睡眠薬をやめたい!睡眠薬の依存性と服用・減薬の注意点を解説

「睡眠薬を服用しはじめたおかげで良く眠れるようになったけど、睡眠薬を飲まないと不安で、毎日かかさず飲むようになってしまった。できれば、睡眠薬に頼らず自然に眠れるようになりたい」とお悩みをかかえている方も多くいらっしゃるかと思います。

睡眠薬の依存には、「精神的依存」と「身体的依存」の2つがあります。睡眠薬に依存し、同じ薬を長期間にわたって飲んでいると、しだいに薬に体が慣れてしまい、薬が効きにくくなってきます。

すると必要とするお薬の量が増えていき、それに伴い副作用のリスクが高まるという危険があります。

今回は、睡眠薬の分類・種類について解説するとともに、睡眠薬の依存をやめたいと減薬・中止などを行うときの服用の注意点なども合わせて解説していきます。
※この情報は、2017年9月時点のものです。

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1.睡眠薬の依存性とは?

1-1. 睡眠薬の分類について

①作用時間の長さによる分類

睡眠薬は、作用時間の長さから、超短時間作用型、短時間作用型、中時間作用型、長時間作用型に分けることができます。



・超短時間作用型:
1時間以内に効果が現れ、2~4時間効果が持続する睡眠薬で、主に、寝つきが悪い(入眠障害)場合に使用される睡眠薬です。
代表的な睡眠薬に、トリアゾラム(ハルシオン)、ゾルピデム(マイスリー)、ゾビクロン(アモバン)、エスゾビクロン(ルネスタ)、ラメルテオン(ロゼレム)があります。

 

・短時間作用型:
1~2時間で効果が現れ、6~12時間効果が持続する睡眠薬で、主に睡眠の前半に何度も目が覚める(中途覚醒)場合に使われることが多い睡眠薬です。
代表的な睡眠薬に、ブロチゾラム(レンドルミン) 、ロルメタゼパム(ロラメット、エバミール) 、リルマザホン(リスミー)、スボレキサント(ベルソムラ)があります。

 

・中時間作用型:
1~2時間で効果が現れ、12~24時間効果が持続する睡眠薬で、睡眠全体を通して何度も目が覚める(中途覚醒)場合や朝早くに目が覚める(早朝覚醒)場合に使用されます。

代表的な睡眠薬に、フルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース)、 二トラゼパム(ベンザリン、ネルボン)、
エスタゾラム(ユーロジン) があります。

 

・長時間作用型:
2~4時間で効果が現れ、24時間以上効果が持続する睡眠薬で、睡眠の後半に何度も目が覚める場合や朝早くに目が覚める場合に使用されます。

代表的な睡眠薬に、クアゼパム(ドラール)、 フルラゼパム(ダルメート、ベノジール) 、ハロキサゾラム(ソメリン)があります。

 

 

*( )内は、商品名です。
注:ジネリック医薬品は、薬剤名で販売されています。

 

*効果が現れるまでの時間について
 薬を服用してから薬の体内濃度が最高になるまでの時間を元に記載していますが、薬の吸収には個人差があるため、記載している時間よりも短い時間で効果が現れる人もいれば、もっと長い時間かかる人もいます。

 

*効果持続時間について
 薬の体内濃度が最高時の半分の濃度になるまで時間(半減期)を元に記載していますが、
薬の排泄には個人差があるため、記載している時間よりも短い時間で効果が切れてしまう人もいれば、もっと長い時間効果が持続する人もいます。

 

②作用機序による分類

睡眠薬は、前述しました作用時間による分類の他に、作用機序つまり薬が効くメカニズムによる分類があります。

 

・ベンゾジアゼピン系睡眠薬
 ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、GABAと呼ばれる神経伝達物質の働きを強めることで、睡眠を促す効果を発揮します。

「GABA」は、脳の異常な興奮を抑える働きをしている神経伝達物質で、GABAが脳神経のGABA受容体(神経伝達物質が結合する鍵穴)に結合すると、脳神経の働きが抑制されます。

ただ、脳神経のGABA受容体には、ω1、ω2、ω3と3つの結合部位があり、ω1受容体が刺激されると睡眠作用、抗けいれん作用が起こり、ω2受容体に結合すると抗不安作用、筋弛緩作用が起こります。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ω1にもω2にも作用する薬で、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用すると、
睡眠作用だけでなく、けいれんを抑える抗けいれん作用、不安な気持ちを抑える抗不安作用、筋肉の緊張を緩める筋弛緩作用が発揮されます。
このため、睡眠途中に起きたりすると、力が入らず、転倒してしまう危険性があります。

