医師監修

急なめまい、立ちくらみに要注意。起立性低血圧の治療薬を解説

竹中 孝行
コトブキ調剤薬局 横須賀店

立ち上がったときに急なめまい、ふらつきが、、、もしかしたら、低血圧が原因となっているかもしれません。

起立性低血圧とは、横になっていたり座った状態から急に立ち上がったときに血圧が下がることでめまい、ふらつきなどの症状が起こる病気で、ひどい場合には、失神を起こすこともあります。

起立性低血圧を引き起こす原因は様々あり、お薬によるもの、自律神経の障害、加齢やその他の病気が原因で起こることもあります。原因によって治療方法も変わってきます。

今回は、起立性低血圧について解説するとともに、治療に用いられるお薬などについても合わせてご紹介していきます。
※この情報は、2017年9月時点のものです。

1.起立性低血圧とは?

1-1. 起立性低血圧の症状と診断

起立性低血圧の主な症状としては、立ち上がったときのふらつき、めまい、意識の遠のき、視力障害などがあります。ひどい場合には、失神や転倒がみられることもあるため、注意が必要です。
一般的には、立ち上がった直後に起こり、横になったり座ると血圧が安定すると症状はなくなる一過性のものになります。

立ち上がって3分以内に収縮期血圧(最大血圧)が20mmHg以上低下(又は、収縮期血圧の絶対値が90mmHg未満に低下)、あるいは、拡張期血圧(最小血圧)が10mmHg以上低下した場合に、起立性低血圧と診断されます。

起立性低血圧自体が命に関わるような危険な状態を起こすことは稀ですが、血圧低下に伴って、脳虚血(脳に血流が届かなくなる)の合併症などを起こす危険性があります。また、特に骨折などを引き起こしやすい高齢の方など、転倒を引き起こすことにも注意が必要です。

1-2. 起立性低血圧の原因

一般的に、人が横になった状態から起き上がったとき、一時的に約500〜800mLの血液が下半身へ移動し、心臓に戻ってくる血液量が約30%減少します。そうすると心臓から体に送り出される血液量が減少するため、血圧が低下します。

通常であれば、体の血圧をコントロールする自律神経のはたらきによって、過剰な血圧の低下をおさえ、すぐに正常に戻ります。一方、なんらかの原因で、自律神経のはたらきが鈍ると、すぐに正常に戻らず過度の血圧の低下がおこり、起立性低血圧の症状を引き起こします。

起立性低血圧を起こす原因としては様々あります。

・一次的なもの(純粋自律神経失調、自律神経障害を伴うパーキンソン病など)
・二次的なもの(加齢、自己免疫疾患、その他の病気など)
・お薬が原因となるもの

があります。

原因に合わせた治療が必要となります。

1-3. お薬が原因で起こる起立性低血圧

起立性低血圧を起こす可能性があるお薬としては、主に、高血圧の治療に使われる血圧を下げるお薬狭心症などのお薬が該当してきます。その他にも、抗うつ薬や安定剤なども起立性低血圧を起こす可能性があります。

具体的には、次のタイプのお薬で起立性低血圧を起こす可能性があります。

・α遮断薬
・利尿薬
・中枢性α2受容体刺激薬
・ACE阻害薬
・硝酸薬
・β遮断薬
・Ca拮抗薬
・抗うつ薬:三環系抗うつ薬、セロトニン阻害薬
・筋遮断薬
・精神神経作用薬:ハロペリドール、レボメプラマジン、クロルプロマジンなど

代表的な事例としては、高血圧の治療に用いられる「α遮断薬」とその他の血圧を下げるお薬を併用した場合に、起立性低血圧のリスクが高まることがあります。

<α遮断薬>
カルデナリン(ドキサゾシン)、エブランチル(ウラピジル)、ミニプレス(ブラゾシン)、デタントール(ブナゾシン)など
など

2.起立性低血圧の治療

2-1. 原因を取り除く

起立性低血圧を引き起こす原因には様々なものがあるとお伝えしましたが、まずは、原因を取り除くこと、原因となっている疾患の治療が必要となります。
お薬が原因となっている場合には、お薬の中止や代替薬への変更を検討します。

2-2. 生活上の留意点
体内の水分が減少している(脱水)と血圧が低くなりやすいため、意識して水分・塩分の摂取を増やし、適切な量を摂ることが効果的です。
また、急に起き上がらずに、徐々にゆっくりと起き上がることを意識することや、昼間に横になる時間を減らすことなども予防として大切なことです。

また、弾性ストッキングといって、収縮力のあるゴム製のストッキングを装着することで、下半身を圧迫し、血管の収縮をサポートすることができます。これにより、めまいやたちくらみなどの症状の予防につながります。上半身を少し高くして睡眠をとる(10度の頭部挙上)も良いとされています。

アルコール(飲酒)の摂取も、起立性低血圧の原因となりうるため、お酒は控えるようにしましょう。また、適度に運動することも、下半身への血液貯留を減少させるため、効果的とされています。

2-3. 治療薬

低血圧症によって、日常生活に支障をきたす、症状がひどく頻繁に転倒や失神が見られる場合には、お薬による治療が行われることもあります。
次のお薬は一例になります。

<昇圧薬(交感神経を刺激し血管を収縮し、血圧を上げます)>
・メトリジン(ミトドリン)
・エホチール(エチレフリン)
・リズミック(アメジニウム)など

<循環血漿量を増加(体液量を増やし、過度の血圧の低下を防ぎます>
・食塩の補給
・フルドロコルチゾン(鉱質コルチコイド)
・エリスロポエチン など

その他、自律神経を整え、体質を改善させることを目的に漢方薬が処方されることもあります。
これらの専門的なお薬による治療は、医師の診断が必ず必要となります。

3.こんなときは早めに病院へ

ちくらみやめまいが頻発したり、ひどい場合には、まずは、原因を特定するために病院を受診するようにしましょう。低血圧が原因となっているのか、それとも違う疾患が原因となっているのか自己判断では難しいです。また、市販で販売しているお薬では対応が難しいこともあります。

また、起立性低血圧の原因が特定できる場合には、原因を取り除くこと、又、その原因となっている疾患の治療が必要となってきます。他のお薬が原因となって起立性低血圧を起こしていることもあるため、気になる場合には、まずはかかりつけの薬剤師に相談してみることもおすすめします。

4.おわりに

今回は、起立性低血圧について解説するとともに、その原因となりうるお薬や治療に用いられるお薬などについても合わせてご紹介しました。
起立性低血圧には様々な原因があり、症状がひどい場合には、早めに医療機関を受診し、原因を特定し適切な治療を受けることが大切です。
また、お薬によって起立性低血圧を引き起こす可能性もあるため、気になる症状が出ている場合には、薬剤師に相談してみることもおすすめします。

参考:
失神の診断・治療ガイドライン 2012年改訂版

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