【薬剤師が解説】夏は要注意!食中毒の原因と予防策、効果的な治療薬はある?!【医師監修】

夏は、細菌が繁殖しやすく、食中毒が起こりやすい季節。突然の発熱とともにはじまった、腹痛や下痢症状は食中毒が原因かもしれません。

食中毒とひとくちに言っても、主に細菌性食中毒とウイルス性食中毒に分かれ、細菌性食中毒はさらに、感染型と毒素型のタイプに分かれます。また、種類によってそれぞれ特徴があり、症状が異なってきます。

つらい腹痛、下痢症状を早く治したいという方もいらっしゃると思いますが、多くの場合は、特効薬はなく、対症療法が基本で、休養することが第一です。

今回は、食中毒について基礎的な知識を解説するとともに、食中毒の予防策や、治療に用いられるお薬について説明していきます。夏は、食中毒が起こりやすい季節ですので、本記事を参考に対策を練っていただけますと幸いです。
※この情報は、2017年7月時点のものです。

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1. 食中毒とは?

(1) 食中毒の原因

食中毒の原因としては、様々なものがあります。主な原因としては、細菌性、ウイルス性の食中毒があり、その他にも、自然毒(フグ、キノコなど)、寄生虫、化学物質が原因で起こることもあります。原因によって、起こりやすい季節や症状や潜伏期間などが異なってきます。
今回は、細菌性とウイルス性の食中毒について詳しく説明していきます。

(2) 食中毒の種類

■細菌性

細菌性の食中毒は、さらに、(感染型)と(毒素型)のタイプに分かれます。

(感染型)
細菌が増殖した食品などを摂取することによって、体内に細菌が入り、腸内で増殖し、食中毒の症状を引き起こします。通常は、細菌は熱に弱く、十分に加熱することによって死滅させることができます。

代表的な細菌としては、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌、サルモネラ菌、リステリア菌、ウェルシュ菌などがあります。
※ウェルシュ菌は、熱に強い芽胞をつくるため、加熱処理に強い特徴があります。

 

(毒素型)
細菌が増殖した食品などで、細菌が毒素を出し、その毒素を摂取することによって、食中毒の症状を引き起こします。細菌は熱で死滅しても、毒素は熱に強い傾向があり、食品内に残り、食中毒を引き起こす可能性があります。

感染型の食中毒と比較すると、潜伏期間(摂取から症状が出るまでの期間)が数時間と早い傾向があります。
代表的な細菌としては、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌などがあります。

 

■ウイルス性

細菌ではなく、ウイルスが原因となって起こる食中毒です。冬に感染が拡がりやすいという特徴があります。また、便や嘔吐物にウイルスを出し続け、人から人へ接触を介して感染する可能性(二次感染)があります。
代表的なウイルスとしては、ノロウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスなどがあります。

(3) 食中毒の症状と潜伏期間

主要な食中毒の症状と潜伏期間(摂取から症状が出るまでの期間)を下記に簡単にまとめてみました。

<カンピロバクター>
原因:生の鶏刺し、鶏レバー、加熱不十分な鶏肉、飲料水など

症状:発熱、下痢、嘔吐、腹痛など
潜伏期間:約1~7日
散発的におこる下痢症の原因として最も頻度の高い菌の1つです。低温環境下で、より長時間生存できるため、冷蔵庫に食品を入れておいても菌が死なないことがあります。他方、高温には弱いので、予防としては肉類、とくに鶏肉類を生で食べることは控え、十分に調理して食べる必要があります。

<腸炎ビブリオ>
原因:寿司などの生の魚介類など

症状:発熱、下痢、嘔吐、腹痛など
潜伏期間:約8~24時間
海水の温度が20℃以上になると増加する傾向があり、夏場に起きやすいです。激しい腹痛や下痢、嘔吐を起こします。

<病原性大腸菌>
原因:加熱不十分の肉、野菜など

症状:腹痛、下痢、嘔吐、発熱など
潜伏期間:約4~8日
下痢や腹痛など胃腸炎を起こす大腸菌を“病原大腸菌”と呼び、O157などがこれに含まれます。腸管の粘膜に侵入していったり、毒素を産生するものがあります。

<サルモネラ菌>
原因:卵、レバ刺、食肉調理品など

症状:腹痛、下痢、嘔吐、発熱など
潜伏期間:約6~72時間
生卵(古くなったもの)が原因のサルモネラによる食中毒で子どもが死亡した事例があります。

 

