

 

2-2. ダラシンTゲルの使用期限は?

少し分かりづらいですが、ダラシンTゲルの使用期限は、チューブの端部分に記載があります(写真参考)。ただ、これは未使用の場合で、正しい温度管理(室温1度〜30度)で保存した場合に安全であると確認されている期間です。

使用後は、速やかに使用し、古くなったら使用せずに破棄するようにしましょう。

 

 

(参考):使用期限目安

<ゲル> 21ヶ月

<ローション> 3年

 

 

 

2-3. 傷や湿疹とかに使用しても良い?

説明のとおり、ダラシンTゲルは、抗生物質の塗り薬であり、菌の増殖をおさえる(抗菌作用)ことで炎症を鎮める作用が期待できますが、直接的に炎症をおさえる作用はありません。適応症は、「ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)」となっており、基本的には傷や湿疹に対しては使用されません。

手元にダラシンTゲルがあっても、医師の指示を超えた使用については自己判断で行わず、必ず専門の医療機関を受診し、主治医に相談しましょう。

 

2-4. 長く使用しても大丈夫?

添付文書の記載では、「本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、疾病の治療上必要な最小限の期間の使用にとどめること。」とあります。

そのため、症状がなくなった場合には、不必要に塗り続けるのではなく使用を中止するようにしましょう。ダラシンTゲルが効かない耐性菌が発現した場合には、効果が薄まってしまうため、また別のお薬で治療を行う必要があります。

また、4週間程度塗っても効果が見られない場合には、漠然と使用を続けずに早めに医療機関を受診し、主治医に相談するようにしましょう。

 

3.ダラシンTゲルの注意点

正しい方法で使用すれば、副作用症状はほとんどない塗り薬です。

副作用としては、かゆみや発赤、刺激感、ヒリヒリ感、臨床検査値の異常などが主なものです。

 

また、稀ですが、重篤な副作用として、偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎の症状(腹痛、頻回の下痢)の報告があります。

もし、このような症状が見られる場合には、すぐに使用を中止し、医療機関を受診するようにしましょう。

 

使用にあたっては、ダラシンTゲルを塗布する面積はニキビなど患部に止め、最小限にとどめましょう。症状がなくなった場合には、耐性菌が発現する可能性があるため、漫然と使用を続けないようにしましょう。

 

4.市販でダラシンTゲルは購入できる?

ダラシンTゲルは医療用医薬品で、一般的には病院を受診し、医師の診断を受け、処方せんがなければ購入できないお薬です。

残念ながら、ダラシンTゲルと同じ成分で販売されている市販薬はありません。

ただ、ニキビに効果が期待できる市販薬はいくつか販売されています。

 

(例)

ペアアクネクリームW【第2類医薬品】 / ライオン株式会社

抗炎症成分と殺菌成分を含んでおり、炎症や赤みがあるにきびに効果が期待できる

 

医師監修

【ニキビに効く市販薬】ペアアクネクリームWの成分・効果と副作用

医師:倉田大輔
2017.07.24
くすり

 

その他にも多くの種類の市販薬が販売されています。軽症の場合や、皮膚科をすぐに受診できない場合には、市販薬を使ってみるのもいいでしょう。

 

一方、病院で専門の医師に診察してもらうことで、抗生物質、抗炎症剤などの飲み薬・塗り薬やビタミン剤などより適切に、症状に合わせたお薬が処方されます。症状がひどい場合は、放っておくと痕が残ることもあります。ひどくなる前に早い段階での適切なケアが大切となりますので、早めに病院を受診するようにしましょう。

5.おわりに

今回は、ダラシンTゲルの正しい効果を解説するとともに、使い方に関してよく受ける相談や使い方の注意点について説明しました。

ダラシンTゲルは、ニキビに対して処方されることがある代表的な塗り薬で、ニキビの悪化につながるアクネ菌の増殖を抑え、炎症をしずめる作用が期待できる抗生物質です。

残念ながら、ダラシンTゲルと同じ市販薬は販売されていませんが、市販薬でもいくつか塗り薬は販売されています。にきびは放っておくと痕が残ることもありますので、ひどくなる前に早い段階での適切なケアが必要です。症状が続く場合には、早めに病院を受診するようにしましょう。

 

(参考)

ダラシンTゲル1% , ダラシンTゲル1%ローションインタビューフォーム

改訂2版 皮膚外用剤Q&A

 

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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