【夢の薬はある?】糖尿病の治療薬と生活習慣の改善法を解説

"糖尿病と診断されたけれど、自覚症状がなく、いまいち実感がわいていないため、治療に前向きになれない方もいるのではないでしょうか?

病院や薬局で、お薬の説明を受けても右から左へ流れていくばかり。そんなときに、糖尿病を治す画期的なお薬があるという情報を耳にして、「糖尿病 治療薬」と検索し、この記事にたどりついた方もいるかもしれません。

最初にお伝えしなければならないことは、「現時点では、糖尿病を完全に治す夢のようなお薬はない」ということです。というのも現在のお薬は、合併症が起きないように血糖をコントロールすることを目的としているためです。

今回は、糖尿病の治療薬について分かりやすく解説するとともに、生活習慣の改善のポイントについてもご紹介します。"
※この情報は、2017年3月時点のものです。

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1.糖尿病を治す夢の薬はある?

冒頭に申し上げた通り、糖尿病を完治させる夢のようなお薬は現状ありません。

 

生活習慣を整えるとともに、今手元にあるお薬をしっかり飲んで、将来おこりうる合併症の発症と進行を抑えるために血糖をコントロールすることが大切です。

 

一時期、ネットやメディア等で、糖尿病の夢のお薬と取り上げられていたのが、「インクレチンとよばれるホルモンに関連したお薬」です。

インスリンの分泌を促進し血糖を下げる作用を持つインクレチンとよばれるホルモンの効果を高める作用をもつ薬です。今までの糖尿病の治療薬の特徴ではなかった、血糖依存的に効果を示すことで低血糖の副作用の心配が少ない、すい臓を保護する作用がある、などの特徴があります。

画期的なお薬ではありますが、このお薬が糖尿病を原因から治すということは現状ではまだまだ難しいため、残念ながら夢のお薬と言えるほどでもないのが現状です。

糖尿病の治療薬には様々な種類のものがありますが、どのお薬も糖尿病を原因から完治させるのではなく、血糖値を下げておくことによって、将来おこりうる合併症の発症と進行を抑えることを目的としているのです。

 

糖尿病には2つのタイプがあり、治療方法が異なる

糖尿病は2つのタイプがあり、「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分かれます。

1型糖尿病は、発症の原因が生活習慣とは関係なくインスリン分泌がすい臓から出なくなる疾患です。インスリンの補充が必須になるため、インスリン注射が治療の中心です。

一方、糖尿病の方の約9割は2型糖尿病に分類されます。2型糖尿病の原因は、遺伝的な要因と不規則な食事や運動不足、肥満などの生活習慣などから引き起こされるインスリンのはたらきの低下などです。食事療法、運動療法など生活習慣の改善を基本とし、それでも血糖がコントロールできない場合に、お薬を服用して血糖値を下げる治療を行っていきます。

 

2.糖尿病の治療ではどのお薬を飲むべき?

2-1. 糖尿病の治療薬一覧

糖尿病の治療に用いられるお薬には、様々なタイプのお薬があります。

 

①スルホニル尿素薬(SU薬)

インスリン分泌を行うすい臓にはたらきかけ、インスリン分泌を促進させ血糖値を下げる作用があります。

<代表的なお薬>

アマリール®、オイグルコン®、ダオニール®、グリミクロン®

 

②速効性インスリン分泌薬

スルホニル尿素薬(SU薬)と同様に、すい臓にはたらきかけ、インスリン分泌を促進させ、血糖を下げる作用があります。SU薬と比較すると、作用の効きの立ち上がりがはやく、効果もすみやかに消失します。

<代表的なお薬>

スターシス®、ファスティック®、グルファスト®

 

③αグルコシダーゼ阻害薬

食べ物に含まれているブドウ糖の吸収を腸でおさえることによって、食後に血糖値が高くなるのを抑える作用があります。

<代表的なお薬>

ベイスン®、グルコバイ®、セイブル®

 

④ビグアナイド薬

肝臓で糖が作られるのを抑えたり、筋肉で糖の利用を高めたりすることによって、血糖値を下げる作用があります。

<代表的なお薬>

メトグルコ®

 

⑤チアゾリジン誘導体

筋肉や脂肪などの組織でのインスリンのはたらきを高めることによって、糖の利用を促進し、血糖値を下げる作用があります。

<代表的なお薬>

アクトス®

 

