インフルエンザで主に使われる3つのお薬の特徴・効果・副作用を比較解説

毎年、寒い時期に猛威をふるうのがインフルエンザウイルスですね。高熱、頭痛、鼻水・鼻づまり、喉の痛みなどつらい症状が続きます。感染が拡がる可能性から、症状が良くなってもしばらくは自宅待機しなければなりません。


そんなつらいインフルエンザの治療で、外来でよく処方されるお薬(抗インフルエンザ薬)としては3つあり、「タミフル」「イナビル」「リレンザ」が代表的です。それぞれのお薬は、飲み方、効果や副作用などが異なり、特徴があります。また、授乳中にこのようなお薬を飲んでも大丈夫なのか不安に思われている方もいるかもしれません。


今回は、抗インフルエンザ薬として代表的なお薬、タミフル、イナビル、リレンザ、それぞれの特徴を解説するとともに、抗インフルエンザ薬に関してよく受ける相談についてお答えするかたちで説明していきます。
※この情報は、2017年12月時点のものです。

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1.インフルエンザについて

毎年寒くなる年末から3月頃にかけて流行するのがインフルエンザです。インフルエンザウイルスが原因となり、主には、感染している方の席やくしゃみなどによって、感染が拡がっていきます。(飛まつ感染)


感染すると1日〜3日間ほどの潜伏期間を経て、高熱、頭痛、鼻水・鼻づまり、喉の痛み、全身の倦怠感、関節痛などの症状が強く現れるのが特徴的です。まれに小さなお子さんやご高齢の方、他の病気等で免疫力が低下している方の場合には、急性脳症や肺炎など重症を伴うケースもあるため注意が必要です。

 

一般的には、約1週間ぐらいで症状が軽快します。但し、発症前日から発症後1週間後ぐらいまではウイルスの感染力が残っているので、しばらくは休養することが大切です。

インフルエンザには、おもにA型、B型、C型の3つの方があります。その内、流行の原因となりうるのは、A型、B型です。

2.抗インフルエンザ薬の特徴・効果・副作用を比較

インフルエンザの治療に用いられる主な抗インフルエンザウイルス薬としては、「タミフル」「イナビル」「リレンザ」があります。


これらのお薬は、ウイルスが増殖するために必要なノイラミニダーゼという酵素のはたらきを阻害します。それにより、ウイルスは、感染した細胞内から外に出れずに、感染が拡がるのを防ぐことができます。このように作用するお薬のことをノイラミニダーゼ阻害薬といいます。ノイラミニダーゼ阻害薬は、インフルエンザウイルスのA型、B型に対して有効です。


インフルエンザウイルスが増殖するスピードはとても早く、1つのウイルスが、16時間後には1万個、24時間後には約100万個になるとされています。そのため、インフルエンザ発症後は、できるだけ早い段階でお薬を服用することで効果を発揮します。

 

また、治療だけではなく予防に用いることもあります。但し、予防の基本はワクチンであり、このお薬が、ワクチンによる予防に置きかわるものではありませんので注意しましょう。

 

また、インフルエンザに感染した場合、抗インフルエンザ薬の服用の有無に関係なく、脳炎・脳症をおこすことがあり、異常行動を起こす恐れがあると考えられています。事故を防止するためにも、インフルエンザ症状発現後、少なくとも2日間は保護者の方はお子さんから目を離さないように注意しましょう。

 

では、それぞれのお薬について比較していきます。

2-1. タミフル(成分:オセルタミビル)

《特徴》
タミフルは、飲み薬のタイプで、「カプセルタイプ」と「ドライシロップタイプ」があります。他のお薬である吸入操作がいらないことが特徴です。
治療に用いる場合は、1日2回、5日間服用します。

《飲み方》
成人、体重37.5kg以上の小児・・・1回1カプセル(75mg)を1日2回、5日間服用します。

※予防の場合
成人・・・1回1カプセル(75mg)を1日1回、7-10日間服用します。
体重37.5kg以上の小児・・・1回1カプセル(75mg)を1日1回、10日間服用します。

《注意点》
10歳以上の未成年の方においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現した例が報告されているため、合併症、既往歴からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として、使用を差し控えることとなっています。
小児・未成年者が服用する場合には、少なくとも服用後2日間は保護者の方は、小児・未成年者が1人にならないように様子をみるようにしましょう。

 

