自分でできるうつ病チェック、その信憑性と病院に行った方が良いタイミングを解説

うつ状態が続いており、病院にいく気力もなく・・・、自分がうつ病なのではないかと不安になっている方も多いかと思います。目安となる、自分でできるうつ病チェックリストがありますので、うつ病に該当する場合には、悪化する前に専門の病院を早めに受診することを勧めます。

今回は、うつ病チェックリストや病院に行くべきかどうかの判断基準を解説するとともに、病院ではどんな診断や治療が行われるのかについても合わせて紹介します。
また、軽度の落ち込みの場合、うつ病に悪化させないための対策や、診断されたときの今後の過ごし方についてもアドバイスします。
※この情報は、2018年7月時点のものです。

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1.自分でできるうつ病チェックリスト

自分でうつ病かどうかを判定するチェックテストは、ネット上でも多く配信されています。

 

今回は、実際に医療機関で使用されている4つのうつ病チェックテストについてその特徴を紹介します。ネットで検索すると、WEB上でできるチェックリスト等もございますので、利用される場合にはそういったサイトを活用するか、実際に医療機関を受診し、ご相談されることをおすすめします。

 

①簡易抑うつ症状尺度(Quick Inventory of Depressive Symptomatology:QIDS -J)

このテストは、睡眠、食欲/体重、精神運動に関する16の質問に答えていきます。

うつ病かどうかの判定だけでなく、重症度も判定できるので、医療機関では、うつ病の経過をみるために使用されることも多いです。

 

合計点6点以上の場合にはうつ病が疑われ、点数によって重症度判定もできます。

 

実際の質問票と判定は以下の通りです。(図1・2)

 

(※図1)

(※図2)

 
 

<判定>

 

0 - 5点 正常

6 -10点 軽度

11-15点 中等度

16-20点 重度

21-27点 きわめて重度

 

②CES―D(center for epidemilogic studies depression scale)

このテストは、米国国立精神保健研究所(NIMH)により開発されたうつ病や抑うつ状態の有無を調べるためのテストです。

20の質問に対して、それぞれ1週間に、どのぐらいの頻度で症状があったかを答えていきます。

 

 

合計点16点以上で、うつ病もしくはうつ状態が疑われます。

実際の質問票と判定は以下の通りです。(図3)

 

(※図3)

③SDS(Self-rating Depression Scale)

Zungにより考案されたうつ病チェックテストで、20項目の質問からなります。

質問は、

 

「憂うつ、抑うつ、悲哀」「日内変動」「啼泣」「睡眠」「食欲」「性欲」「体重減少」「便秘」「心悸亢進」「疲労」「混乱」「精神運動性減退」「精神運動性興奮」「希望のなさ」「焦燥」「不決断」「自己過小評価」「空虚」「自殺念慮」「不満足」

 

の20項目で構成されており、うつ病かどうかの判定だけでなく、重症度の判定も行うことができます。

 

合計点50点以上で、うつ病もしくはうつ状態が疑われます。

実際の質問票と判定は以下の通りです。(図4)

 

(図4)

 

<判定>

 

~49点 正常

50点~59点 軽度のうつ状態

60点~69点 中等度~高度のうつ状態

70点~ 極度のうつ状態

 

④東邦大式うつ状態自己評価尺度(SRQ-D  Self-Rating Questionnaire for Depression)

このテストは、東邦大学心療内科で考案された身体的な不定愁訴が主で、精神的な症状が目立たない仮面うつ病の診断を行うテストです。

 

質問は、全部で18問あり、それぞれの質問に対して「はい」「いいえ」のいずれかでまず答え、

「はい」の場合には「ときどき」「しばしば」「常に」のいずれかで回答します。

 

合計点16点以上で、仮面うつ病が疑われます。

実際の質問票と判定は以下の通りです。(図5)

(図5)

<判定>

 

「いいえ」の場合は0点

「はい」の際は「ときどき」の場合が1点、「しばしば」の場合は2点、「常に」の場合は3点とする。

ただし、質問2、4、6、8、10、12はcontorl questionのため、どの答えを選択していても0点です。

 

10点以下 問題なし

11点~15点 境界域

16点以上 仮面うつ病が疑われる

 

うつ病チェックの信憑性は?