⑥DPP4阻害薬

インスリン分泌を高める作用がある小腸から分泌されるインクレチンホルモン(GLP-1)のはたらきを高めることによって、血糖値を下げる作用があります。

<代表的なお薬>

ジャヌビア®、グラクティブ®、ネシーナ®、エクア®

 

⑦SGLT2阻害薬

腎臓において糖の再吸収を抑え、尿と一緒に糖を外に排泄することによって、血糖値を下げる作用があります。

<代表的なお薬>

スーグラ®、フォシーガ®、ルセフィ®、カナグル®、アプルウェイ®、デベルザ®

 

⑧インスリン製剤

インスリンを体の外から補充することによって、血糖をコントロールします。1型糖尿病では、インスリン製剤での治療が基本です。2型糖尿病でも、初期の段階からお薬と併用して使用されるケースも増えてきています。

<代表的なお薬>

ノボラピッド®、アピドラ®、ランタス®、トレシーバ®、ヒューマログ®

 

2-2. どのお薬をのんだら良いの?

糖尿病の治療には沢山のお薬の種類があり、次々に開発が進んでいます。

 

「新しいお薬=効果が高い」と思われる方も多くいますが、一概にそうとは言い切れません。効果には個人差があり、その方の症状にあったお薬を飲むことが大切です。

様々な臨床データや経験から、専門の医師はどのお薬が適切であるかを判断します。個人的にお薬について詳しく調べるのは良いことですが、どのお薬をのむのが適切かの判断は、専門家でないと難しい部分があります。

 

血糖値が下がらないと不安にかかえているときこそ、どの治療薬が良いのか主治医とよく相談し、その専門家の判断を信じ、毎日しっかりとお薬を飲むことが大切です。

3.放っておくと本当に危ない!糖尿病の治療

私の経験上、糖尿病の治療において、自覚症状がないために生活習慣の改善やお薬の治療に対して意欲的に取り組めない方を多く目にしてきました。生活習慣の改善やお薬による治療をおろそかにしたことで、自覚症状を感じたときには合併症がだいぶ進行してしまっていた、というケースもあります。

 

ここで押さえていただきたいことは、糖尿病の治療について大切なことは、血糖を下げるという目的のさらに先にある、合併症の発症と進行をおさえることだということです。

3-1. 糖尿病の合併症とは?

血糖が高い状態、コントロールがうまくいっていない状態が続くと、全身に様々な合併症が起こります。その中でも代表的な合併症は3つあり、「糖尿病の三大合併症」といわれています。それぞれについて簡単に解説します。

糖尿病性網膜症


目の網膜にある細い血管が、血糖の高い状態が続くことにより障害を受けることによって起こります。視力低下や視野異常などの症状が起こり、進行すると治療することが難しくなり、失明に至ることもあります。糖尿病性網膜症は、自覚症状がなく進行が進むことが多く、主要な失明の原因のひとつとなっております。

 

糖尿病性腎症


腎臓の中で重要なはたらきを行う糸球体とよばれる毛細血管が、血糖の高い状態が続いて障害を受けることによって生じる合併症です。腎臓は、血液中の老廃物や塩分を尿として体の外へ出し、体に必要なものを再度吸収して体の中に残すといった、非常に重要なはたらきを担っています。

このような腎臓のはたらきがしだいに低下していくと、それを補うため透析を導入する必要がでてきます。糖尿病性腎症も、自覚症状がなく進むことが多く、透析導入の主要な原因の一つとされています。

糖尿病性神経障害


血糖が高い状態が続き、末梢神経が障害されることによって起こります。初期の段階では、手足の末端にしびれを感じるなどの違和感がでてきます。やがて、手足の感覚が麻痺し、痛い・熱いなどの感覚がなくなるため、怪我などに気づかず、潰瘍や壊疽へつながることがあります。壊疽が進むと、切断を余儀なくされることもあります。

3-2. 糖尿病を治療せずに放っておくとどうなる?

