窓口移行済:高脂血症(脂質異常症)の薬、あなたのはどれ?正しい知識で脂質値を下げる

高脂血症と診断されると、食事療法、運動療法、薬物療法の3本柱で治療していきます。

高脂血症は生活習慣病のひとつで、放っておくと心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こす原因となります。

処方された薬の正しい知識を身に付けるだけでなく、運動と食事だけで血液中の脂質値をキープできるようにしたいものです。

今回は、高脂血症に対して処方される薬の種類や作用・副作用を解説します。
※この情報は、2017年4月時点のものです。

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1.高脂血症とは

生きていく上で必要なコレステロールや脂肪が必要以上に増えている状態を指します。厳密には、悪玉コレステロールのLDLコレステロールと中性脂肪が増え、善玉コレステロールのHDLコレステロールが減っている状態を指します。

このような状態であっても痛くもかゆくもなんともありません。しかし高脂血症を放置しておくと動脈が硬くなり、命を危険にさらしてしまう脳卒中や心筋梗塞などのリスクを上げてしまいます。高脂血症はとても怖い病気なのです。

1-1. LDLコレステロール

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運ぶ働きがあります。

LDLコレステロールが増えすぎると血管の動脈硬化を進行させてしまいます。

1-2. HDLコレステロール

HDLコレステロールは、全身にある余ったコレステロールを肝臓に戻す働きがあり、動脈硬化を進めないようにします。

1-3. 中性脂肪

中性脂肪は、生きていく上でのエネルギー源です。

必要以上の中性脂肪は、血液をドロドロにして血管をつまりやすくします。また、血管の壁を傷つけて動脈硬化を進めてしまいます。

 

 

2.LDLコレステロール値を下げる薬

2-1. HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン薬)

肝臓でのコレステロール合成を抑制する働きがある薬です。

主に悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを下げる効果があり、付随効果として総コレステロールの低下、中性脂肪の低下、善玉のHDLコレステロールを上昇させる効果があります。

スタチン薬は、現時点で6成分が発売されており、LDLコレステロールを下げる効果が弱いか強いかで、「スタンダードスタチン」と「ストロングスタチン」の2種類に分類されます。

スタンダードスタチンとストロングスタチンとの間で効果の差は大きいのですが、スタンダードスタチンの中では効果に差はありません。また、ストロングスタチン同士でも同じです。

とは言ってもスタチン薬に関しては、大は小を兼ねることができ、LDLコレステロールがそれほど高くない方にでもストロングスタチンを使うケースもあります。

 

LDLコレステロールが高くない方はほどほどに低下させ、高い方には強力に低下させる作用があります。

 

【スタンダードスタチン】発売順

・メバロチン(プラバスタチン)

・リポバス(シンバスタチン)

・ローコール(フルバスタチン)

 

【ストロングスタチン】発売順

・リピトール(アトルバスタチン)

・リバロ(ピタバスタチン)

・クレストール(ロスバスタチン)

 

HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン薬)の副作用

スタチン薬で注意すべき副作用は、「横紋筋融解症」です。字のごとく横紋筋という筋肉が溶けてしまう副作用です。

その結果、腎臓の機能を弱めてしまい、命にも関わる怖い病気です。

病院では定期的に血液検査を行ってこの副作用がないか確認していますが、筋肉痛・脱力感・赤褐色の尿が出る時はこの副作用の可能性が高く、すぐに主治医に連絡が必要です。

薬の強さによって発生しやすさはありません。どのスタチン薬を飲んでも同じように横紋筋融解症への注意をしなければいけません。

ただし、まれな副作用なので過度に心配する必要はありません。

2-2. 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬

食事に含まれるコレステロールの吸収を抑える薬で、「ゼチーア(エゼチミブ)」という薬のみが発売されています。

スタチン薬と同じように主にLDLコレステロールを下げ、付随効果として、中性脂肪を下げてHDLコレステロールを上げる作用があります。

LDLコレステロールを低下させる効果は、スタンダードスタチンのメバロチンと同程度とされています。

LDLコレステロールが高い人に使用されますが、その低下作用はスタチン薬には劣ります。そのため、ゼチーアは他の薬と一緒に使ってLDLコレステロールをさらに下げる目的で使われるケースが多いです。

または、揚げ物など油っぽい食事が好きな方に適しています。

 

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬:ゼチーア(エゼチミブ)の副作用

ゼチーアに特有の副作用はなく、どのような薬にも起こり得る下痢、便秘、腹痛などの胃腸症状が起こり得ます。

また横紋筋融解症にも、わずかですが注意が必要です。

2-3. コレステロール異化促進薬

コレステロールは、血液中で全身に運ばれて性ホルモンへの合成などに使われるのですが、不要となったコレステロールは肝臓で「胆汁酸」に変換されて体外に排泄されます。

コレステロール異化促進薬「シンレスタール・ロレルコ(プロブコール)」は、この胆汁酸への変換を促す作用がある薬です。

この結果としてLDLコレステロールと中性脂肪を下げる作用がありますが、善玉のHDLコレステロールも下げてしまう欠点があります。

現在ではこの薬が使われることはあまりなく、他の薬でLDLコレステロールが十分下がらない時の補助で使うことが多いでしょう。

 

コレステロール異化促進薬:シンレスタール・ロレルコ(プロブコール)の副作用

副作用は、まれに心臓へ影響して不整脈を起こす可能性があり、心臓が弱い方は使用することができません。

その他の副作用は、ゼチーアとほぼ同じです。

2-4. 陰イオン交換樹脂(レジン)

