【痛風】激しい痛みを抑える・尿酸値を下げる薬はある?効果・副作用

痛風は男性に多い病気で、非常に強い関節の痛みを起こします。また、その発症には「尿酸」が関わっていることはよく知られています。今回の記事では、まず痛風発作を鎮める薬とその特徴を説明し、後半では尿酸値を下げる薬を使うメリットとデメリットについて解説します。
※この情報は、2017年3月時点のものです。

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1.痛風発作はなぜ起きる?

痛風とは、関節が腫れて、激しい痛みを生じる病気です。こうした症状を起こす原因となっているのが、「尿酸」という物質です (1)。健診での血液検査などで指摘されることもあり、ご存知の方も多いでしょう。

 

尿酸は血液中を漂っているわけですが、もちろん体内の他の部分にも存在します。特に尿酸が多く分布しやすいのが関節で、関節に蓄積した尿酸が結晶化することにより、激しい痛みなどの症状が現れます。

1-1. 尿酸の結晶化とは?

結晶化」とは聞きなれない言葉かもしれませんが、その意味するところは、こういうことです。

 

小学校の理科の実験などで、ビーカーに入れた水に塩を大量に溶かした経験があるでしょう。ここからお分かりと思いますが、決まった量の液体に溶かすことのできる塩の量は決まっており、それを超える量は溶け残ってビーカーの底に沈殿します。このように、決まった量の液体に溶かすことのできる最大の量を、「溶解度」と呼びます

 

こうした溶解度のルールは、もちろん尿酸にも例外なく当てはまります。関節の中にも水 (これを「関節液」といいます) が存在するのですが、ここに尿酸がたくさん溜まると、じきに溶解度を上回り、溶けきれなくなった尿酸が結晶の形で現れるようになります。これが、先ほど述べた「結晶化」という現象です。

 

尿酸の結晶を顕微鏡で観察すると、鋭くとがった棘のような形をしていることがわかります。そんないかにも痛そうな結晶が関節の中にできるので、痛みや腫れを起こすのです。

 

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2.痛風発作に使う3種類の薬

そもそも「痛風」という病名が与えられたのは、「風が吹いても痛い」くらい激しい痛みを起こす病気だからという説があります。そのため、何はともあれ痛みを抑えることが必要になります。これが、痛風治療の第一段階です。

 

この治療には、痛みを抑える薬を使うことになります。このときに使用する薬の種類は大きく分けると、次の3種類が存在します (1-3)。

  • コルヒチン
  • NSAID
  • 副腎皮質ステロイド

 

それぞれどういう薬なのかについては、以下で個別に述べますが、最初に全体的なことをいえば、痛みを鎮める効果においてはどの薬でも大きな差は知られていません (1, 2)。

 

どのグループの薬かによって、副作用にどのような種類があるのか、投与の方法 (飲み薬・注射など) などが異なってきますが、効果そのものに関していえば、あまり薬の種類にこだわる必要なないでしょう。

2-1.  コルヒチン

痛風発作の治療薬としては、かなりの古参で9世紀から10世紀にはすでに使われていたとされています (4)。にもかかわらずというべきか、だからこそというべきか、治療効果に関する研究はあまり行われていない薬でもあります。

 

ともあれ、少数ながら痛風発作における痛みを鎮める効果があることは、繰り返し確認されていますので、効果の面ではそれほど心配することはないでしょう (5, 6)。

 

どちらかといえば問題は副作用の方で、行われている研究が少ないために、具体的な特徴も不明な点が多いままとなっています。しかしながら、下痢などの消化器系の副作用をかなりの頻度で起こすことは、ほぼ確実にいえます (6)。こうしたこともあり、現在では相対的に使用される頻度が少ない薬になっています。

 

ただし、近年では副作用に関する問題は多少緩和されている可能性はあります (5)。

 

2-2. NSAIDs

これは、「Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs」の頭文字をとったもので、日本語では「非ステロイド性抗炎症薬」などと訳されます。炎症を鎮めることで、それに伴って生じている痛みや腫れなどの症状を緩和する効果があります。