主な副作用としては、腹痛、下痢、吐き気、発疹などがあります。
上記以外でも気になる症状が出た場合は、医師又は薬剤師に必ず相談するようにしましょう。

 

2-2. イナビル(成分:ラニナミビル)

《特徴》
2010年から販売されており、インフルエンザの治療薬としてはまだまだ新しいお薬ですが、使用の簡便さから処方されることも増えてきました。
イナビルは吸入タイプで、初回1回だけ吸入することで効果が得られることが特徴です。

《吸入方法》
成人、10歳以上の小児・・・2容器40mg分を単回吸入
10歳未満の小児・・・1容器20mg分を単回吸入

※予防の場合
成人、10歳以上の小児・・・2容器40mg分を単回吸入、また、1容器20mgを1日1回、2日間吸入することもできる。

10歳未満の小児・・・1容器20mg分を単回吸入

《注意点》
主な副作用として、下痢、吐き気、胃腸炎、蕁麻疹、めまい、発熱などがあります。上記以外でも気になる症状が出た場合は医師または薬剤師に相談するようにしましょう。

 

また、乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しているため、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者さんは、注意が必要です。

お子さんの場合は、適切に吸入投与できると判断された場合にのみ使用します。

 

2-3. リレンザ(成分:ザナミビル)

《特徴》
リレンザは、吸入するタイプのお薬で、専用の吸入器に円盤上のお薬が入ったアルミシート(ディスク)をセットして使用するのが特徴です。
治療に用いる場合は、1日2回、5日間服用します。

《吸入方法》
成人及び小児・・・1回2ブリスター(10mg)を1日2回、5日間、専用の吸入器を用いて吸入します。

※予防の場合
成人及び小児・・・1回2ブリスター(10mg)を1日1回、10日間、専用の吸入器を用いて吸入します。

《注意点》
主な副作用として、下痢、吐き気、嘔吐、嗅覚障害、発疹などがあります。上記以外でも気になる症状が出た場合は医師または薬剤師に相談するようにしましょう。

また、乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しているため、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者さんは、注意が必要です。

お子さんの場合は、適切に吸入投与できると判断された場合にのみ使用します。

 

その他の抗インフルエンザ薬


タミフル、イナビル、リレンザの他にも、ラピアクタ(成分:ペラミビル)、シンメトレル(成分:アマンタジン)とよばれる治療薬もあります。
ラピアクタは、点滴薬で、約15分の点滴静注1回で効果が得られる抗インフルエンザ薬です。症状に応じて、薬を飲む、吸入することが難しい方などに用いられます。
シンメトレルは、パーキンソン病に用いるお薬でもあり、A型のタイプのみに有効で、B型には無効です。実際の使用の機会は少ないです。

 

3.抗インフルエンザ薬に関するよくある相談

続いて、抗インフルエンザ薬に関してよく受ける相談についてお答えするかたちで説明していきます。

3-1. 妊娠中・授乳中の抗インフルエンザ薬の服用はいいの?

下記はあくまでも参考に、主治医によく相談し、確認するようにしましょう。

<妊娠中の服用に関して>
妊婦はインフルエンザにかかると重症化しやすく、諸外国からの報告では、死亡率も高いといった報告もあり、日本産科婦人科学会では妊婦に対し、早期の予防的ならびに治療的抗インフルエンザ薬の服用が勧められています。特に制限を必要とするような副作用はなく、投与の有益性が危険性を上回るとされています。
できるだけ早い段階で服用し、重症化を防ぐことや、インフルエンザに感染している方と濃厚に接触した場合には、予防するための服用も必要とされることもあります。

参考)公益社団法人日本産科婦人科学会

<授乳中の服用に関して>
各抗インフルエンザ薬の添付文書をみてみると、安全性が確立されていない等の理由で「授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること」となっています。


しかし、実際には、母乳中に移行する量はごくわずかで、赤ちゃんへの影響はほとんどないとされています。
日本産科婦人科学会の見解としても、乳汁を介した新生児に対する副作用のエビデンスの報告はないので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、患者に説明同意を得た上で抗インフルエンザウイルス薬(タミフル、リレンザ)の使用を勧めるとされています。

参考)妊婦・授乳婦の新型インフルエンザに対するタミフルとリレンザの使用について

3-2. 抗インフルエンザ薬を飲まなくても治る?

