【作用が強いステロイド】デルモベート軟膏を有効・安全に使用するために

黒田 真生

デルモベート軟膏は、ステロイドを有効成分とする塗り薬の中でもとりわけ作用が強力なものです。普通に使用するうえでは有効性・安全性ともに高い薬ですが、同時にそもそもの作用が強いために使い方を誤ると危険でもあります。


そのため、この薬を使うにあたってはその都度医師や薬剤師から助言を受けることが大切です。このコラムでは、その補助をする目的で、ある程度一般的に通用するデルモベート軟膏の使用上の注意点を解説します。

※この情報は、2017年11月時点のものです。


1.デルモベート軟膏とは

デルモベート軟膏は、「クロベタゾールプロピオン酸エステル」を有効成分とする塗り薬です (1)。いわゆる「ステロイドの塗り薬」にあたり、皮膚の赤みや腫れ、かゆみなどを鎮める効果を持ちます。「ステロイド」という言葉を聞いて拒否反応を示す人もいますが、後述するように適切に使用すれば、極めて安全で効果的な薬です。

デルモベートを含めた、ステロイド外用薬は一般に以下のような病気や症状に使用されます。

 

●各種湿疹・皮膚炎
●虫刺され
●ケロイド

 

要約すれば、様々な皮膚の病気・症状に使用される、ということです。また、この後紹介するように、ステロイド外用薬にはたくさんの種類があります。

では、デルモベートは他の類似した薬と比較してどのような特徴を持つのか。これについて説明するうえで、ステロイド外用薬の「ランク」について述べる必要がありそうです。

2.ステロイド外用薬の「ランク」

多くの薬には、兄弟のような関係にある薬がいくつか存在するものです。これの意味するところを少し専門的にいえば、薬の化学構造あるいは身体に作用する仕組み・メカニズムが共通している、ということです。要するに、似たもの同士の薬です。

 

こうした薬は、効き目の程度 (例えば血圧を下げる薬ならどの程度血圧が下がるか) も大きく変わらないのが一般的です。もちろん、薬には使う人によって「あう・あわない」がありますから、ある薬を使っていた人が別の類似薬に変更することで、より効果が高くなること、またはその逆はあり得ます

 

しかし、多くの人を対象に調査すると、作用メカニズムの共通した薬は、その効果もおしなべて同じくらいに落ち着く場合が多い、ということです。

 

ところが、この例外がステロイド外用薬です。

 

つまり、同じステロイド外用薬というグループに属するもの同士でも、明確に効果の強さに差異が認められるのです。今では多くの研究の成果として、どの薬がどの程度の強さを持つのか、かなりの部分が明らかにされています。

 

具体的には以下の通りで、最強の「ストロンゲスト」から最弱の「ウィーク」までという5段階の「ランク」に分類する方法が日本では採用されています (2)。ちなみに、他の国や地域などでは7段階や (3)、4段階に分ける方法 (4) もありますが、おおまかな方向性は共通していますから、以降は日本式の分類にもとづいて述べます。

 

●ストロンゲスト: デルモベート、ジフラール、ダイアコートなど
●ベリーストロング: フルメタ、アンテベート、トプシム、マイザーなど
●ストロング: エクラー、メサデルム、ボアラ、フルコートなど
●ミディアム: リドメックス、アルメタ、キンダベート、ロコイドなど
●ウィーク: プレドニゾロンなど

 

上を見ていただければお分かりのように、今回のテーマであるデルモベートは、作用最強の「ストロンゲスト」に属します。

 

こうしたランク分けの意義は、強いランクの薬は症状の強い部分に、弱いランクは逆に軽症な部分に使用することで、必要十分な治療効果を得ながら副作用を最小化することにあります。読者の方の中には、上で挙げた薬のいくつかを、

 

一度の受診で同時にもらった経験をお持ちの方もいるかもしれませんが、これがその理由です。

 

したがってデルモベートは、それ以下のランクのステロイド外用薬では対応が困難な、特に症状が強い部位に使用するのが普通です。参考までに、ステロイド外用薬が使用される代表的な病気であるアトピー性皮膚炎に関していえば、重症の部位でもベリーストロングまたはストロングクラスを基本に使用し、これらで効果が不十分な場合にデルモベートを含んだストロンゲストクラスを考慮する、という方針が一般的です (2)。

3.基本的な使い方

3-1. 塗る回数

薬には、公的な説明書である「添付文書」があります。これを参照すると、デルモベート軟膏の使い方は、

 

通常1日1~数回適量を塗布する。なお、症状により適宜増減する。

 

