一年を通して発症の危険がある感染性胃腸炎。その症状と対策は?

感染性胃腸炎は一年を通して発症する危険がある感染症です。嘔吐や下痢、発熱など症状は多様で、重症な場合には死に至ることもあります。

しかし、感染性胃腸炎は適切な予防によって大幅に感染のリスクを下げることができ、運悪く感染してしまったとしても重症化する前にきちんと治療することが重要です。

ここでは、感染性胃腸炎の原因と、症状、その対策について詳しく解説し、特に重症化しやすい症状で注意すべきことをお伝えします。
※この情報は、2018年3月時点のものです。

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1.感染性胃腸炎の原因

感染性胃腸炎は「ウイルス感染によるもの」と「細菌感染によるもの」があり、一括りに感染性胃腸炎といっても、原因は様々です。

 

1-1.ウイルス性胃腸炎

寒い時期に流行するのは主にウイルス性胃腸炎です。数多くのウイルスが胃腸炎を引き起こすことが知られていますが、日本で主な原因となるウイルスは、小児ではロタウイルスやアデノウイルスが多く、小児から高齢者まで共通するものはノロウイルスやサポウイルスなどです。また、ノロウイルスは食中毒も起こしやすく、患者数が最も多い原因ウイルスでもあります。

 

上下水道の完備していない発展途上国では感染腺胃腸炎で小児を中心に多数の死者が出ますが、ウイルス性胃腸炎が多くを占めています。また、小児で入院が必要となる感染性胃腸炎の80%はロタウイルス感染によるものだと言われています。

 

1-2. 細菌性胃腸炎

暑く湿気の多い時期に流行します。食中毒による胃腸炎の多くは細菌性であり、サルモネラやカンピロバクター、病原性大腸菌などの感染によります。

 

また、感染すると体の中で毒素を出して重症化しやすいものには、O-157をはじめとした腸管出血性大腸菌や黄色ブドウ球菌感染があります。衛生環境の悪い発展途上国で流行するコレラや赤痢も細菌性胃腸炎に分類されます。

 

2.感染性胃腸炎の症状

ウイルス性と細菌性にわけられる感染性胃腸炎。その症状も原因となる病原体によって多様ですが、日本で流行しやすく特に注意するべき感染性胃腸炎にはどのような症状があるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

 

2-1. ウイルス性胃腸炎

ウイルス性胃腸炎に共通する主な症状は発熱と下痢であり、嘔吐を併発することも多いです。

①ロタウイルス感染症

乳児を中心に激しい下痢を引き起こしますが、便の色が白いことが特徴です。発熱は軽度ですが、重度な下痢のために脱水症になってしまうことが多いです。何度でも感染する可能性がありますが、症状は感染回数を重ねるごとに軽症化します。

②ノロウイルス感染症

小児から高齢者まで感染する可能性があります。突然の水様下痢、嘔吐、発熱を生じますが、多くの場合では発症後2~3日ほどで症状は治まります。また、感染してから48時間以内の発症が多く、潜伏期間が短いのが特徴です。

中には、感染していても全く症状がない人もおり、自覚がないまま他の人にうつしてしまうことがあるので注意が必要です。

 

2-2. 細菌性胃腸炎

日本で流行する細菌性胃腸炎の主な症状は下痢であり、嘔吐を併発することは少ないです。しかし、一般的にはウイルス性胃腸炎よりも重症なケースが多く、健康な人でも死に至ることがあります。

①カンピロバクター

食中毒による感染性胃腸炎で最も多いものです。火の通りが不十分な鶏肉や牛肉から感染しますが、感染者から他者への感染も生じます。五日ほどの潜伏期間を経た後に、発熱と水様下痢、時には嘔吐を生じます。1~2週間で回復し、重症化することはほとんどありません。

 

【薬剤師が解説】カンピロバクター食中毒の基礎知識と治療に用いられるお薬

②腸管出血性大腸菌

小児や高齢者では毎年のように死者がでている感染症です。

激しい腹痛を伴う水様下痢で始まり、二日ほどで血便に変わります。発熱は軽度ですが、小児や高齢者では38度以上の高熱を出すこともあります。

重症なケースでは、急性腎不全や溶血性尿毒症症候群を合併することがあり、慎重に経過をみていかなければなりません。

 

溶血性尿毒症症候群

  腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素が腎臓の組織を障害して、そこを通る赤血球が破壊されるものです。急激に急性腎不全になり、尿毒症を発症します。乏尿や意識障害が生じ、特に小児と高齢者では注意が必要です。

 

3.特に注意すべき症状は?