 

・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
ベンゾジアゼピン系睡眠薬と同じく脳神経のGABA受容体に結合して、脳神経の働きを抑制、睡眠を促します。
え、じゃあ、一体どこが違うのか?と言いますと、ベンゾジアゼピン系睡眠薬がω1とω2の両方に作用するのに対して、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、ω1にしか作用しません。
ですので、筋肉の弛緩が起こりにくく、睡眠途中で起きても転倒して怪我をする危険性の少ない睡眠薬です。

 

・メラトニン受容体作動薬
このタイプの睡眠薬は、メラトニンと呼ばれる睡眠を促すホルモンと似た働きをし、自然な眠りを促します。
メラトニンは、脳の松果体と呼ばれる部分から夜になると分泌されるホルモンで、このホルモンが分泌され、メラトニン受容体が刺激されることで、深部体温が低下、副交感神経優位の状態となり、自然に眠りに入ることが出来ています。
メラトニン受容体作動薬は、この睡眠に重要なメラトニンと同じように、メラトニン受容体に作用して、自然な眠りを引き起こします。

 

・オレキシン受容体拮抗薬
オレキシンは、覚醒に関与している脳内物質で、オレキシンがオレキシン受容体に結合することで、目が覚めたり、起きている状態を維持することができています。
オレキシン受容体拮抗薬は、この覚醒および覚醒維持に関与しているオレキシンの働きを邪魔することにより、眠りを引き起こす睡眠薬です。

 

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1-2. なぜ、睡眠薬に依存する?

依存には、薬を飲まないと不安で飲んでしまう精神的依存と薬を飲まないと頭痛がしたり、情緒不安定になったり、全く眠れなくなるなどの症状が現れるために薬を止めたくても止めることが出来ない身体的依存の2つがあります。
まずは、精神的依存が起こる仕組みについて説明します。

 

睡眠薬は、眠れない状態を改善してくれる薬です。
今まで、なかなか寝付けなかったり、途中で何度も目が覚めたり、朝早くに目が覚めてしまったりして、苦痛の日々を過ごしていた状態から薬を飲むだけで解放されます。簡単に苦痛から解放されてしまうことで、「薬を飲まないと、夜眠れず、また苦痛を味わう事になるのではないか?」といった不安が起こり、夜眠れないことへの不安や恐怖からなかなか薬が手放せなくなってしまいます。この状態を精神的依存と言います。

 

次に、体的依存についてです。
身体的依存は、薬を止めると症状が起こるために止めたいと思っていても止めることが出来ない状態です。
では、なぜ、このような身体的依依存が睡眠薬で起こるのでしょうか?



数多くある睡眠薬のほとんが脳内のGABA受容体に作用するベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬です。

作用機序による分類で説明しましたが、この2つのタイプの睡眠薬は、脳内のGABA受容体に作用して、睡眠作用や抗不安作用、抗けいれん作用や筋弛緩作用を起こします。
ですので、睡眠薬を飲み続けると、薬によってGABA受容体が刺激されるのが当たり前の状態となってしまい、
逆に、薬がない状態が異常な状態と体が覚えてしまうのです。


このため、夜眠れるようになってきたからと睡眠薬を止めると、途端に薬がない異常事態を感知し、不眠やイライラ、極度の不安などの症状を起こして、薬がない異常事態を知らせて来るのです。

1-3. 睡眠薬依存チェック

□睡眠薬を飲まないと、落ち着かず、夜眠れないと思ってしまう。
□睡眠薬の量が増えてきている
□日中に不安やイライラを感じることが多くなってきている。
□睡眠薬が効かなくなってきている気がする。
□睡眠薬をやめると、夜眠れず、やめることができない。

1-4. 依存が深刻化。そのまま飲み続ける危険性は?

精神的依存にしても身体的依存にしても、睡眠薬への依存状態が出来上がってしまうと、睡眠薬を自力で止めることはできなくなり、たとえ、睡眠障害が改善していても、ずーと睡眠薬を飲み続けることになってしまいます。
睡眠障害が治っているのに、睡眠薬を飲み続けると、どうなるのでしょうか?