<ウェルシュ菌>
原因:大量調理された煮込み料理など

症状:腹痛、下痢など
潜伏期間:約6~18時間
牛・鶏・魚が保菌していることが多いです。嫌気性菌(空気が嫌いな細菌)で粘性の高い煮込み料理(カレー、シチューなど)を鍋で作った後、時間が経った場合などに増えやすいです。

 

<黄色ブドウ球菌>
原因:おにぎり、お弁当、乳製品、卵製品など

症状:嘔吐、腹痛、下痢など
潜伏期間:約1~5時間
皮膚などにも常在する菌なので、おにぎり、サンドイッチなどを作るときに調理する人の手を介して食品が菌に汚染されることが多いです。毒素が過熱によっても破壊できないことがあり、注意が必要です。

 

<ボツリヌス菌>
原因:真空パック食品、缶詰など

症状:嘔吐、筋力低下、脱力感、便秘、神経症状(呼吸困難、発声困難)など
潜伏期間:約8~36時間
嫌気性菌(空気が嫌いな細菌)の1つです。1歳未満の乳児にハチミツを与えないよういわれているのは、ハチミツが原因とみられる乳児ボツリヌス症で男児死亡があったためです。からしれんこんによるボツリヌス中毒事件でも問題になりました。

 

<ノロウイルス>
原因:牡蠣などの二枚貝、二次感染
症状:嘔吐、下痢、腹痛など
潜伏期間:約24~48時間
「感染性胃腸炎」の一つで、嘔吐、下痢を起こします。日本での食中毒の原因の一位を占めています。一年を通してみられますが、特に冬季に流行します。汚物などへの接触や飛沫感染で非常に少量のウイルスでも感染しやすく、注意が必要です。

参考:
食中毒 厚生労働省

2. 食中毒に用いられる治療薬

食中毒の原因によって、症状や重症度は様々です。多くの場合は、特効薬というものはなく、対症療法(症状に合わせた治療)を行いながら、休養し、回復を待つことが一般的です。但し、合併症や重い症状がみられる場合には、早急に医療機関を受診し、適切な治療が必要となります。

対症療法に用いられるお薬としては、高熱に対して頓服で解熱剤、下痢症状に対して整腸剤、嘔吐に対して吐き気止めなどが処方されることがあります。
また、食中毒の症状が重症化している場合や、患者さんの背景(持病の有無や年齢、体力など)によって、医師が判断し、抗生物質が処方されるケースもあります。

 

<解熱剤>
高熱になった場合に備えて、解熱剤が処方されることがあります。小さなお子さんの場合は、多少熱が高くても、本人がぐったりしていない、顔色が良さそうであれば、特に服用する必要はありません。頓服で処方されることも多く、必要に応じて服用するようにしましょう。

大量に汗をかいた場合には、よく汗をふき、定期的に着替えを行い、体を冷やさないようにしましょう。

・カロナール(成分名:アセトアミノフェン)
・ロキソニン(成分名:ロキソプロフェン)
・アンヒバ、アルピニー(成分名:アセトアミノフェン) など

 

<整腸剤>
お腹を下している場合に処方されることがあります。整腸剤を服用することによって、腸内細菌の環境を整え、下痢症状を和らげる作用を期待できます。

もともとヒトの腸内に住んでいるような腸内細菌がお薬の成分となっているため、副作用の心配はほとんどありません。また、抗生物質と合わせて服用するような場合には、抗生物質に抵抗力を持つ乳酸菌を含む整腸剤が処方されることがあります。

・ビオフェルミン錠剤(成分名:ビフィズス菌)
・ビオフェルミン散(成分名:ラクトミン、糖化菌)
・ビオフェルミンR散/錠(成分名:耐性乳酸菌)
・ミヤBM細粒/錠(成分名:酪酸菌) など

 

<吐き気止め>
下痢や嘔吐を繰り返しており、飲食が摂れない状況が続くと脱水症状の危険があります。そういった場合に備えて、吐き気止めが処方されることがあります。小さなお子さんの場合だと、飲み薬だとうまく服用できなかったり、一緒に吐いてしまうこともあるため、坐薬で処方されることもあります。

・ナウゼリン(成分名:ドンペリドン) など

 