感染性胃腸炎は重症度の差はありますが、何らかのウイルスや細菌に感染して下痢や嘔吐、発熱などの症状が引き起こされるものです。特に治療をしなくても自然に治るものも多く、特に発熱がない場合には我慢して学校や仕事など普段通りの生活をしている人もいるでしょう。

しかし、感染性胃腸炎の中には治療が遅れると非常に重篤な事態を招くものがあります。ここでは、特にどのような症状に注意すべきかをみてみましょう。

 

3-1. 脱水症状

下痢や嘔吐を繰り返すと体の水分が足りず、脱水状態になります。感染性胃腸炎にかかった人は、程度の差はありますが症状がひどい時には脱水状態になっているものです。しかし、脱水状態をそのままにしておくと、腎不全や電解質異常によるけいれん、意識障害を起こすことがあります。特に乳幼児や高齢者は脱水になりやすいので注意が必要です。

頻回の下痢や嘔吐があるのに水分を飲めないような状態なら、看過せずに病院受診をしましょう。

 

3-2. 血便

腸管出血性大腸菌に代表される症状ですが、カンピロバクターなどでも非常に重症な時には大腸の粘膜に出血が生じて血便が出ることがあります。

特に腸管出血性大腸菌では熱が出ないこともありますから、頻回の下痢によって肛門部が傷ついたことによる出血だと勘違いする人もいるようです。しかし、便に血が混じるということは非常に重篤な状態である可能性が高いことを覚えておきましょう。

血便が出た時には、他の症状の重症度に関わらず必ず病院受診して下さい。

 

4.感染性胃腸炎の治療

ウイルス性でも細菌性でも基本的な治療は同じです。

4-1. 脱水の改善

感染性胃腸炎の治療で最も重要なのは脱水状態の改善です。軽症な場合には、水分摂取を促すだけで改善しますが、強い嘔気で水分が摂れない場合や嘔吐・下痢の回数が非常に多い場合には、点滴治療が行われます。

 

4-2. 抗生剤投与

細菌性胃腸炎では、原因菌に適した抗生剤が投与されることがあります。しかし、体の中で毒素を排出する腸管出血性大腸菌や黄色ブドウ球菌では、抗生剤投与によって毒素排出が促され、重症化してしまうことがありますから慎重な投与が必要です。特に腸管出血性大腸菌では、発症から3日以内ではHUSの発症率を下げることがわかっていますが、長時間経過後には逆にHUSの発症率を上げてしまうことがあります。

 

4-3. 下痢止めは飲まない

また、市販の下痢止めを服用する人もいますが、下痢止めによって排出されるべきウイルスや細菌が長く体内に留まってしまい、症状が悪化したり長引いたりすることがあります。自己判断での服用は大変危険ですから控えましょう。

 

5.感染性胃腸炎の対策

感染性胃腸炎は適切な対策を行えば、感染の危険を大幅に減らすことができます。家庭内、学校、職場など感染の場所はたくさんありますが、どれも注意することは同じです。では、どのような対策を行えばいいのでしょうか。

5-1. どのような経路で感染するのか

ウイルス性も細菌性も、感染経路は同じです。

 

感染者の便や嘔吐物、唾液などにはたくさんの原因菌が潜んでいます。それらと一緒に排出されたウイルスや細菌は、感染者の手から便座やドアノブ、電気スイッチなどに付着し、それを他の人が触って体内に取り込んでしまうことで感染します。

また、食品や水がそれらの病原体に汚染されていると、それを口にすることで感染することもあります。

 

5-2. ウイルスや細菌を取り込まない

①手洗い

感染性胃腸炎に限らず、感染症対策の基本は手洗いです。トイレに行った後や食事の前には必ず、石鹸で手を丁寧に洗い、可能な限りアルコールで消毒を行うようにしましょう。

②マスク

感染者のくしゃみや咳などのしぶきの中にもウイルスや細菌は潜んでいますから、感染者と接するときや胃腸炎が流行しているときにはマスクを着用するようにしましょう。

③食品はしっかりと加熱を

食品の汚染はしっかり加熱することで防ぐことができます。また、まな板や包丁を介して他の食品を汚染することもありますから、生肉や魚に使用した後の料理器具はしっかりと洗浄、消毒してから使いようにしましょう。

5-3. ウイルスや細菌を広げない

①消毒

便座やドアノブなどは病原体が付着している可能性がありますから、しっかり消毒するようにしましょう。通常ではアルコール消毒で十分ですが、ノロウイルスはアルコールに耐性があり、次亜塩素酸での消毒が必要です。冬場など、ノロウイルスの流行期には次亜塩素酸での消毒をおススメします。

②適切な吐物処理

嘔吐は思わぬ場所で起きることがあります。吐物を処理するときは、マスク、使い捨て手袋、エプロンなどでしっかり感染対策を行いましょう。特にノロウイルスは吐物から舞い上がったウイルスを吸い込むだけで感染することがあります。吐物全体を新聞紙などで覆って、その上から次亜塩素酸を浸して、十分な時間が経ってから処理するとよいでしょう。

6.感染性胃腸炎には適切な治療と対策を!

感染性胃腸炎には様々な原因があり、一年を通して油断することはできません。特に重症化するケースでは早期に適切な治療を開始する必要があり、しっかりと対策を行うことで感染拡大を防ぐこともできます。

正しい知識を持って、感染性胃腸炎を撃退しましょう。

 

 

 

執筆
医師:ママさん女医あっきー
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