私達の体には、「慣れ」という機能が備わっています。
これは、薬についても言えることで、同じ薬を長期間にわたって飲んでいると、薬に体が慣れてしまい、薬が効きにくくなってきます。
薬の効き目が悪くなるので、今までと同じ効き目を出すためには、今まで以上の量の薬が必要になります。
薬の量が増えれば、当然、副作用も出やすくなります。
睡眠薬の副作用としては、頭痛、めまい、肝機能障害、疲労感、食欲不振、意欲の低下、記憶障害などがあります。

 

<市販薬、睡眠導入剤はどうなの?>

最近は、市販でもドリエル、ネオデイ、リポスミンなど睡眠を改善させる薬が数多く販売されています。
こうした市販の睡眠改善薬は、病院で処方される睡眠薬とは、ちょっと違った作用で眠気を引き起こしています。鼻炎や皮膚のかゆみなどアレルギーを抑える薬を飲むと、眠くなりませんか?

アレルギー物質に触れると、ヒスタミンが体内で分泌され、くしゃみや鼻水、湿疹といったアレルギー症状が起こります。アレルギー症状を起こすヒスタミンの作用を抑える薬を抗ヒスタミン薬と呼び、花粉症などアレルギーを抑える薬として使われています。
この抗ヒスタミン薬は、脳にある催眠作用を引き起こすヒスタミン受容体にも作用するため、副作用として眠気が起こります。

この抗ヒスタミン薬の副作用を利用して作られたのが市販の睡眠改善薬です。
抗ヒスタミン薬の副作用を利用して作られた市販の睡眠改善薬は、すぐに薬に慣れてしまいやすく、量がどんどん増えていってしまう特徴があります。

 

ピースナイト

2.睡眠薬に依存しないための方法

2-1. 睡眠薬服用の注意点

今まで説明してきましたように、睡眠薬は、夜眠れない状態を改善してくれる薬ですが、長期に使用すると依存や慣れの問題が起こってきます。
そこで、ここでは、睡眠薬を服用する際の注意点について説明いたします。

 

・何種類も睡眠薬を飲まない
 ほとんどの睡眠薬が1週間以内に効果が現れます。
 ですので、1週間服用しても効果がない場合は、睡眠薬が合っていないということですので、薬の量を増やしたり、市販の睡眠薬と併用するなど行わず、主治医の先生に相談して、睡眠薬を変更してもらうようにしましょう。



・自己判断で薬を中止したり、量を増やしたりしない
 依存が怖くて自分で勝手に睡眠薬を止めてしまう人がいますが、睡眠薬を急激に止めると離脱症状といって、かえって眠れなくなったり、不安が強くなったり、ひどい場合は幻覚が起こることもあります。
 自分で勝手に薬を中止することは止めましょう。また、逆に、効かないからと量を増やしたり、目が覚めたときに追加する人がいますが、決められた量以上飲むことは、依存状態に陥りやすく危険な行為です。自分勝手に薬の量を増やすことは止めましょう。



・アルコールと一緒に飲まない
 睡眠薬とアルコールは、同じ肝臓で代謝されます。
 ですので、一緒に飲むことで、睡眠薬の代謝が遅れ、体内の睡眠薬濃度が高くなり、中毒症状を起こしたり、副作用が強く出ることがあります。
睡眠薬を飲んでいる間は、アルコールは飲まないようにしましょう。



・超短時間型、短時間型の睡眠薬は安易に連用しない
超短時間型、短時間型の睡眠薬は、依存が起こりやすいので、安易に連用せず、休日前などは、とりあえず睡眠薬無しで寝てみて、1時間たっても眠れないようなら飲むという具合に連用しない意識付けが必要です。

2-2. 依存性が少ない睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べて、メラトニン受容体作動薬のロゼレムやオレキシン受容体拮抗薬のベルソムラは、依存が起こりにくい睡眠薬です。



ロゼレムは、メラトニンによる催眠という人が本来持っている睡眠のメカニズムを助ける作用の薬で、GABA系には全く関与しませんので、抗不安作用や筋弛緩作用などはなく、精神疾患に伴う不眠には効きにくいですが、反面、人が本来持つ睡眠尾メカニズムに基づく作用ですので、依存や副作用がほとんど起こらず、安全性が高いですし、メラトニンの分泌が悪く睡眠リズムが狂っている人には効果的な睡眠薬です



