【眼科医が解説】合併症で目が危ない?失明リスクもある糖尿病網膜症とは?

「糖尿病の合併症で失明する」
そんな恐ろしい噂を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
この失明のリスクをもたらす合併症は「糖尿病網膜症」と名付けられており、現代の失明の原因の20パーセントを占めており、失明原因の2位です。
でも、失明に至る方のほとんどが「自分は関係ない」と思っていたのです。
もちろん糖尿病にかかった方全てが「糖尿病網膜症」にかかるわけではありません。合併症を患う前に予防することも可能です。きちんと予防していれば糖尿病網膜症の失明は防げます。
今回は、「糖尿病網膜症」の症状・治療法に加え、合併症を予防する方法までをご説明します。
※この情報は、2017年5月時点のものです。

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1.知っておくべき糖尿病網膜症の症状と進行スピード

糖尿病網膜症とは、糖尿病を原因として目の奥に出血をきたすことです。

発症時は、出血するといっても痛くも痒くもありません。また、出血場所は目の中心から離れているので視力も1.0見えています。このとき眼科にかかっても「出血しているが定期観察でいいです」といわれて薬も出ません。「え、何もしないのに定期的に来るの?」と思うのですがそういう指示なのです。

 

最初は半年から1年に一回の診察、状況が悪化すると3か月ごとと診察頻度が細かくなりますが、それでも何もしません。そのためこの時点で、治療が嫌になって診察に行かなくなってしまう人も多いのです。

 

そして、ある日突然大出血をします。今までは小さな出血だったのですがそれが大きくなるのです。いままで1.0あった視力はメガネをかけても何をしても0.01になります。両目同じように出血すると歩くこともできません。「硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)」と言われる段階です。

 

もう一つの悪化方法としては、視力が突然0.4とかに下がってきます。モノが歪んで見えるようになります。「黄斑浮腫(おうはんふしゅ)」と言われる段階です。

 

2.この症状がある場合、すぐに病院へ。糖尿病網膜症の予兆

硝子体出血のように突然見えなくなったら誰でも病院に行きます。黄斑浮腫のように歪んでいる時は意外とまあいいかとしてしまう人がいますが、これも早期治療しないとどんどん悪化をします。

しかし、最も大切なのは「なんの症状もない時に受診する」という事です。糖尿病と言われ何も症状がない段階で受診、血糖値の状態も安定していれば「硝子体出血・黄斑浮腫」には非常になりにくいのです。

 

3.糖尿病網膜症の検査

糖尿病網膜症の検査は、「眼底検査」といわれる検査になります。瞳を開く薬を使って、目の奥をのぞいて写真を撮るというのが一般的です。ただし、瞳を開く薬を使うと数時間見えにくくなります。そのため仕事をして忙しい人などの場合は、簡易的に瞳を開かずに検査することも可能です。希望される場合には、医師と相談するようにしましょう。

4.糖尿病網膜症の治療方法

糖尿病網膜症の治療は治すというよりは、悪化を防ぐというのが主になります。

4-1.網膜光凝固術(レーザー治療)

一般的なのは、「網膜光凝固術(レーザー治療)」です。

糖尿病によって目の血流が悪くなります。すると、色々なところで血管が壊れて出血してしまうのです。そこで出血を止めるために出血源をレーザーで焼く。という意味合いとまだ出血していないところを全体的に焼いておくということがあります。

まだ出血していなくても血流が悪いところがあり、そこを放置しておくとします。すると、目は「血流が悪いからもう一本血流を作ろう」として新しい血管を生やします。ところが、この血管は急に作ったものなので簡単に壊れて出血してしまうのです。

そのため、そうならないように予防的にレーザーを行います。つまり、よくなるというより悪くならないための治療です。また、レーザー治療中にも状況は悪化していきます。走っている車はブレーキを踏んでも急には止まらないものです。治療中に硝子体出血や黄斑浮腫となり視力がさがると「レーザーをしたから見にくくなった」と勘違いされがちです。

4-2.黄斑浮腫の治療:注射

 黄斑浮腫の治療としては目に注射をする治療があります。黄斑というものを見る中心のむくみを抑えてくれる注射です。複数回注射をすることで悪化を食い止めるため1,2回やったら治るというものではありません。またむくみが引いても全く元と同じ見え方になるわけではなくて見やすくなるという治療となります。

4-3.硝子体手術

 硝子体出血がひどくなると網膜剥離をきたし、そうなると硝子体手術という治療になります。目に穴をあけて目の中の出血などを取る手術です。ここまで来ると大きい治療になってしまいます。

5.糖尿病網膜症の予防・進行を妨げる方法

糖尿病網膜症の予防や進行を防ぐためにできる一番の方法は、「血糖を下げること」です。ただし、血糖が下がってもしばらくは悪化していきます。「血糖値が良くなったのに目が悪くなっている」という方がいますが、血糖値が良くなって、それが長時間持続しないと目の状態は安定しません。

また、血糖値だけではなく血圧・腎臓の状態も大切です。そのためには自分の状態にあった「食事療法」を行うのが大切です。主治医と相談しましょう。運動も大切です。目の出血だから運動はしない方がいいのでは?と思う方もいますが血糖が悪くなれば目は悪くなるので運動はしっかりしましょう。

6.糖尿病網膜症以外の目の合併症

糖尿病網膜症以外にある目の合併症は「白内障」になります。糖尿病だと30代でも白内障になって手術をするということがあります。これは目のレンズへの栄養が悪くなり白内障となる。結果として視力低下をするからです。

その他に「角膜に傷がつく」ことがあります。目がゴロゴロしたり違和感を感じます。又、「視神経炎」といって目の神経に炎症が出てしまうこと、「ぶどう膜炎」といって茶目に炎症がでてしまうなど糖尿病によってさまざまな事をきたします。

そして、なにより「緑内障」になってしまうことがあるのです。緑内障は失明原因の1位、糖尿病が2位です。つまり1位、2位をどちらも持ってしまうとなると失明の危険はぐっと上がります。

7.おわりに

糖尿病は治療していても「よくなった」という実感もなく、徐々に調子も悪くなりやすい病気です。しかし、できることをしっかりしておけば将来に備えられます。貯金をすること、勉強をすることに似ているかもしれません。失明をしてしまうと、運転免許がなくなる、仕事ができなくなる、一人で歩けなくなる、家族の介護が必要になる、など様々な苦労があります。ぜひ現状の生活を保てるようにしていただければと思います。

 

参考図書

黄斑変性・浮腫で失明しないために ―わかりやすい最新治療―(時事通信出版局)

 

執筆
医師:平松 類
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