辛い胃もたれやむかつき~それは胃下垂の可能性も?~胃下垂の治し方を徹底解説!

胃はみぞおちの辺りにあり、口から食道を通って送られた食べ物を消化して、腸に送る働きをします。胃の壁からは食べ物の消化に必要な胃酸が分泌されますが、体の不調によって胃酸の分泌量に異常が生じると、胃もたれやむかつきなどの症状を引き起こすことがあります。胃は消化管の中でも特に不快症状が現れやすい部位であり、多くの人は何らかの不調を経験したことがあるでしょう。

しかし、長引く辛い胃もたれやむかつきは「胃下垂」による症状の可能性もあります。「胃下垂」とは胃が正常な位置より下に垂れ下がった状態となるものですが、胃の位置を元に戻す医学的な治療法はなく、生活習慣などで改善していくしかありません。

ここでは、「胃下垂」を生じる原因とその対策を詳しく解説します。
※この情報は、2018年6月時点のものです。

※この記事を読んでいただいている皆様へ

処方せんネット予約サービスの普及の為に皆様から利用したいと思う薬局をお答えいただいております。
60秒ほどのアンケートにお答えいただき、ご協力いただいた方には 全員に300円分のAmazonギフト券を必ずプレゼントさせていただいております。
(2017/12/25現在、224,000人にの方にご回答をいただいております。)
ぜひアンケートにご協力ください。

今すぐアンケートに答える>

株式会社フリービットEPARKヘルスケア一同

1.「胃下垂」とは…?その原因

胃下垂とは、その名の通り、胃が正常な位置よりも「下」に「垂れた」状態のことをいいます。しかし、胃下垂は胃の位置が全体的に下がるのではなく、食道から胃につながる部位の位置は保たれているものの、何らかの原因で胃の壁が引き伸ばされ、胃の下側の部位が‘だらんと‘垂れ下がった状態となるのです。

では、胃下垂が生じる原因にはどのようなものがあるのでしょうか?詳しく見てみましょう。

1-1. 筋力の低下

私たちは直立二足歩行をするため、お腹の内部にある臓器は常に重力に晒されている状態となります。また、内臓の位置は硬く固定されているわけではなく、腹膜や腹筋などの支えによって位置を保っています。

このため、腹筋が極端に少ない人や高齢者、小児では食べ物が入って重くなった胃を正常な位置にキープすることができなくなり、胃下垂を生じることがあります。

 

1-2. 痩せ

胃下垂は一般的に「やせ型の女性」がなりやすいとされていますが、これは小腸や大腸に多く付着している脂肪が極端に減ることで、お腹の中がスカスカの状態となり、胃を下から支えていた構造物の体積が減少するためです。下からの支えを失った胃は重力に従い、下方へ垂れることで胃下垂を発症するのです。

 

1-3. 自律神経の乱れ

食べ物の消化には、自律神経が大きく関わっています。自律神経は、交感神経と副交感神経に分けられ、それぞれ相反する働きをします。食べ物の消化では、副交感神経が活発に働くことで胃や腸の運動を促し消化を早める一方で、交感神経は胃や腸の運動を抑える働きがあります。つまり、正常な消化を行うには、副交感神経が正しく機能する必要があるのです。

 

しかし、ストレスや疲れ、不眠などの状態が続くと、交感神経が過度に働くことがあり、正常な消化が行われなくなります。ストレスによって胃痛や胃もたれが生じるのは、このためです。

このように自律神経が乱れると、食べ物の消化に時間がかかり、胃は長時間食べ物が含まれた状態となります。胃の壁は筋肉でできていますが、伸縮性に優れているため、内容物を含んだ重い胃が位置をキープすることができずに、重力に従って下へ垂れるのです。

 

1-4. 暴飲暴食

消化の悪いものを好んで食べたり、極端な量の食事を摂り続けると、多量の内容物を含んで重くなった胃が位置をキープできず、垂れ下がることがあります。

 

1-5. 胃の病気

慢性胃炎などのように食べ物の消化が悪化するような病気が長く続く場合には、胃下垂を併発することがあります。

 

2.胃下垂とは…?その症状

胃下垂は、胃が大きく引き伸ばされて正常な位置より下に垂れることで、食べ物の消化に時間がかかったり、腹部に痛みを生じることがあります。

多くの症状は食後に生じますが、どのようなものがあるのでしょうか?詳しく見てみましょう。

 

2-1. 食後の胸焼け・むかつき

胃の壁は筋肉でできており、食べ物が胃の中に入ると蠕動運動を繰り返して消化した食べ物を十二指腸へ送り込みます。胃下垂では胃全体が大きく引き伸ばされた状態となるため、正常な蠕動運動を行うことができず、食べ物が長く胃の中に留まることになります。

 

このような状態を「胃アトニー」と呼びますが、胸焼けやむかつきなどといった胃部不快感が現れます。重症な場合には、吐き気や嘔吐を繰り返すことも少なくありません。

 