 

今回4つのうつ病チェックテストを紹介しましたが、この4つのテストは、どのテストも実際の診療現場で使用されている

チェックテストで、どれも、患者-健常者で有意な得点差があり、うつ病の判定テストとしては十分信用できるものです。

ただ、インターネットを検索すると、様々なうつ病チェックテストが表示され、中には、信ぴょう性のないものも存在していますので注意しましょう。

 

2.チェックリスト後に、病院に行くべきかどうかの判断基準

チェックテストでうつ病が疑われる判定結果が出て、なおかつ、それらの症状が2週間以上続いている場合は、なるべく早くに病院を受診するようにしましょう。

うつ病は、早期に治療を開始できれば、治療期間も短く、治ることも可能な病気です。

「軽度だからいいか」と放置せず、たとえ軽度でも病院を受診するようにしましょう。

 

3.医師によるうつ病の診断方法・診断基準

うつ病の診断は、通常、心療内科医もしくは精神科医が行います。

患者さんから症状や症状が出るきっかけとなった出来事の有無などをお聞きする問診と呼ばれる診察形式が主体で、患者さんから(必要であればご家族の方からも)聞いた内容を総合的に判断して診断していきます。

 

診断補助として、先に紹介しましたうつ病チェックテストを行うこともありますし、身体的な症状の訴えが多い場合は、体の病気の有無を調べるために血液検査などを行うこともあります。

 

うつ病の診断基準は、アメリカ精神医学会作成の「DSM-Ⅳ-TR』もしくはWHO(世界保健機構)が作成した「ICD-10」と呼ばれる2つの国際診断基準が使用されています。

 

「DSM-Ⅳ-TR』のうつ病診断基準

 

1.ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。  注: 小児や青年ではいらいらした気分もありうる。

2. ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退

3.著しい体重減少、あるいは体重増加 (例えば、1ヶ月に5%以上の体重変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。

4. ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。

5. ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止 (イライラする、または、ほとんど動きがない状態)

6. ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。

7. 無価値観、または過剰あるいは不適切な罪責感 (妄想的であることもある) がほとんど毎日存在。

8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日存在。

9. 死についての反復思考

(特別な計画はない反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画)

 

①~⑨の症状のうち、5つ以上の項目が最近2週間以上続いていて、苦痛を感じている、あるいは生活に支障を来している場合に、うつ病と診断されます。(ただし、①と②についてはどちらか一方は必須)

「ICD-10」の診断基準

 

【大項目】

抑うつ気分

興味と喜びの喪失

易疲労感の増大と活動性の減少

 

【小項目】

集中力と注意力の減退

自己評価と自信のなさ

罪責感と無価値感

将来に対する希望のない悲観的な見方

自傷あるいは自殺の観念や行為

睡眠障害

食欲不振

 

これら大項目3つ小項目7つの症状が2週間以上続いているかどうかで診断します。

 

【診断目安】

大項目の症状2個+小項目の症状2個 「軽症うつ病」

大項目の症状2個+小項目の症状3~4個 「中等症うつ病」

大項目の症状3個+小項目の症状4個 「重症うつ病」

 

「単に落ち込んでいる・やる気が出ない」と「うつ病」の違い

 

精神的にショックな出来事があったり、嫌なことがあったりすると、気分が落ち込んだり、やる気がなくなったりします。

が、これは病気ではありません。

一方、うつ病でも、気分の落ち込み、やる気のなさがおこります。

どこに違いがあるのか?

それは、気分の落ち込みややる気のなさがどれくらい続いているか?

日常生活や社会生活に支障が起こっているか?で区別します。

具体的に説明しますと、2週間以上ほとんど毎日、気分や落ち込みがあり、やる気が出ず、好きなことすら面倒と思って出来ない場合は、うつ病の可能性があります。

また、気分の落ち込みややる気のなさがひどく、家事ができなかったり、仕事に行くことができなかったりと生活に支障が起こっている場合も、うつ病の可能性があります。

 

4.うつ病の治療の流れ

うつ病の治療は、3段階に分けることができます。

 

4-1. 第一段階:急性期

症状が顕著に現れている時期です。

この時期の治療の基本は、投薬と休養です。

抗うつ薬を主体とした投薬治療を行いながら、ストレスの軽減を図るために休職など休養できる状況の確保を行います。

抗うつ薬の効果は、飲み始めてから4週ぐらい経過しないと出てきません。

効果が感じられないとして自己判断で中止しないようにしましょう。

 

4-2. 第二段階:回復期

この時期になると、症状が目立たなくなり、治ったと思ってしまうことも多いですが、

良くなったと思って薬を中止すると、すぐに再発する不安定な時期です。

この時期の治療としては、薬の服用は続けながら、社会復帰に向けて、生活リズムを整えることを行っていきます。

具体的は、「朝は決まった時間に起きる」「3食きちんと食事をとる」「気分の良いときは散歩に出かけるなど体を動かす機会を作る」などです。

NPO法人などが運営している職場復帰のためのリワークプログラムに参加するのもこの時期となります。

 

4-3. 第三段階:再発予防期

症状もなくなり、社会復帰も果たし、元通りの生活が送れるようになってくる時期です。

ですが、うつ病は再発しやすい病気です。

この時期まで達した場合でも、些細なことをきっかけに再発するケースは多いです。

ですので、この時期に達しても、薬はまだ中止せず、1~2年間は量を減らしながら継続して服用するのが基本です。

今まで服用していた薬を急に中止すると、頭痛やめまい、吐き気などの離脱症状が現れます。

自己判断で中止せず、主治医の指示に従って薬は減らすようにしましょう。

 

