インフルエンザ新薬ゾフルーザ、服用1回で効果?既存の薬との違いを解説

インフルエンザの新しい治療薬として、2018年3月に塩野義製薬より、「ゾフルーザ」が販売されました。既存のインフルエンザのお薬としてはタミフル、イナビル、リレンザなどがありますが、ゾフルーザは錠剤タイプで1回服用するだけで効果が得られるという特徴があります。

既存のインフルエンザのお薬と何が違うのでしょうか。
今回は、新しいインフルエンザの治療薬ゾフルーザの特徴、作用機序について説明するとともに、予防投与について、また副作用などの服用の注意点についても解説していきます。
※この情報は、2018年7月時点のものです。

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1.インフルエンザ新薬ゾフルーザについて

2018年3月に、インフルエンザ治療薬として、「ゾフルーザ(一般名・バロキサビル マルボキシル)」が塩野義製薬より販売されました。革新的な新薬として先駆け審査指定制度に該当し、スピード承認されたお薬でもあります。

1-1. ゾフルーザの特徴

特徴としては、口から飲む錠剤タイプとなっており、1回の服用だけで効果が期待できるという点です。

1-2. ゾフルーザの作用機序

ゾフルーザは、既存のインフルエンザ治療薬にはない「キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬」とよばれる新しい作用機序をもつお薬です。難しいお話になるので、面倒に思う方は読み飛ばしてください。

 

ウイルスが増殖するにはRNAを複製する必要があります。そのRNAを複製する過程の最初の反応をゾフルーザは阻害します。

(インフルエンザウイルス特有の酵素、キャップ依存性エンドヌクレアーゼの活性を選択的に阻害することによる)

 

すると、増殖に必要となるタンパク質が合成できないためにウイルス粒子を形成できなくなります。結果的に細胞内でのウイルスの増殖を抑制することができます。

A及びBインフルエンザウイルスに対して有効性が期待できます。

 

◆タミフル、イナビル、リレンザなど既存の薬との作用・価格等の違い

一方、現時点で販売されているインフルエンザウイルス治療薬には、タミフル、イナビル、リレンザ、ラピアクタがあります。

 

これらのお薬は、「ノイラミニダーゼ阻害薬」とよばれ、ウイルスが増殖するために必要なノイラミニダーゼという酵素のはたらきを阻害し、細胞内で増えたウイルスが細胞外に出る過程を阻むことによって感染の拡大を抑えるお薬です。キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬であるゾフルーザとは異なった作用で効果を示します。インフルエンザウイルスのA型、B型に対して有効です。

また、治療だけでなく予防に用いられることもあります。

 

お薬によって服用方法が異なります。それぞれの服用方法の違いを示します。

ゾフルーザは1回の経口での服用で済みます。

 

ゾフルーザ(一般名・バロキサビル マルボキシル):1回の経口

 

・タミフル(一般名・オセルタミビル):1日2回5日間の経口

・リレンザ(一般名・ザナミビル):1日2回5日間の吸入

・イナビル(一般名・ラニナミビル):1回の吸入

・ラピアクタ(一般名・ペラミビル):1回の点滴静注

 

価格(成人の通常量の場合)については次のようになります(ラビアクタについては比較対象から除外)。

ゾフルーザは、新しいお薬ですので、他の薬より高い薬価がついています。

 

ゾフルーザ(一般名・バロキサビル マルボキシル):4789

※1回服用分20mg2錠として

 

・タミフル(一般名・オセルタミビル):2720円

 ※1回75mgを1日2回5日分として

・リレンザ(一般名・ザナミビル):2942円

 ※1回10mgを1日2回5日分として

・イナビル(一般名・ラニナミビル):4279.8円

 ※1回吸入分40mgとして

 

1-3. ゾフルーザの服用方法

症状発現後、可能な限り速やかに服用をします。

(48時間経った後に投与した場合の有効性について裏付けるデータは得られていません)

 

錠剤となっており、1回の口からの服用で効果を示します。

服用する量が年齢や体重によって変わります。

 

<成人及び12歳以上の小児>

1回服用量:20mg錠×2錠

ただし、体重80kg以上の方は、20mg錠×4錠を服用

 

<12歳未満の小児>

体重40kg以上:20mg錠×2錠

体重20kg以上40kg未満:20mg×1錠

体重10kg以上20kg未満:10mg×1錠

 

1-4. 服用1回での効果は?