3. 食中毒になったときの注意点

続いて、食中毒になってしまったときの注意点を解説します。

(1) 下痢止めのお薬は控えましょう

下痢症状がみられる場合でも、整腸剤が処方されることはありますが、下痢止めが処方されることはあまり多くありません。食中毒の症状を改善させるためには、本来の体の防御反応である、原因となっているものを体外に排出することが大切になってきます。むやみに下痢止めを服用すると、排便が進まず、治りが遅くなってしまう可能性があります。市販薬でも、下痢止めのお薬はありますが、できれば控えるようにしましょう。
しかし、下痢が続く場合には、脱水症状に注意する必要があります。医師の判断によって、下痢止めが処方された場合には、その指示に従って服用するようにしましょう。

(2) 脱水症状に注意しましょう

激しい下痢や嘔吐が続き、飲食がまともにとれない場合には、脱水症状に注意が必要です。特に体の水分量が少ないご高齢の方や、体の水分量を調節する機能が未熟なお子さんの場合は、脱水症状を起こしやすいとされています。めまいやふらつき、吐き気などの初期症状から、ひどくなると、意識障害やけいれんなど命に関わることもあります。

次のような症状がみられる場合には、すぐに対処し、医療機関を受診しましょう。輸液の点滴により、水分・栄養の補給をしてもらう必要があります。

・口の渇き
・おしっこが少ない・出ていない
・くちびるが乾いている
・顔色が悪い
・ぐったりしている
・意識がもうろうとしている

脱水症状の予防策としては、水分と十分な電解質(ミネラル)を頻繁に補給することが大切です。スポーツドリンクは気軽に購入でき、水分と電解質を補給することが可能です。よりおすすめのものとして、薬局やドラッグストアなど市販で購入することができる「経口補水液」があります。

・OS-1(オーエスワン) / 大塚製薬
・明治アクアサポート / 明治
・Newからだ浸透補水液 / 武田薬品工業
・アクアライトORS / 和光堂
など

(3) 感染を拡げないために

ウイルス性の食中毒の場合、二次感染の予防が大切です。

手洗いや食毒を定期的に心がけることや、嘔吐や下痢などの症状がみられる場合には、調理は控えるようにしましょう。
また、嘔吐物や便の処理をする場合には、感染しないように注意が必要です。
マスク、手袋などを利用し、素手で触れないようにします。
拭き取り、拭き取った物はビニール袋などに入れ、捨てるようにしましょう。
おむつの場合も、速やかにビニール袋に入れて閉じましょう。

また、拭き取った場所は、消毒薬を染み込ませたものでふき、消毒する必要があります。拭いた後、しばらく時間をおき、水拭きします。代表的なウイルス性食中毒であるノロウイルスの場合は、アルコール消毒では効果がなく、塩素系の消毒薬が有効です。

4. こんなときは病院へ

突然の発熱、下痢、腹痛などの症状がみられる場合には、早めに医療機関を受診することをおすすめします。何が原因となっているのかの判断は専門家でないと難しく、原因によっては、適切な処置が必要です。

特に小さなお子さんやご高齢の方、他に病気をお持ちの方は、軽い症状であっても病院を受診されることをおすすめします。症状が悪化しないよう適切な処置を受けることができます。

 

また、一度病院を受診した場合でも、
・症状が一向におさまらない
・嘔吐・下痢の症状が激しい
・血便が出ている
・意識がもうろうとしている(脱水症状の可能性)
・普段とは違う気になる症状が出ている
などの症状がみられる場合には、すぐに医療機関を受診するようにしましょう

 

例えば嘔吐が多い場合、とくに胆汁がまざっているような黄色を帯びた吐物が出る場合などは、単なる食中毒でない可能性もありますので、医療機関を必ず受診するようにしてください。食中毒が重症化していることや、合併症の可能性が考えられます。

5. おわりに

今回は、食中毒について基礎的な知識を解説するとともに、食中毒の予防策や、治療に用いられるお薬について説明しました。

 

ひとくちに食中毒といっても、様々な種類があり、症状も異なってきます。未然に食中毒を防ぐ大切なこととしては、十分に加熱されていな食べ物を口にしないことや、手洗いをしっかり行うこと調理器具の取り扱いに気をつけることなどがあります。


突然の発熱、下痢、腹痛などの症状が見られた場合には、食中毒の可能性がありますので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。夏は、細菌が好む気候で繁殖しやすく、食中毒が起こりやすい季節です。是非とも、ご注意下さい。

参考:
食中毒から身を守るには 農林水産省
食中毒予防ガイド 社団法人東京都食品衛生協会
JAID/JSC 感染症治療ガイドライン2015 腸管感染症

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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