4-4. まとめ

「うつ病は、心の風邪」といいますが、風邪とは違い2~3日で治るものではありません。

早期に治療を開始しても、元の状態に戻るには、数か月から半年、人によっては何年もかかります。(図6)

焦らずに、ゆっくりと治療に専念することがうつ病治療では大切となります。

 

 

5.うつ病に悪化させないための予防法・対策

5-1. 考え方の癖を知って、柔軟な考え方をするよう意識する

うつ病は完璧主義的なものの考え方をする人や責任感の強い人に起こりやすい病気です。

うつ病に陥りやすい考え方として10の考えがあります。

こうしたうつ病に陥りやすい考え方をしていないか、振り返ってみましょう。

 

<うつ病に陥りやすい10の思考パターン>

1:全か無か思考

  完璧かダメかしかないものの考え方です。

  つまり、少しでも自分が思い描く結果が残せないと「ダメ」と結論付けてしまう考え方です。

 

2:一般化のしすぎ

  実際は、そうではないのに、いつも失敗する、いつも上手くいかないと決めつけてしまう考え方です。

  例えば、「自分は、話下手なので、いつも人から嫌われる」と考えること。

 

3:心のフィルター

  悪いことしか認識できないものの考え方です。

  悪いこともあれば、良いことも必ずあるはずなのですが、良いことは完全に無視し、悪いことばかりに目が向いてしまいます。

 

4:マイナス化思考(プラスの否定)

  良いことでも悪いことのように考えてしまう考えてしまう考え方です。

  例えば、仕事をうまくこなし上司から評価されたにもかかわらず、「たまたま上手くいっただけ。上司も本音は評価なんてしない」と考えること。

 

5:結論への飛躍

  自分で勝手に先読みし、結論を決めつけてしまう考え方です。

  例えば、単純なミスをして上司から怒られたときに「上司に嫌われてしまった。もうこの職場にいることはできない」と考えること

 

6:拡大解釈(破滅化)と過小評価

  失敗は大きく、成功は小さくとらえてしまうこと。

 

7:感情的決め付け

  自分の感情を根拠に物事を決めつけてしまうこと

  例えば、イライラして仕方がないとき、自分のイライラを人のせいにして、あの人は性格が悪いなどと決めつけてしまうこと。

 

8:すべき思考

  「・・・・・しなければ」いけないと自分に課題を貸してしまうこと。

 

9:レッテル貼り

  「自分は母親失格」などと自分で自分を否定しまうこと。

 

10:個人化

  自分だけに責任があるわけではないのに、自分だけが悪い、自分に責任があると決めつけてしまうこと。

 

5-2. バランスの良い食生活を心がける

うつ病では「セロトニン」と呼ばれる脳の伝達物質が減少しており、「セロトニン」の減少がうつ病の発症に関与しているとする説があります。

「セロトニン」は食品中に含まれる「トリプトファン」から作られます。

「トリプトファン」を多く含む食品を積極的にとるようにしましょう。

 

<トリプトファンを多く含む食品>

牛乳、チーズなどの乳製品、大豆、みそ・納豆などの大豆製品、鳥のささみ、赤みの肉、カツオ・マグロなどの赤魚

 

5-3. 朝日を浴びる

朝日を浴びることで体内時計はリセットされ、規則正しい生活リズムを刻むことができ、

日中は活動し、夜は、ぐっすり眠ることができます。

また、朝日にはセロトニンの分泌を促進する作用があります。

 

6.うつ病と診断されたときの今後の過ごし方のアドバイス

うつ病と診断された場合は、とにかく、無理しないことが大切です。

もともと、うつ病になる人の多くは、頑張り屋さんが多いため、多少無理をしてでも心が悲鳴をあげているのを無視して仕事を続けたりします。

 

ですが、それは、うつ病を悪化させるだけで、治療期間を長引かせてしまうだけにすぎません。

人目が気になる、人の評価が気になるのは分かりますし、人に迷惑をかけていると思う気持ちも理解できますが、病気が長引けば長引くほど、自分自身もつらいですし、周囲にも迷惑がかかることになります。

 

病気が治れば、いくらでも、かけた迷惑の償いはできるはずです。

ですので、うつ病と診断されたら、まずは、治療に専念しましょう。

また、気分転換をしようと無理に運動したりする人がいますが、うつ病は活動エネルギーが枯渇している状態です。

 

ですので、無理に運動しても、余計に疲弊してしまい、気分転換にならないことの方が多いです。

気乗りしないことは無理にしないようにしましょう。

 

7.おわりに

うつ病について説明してきましたが、ストレス社会である現代において、うつ病は誰でもかかる可能性のある身近な病気です。

少しでも、おかしいなと気づいたら、我慢せず、病院を受診するようにしましょう。

精神科や心療内科を受診しにくい場合は、かかりつけ医に相談してもよいです。

 

 

 

執筆
医師:豊田早苗
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