てんかんの症状にはどんなものがある?発作の種類と症状を解説

てんかんの症状とはどんなものでしょうか。てんかんというと、突然意識を失って倒れ、泡を吹いて、けいれん(ひきつけ)をおこすというイメージがあると思います。確かにこれも典型的な発作のタイプの一つですが、その他にもさまざまなタイプの発作、中にはこれがてんかんの発作なのかと驚いてしまうようなタイプの発作もあります。

てんかんの基礎知識を解説するとともに、ここでは様々なタイプのてんかんの症状、発作の種類を詳しく説明していきたいと思います。
※この情報は、2018年1月時点のものです。

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1.てんかんの症状、基礎知識

大脳の神経細胞はわれわれがものを考えたり、運動したり、ものを感じたりしているときに絶えず電気活動をしていますが、その活動が過剰になったり、神経線維の連絡を通じて周囲に広がりすぎてしまわないように、活動を抑える神経細胞(抑制ニューロン)も存在します。

 

種々の原因により神経細胞の興奮する活動が過剰になったり、抑制ニューロンの神経細胞の活動が弱まるために大脳皮質の神経細胞が過剰に興奮し、まわりの神経細胞にもその興奮が波及することによって、けいれんや意識障害などの発作を起こすものを「てんかん発作」といいます。てんかん患者では、このような発作が反復性、慢性に繰り返されるのが特徴です。

 

てんかんは、昔は精神的な障害のように思われていましたが、脳の神経細胞の異常な電気活動により起こるものであることがわかっています。このことは、脳の表面に電極を貼って、脳から出てくる電気活動を記録すると(脳波)、てんかん波といって脳の異常活動を記録することができることからもわかります。

 

てんかんでは、どのようにしてひきつけ(けいれん)が起きるのでしょうか。

大脳皮質の「運動野」といわれる領域は反対側の手足の動きを司っていますが、ここに異常な電気活動が起きると、これに対応して反対側の手足のけいれんが起こります。現象としては筋肉が収縮・痙攣しているのですが、そのおおもとは脳の神経細胞の興奮ということになります。始めは運動野以外の場所で起きた異常な電気活動が、神経細胞同志の連絡を介して、脳の様々な他の場所に広がるのです。この異常な活動が運動野にも波及すると、反対の手足のひきつけが起きます。

 

てんかんは人口100人あたり0.5〜1人(0.5〜1%)にみられる病気で、日本全国で約100万人の患者さんがいると考えられています。

 

2.部分てんかんと全般てんかん

てんかんは、大きく「全般てんかん」と「部分てんかん」に分けられます。

全般てんかんは両側大脳半球の広い範囲で過剰な興奮が起こることで生じる発作です。通常意識障害を伴いますが、突然意識を失い、ひきつけを起こし倒れて泡を吹くというような典型的なタイプの発作がこれにあたります。もちろん患者は発作中のことを覚えていません。

これに対して部分てんかんは、焦点といって異常な電気活動が脳の一部のみで始まるため、発作の症状も身体の一部から始まるもので焦点性てんかんと呼ばれることもあります。例えば運動野の異常興奮が起きると、片側の手足がけいれんします。部分てんかんは、脳の局所病変がある場所から起きることも多いので、局在関連てんかんと呼ばれこともあります。単純な部分発作では意識は保たれますが、複雑部分発作といって、最初は意識が保たれますが、後で意識障害を来すことがあります。

 

3.特発性てんかんと症候性てんかん

原因が特定できないてんかんを「特発性てんかん」と言いますが、この場合脳の画像をCTやMRIなどで撮影しても、腫瘍、脳血管障害などてんかんの原因になるような病変を認めません。特発性てんかんの場合、脳のできてくる段階でミクロあるいは画像で写らない程度の小さな異常があったり、分子レベルの異常がある場合もあります。

 

これに対して、脳に何らかの障害が起きたり、脳の一部に傷がついたことで起こるものを「症候性てんかん」と呼んでいます。 外傷や、分娩のときの問題や、先天的奇形、外傷、腫瘍、脳炎のほか、脳梗塞・脳出血など何らかの脳の病変が原因となります。