 

こうした効果を持つ薬として、後述する「副腎皮質ステロイド」が昔からしられていたのですが、後にステロイドとは異なる化学構造を持った成分にも、これと同じような効果を持つものがあることがわかり、こうした薬をまとめて「NSAIDs」と呼ようになったわけです。

 

現在、痛風発作に対して使う薬としては、もっともメジャーなグループといってよいでしょう。痛み止めとして有名な「ボルタレン」や「ロキソニン」などもNSAIDsです。しかし、日本で痛風発作に使用できるNSAIDsの飲み薬は、現状では以下のものに限られています (3)。

 

  • インドメタシン
  • ナプロキセン
  • オキサフロジン
  • プラノプロフェン

 

とはいえ、これらの間に明確な効果の差があるかといえば、そんなこともなく、どの薬でも相応の効果は期待できます (2)。

 

したがって、繰り返しですが薬の種類にさほどこだわる必要はないでしょう。痛風発作に使用する場合、他の病気・症状に対して使うよりも多めの量を、短期間に使用することがよくあります (3)。

 

こうした使い方を「パルス療法」などと特別に呼ぶこともありますが、その意図は集中的に薬を使うことで、一気に痛風における炎症を鎮めることにあります。

副作用として一般的なのは、胃潰瘍などの胃腸に関係するものです (2)。もともと胃が弱い人は気を付ける必要がありますので、治療を始める段階で医師や薬剤師と相談しておくことをお勧めします。

2-3. 副腎皮質ステロイド

痛風発作の炎症を鎮めてくれる薬です。効果面では上で述べたNSAIDsと際立った差はないと考えられています (2)。

 

「ステロイド」と聞くと、「副作用が多い」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。確かに、長期的にステロイドを内服または注射で使用した場合、血糖値の上昇や精神症状などを生じるとしられています (2)。

 

しかし、これは文字通り「長期的に」使用した場合の話で、痛風発作の標準的な持続期間である1週間程度であれば、こうしたことが起こる確率はゼロとまではいえないものの、ほぼ無視できるレベルといえます。

 

むしろ、最初に使用する量が中途半端だったり、自分で薬を飲む量を減らしたりすると、症状が長引き、結果として余計な量のステロイドを使用することになる可能性が高まります。

 

そのため、一度使うと決めたら、集中的に使用し、早めに炎症を鎮静化してから、薬を中止する方向に持っていくのが重要です。

ステロイドは飲み薬以外にも、筋肉や関節内への注射などいろいろなバリエーションがあるのが特徴で、この点が他の薬と比較しての強みといえるでしょう (3)。

 

いずれの薬を使う場合でも、まずはしっかりと薬を使って、確実に痛風発作における炎症を鎮めることが重要であるのは、共通しています。

3.発作が治まった後どうするか?

上で説明した薬を適切に使用すれば、1週間程度で痛風の発作は落ち着いてくるものです。さて、問題はこの後で、再発を防ぐために何をするべきか、です。これが痛風治療の第二段階です。

 

といっても、すでに察しはついていることでしょう。痛風の原因が尿酸だったのですから、身体の中の尿酸を減らすような治療をすればよいわけです。この場合、まずは諸々の生活習慣を改善するところからスタートします。具体的には、過食、プリン体の摂り過ぎ、運動不足などは尿酸を増やすリスクになるので、このあたりを見直していきます (3)。

3-1. 尿酸を下げる2種類の薬

それでも不十分となると、尿酸を減らす薬を使うことになります。こうした薬を「尿酸降下薬」と呼びますが、さらに作用メカニズムにもとづいて、以下の2つに分類できます。

 

  • 尿酸生成抑制薬
  • 尿酸排泄促進薬

 

これらの薬の違いを理解するうえで、体内で尿酸がどのように作られ、どのように排泄されるか知ることが役立ちますので、これから解説します。

3-2. 体内での尿酸の動き

先ほど、プリン体の摂り過ぎは、尿酸を増やすリスクになると述べました。この話はどこかで聞いたことがあるかもしれませんが、その仕組みを説明すると、食べ物に含まれるプリン体は、尿酸の原料となるからです。