糖尿病と診断され、生活習慣の改善の指導やお薬による治療が開始されたにも関わらず、治療をしっかりと行わずに放置してしまうと、前章で説明したような合併症を引き起こす可能性がぐっと高くなります。

糖尿病は、自覚症状を感じることがなく進行します。

高血糖が続き、糖尿病性昏睡によって突然倒れることもあります。自覚症状に気づいたころには、合併症がすでに進行しており、もはや治療困難で、失明、透析、切断などを受け入れるしか手立てがない状況もあります。

このように、糖尿病を治療せずに放っておいた場合の代償は非常に大きいのです。なかなかそこが理解できずに、暴飲暴食を続ける方も多いので、声を大にして言っているのです。

恐ろしい合併症ですが、しっかりと治療を行い定期的に検査を行うことで、進行を防ぐことができます。深刻な状況になる前に、今やれる努力をしっかりと行うことが大切です。

 

4.生活習慣の改善で、血糖値は下がる?

糖尿病は、お薬によって血糖値を下げコントロールすることが大切ですが、最も重要なのは、運動や食事の内容を意識し生活習慣を改善することです。これからの生活次第で、お薬だけに頼らなくても血糖値を下げることができます。

4-1. 生活習慣の改善による効果は?

運動や食事などの生活習慣の改善によって血糖値の改善ができたという臨床のデータは数多く存在し、大規模な研究でも成果が認められています。

 

スウェーデンのMaimo市で行われた試験では、糖尿病のリスクが高い患者(糖尿病予備軍)と早期の2型糖尿病患者に対して、運動、食事療法を行うことによって、糖尿病の発生率を約1/3まで減少させています。糖尿病患者においても半数以上で、血糖値の改善がみられています(※1)

また、同様に、中国大慶(Da Qing)で行われた試験で、糖尿病のリスクが高い患者さん(糖尿病予備軍)に対して、生活習慣の改善を指導することによって、6年後までの糖尿病が発症するリスクを有意に下げることが報告されています。(※2)

つまり、生活習慣の改善によって、血糖値を改善し、糖尿病の進行を遅らせたり、予防することは可能だということです。

(※1)Eriksson KF, Lindgarde F. Diabetologia 1991; 34: 891-898.

(※2)Pan XR, et al. Diabetes Care 1997; 20: 537-544

4-2. 食事療法

糖尿病治療の基本は食事療法です。良好な血糖コントロールを維持するために、年齢や活動量に応じて指示がある1日の摂取エネルギーを意識し、必要以上のカロリーをとらないこと、また、栄養素のバランスの摂れた食事をとることが大切です。

4-3. 運動療法

食事療法と合わせて運動療法を行うことによって、より高い効果を得ることができます。ご存知のとおり、運動には様々な効果を期待することができます。血糖コントロールの改善はもちろんのこと、心肺機能を高め心血管障害のリスクを下げや、肥満の解消などにもつながります。一時的な激しい運動ではなく、日常生活の中で定期的にできる運動を行うことが大切です。

5.明日から、家族に宣言しよう

ここまでの内容で、糖尿病を楽に治す方法がないことは理解いただけたかと思います。突然糖尿病と診断され、治療がはじまり不安を抱えている方も多いでしょう。糖尿病の治療では、不安を独りで抱え込むのではなくご家族の協力を得ることが大切です。

 

なぜなら、

・食事に気をつけなければならない

・運動をしないといけない

・お薬をしっかりと飲まないといけない

・定期的に検査を受けないといけない

などと、気をつけなければいけないことがたくさんあるからです。

合併症の恐ろしさが分かっていても、ついつい今日だけは・・・・と甘えてしまいがちです。その場合は、ご家族の協力を得ることで、その甘えを払拭することができます。「お父さん、食べ過ぎだよ」「今日は散歩しないの?」「お薬は飲まなくて良いの?」など声が掛かるだけで、大きな励みになります。食事に関しては、家族の理解も必要です。

ご自身の甘えから脱却するため、ご家族に糖尿病の治療に専念することを宣言しましょう。

6.まとめ

今回は、糖尿病の合併症の恐ろしさや糖尿病の治療薬や生活習慣の改善について解説しました。冒頭に説明したように、効果的なお薬は開発されてはいるものの、糖尿病を根本から治す夢のようなお薬は現時点ではありません。

糖尿病の恐ろしさは自覚症状がないまま合併症が進行することです。合併症のリスクを下げるためには、お薬とうまく付き合っていくことが大切です。
食事や運動などの生活習慣の改善を第一とし、お薬とうまく付き合い、血糖をコントロールすることで合併症を防ぎましょう。

 

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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