健康な方であれば、抗インフルエンザ薬を飲まなくても自然に治ることがほとんどです。
しかし、抗インフルエンザ薬を服用することで、発熱の期間の短縮など症状が重症化したり長期化するのを防ぐことができます。
特に重症化するリスクの高い方は、抗インフルエンザ薬の服用が望まれます。

 

ちなみに抗インフルエンザ薬が販売されたのは、リレンザが販売された2000年以降ですので、それまでは、抗インフルエンザ薬はありませんでした。それまでは対症療法が基本でした。

 

また、医師の判断によって、処方されないこともあります。
それは、抗インフルエンザ薬は、ウイルスの増殖を抑えることによって作用を示すため、増殖をした後では十分な効果は期待できません。発症して48時間以内といわれる適切な時期に服用することによって効果を期待することができます。
このように症状が出始めてからの時間や症状によって、抗インフルエンザ薬の効果が得られるかどうか違いがありますので、医師の判断によって使用するかどうか決まります。

 

3-3. 抗インフルエンザ薬と解熱剤しか処方されなかったけど・・・

抗インフルエンザ薬以外のお薬は、基本的には対症療法で処方されます。発熱がみられれば「解熱剤」、吐き気がみられれば「吐き気止め」、頭痛がみられる場合には「鎮痛剤」など、症状に合わせてお薬が出されます。


そのため、症状によっては、抗インフルエンザ薬と解熱剤だけなどの場合もあります。あくまでも、治療で重要なことは、しっかりと休養することです。

3-4. インフルエンザでない人が抗インフルエンザ薬を飲んだらダメ?

お薬の説明でしたとおり、抗インフルエンザ薬は予防的に服用することもあります。また、周囲の方の状況や症状から判断して(臨床的診断)、インフルエンザの可能性が高い場合には、抗インフルエンザ薬が処方されることもあります。また、検査を受けて、陰性となっても、偽陰性ということもあります。


インフルエンザでない人が抗インフルエンザ薬を飲んでも大丈夫ですが、必ず医師の指示のもと、指示通りに服用しましょう。

3-5. 抗インフルエンザ薬と抗生物質は違うの?

抗生物質の対象は、あくまでも「細菌」であり、ウイルスに対しては効果が期待できません。それは、細菌とウイルスでは構造が違うためです。そのため、インフルエンザに対しては、インフルエンザウイルスに作用があるお薬を飲まないといけません。


稀に、抗生物質が処方されることがあります。その理由は、合併症の予防・治療のためです。特に、幼いお子さんやご高齢の方、他の病気等で体力が弱っている方が、インフルエンザに感染し、気管支炎や肺炎などの合併症を起こしてしまった場合、それが重症化し、命に関わる場合もあります。そのようなリスクを考えた場合に、抗生物質が処方されることがあります。

 

3-6. 予防接種のワクチンと抗インフルエンザ薬は違うの?

予防接種で使用されるワクチンは、不活化ワクチンと呼ばれるものです。不活化ワクチンとは、病気の原因となるウイルスや細菌の感染力や毒性をなくした成分でつくるものをいいます。不活化された病原体を体内にあらかじめ入れることによって、病気を発症することなく、免疫機能を高めるはたらきをもたらします。
そのため、抗インフルエンザ薬とは全く違うものです。


また、予防接種を受けていたとしても、インフルエンザに100%ならないというわけではありません。流行しそうなウイルスの傾向を毎年予測し、それに合わせたワクチンを開発しているため、100%のウイルスを防げるというわけではないからです。

 

但し、予防接種を受けておくことによって、重症化するのを防ぐ効果があるとされています。そのため、特に小さなお子さんやご高齢の方、他の病気等で体力が弱っている方に対しては特に重症化するのを防ぐという目的もあります。

4.おわりに

今回は、抗インフルエンザ薬として代表的なお薬である、タミフル、イナビル、リレンザ、それぞれの特徴を解説するとともに、抗インフルエンザ薬に関してよく受ける相談についてお答えするかたちで説明しました。


インフルエンザに用いられるお薬は、飲み薬、吸入などタイプが違い、飲み方や吸入方法についても違いがあります。お子さんの場合は、適切に吸入できると判断された場合に吸入のお薬が使われます。


インフルエンザの症状に合わせてお薬も処方されますが、治療の上で、大切なことはしっかりと休養することです。また、症状が良くなっても、しばらくは感染のリスクがありますので、自宅で休養するようにしましょう。
突然の発熱や頭痛、全身のだるさなどを感じた場合には、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

執筆
薬剤師:竹中 孝行
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