ここでは効果が得られたかどうかについて臨床データを用いて説明します。

プラセボ(偽薬)タミフル(一般名・オセルタミビル)ゾフルーザを比較した臨床データがあります。

 

インフルエンザに罹った1432例を対象に行われました。

ここでは次の3点についてご紹介します。

 

①インフルエンザ罹病期間 (症状が出ている期間)

②ウイルス力価の変化量(感染力)など

安全性(副作用など)

 

インフルエンザ罹病期間 (症状が出ている期間)については、プラセボ(偽薬)群が2時間、ゾフルーザが53.7時間と有意に効果があることを示しました。

タミフル(一般名・オセルタミビル)は53.8時間ですので、有意な差はなく、ゾフルーザとタミフルでは、インフルエンザの症状をおさえる上で同程度の効果があることを示しています。

 

ウイルス力価の変化量(感染力)ですが、プラセボ(偽薬)群と比較すると、2日目から5日目まで、どの時点でもウイルス力価の減少を示しています。

また、タミフル(一般名・オセルタミビル)と比較しても、2日目、3日目ではウイルス力価の減少を示しています。つまり、ゾフルーザはウイルスの感染能力を減少させ、早い段階でウイルスの感染を抑える作用があると考えられます。

 

安全性(副作用など)については、ゾフルーザにおいて、610例中27例(4%)37件にみられ、主なものは下痢。プラセボ(偽薬)群においては、309例中12例(3.9%)19件にみられ、主なものは下痢。となるので、プラセボ(偽薬)群とあまり差がないことが分かります。

一方で、タミフル(一般名・オセルタミビル)では、513例中43例(8.4%)53件にみられ、主なものは悪心、下痢。このデータでは、ゾフルーザはタミフルよりも副作用症状が少ないことが分かります。

 

とはいえ、ゾフルーザは、まだまだ新薬で臨床での使用が少なく、データが揃っていないお薬ですので、当面は服用に慎重になる必要があります。

 

まとめますと、服用1回でも、タミフルと同程度の効果が期待できるため、服用1回だからと不安になる必要はありません。また、ウイルスの感染能力を早期に減少させるため、感染を広げてしまう可能性を抑える効果を期待できます。

 

副作用情報については、少ないというデータはあるものの、まだまだ新薬で臨床での使用が少ないために、今後情報が充実してくることと思います。

2.ゾフルーザの予防投与で効果はある?

現状では、「本剤の予防投与における有効性及び安全性は確立していない」となります。それは予防効果を評価するような臨床試験を実施していないためです。

 

ただ、ゾフルーザを販売する塩野義製薬は、予防効果を評価するような治験を開始する方針を発表しております。治験後、予防効果があると臨床上認められれば、予防投与に対して使用できることになるでしょう。

 

既存のインフルエンザ治療薬としては、タミフル、リレンザ、イナビルにおいて予防投与で適応があります。

 

3.ゾフルーザ服用の注意点

3-1. ゾフルーザの副作用

副作用が少ないお薬ですが、副作用としては、下痢症状、頭痛などが起きることがあります。

また、まだまだ臨床上での使用が少ないお薬ですので、その他の副作用症状が出る可能性もあります。

 

服用後に何か気になる症状が出た場合には、すぐに医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

 

  • 3-2. ゾフルーザを服用する上での注意点

ゾフルーザは症状が発現した後、可能な限り早く服用することで効果が期待できます。48時間を経過してしまった場合に服用した有効性を示すデータは得られていません。そのため、処方後、速やかに服用するようにしましょう。

 

薬との因果関係は不明ですが、インフルエンザ治療薬服用後に異常行動など、精神・神経症状が発現している例が報告されています。お子さんの場合には、保護者は、一人にさせないように配慮し、様子を継続してみるようにしましょう。

4.おわりに

今回は、新しいインフルエンザの治療薬ゾフルーザの特徴、作用機序について説明するとともに、予防投与について、また副作用などの服用の注意点についても解説しました。

 

ゾフルーザは、既存のインフルエンザ治療薬にはない新しい作用機序をもつお薬です。特徴としては、症状発現後に1回の服用で効果が既存の治療薬と同程度期待できることです。また副作用も少ないお薬です。

ただ、まだまだ臨床上での使用は少ないお薬ですので、医師の指示のもと服用し、何か気になる症状が出た場合にはすぐに相談するようにしましょう。

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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