とあります。つまり、1日に何回塗るのかは、症状次第です。しかし、実際に調べてみると例えばアトピー性皮膚炎に用いる場合、作用の強力なステロイド外用薬では1日1回塗る場合と複数回塗る場合とで、大きな効果の違いが認められませんでした (5, 6)。

 

こうした結果を受けて、現在では急に悪化したような場合では1日2回朝・風呂上がりに塗り、落ち着いて来たら1日1回に減らす、というパターンが採用されることが多くなっています。

 

ときおり勘違いをしている方がいますが、例えば体幹に塗った場合、服にこすれて軟膏そのものは程なくして皮膚からはがれてしまいます

 

しかし、軟膏の油分自体が皮膚から除去されても、有効成分は皮膚の中にきちんと入っていますから、効果の上では支障ありません。だからこそ、1日1回でも効果が得られるわけです。

3-2. 塗る場所

デルモベート軟膏を塗る場所は、当然「症状がある場所」ですが、症状さえあればどこでも無差別に使用してOK、とは通常なりません。

 

なぜなら、皮膚の厚さが体の部位によって大きく異なるからです。皮膚が厚い部分では塗り薬は吸収されやすくなり、薄い部分ではその逆となります。

 

デルモベートは、ステロイド外用薬の中でもっとも作用の強いグループですから、皮膚の薄い部分に使用するのは副作用の観点から好ましくありません。

 

逆に、皮膚の厚い部分で他のステロイド外用薬が力不足になるようなケースでは適しているといえるでしょう。

 

では、皮膚の薄い部分と厚い部分とは、具体的にどこのことか。細かいことをいえばいろいろとありますが、簡単に、「首から上は薄く、それより下は比較的厚い」と覚えるとよいでしょう。したがって、デルモベートに関していえば、首から上に使うことは通常稀で、基本はそれより下の部位に使うものだと考えて差し支えありません。

4.副作用について

「ステロイド」と聞くと「副作用が怖い」と反射的に考える方が、今でもいるようです。この点については、世間一般でも誤解されているきらいがあると感じますので、ここで少し詳しく解説します。まず、ステロイドを使うことで、重大な副作用が生じることがあるのは、事実です。そして、その仕組みは、こういうことです。

4-1. ステロイドの「離脱症状」が生じる仕組み

もともと、ステロイドとは正常な体内にも存在する、ホルモンの一種です。腰のあたりに、左右一対「腎臓」という臓器があるのはご存知と思います。この腎臓の上に、巾着袋のような形をした別の臓器が乗っかっており、これを「副腎」といいます。

ステロイドは、この副腎から分泌されます。そのため、より正確には「副腎皮質ステロイドホルモン」などと表現されることがあります (「皮質」とは臓器の表面に近い部分のことです。ステロイドはここから分泌されます)。

 

どのホルモンに関してもいえることですが、体内における量は多すぎても少なすぎてもよくありません。そのため、身体には今どのくらいのホルモンが存在するのか感知する仕組みが備わっており、ホルモン量は常に監視されています。

ステロイドに関してもこれはいえ、量が足りなくなると副腎からの分泌量が増え、多くなり過ぎるとその逆になります。

薬としてステロイドを服用すると、当然体内のステロイドの量が増えます。すると、今述べたような調整システムがはたらき、副腎からのステロイド分泌量は減少します。

また、服用するのを止めると、それまでのバランスされた状態からステロイドの量が減りますから、副腎は急いでこれを分泌し、必要な量を回復しようとします。

このように、通常であれば薬としてステロイドを使用したからといって、ホルモンバランスを崩すことはありません。

 

ところが、長期間にわたって大量のステロイドを使い続けた場合、少々事情が異なってきます。この場合、身体の中には常にたくさんの薬由来のステロイドがあることになります。

ここで、そうした状況に置かれた副腎の立場になって考えてみてください。本来はステロイドを作る仕事は、自分の役割だったのに、今では薬という形でたくさんのステロイドを賄うことができている。となれば、「別に自分が頑張ってステロイドを作らなくてもいいや」と考えるのは自然といえるでしょう。

実際その通りになり、副腎はステロイドの生産量を下方修正します。

 

さて、この段階になっていきなりステロイドを服用するのを止めたら、どうなるでしょうか。

結果はご想像の通りで、一気にステロイドホルモンが不足します。ともあれ、ここで副腎が頑張って必要量のステロイドを作ってくれれば、深刻な事態にはならないでしょう。

しかしながら、長期間にわたってステロイドの生産量を減らし続け、それに慣れきってしまった副腎には、こうした急速なホルモン不足に対応することができません。

あたかも、長期のブランクを経験したスポーツ選手が元のパフォーマンスを取り戻すのに時間を要するように、副腎が元のステロイド生産の能力を回復するにも、時間がかかるのです。副腎皮質ステロイドは、生命を維持するうえで大変重要なはたらきをしていますから、これが急激に不足すると、命にかかわる症状を引き起こします。