ベルソムラについては、覚醒に関与して神経伝達物質オレキシンの受容体への結合を邪魔することで、覚醒レベルを落とし、眠気を起こす睡眠薬です。こちらもGABA系には全く関与しませんので、依存が起こりにくいです。ただ、覚醒に関与しているオレキシンの働きを抑えるため、突然の睡魔に襲われるナルコレプシーと似たような症状が出ることもあると言われていますが、発売から3年近く経過していますが、現在のところベルソムラでナルコレプシーの症状が起こったという報告は出ていません。

 

2-3. 睡眠薬の依存とのつき合い方

①睡眠薬の減薬・中止をする際の注意点

睡眠薬服用の際の注意点でも説明しましたが、睡眠薬は急激に中止すると、以前よりも酷い不眠(反跳性不眠)を引き起こし、かえって症状を悪化させてしまいます。ですので、自己判断で睡眠薬を中止することはせず、主治医と相談の上、主治医の指示に基づいて薬を減薬中止していくのが原則です。

とは言っても、どうやって減らすのか?本当に減らすことが出来るのか?知りたい方もおられるでしょうから、実際の睡眠薬の減量・中止の仕方について少し説明しておきます。

何度も言いますが、睡眠薬を急激に中止することは症状を悪化させる危険性があるため、睡眠薬を中止する際は、徐々に量を減らしていくのが原則です。



具体的には、1週間から2週間かけて、眠れる状態を維持しながら、半分ずつもしくは4分の1づつゆっくりと量を減らしていきます。

眠れるギリギリの量まで薬を減らすことが出来たら、今度は、睡眠薬なしで眠ることに慣れさせるため、1日おきに睡眠薬を使うとか仕事がある時だけ使うなど、睡眠薬を全く使用しない日を意図的に作り、睡眠薬を飲まなくても大丈夫という自信を付けさせていきます。
こうした過程を経て、完全に睡眠薬の使用を中止します。

 

②睡眠薬だけに頼らず寝る方法・対策

眠れない時に、すぐに睡眠薬に頼るではなく、生活スタイルを工夫して見ることも不眠症対策の1つです。
具体的な方法を以下に列挙していますので参考にしてみてください。



・定期的な運動
なるべく定期的に運動しましょう。ウオーキングなど適度な有酸素運動をすれば寝つきやすくなり、睡眠も深くなります。



・寝室環境
暑すぎたり寒すぎたりすれば、睡眠の妨げとなります。
快眠しやすい室温は、夏は25~27度くらい、冬は14度~20度くらい、湿度は、50%~60%ぐらいです。エアコンや加湿器などを調整して、このくらいの温度・湿度になるようにしてみましょう。
また、明るくても、暗すぎても、良質な睡眠はとれません。
月明かり程度の明るさの室内で眠るようにしましょう。



・食事は、睡眠の1時間前までには済ませましょう
規則正しい食生活をしましょう。
睡眠前に食事をすると、胃腸が食べた食事の消化吸収に追われ、睡眠の妨げになります。
食事は、睡眠の1時間前までには終わらせるようにしましょう。
仕事などで食事の時間が遅くなる場合は、油ものは避けて、消化の良いものを食べるようにしましょう。



・カフェインの取りすぎに注意
カフェインの覚醒作用は、8~14時間持続すると言われています。
夕方以降は、カフェインを取りすぎないようにしましょう。
*カフェインの入った飲料料や食べ物の例:日本茶茶、コーヒー、紅茶茶、コーラ、チョコレートなど



・寝床での考え事は控えましょう
昼間の悩みを寝床に持っていかないようにしましょう。悩み事は誰にでもあり、ついつい夜寝床に入ると考え込んでしまいますが、今考えても、すぐに答えの出る悩み事はないはずです。
リラックスできる音楽などを聞いて、気持ちを落ち着かせましょう。

 

<寝酒に注意!>

眠るためにアルコールを飲む方がいますが、寝酒は、一時的に寝つきをよくするだけで、睡眠自体は浅くなり、夜何度も目が覚めたり、熟睡考えられなかったりと、かえって、逆効果です。
また、ニコチンには精神刺刺激作用があり、睡眠の妨げとなります。

3.まとめ

睡眠薬の危険性や睡眠薬に頼らない生活の工夫について説明してきました。
睡眠薬は、眠れない苦痛から解放してくれる魔法のような薬ですが、頼りすぎてしまうと依存という睡眠薬から脱出困難な状況を作り出してしまう薬でもあります。
適切に睡眠薬を使うことを心がけましょう。

 

ピースナイト
執筆
医師:豊田早苗
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