2-2. 食後の腹部膨満感

胃下垂では胃が骨盤内にまで深く下がった状態であるため、食後は早期から下腹部を中心とした膨満感が出現します。やせ型の人では、食後、下腹部に胃の膨らみを自覚することもあります。

また、胃によって腸が圧迫されることで便秘や下痢といった便通の異常が生じることも多々あります。

 

2-3. 栄養不足

胃下垂によって胸焼けやむかつきが長く続くと、食欲不振を招くだけでなく、胃からの栄養分の吸収が正常に行われないために栄養不足となることがあります。このため、活動性の低下や倦怠感などの全身症状や肌荒れ、脱毛などの症状が引き起こされることもあります。

 

2-4. 胃潰瘍

長く胃内に停滞した食べ物の消化を促すために、副交感神経の作用によって胃酸が過度に分泌され、胃潰瘍や胃炎のように胃の粘膜にダメージが加わることがあります。

 

胃下垂と大食いの関係、胃下垂の方は太らない?

 

一般的に、「胃下垂の人はたくさん食べても太らない」といわれています。

しかし、これは俗説に過ぎません。なぜなら、「胃下垂の人は太らない」のではなく、元々やせ型の人が胃下垂を発症することが多いからです。

 

このため、胃下垂=痩せと思われがちですが、これは胃下垂によってたくさん食べても太らないのではなく、生まれつき痩せ方体型で太りにくい人が胃下垂になりやすいというだけなのです。

胃下垂になればダイエットになると人もいると思いますが、胃下垂はこれまで説明したように体に様々なダメージを与えることになりますので、注意しましょう。

 

3.胃下垂の注意点!

胃下垂は様々な要因によって、胃の位置が骨盤内にまで垂れ下がった状態です。このため、様々な症状が引き起こされるのです。

 

しかし、胃下垂であっても何の症状もない人が大勢います。このような場合には特に治療の必要はありませんが、胃下垂は放置すると、胃アトニーのように胃の機能を低下させ、それがさらに胃下垂を悪化させるという負のスパイラルに陥ることがあるので注意が必要なのです。

 

4.胃下垂を見分けるには…?

胃下垂はバリウム検査を行えば容易に診断することが可能です。しかし、胃下垂の症状の多くは一般的な胃炎などと同じであり、多くは市販薬で対処したり、放置されるケースが多く、胃下垂を疑って病院を受診する人は少ないのが現状です。このため、次のような症状が続くときは、まず胃下垂を疑ってみましょう。

 

・以前よりも少ない食事量で満腹感がある

・食後の胸焼け・むかつき

・下腹部が張りやすい

・便秘や下痢が多い

 

5.胃下垂とは…?その解消法

今現在、胃下垂を生じた胃を元の位置に戻すために治療はほとんど行われなくなってきました。このため、胃下垂の治療は、胃薬や整腸剤などを用いて不快な症状を取り除くに止まります。しかし、このような対処療法を漫然と続けていても、胃下垂を根本から改善しない限りは不快な症状から解放されることはありません。

 

では、胃下垂はどのような対策を行って治すことができるのでしょうか?詳しく見てみましょう。

 

5-1. 適度な脂肪と筋肉をつける

胃下垂の大きな原因の一つは、脂肪と腹筋を始めとした筋力の低下ですが、胃を元の位置に戻すためには適度な脂肪と筋肉をつけることが必要です。

 

5-2. 食生活の改善

胃下垂では食べ物の消化に時間がかかるため、栄養バランスがよく消化のよい食事を心がけ、少しずつの量を複数回に分けて摂るとよいでしょう。また、アルコールや香辛料の多いメニューなど胃の粘膜に負担がかかるような食事は控えた方が無難です。

 

5-3. ストレスをためない

自律神経の乱れは胃下垂を引き起こし、更に悪化させる原因となりますので、一日の中で短時間でもリフレッシュ時間を持つ、しっかり睡眠をとるなど、ストレスがたまりにくい生活を心がけましょう。

 

5-4. 姿勢をよくする

猫背の人や、座った時に脚を組む癖がある人は、骨盤が正常よりも広がって、胃下垂を生じやすくなります。このため、意識して姿勢を正すように心がけることが大切です。特に長時間座った状態で仕事をしている人などは、なるべく骨盤を立たせるように腰かけ、背筋を伸ばすようにしましょう。

 

6.まとめ

日本人の三人に一人は胃下垂であるといわれており、特に大きな症状もなく過ごしている人が大勢いると考えられています。しかし、胃下垂は放置すると胃の機能低下を招いたり、胃潰瘍を生じることもあるため、しっかりと治さなければなりません。

 

胃を元の位置に戻す医学的な治療はほとんど行われておらず、胃下垂の人は様々な生活習慣を改善することで根気強く胃を元の位置に戻していく必要があります。胃下垂が疑われる人や、不快な症状に悩んでいる人は、ここでご紹介した解消法を続けてみましょう。

 

 

執筆
医師:ママさん女医あっきー
この執筆者の記事をもっと見る