 

具体的には、発熱・筋肉痛・ショック (血圧が急に下がり、各臓器に必要な血流を確保できなくなった状態) などです。こうした仕組みで生じる一連の症状を「離脱症状」と呼びます。もっとも、ステロイドには他にも副作用がありますが、煽情的に「怖い副作用」として取り上げられるのは、この離脱症状であることが大半です。

4-2. 普通に塗り薬を使う上で離脱症状の心配は通常不要

ここまでの内容を読むと、ステロイドを有効成分とするデルモベート軟膏も、かなり危険な薬だと感じる方がいるかもしれません。しかし、基本的にはそれは杞憂といえます。なぜか。その理由を説明します。

まず、大前提として先にあげた離脱症状は、飲み薬または注射薬としてステロイドを使用した場合に、ほぼ限定的に現れるものです。

 

これは、飲み薬や注射薬として投与された薬は血液中に溶け込み、全身に行き渡るからです。他方、ステロイドにはデルモベート軟膏に代表される塗り薬や、気管支喘息などの治療に用いる「吸入薬」、いわゆる「目薬」である「点眼薬」などの形もあります。

これらは、飲み薬などとは異なり、使用した場所で局所的に作用し、血液中まで移動することは通常ありません。塗り薬なら皮膚だけ、吸入薬なら気管支や肺だけ、といった関係性です。先ほど述べたホルモンの調整システムは、血液中のホルモン量を感知しています。

したがって、ステロイドが血液中まで移動しない形で使用する分には、離脱症状の心配をする必要は、そもそもないわけです。

 

こう書くと、「塗り薬の成分は血液中まで届かないとあるけど、詳しく調べれば少しは移動しているのでは?」と反論があるかもしれません。その指摘自体は、正しいものです。しかしながら、今一度さきほどの文章を見直してみてください。離脱症状は、「長期間にわたって大量のステロイドを使い続けた場合」に生じるものだと書かれていることに気づくと思います。

 

つまり、離脱症状が起きる前提として、相応の「時間」と「量」が必要になるのです。ですから、大量のステロイドを使う場合でも短期間なら、あるいは長期に使う場合でも少量なら、それが離脱症状につながることは、通常ありません。特にデルモベートのような作用の強い外用ステロイドは、先ほど述べたように病気や症状の状態が悪いときに限定して使い、よくなったらランクを下げるのが普通ですから、そもそも長期間使用するケースは少ないのです。したがって、やはり離脱症状を起こすことは稀といえます。

4-3. どのくらいならOKか?

かなり前置きが長くなりましたが、では具体的にどのくらいの量や期間なら、デルモベート軟膏を使っても問題ないのか。その一般的な目安をお伝えします。先ほど紹介した離脱症状をはじめとした副作用は、その作用が全身に及ぶことから、ステロイドの「全身性副作用」といいます。各ランクのステロイド外用薬で、全身性副作用が生じるといわれる1日あたりの使用量は、以下の通りです (7)。

 

●ストロンゲスト:10g/日以上
●ベリーストロング:20g/日以上
●ストロング以下:40g/日以上

 

ちなみに、これは成人での話です。子供に使用する場合は、体格を考慮して上記の数値の半分弱がボーダーラインといわれています。これに加えて、安全とされる量は余裕を持ってそれぞれ上記の半分くらいと見込まれています (7)。

 

次に、「期間」についてですが、一般に3カ月までなら副腎がホルモンを作る能力が回復不能になることはないと考えられています (7)。それより短期間の場合は、一時的に副腎の機能が落ち込んでも、薬を中止してしばらくすれば、副腎の機能は回復するのが普通です。

ここまでは全身性副作用について述べてきましたが、ステロイド外用薬には塗った部分にのみ見られる副作用もあります。これを「局所性副作用」といい、むしろこちらの方が頻度の高いといえます。局所性副作用にはいくつか種類がありますが、代表的なものを具体的に上げると以下の通りです (1)。

 

●皮膚が薄くなる
●毛細血管の拡張
●ニキビ
●多毛

 