 

4.単純部分発作と複雑部分発作

部分発作では、異常な電気活動が脳の一部のみから始まるため(これを発作の焦点といいます)、症状も身体の一部から始まり、意識は保たれると述べました(単純部分発作)。しかし部分発作であっても、二次性全般化といって、脳の一部から始まった異常電気活動が脳全体に広がり、しまいに意識を失う場合もあります。このような意識障害を伴う部分発作を「複雑部分発作」といいます。

 

全般発作は両側大脳半球の広い範囲で過剰な興奮が起こることで生じる発作で、意識障害を伴います。つまり巻き込まれる脳領域が限局していれば、意識障害をきたさないが(単純部分発作)、多くの脳領域が巻き込まれると意識障害を起こすようになるのです(複雑部分発作)。

 

5.小児と高齢者のてんかんの特徴

てんかんはどの年齢でも発症しうるものですが、実際は10歳以下の小児か65歳以上の高齢者が多いです。

 

小児期のてんかんは特発性のことも多く、通常20歳以前に始まり、年齢とともに自然に軽快するものもあります。30歳以降に初発することはまれです。その一方で、高齢者のてんかんは、脳血管障害や腫瘍など脳に何らかの病変があって起きる場合が多いです。そのため、小児に比べて自然に消失することは少ないのが特徴です。

 

てんかんはよく遺伝する病気だといわれますが、実際には遺伝するものと、遺伝しないものもあります。小児のてんかんでは遺伝するタイプもありますが、高齢になってから発症するてんかんでは、一般に遺伝しないものの方が多いです。

 

てんかん発症の危険因子となる病態として、熱性けいれんの既往があります。熱性けいれんは6 か月から4 歳に好発し、通常38 度以上の発熱に伴って乳幼児期に強直間代発作(後述)などを起こすものです。一般に予後は良好で、7 歳以降には自然に消失していきますが、一部の人はてんかんを発症する場合があります。

 

6.様々なタイプのてんかんの症状

 

てんかんは種々の病因により皮質・皮質下の神経細胞が過剰、無秩序に電気的に異常発射を繰り返すことにより起こるので、焦点の場所によって様々な症状を起こします。部分発作、全般てんかんに分けて、さまざまなタイプのてんかんの症状について説明していきます。

 

6-1. 単純部分発作

①運動発作

運動発作は運動を司る運動野といわれる脳の領域に発作が起きるものです。顔・手・足など身体の一部にけいれんが起こります。手先や口元などけいれんが顔・上肢・下肢へと身体の他部位に連続的に広がっていくこともあります。

発作後、けいれんを起こした身体の部分が一時的に麻痺して動きにくくなる場合があり、これをトッド麻痺と呼びます。

 

②感覚発作

また運動野のすぐ後ろにある大脳の感覚野は反対側の体の感覚を司っていますが、ここにてんかんの異常電気活動が起きると、反対側の体の一部にしびれや異常感覚を起こします。運動発作と同様、この範囲が広がることもあります。

 

③自律神経発作

発作中に、腹痛、頭痛、悪心・嘔吐、頻脈、発汗などの自律神経症状を起こすものです。

 

既視体験・未視体験

一時的に記憶や感情に異常をきたす発作です。はじめての風景なのに、すでに一度見たことがあるように感じる既視体験(デジャヴュ déjà vu)、あるいは見慣れている情景なのに一度も見たことがないように感じる未視体験(ジャメヴュ jamais vu)などの症状を示します。

 

6-2. 複雑部分発作

⑤自動症

口をもぐもぐさせたり、衣服をいじったりといった目的のない動きを繰り返す特徴的な発作です。このとき話しかけても患者さんは反応しません。側頭葉てんかんと言われる発作でよく見られます。

2-3分くらいの意識障害が続いて戻ってしまう場合もあり、なかなか気づきにくいことがあります。一方、こうした状態が長く続く場合もあります。こうした場合、外からみると患者さんはふつうに日常生活を送っているように見えるのですが、後で聞いても本人はその間の記憶がないのが特徴です。高齢者でみられた場合、発作中のことを覚えていないので、物忘れの症状と間違えられ、認知症と誤診される例もよくあります。

