医師監修

足がつる(こむら返り)に効果がある?!漢方薬「芍薬甘草湯」の飲み方・注意点

竹中 孝行
コトブキ調剤薬局 横須賀店

※この記事を読んでいただいている皆様へ

現在、「くすりの窓口」にて、処方せんネット予約サービスの普及の為に、皆様から利用したいと思う薬局をお答えいただいております。
60秒程のアンケートにお答えいただき、ご協力いただいた方には 全員に500円分のAmazonギフトコードを必ずプレゼントさせていただいております。
(2017/12/25現在、224,000人にの方にご回答をいただいております。)
ぜひアンケートにご協力ください。

今すぐアンケートに答える>

くすりの相談室運営事務局

足がつる(こむら返り)症状がひどく、病院で相談したところ漢方薬「芍薬甘草湯」が処方されたという方も多いかと思います。

 

芍薬甘草湯は、伝統的な中国の医学の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」に記載されている古くからある漢方薬です。2つの生薬の成分により、こむら返りの症状に対して即効性があり、臨床的にも有用であるという報告があるお薬です。

 

足がつる(こむら返り)の症状が出やすいご高齢の方や、マラソンなどの運動をされている方が服用しているケースもみられます。

今回は、芍薬甘草湯が、足がつる症状(こむら返り)に対して効果があるのかについて解説するとともに、正しい飲み方や、服用する上での注意点なども合わせて説明していきます。

1.足がつる(こむら返り)に芍薬甘草湯は効果ある?

1-1. 足がつる(こむら返り)のはなぜ?

足がつる(こむら返り)とは、運動をしているときや、夜間寝ているときにふくろはぎや太ももの筋肉が痙攣(けいれん)し、激痛が生じる状態です。一過性で自然に治ることが一般的ですが、頻度が多くなったり、けいれんがひどいと痛みが残ることもあります。

原因は様々で、過度の運動による筋肉疲労、発汗や脱水による電解質のバランスの乱れ、妊娠、病気などがあります。又、加齢に伴って、筋肉量の低下や脱水症状、血行不良など様々な要因が重なって足がつりやすくなります。

1-2. 芍薬甘草湯の成分と作用

芍薬甘草湯は、伝統的な中国の医学の古典である「傷寒論(しょうかんろん)」に記載されている古くからある漢方薬です。傷寒論の中にも、足のけいれんには芍薬甘草湯という記載があるように、古くから足がつる(こむら返り)症状に使われていたお薬です。

芍薬甘草湯に含まれる生薬(成分)は、「芍薬(シャクヤク)」と「甘草(カンゾウ)」です。この2つの生薬を組み合わせることによって、筋肉の緊張をゆるめ、痛みを和らげる作用をもたらします。芍薬由来のペオニフロリン、甘草由来のグリチルリチン酸が有効成分です。

芍薬甘草湯は、通常、急激におこる筋肉のけいれんに伴う痛みや、こむらがえり(足がつる)症状、おなかの痛み、腰・関節の痛みなどに用いられます。また、こむら返りに対して即効性があり、臨床的にも有用であるという報告があります。

患者さんの証(体質・症状)を考慮した上で、使用します。

芍薬甘草湯ってロキソニンと同じような鎮痛剤なの?と質問を受けることもありますが、一般的なロキソニンなどの解熱鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)とは違った作用によるものです。

1-3. 参考:実際の臨床データ例(比較試験)

 

<肝硬変に伴うこむら返りに対して>

「ツムラ芍薬甘草湯 7.5g を1日3回(毎食前)に服用した群」と「プラセボ※顆粒(服用量、服用回数は同じ)を服用した群」で2週間、改善度の比較をした臨床データがあります。芍薬甘草湯を服用した群では、改善率67.3%であったのに対し、プラセボ群は37.5%であり、有意に優れているという結果でした。(1)

 

※プラセボとは、本物と表面上同じにみえる外見をしているが、中身は薬ではない偽薬のこと

 

(1)熊田 卓ほか:TJ-68 ツムラ芍薬甘草湯の筋痙攣(肝硬変に伴うもの)に対するプラセボ対照二重盲検群間比較試験 臨床医療 15:499-523, 1999

 

2.芍薬甘草湯の正しい飲み方

一般的には、17.5g23回に分割し、食前又は食間に服用します。尚、年齢、体重、症状により適宜増減します。

又、即効性が期待できるため、症状の予兆を感じたときや症状が起きてから飲むように、「頓服」で服用の指示があり処方されることも多いです。副作用の可能性から、治療上必要な最小限の期間の投与にとどめるよう、使用上の注意の記載があります。

多く服用したからといってそれだけ効果が得られるというわけではなく、指示量以上に服用すると副作用のリスクが高まるため、注意が必要です。

 

マラソンに備えて芍薬甘草湯を飲む場合

 

マラソンや過度の運動時に、足がつる(こむら返り)ことがあり、それに備えて芍薬甘草湯を飲むのはどうかとお悩みの方もいるかもしれません。

 

運動中に足がつる原因としては、主に、筋肉疲労と発汗に伴い、水分と電解質(ナトリウム、カリウムなど)が失われ、電解質のバランスがくずれ、神経が異常な興奮状態になっていることが挙げられます。

芍薬甘草湯は、足がつる症状に効果が期待できるため、飲んでも問題ありません。30分程度前に服用すると予防的な効果があるといわれています。ただ、暑い時期で体調が悪いときには、無理に運動しないようにしましょう。