 

こう書くと、プリン体の入っていない食べ物ばかり食べていれば、尿酸の合成量をゼロにできそうに思えるかもしれませんが、これは誤りです。

 

というのも、プリン体はDNAなど生体にとって重要な物質の構成成分として、もともと体内に存在するものだからです。

 

不要になったDNAなどに含まれるプリン体も、当然尿酸の原料になりますから、食べ物から体内に入るプリン体をゼロにしても、ある程度の尿酸は体内でできてしまうわけです。いってしまえば、尿酸はプリン体の成れの果てともいえ、プリン体を体外に排泄するために作られるのが、尿酸ということです。

 

こうしてできた尿酸は、最終的に尿の中に混ざって排泄されます。

3-3. 尿酸が貯まる原因は大きく2つに分けられる

体内に尿酸が溜まり過ぎている場合、上記を考慮すれば、その原因は大きく2つ考えられることに気づきます。

具体的には、

 

  • 尿酸の合成量が多すぎる
  • 尿酸の排泄が上手くいっていない

 

です。

 

実は、これらにはそれぞれ名前がついています。前者を「尿酸産生過剰型」、後者を「尿酸排泄低下型」といいます。

 

どちらの型に近いかで、有効な薬も異なります。すでにお気づきのように、前者の尿酸産生過剰型には、生成抑制薬が、後者の尿酸排泄低下型には、排泄促進薬がそれぞれ効果的です (3)。個々のケースがどちらの型に当てはまるかは、検査でだいたい分かります。

 

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4.尿酸を下げるメリット・デメリット

4-1. 尿酸をどのくらい下げればよいかはよく分かっていない

こうした治療で尿酸を減らすことで、痛風発作の再発を予防するのが基本的な方針です。痛風はよくある病気ですから、こうした予防に関する管理の方法も、しっかりと確定したものがあるだろうと予想するかもしれません。ところが、意外なことに、再発予防に向けてどのくらい尿酸を下げればよいのかは、未だによく分かっていません (1, 2)。

 

今現在確実にいえるのは、尿酸を下げれば下げるほど、痛風の発作は起こりにくくなる、ということです (1-3)。

 

ただし、「どこまで下げればよいのか?」はっきりした数値(治療目標値)は分かっていないのです。かつては血液検査の値で6.0 mg/dLが治療目標値になると考えられていた時期がありました。ただ、この数値には明確な根拠があるわけではなく、習慣的にそうしていた、という側面が強いといえます。

 

ということは、実は7.0 mg/dLでも大丈夫かもしれませんし、5.0 mg/dLまで下げたほうがより好ましい可能性もあるのです。

 

4-2. 尿酸を減らす薬の副作用は無視できない

ここまで読んで、「とはいっても、尿酸を下げれば痛風は起こりにくくなるんだから、薬でもなんでも使って、できる限り下げる方向性でいけばいいのでは?」と思った方もいるでしょう。

 

しかし、そう簡単にはいかない事情があります。それは何かといえば、薬の副作用です。

尿酸を下げる効果のある薬には、大きく2タイプがあることを上で説明しましたが、そのどちらにも、かなり注意を要する副作用があります。

尿酸生成抑制薬の副作用

まず、尿酸生成抑制薬から。このクラスに属するもっともポピュラーな成分は、「アロプリノール」というもので、商品名にザイロリックなどがあります。

 

この薬は投与した2%程度の人に、重い皮膚症状を起こすと知られています (7)。ある報告によれば、発症した場合の死亡率は25%にもなるとされており (7)、決して軽視できない副作用です。腎臓の機能が悪い人は、この副作用を生じやすいことがわかっていますので、特に投与初期には注意が必要になります (8)。