 

6-3. 全般発作

⑥強直間代発作(大発作)

大発作とも呼ばれる典型的なてんかん発作の一つです。突然意識消失とともに全身の手足をつっぱらせて硬くする発作が数十秒から1 分続いた後に(強直発作といいます)、筋に収縮と弛緩が交互に繰り返し、手足をがくがくさせるような発作(間代発作といいます)を起こします。痙攣は普通数分以内におさまります、その後、患者は大きな息を吐き、口角より泡を吹いて眠りこみます。

発作中、尿を失禁したり、舌を噛んで血がでたりすることもあります。発作が終わってもすぐに意識がすぐもどらず、その後もうろう状態を経て徐々に起きてくるのが特徴です。

⑦欠神発作(小発作)

別名、小発作とも呼ばれるものです。会話中や何かをしているときなどに、5-30秒程度の短時間の意識消失発作を前触れもなく起こすもので、患者は一時的に今までしていた動作を中断してじっと一点を凝視したり、発作中口をもぐもぐさせたりするのが特徴です。このとき話かけても反応はありません。

明らかな痙攣はなく、発作後すぐに元の活動を開始するので、注意していないと発作だとわからないこともあります。5-15歳の小児、とくに女児に多いのが特徴です。

 

⑧脱力発作

体幹、四肢などの姿勢保持に必要な筋の緊張が抜けて脱力するために、膝がおれて倒れそうになったり、首が倒れたりする発作です。短時間の意識消失があることが多いですが、発作の持続時間が数秒以内と短く、発作と気づかれにくいこともあります。

 

⑨点頭てんかん

乳児にみられる難治性のてんかんです。寝起きや寝入りばななどに多く、驚いたように両手を広げ、頸部が脱力して前屈する特徴的な発作がみられるため、点頭てんかんともよばれます(「点頭」という言葉は「うなずく」という意味です。)数秒程度の短い発作が約5~40秒で繰り返します。生後3ヶ月~1歳以下の乳児に好発し、2-3歳で消失します。精神運動発達遅滞を伴うことが多いです。

 

⑩ミオクロニー発作

1~10 歳にみられ、顔面や四肢・体幹の一部の筋に対称性に、ぴくっと素早い筋肉の収縮(ミオクローヌス)を起こす発作です。転倒したり、持っている物を落としてしまうこともあります。小児に多く、光刺激が入ることにより誘発されることが多いのが特徴です。

 

⑪けいれん重積発作

てんかん重積発作とは、けいれんが間断なく繰り返し起こり、1回の発作が長く遷延したり、発作と発作の間にまったく意識の改善がみられないものです。全身けいれんを繰り返す場合、けいれん重積発作と呼ばれます。通常のてんかん発作は5 分以上持続しないことが多いので、それ以上続くものについては救急疾患として対応することが必要です。

 

生命が危険にさらされるうえ、発作のために、低酸素脳症や脳浮腫をきたして脳の神経細胞に不可逆な障害が加わるからです。多くの場合、全身けいれんが間断なく繰り返しおこり、複雑部分発作または単純部分発作が重なって起こってきます。救急疾患として緊急の治療が必要となります。

 

⑫非けいれん性重積発作

 一方で、明らかなけいれんはないのですが、凝視、反復性の瞬目、咀嚼・嚥下運動、自動症、意識障害などが遷延する非痙攣性てんかん重積発作という状態もあります。こちらは明らかなけいれんはみられないものの、発作が連続しておこっている状態であることには変わりがなく、治療が遅れると生命に危険が及んだり、後遺症を残すこともあるため、緊急に治療することが必要になります。

 

7. おわりに

てんかんには様々なタイプの発作があることがおわかりいただけたと思います。

典型的な発作から、こんな症状もてんかんなのか、と思われる発作もあったと思います。てんかんの症状の起こり方を知ることは診断だけでなく、治療の上でも大変重要です。てんかんは抗てんかん薬などによってコントロールできる場合も多いので、疑われる場合にはすぐに医療機関に受診しましょう。

執筆
医師:子煩悩神経内科医
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