但し、原因が水分の消失と電解質不足、筋肉疲労になるので、根本的に足がつる原因を治すというわけではないため、飲んだからといって必ず防げるということはありません。運動中は、水分を十分にとり、電解質が不足しないようスポーツドリンクなどの飲料をこまめに摂取することが最も大切です。

また、服用する場合には、主治医に相談し、指示に従うようにしましょう。足がつったからといって、その度に何度も服用するのは厳禁です。

3.芍薬甘草湯を服用する上での注意点

続いて、芍薬甘草湯を服用する上で注意すべきことを解説します。

3-1. 芍薬甘草湯で起こりうる副作用

比較的副作用は少ないお薬ですが、悪心・嘔吐、下痢などの症状や臨床検査値の異常、また、過敏症として、かゆみ、発疹、発赤などの症状が出ることがあります。

 

また、極めて頻度は稀ですが重大な副作用として、次のような症状があります。

(間質性肺炎)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常等の症状があります。


(偽アルドステロン症)
血圧上昇、低カリウム血症、ナトリウム・体液の貯留、浮腫、体重増加等の症状があります。


(うっ血性心不全、心室細動、心室頻拍)
動悸、息切れ、倦怠感、めまい、失神等の異常があります。


(ミオパチー)
脱力感、筋力低下、筋肉痛、四肢痙攣・麻痺、CK(CPK)上昇、血中及び尿中のミオグロビン上昇等の異常があります。


(肝機能障害、黄疸)
体や目が黄色くなる、だるさ、食欲不振などの症状があります。

 

このような症状がみられた場合には、できるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。

3-2. 服用に注意すべき方がいます。

次に該当する場合は、疾患や症状を悪化させるおそれがありますので、禁忌(投与しないこと)となっています。

・アルドステロン症の患者
・ミオパチー(筋肉の病気)のある患者
・低カリウム血症のある患者

これらに該当する場合は、必ず医師に相談するようにしましょう。

 

また、生理機能が低下している高齢者をはじめ、妊婦、授乳されている方、小児の場合は、服用に注意が必要です。必ず、自己判断ではなく医師の指示のもとで服用するようにしましょう。

3-3. 重複や飲み合わせに注意が必要です。

次のお薬の飲み合わせでは、重大な副作用である偽アルドステロン症があらわれやすくなることや、低カリウム血症の結果、ミオパチーがあらわれやすくなるため注意が必要です。芍薬甘草湯を含め、漢方薬は甘草(グリチルリジン酸)の成分を含んでいるので、低カリウム血症を起こしやすいのです。

 

甘草を含むお薬など(他の漢方薬との重複に注意)

グリチルリチン酸及びその塩類を含むお薬など

一部の利尿薬

 

 ループ系とよばれる利尿薬(フロセミド、エタクリン酸等)

 チアジド系とよばれる利尿薬(トリクロルメチアジド等)

これらの薬も低カリウム血症を起こしやすいです。

 

併用しているお薬や、その他のサプリメント・健康食品を使用している場合には、必ず薬剤師に相談するようにしましょう。

 

長期で飲みつづけるのはOK

 

添付文書上でも、「治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること」とされているように症状に応じて、必要がなければ長期で飲み続けるのはおすすめしません。足がつる原因となっている生活習慣の改善を試みるとともに頓服での使用にとどめたり、経過をみて症状が改善されないようであれば、医師に相談し、処方を再検討してもらうようにしましょう。

4.市販だとゼリーなど飲みやすい芍薬甘草湯がある

医療用医薬品(処方せん)の芍薬甘草湯の他にも、薬局・ドラッグストア等で、気軽に市販で購入できる芍薬甘草湯(第2類医薬品)があります。様々なメーカーから販売されています。

一般的には、顆粒や散剤、錠剤のタイプのものがあり、ご自身の好みで飲みやすいものを選んでいただくと良いでしょう。

最近だと、水なしでも飲めるゼリータイプの芍薬甘草湯もあります。

 

・松浦の芍薬甘草湯ゼリー[第2類医薬品] / 松浦薬業(株)

・コムレケアゼリー[第2類医薬品] / 小林製薬

 

店頭にて、ご自身の症状や体質等を合わせて薬剤師や登録販売者に相談することをおすすめします。

 

5.おわりに

今回は、足がつる(こむら返り)に対して使用されることがある芍薬甘草湯について解説し、正しい飲み方や、服用する上での注意点なども合わせて説明しました。

 

芍薬甘草湯は古くから使用されている伝統ある薬で、足がつる(こむら返り)に対して効果が期待できます。安心して飲んでいただいて大丈夫ですが、注意すべき副作用や飲み合わせなどもあります。

 

足が頻繁につる場合には、様々な原因が考えられますので、芍薬甘草湯を飲んだからといって100%症状がおさえられるというわけではありません。症状がひどい場合や、続く場合には早めに医療機関を受診し医師に相談することが大切です。

 

 

薬剤師・その他医療機関関係者の方へ
正確な医療情報を発信するために、医師、薬剤師監修のもと、誤りがないよう万全を期しておりますが、もし誤りとお考えになる情報があった場合には、ご指摘いただけますと幸いです。
医療情報に関するご指摘お問い合わせ
その他記事へのお問い合わせ