「コレバイン(コレスチミド)」は、樹脂でできた薬で他の薬のように体の中に吸収されて効果を発揮するものではありません。

食事中に含まれる脂肪分を樹脂が吸着し、脂肪分が体に吸収されないようにする薬です。

LDLコレステロールを下げ、HDLコレステロールを上げる作用がありますが、中性脂肪には影響しません。

それらの効果は弱いので、現在ではほとんど使用されておらず、プロブコールと同じく他の薬と一緒に使うことになります。

陰イオン交換樹脂(レジン):コレバイン(コレスチミド)の副作用

脂肪分を吸着させるため樹脂が膨らむため、膨満感や下痢などの副作用が起こりやすい薬です。

2-5. PCSK9阻害薬

全身にあるLDLコレステロールを肝臓に集めやすくする薬で、LDLコレステロールを極めて強力に下げる作用があります。

現在では、「レパーサ(エボロクマブ)」、「プラルエント(アリロクマブ)」の2つの薬(どちらも注射薬)が発売されています。

いずれの薬剤も、スタチン薬を最大量使用してもLDLコレステロールを下げることができない難治例にしか使うことができません。

生まれつき遺伝的に高脂血症の人や、重症な高脂血症の人に使うことができます。

 

PCSK9阻害薬の副作用

現時点では副作用はほとんど起こらないとされていますが、現場ではまだ使用経験が少ないため、まだ分かっていない副作用が今後見つかる可能性があります。

3.中性脂肪値を下げる薬

3-1. フィブラート系薬

中性脂肪が脂肪酸に分解するのを促進し、さらに脂肪酸から中性脂肪に合成するのを抑制する働きのある薬で、中性脂肪を下げることができます。

付随効果としてHDLコレステロールを上げます。

LDLコレステロールも下げる作用がありますがその効果は弱く、LDLコレステロールを下げる目的であれば、スタチン薬が使用されます。

従って、フィブラート系薬は、中性脂肪が高くHDLコレステロールが低い人向けの薬です。

現在では、「ベザトールSR(ベザフィブラート)」、「リピディル・トライコア(フェノフィブラート)」の2つの薬が発売されています。

 

フィブラート系薬の副作用

フィブラート系薬もスタチン薬と同じく、横紋筋融解症に注意が必要な薬です。両者を併用するとそのリスクが高くなるとされています。

3-2. EPA・DHA製剤

サバやイワシなど魚に豊富に含まれ、血液をサラサラにする(血を固まりにくくする)EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を配合した薬です。

中性脂肪を分解させる作用があり、主には中性脂肪が高い方が向いている薬です。

EPAだけを配合している「エパデール」とEPA・DHAのどちらも配合している「ロトリガ」の2つの薬が発売されています。

EPA・DHAのどちらもサプリメントとしても発売されていますが、医薬品の場合は配合量が断然多く、効果が立証されている点が異なるところです。

 

EPA・DHA製剤の副作用

特有の副作用はなく起こる頻度も高くありませんが、人によってLDLコレステロールを上げてしまうことがあるので要注意です。

ちなみに、DHAは私が子供の頃は頭が良くなる成分としてもてはやされていましたが、科学的な根拠はなさそうです。

3-3. ビタミンE製剤

ビタミンB群の「ニコチン酸」とビタミンEのトコフェロールを結合させた「ユベラN(ニコチン酸トコフェロール)」が唯一発売されています。

ビタミンEは血流を改善させると共に脂質の分解を促進する作用があって、LDLコレステロールを下げHDLコレステロールを上げる効果があります。

 

ビタミンE製剤の副作用

いわゆるビタミン剤であり副作用はほとんどない一方で、劇的な効果も期待できません。他の薬で十分効果がなかった場合に追加されるような薬です。

4.高脂血症の薬と付き合う上での注意点

脂質関係の検査値が高くも、自覚する症状としては痛くもかゆくもありませんから、つい服薬継続をサボってしまいがちです。

しかし、薬を飲んでいる間にしかLDLコレステロールや中性脂肪は下がっていません。服薬を中止すればまた元に戻ってしまいます。

 

高脂血症治療薬を服薬する目的は、心筋梗塞や脳卒中などの致死的な生活習慣病にならないようにするためです。

飲んだり飲まなかったりでは、そうした病気のリスクを十分に下げることができません。医師の指示どおりに服薬できるようにしましょう。

 

また、特にスタチン薬では重い副作用である横紋筋融解症への注意が必要です。

薬の効果判定のためだけでなく、副作用の確認のためにも定期的に採血を受けることが重要です。定期的に病院受診できるようにしましょう。

5.服薬と同時に食事改善と運動習慣も重要!薬が減らせられる可能性もあり

上述のとおり、高脂血症治療薬を服薬する目的は、心臓や脳の血管が原因の致死的な病気のリスクを下げることです。ただそれは、リスクを下げる一つの手段にすぎません。

脂質の多い食事をとりすぎない、バランスよい食事内容にする、適度に運動をするといった、健康によいとされる生活習慣をおくることも重要なことです。

逆に生活習慣を改善しないまま体重が増えてしまうようなことになれば、薬を減らすどころか増やさねばならないかもしれません。服薬するだけでなく、同時に生活習慣を見直すことも大切ですね。

6.まとめ

・高脂血症治療薬には、スタチン薬、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬、コレステロール異化促進薬、陰イオン交換樹脂、フィブラート系薬、PCSK9阻害薬、EPA・DHA製剤、ビタミンE製剤の8分類16品目の薬が上市されている。

・LDLコレステロールを下げるにはスタチン薬、中性脂肪を下げるにはフィブラート系が主に使われ、その他の薬はそれらを補助的に使用することが多い。

・多くの高脂血症治療薬では横紋筋融解症に注意が必要で、定期的に血液検査を受ける必要がある。

・生活習慣の見直しも重要。ダイエットに成功できれば服薬をやめることもできるかもしれない。

執筆
薬剤師:産業 薬剤師
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