尿酸排泄促進薬の副作用

次に、尿酸排泄促進薬について。こちらの中でよく使用される薬に、「ベンズブロマロン」というものがあります。

商品名はユリノームなどです。この薬は肝臓にダメージを与えることが比較的よくあります (9)。

 

こうした肝臓へのダメージは、他にも多くの薬であり得る副作用ですが、ベンズブロマロンのそれは特に重症になりやすいので、特別に気を配る必要があります。

4-3. 本当に薬が必要かは、担当医療者とよく相談を

このように、尿酸を下げる薬にはたいてい無視できない副作用があり、気軽に使用できるとはいい難いものです。尿酸を下げることそれ自体には、痛風発作のリスクを下げるほか、腎機能の低下、高血圧など他の病気のリスクを下げるうえでも、よい影響があると考えられています (3, 10)。

 

したがって、薬で尿酸を下げるのにはプラスの面もありますが、反面で先ほど紹介した、副作用というマイナスの面もあります。薬を使ってまで尿酸を下げる意義があるのかについては、個々のケースにおいてこうした様々な側面から検討する必要があり、簡単には判断がつかないのが普通です。

 

特に、過去に痛風発作を起こしたことはないけれど、健診などで偶然尿酸が高いことがわかった、というケースはさらに微妙な判断を迫られます。というのも、このようにたまたま見つかった尿酸値の異常を放置していても、実際には痛風発作にまでつながることはかなり稀であると考えられているからです (11)。そのため、程度にはよりますが世界的にはこうしたケースでは薬は使わないで様子を見るのがスタンダードとなっています。

 

薬を使った方がよいか、使わない方がよいか。それは常に使った場合のメリット (主に治療効果) が、デメリット (主に副作用) と比較してどうか、という観点から判断すべきものです。痛風の場合、発作時にはとにかく痛みを鎮めなければならないので、薬を使うとして、その後どうするか。また、たまたま見つかった血液検査での尿酸異常をどうするか。それを決めるには、普段以上に、こうした考え方が重要になります。

 

とはいえ、いろいろな観点から考えれば考えるほど、どうしたらよいのか分からなくなるのは、よくあることです。そんなときにこそ、身近な医療者を頼っていただければと思います。

5.まとめ

 

■痛風の起きる原因は、関節の中にできた尿酸の結晶である


■痛風発作に使う痛み止めは大きく3種類あるが、効果の面で大きな差はない


■発作が治まった後に、尿酸の血液中濃度を下げれば下げるほど発作は起きにくくなるが、どこまで下げれば必要十分かはよくわかっていない


■尿酸を下げる薬は、稀に重い副作用を起こすことがあり、本当に必要な場合のみ使用するべきである


■薬を使ってまで尿酸を下げた方がよいかは、個々のケースによって異なるので、医療者に相談するべきである

 

6.参考文献

(1) Qaseem A, et al. Ann Intern Med. 2017 Jan 3;166(1):58-68. PMID: 27802508
(2) Shekelle PG, et al. Ann Intern Med. 2017 Jan 3;166(1):37-51. PMID: 27802478
(3) 日本痛風・核酸代謝学会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版
(4) Geronikolou SA, Vesalius. 2014 Winter;20(2):95-8. PMID: 25739155
(5) Terkeltaub RA, et al. Arthritis Rheum. 2010 Apr;62(4):1060-8. PMID: 20131255
(6) Ahern MJ, et al. Aust N Z J Med. 1987 Jun;17(3):301-4. PMID: 3314832
(7) Gutierrez-Macias A, et al. BMJ. 2005 Sep 17;331(7517):623-4. PMID: 16166134
(8) Arellano F, et al. Ann Pharmacother. 1993 Mar;27(3):337-43. PMID: 8453174
(9) ユリノーム錠 添付文書 鳥居薬品株式会社
(10) Krishnan E, et al. J Rheumatol. 2013 Jul;40(7):1166-72. PMID: 23678154
(11) Campion EW, et al. Am J Med. 1987 Mar;82(3):421-6. PMID: 3826098

 

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執筆
薬剤師:黒田 真生
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