一部例外を除き、これら局所性副作用はステロイド外用薬を塗るのを止めれば回復します。最強ランクであるストロンゲストでも、2週間以内であればこれらの副作用は通常起きないと考えられています (7)。一方、塗る量と局所性副作用の関係性については、現時点ではよく分かっていません。個人差がかなりあることが、その主な理由です。

 

以上を考え合わせると、2週間以内かつ1日あたり5g未満の使用量なら、通常安全であると推定されます。デルモベート軟膏は1本5gのチューブで販売されていますから (1)、毎日1本のチューブを空ける使い方を2週間以上続ける、ということをしない限り過剰な心配は不要ということです。

現実的にも、こうした使い方をするシチュエーションは非常に稀ですから、やはり普通に使用する分にはそれほど心配することはないといえます。これが、冒頭でステロイド外用薬が「適切に使用すれば極めて安全な薬」と書いた理由です。

5.軟膏・クリーム・スカルプローションの違い

ところで、「デルモベート」と名前がつく薬には、軟膏の他に「クリーム」と「スカルプローション」があります。これらは、それぞれ軟膏とどう違うのでしょうか。

5-1. クリームについて

まず、クリームの方ですが、こちらは軟膏と基本的にほとんど違いないものです。有効成分の量や、塗り方などもほぼ変わるところがありません。大きく異なるのは外見で、軟膏は油っぽいのに対し、クリームは白っぽくてよりフワッとした感触があります。

 

軟膏はその油分によって塗った部分の乾燥を防ぐ効果があり、アトピー性皮膚炎など皮膚が乾燥する病気に適しています。逆に軟膏の欠点はべたつきやすいことで、特に夏場などは不快になりがちです。

 

こういう時にはクリームの使用感が勝ることがあります。つまりが、皮膚の状態や使い心地に応じて、細かな使い分けができるように、ラインナップを増やしているのです。逆にいえば、両者の違いはその程度ともいえます。

5-2. スカルプローションについて

一方で、スカルプローションは軟膏・クリームとは大きく使用目的が異なります。これは、頭皮に使うための薬で、液体の中に有効成分を溶け込ませてあります (8)。

ちょっと考えてみれば分かると思いますが、軟膏やクリームを頭皮に塗ろうとしても、よほどの短髪でない限りは髪の毛ばかりに塗り薬が付着し、とても塗りにくいでしょう。

 

そこで、液体にすることで頭皮に塗りやすくしたのがスカルプローションというわけです。そもそも、「スカルプ」とは英語で頭皮の意味ですから、もっぱら頭皮に使うことを目的としているのです。

6.まとめ

ここまで見てきたように、デルモベートはステロイド外用薬でもっとも作用の強い部類に属しますが、それでも適切に使えば十分に安全です。また、ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎をはじめとした各種皮膚の病気・症状にとても効果的なグループでもあります。

 

したがって、過剰な心配をすることなく、指示された使い方を守ることが、病気や症状の改善に大いに役立つでしょう。

しかしながら冒頭でも断った通り、ここで述べているのはあくまでも一般論です。

 

一般論には、例外が存在するのが常です。先に述べた安全量に関しても、使用する部位の状態やその他の条件次第では、必ずしも当てはまらないケースは存在します。

このあたりに関しては、個別に判断する他ありませんから、使用にあたっては必ず医師・薬剤師の指示を守ることが重要です。強力な作用を持つがゆえに、上手く使えばとても有効な薬ですが、そうでない場合は危険性も増します。

 

専門家の指導の下に使う必要があることを、最後に重ねて強調しておきます。

■デルモベートはステロイド外用薬なかで作用最強のランクに属する
■症状が特に強い部分や皮膚が厚い部分に使用されることが多い
■指示された使い方を守っている限り、ステロイド外用薬だけで全身性副作用を生じることは稀である
■局所性副作用は短期間の使用であれば生じにくく、仮に起きても大部分は回復可能である

 

参考文献

(1) デルモベート軟膏 添付文書 グラクソ・スミスクライン株式会社
(2) 日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン作成委員会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2016 年版
(3) Eichenfield LF, et al. J Am Acad Dermatol. 2014 Jul;71(1):116-132. PMID: 24813302
(4) NICE Guidance. Frequency of application of topical corticosteroids for atopic eczema
(5) Green C, et al. Br J Dermatol. 2005 Jan;152(1):130-141. PMID: 15656813
(6) Green C, et al. Health Technol Assess. 2004 Nov;8(47):iii,iv, 1-120. PMID: 15527669
(7) 阿曽三樹 他 日本医事新報 1993 3625:135-136.
(8) デルモベートスカルプローション 添付文書 グラクソ・スミスクライン株式会社

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