肝臓の数値は何を意味している?健診で測定される肝臓の数値について解説

健康診断で肝臓の数値に異常がある場合、「肝障害があります。精密検査を受けてください」 という診断結果が返ってくることがあります。

ところが、肝臓の数値が高いとどうなるの?どの数値を見れば良いの?肝障害って何? と疑問に思う方は多いと思います。

そこで、今回は、肝臓に関係する数値の見方について解説するとともに、肝障害とその原因についても説明します。
※この情報は、2018年7月時点のものです。

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1.気になる肝臓の数値の見方

肝臓の状態は血液検査によってある程度推測することが可能です。健診で測定される肝臓の採血項目には以下のようなものがあります。

 

1-1. AST (GOT), ALT (GPT)

基準値  AST:10~35 U/L, ALT:5~30 U/L

 

以前にはASTはGOT、ALTはGPTと呼ばれていました。どちらも肝臓の細胞の中に存在する酵素で、肝臓の細胞が壊れる (=肝障害が起こる) と、この酵素が血液中に漏れるため検査で高値となります。

 

ALTはほとんどが肝臓だけに存在しますが、ASTは肝臓だけでなく心臓、腎臓、筋肉や赤血球などにも存在します。つまり、ASTとALTの両方が高い場合は肝臓の病気と考えられますが、ASTだけが高い場合には心臓、腎臓、筋肉などの病気や貧血などを疑う必要があります。

 

1-2. γ-GTP

基準値  AST:10~35 U/L, ALT:5~30 U/L

 

γ-GTPは肝臓や腎臓で作られる酵素です。多量飲酒によって上昇することは有名ですが、それ以外にも脂肪肝や、薬剤アレルギー、胆道疾患 (胆石、胆管癌など)、自己免疫性の肝臓病などで上昇することがあります。

 

1-3. ALP

基準値  100~350 U/L

ALPは肝臓や骨、小腸など様々な臓器で作られています。特に肝臓由来のものはγ-GTPとともに胆道系酵素と呼ばれ、γ-GTPと同様に胆道疾患 (胆石、胆管癌など) や薬物アレルギー、自己免疫性の肝臓病などで上昇がみられます。

 

1-4. ビリルビン

基準値  0.2~1.2 mg/dl

 

血液中の赤血球が古くなって壊れた際にできる成分をビリルビンといいます。ビリルビンは肝臓に運ばれ、そこで処理されて胆汁の中に排出されます。ビリルビンは肝機能低下 (肝硬変、急性肝炎など) や閉塞性黄疸 (胆石、胆管癌など) などがあると上昇します。ビリルビンの値が高くなると眼や皮膚が黄色くなりますが、これを黄疸と呼びます。

 

1-5. アルブミン

基準値  4.0~5.0 g/dL

 

肝臓で作られる代表的な蛋白質の1つで、血管内で浸透圧を形成し、血液を血管内に留める働きをしたり、血液中で様々な物質の運搬などを行ったりしています。肝臓の働きが低下するとアルブミンの産生が低下し、アルブミンの値が低下します。そうなると、血管内の水分が血管の外に漏れて全身のむくみや腹水といった症状が現れます。

 

2.肝障害とは?

2-1. 肝臓の重要な働き

肝臓は人体の中で最大の臓器で、以下のような重要な働きをしています。まさに体の中の「化学工場」のような存在と言えます。

 

①代謝

肝臓は消化管 (胃や腸) で消化・吸収された栄養素 (糖質・蛋白質・脂肪) を体内で使える形に変えて貯蔵し、必要なときにエネルギー源として供給しています。例えば、食事からとった糖質はグリコーゲンとして肝臓に蓄えられ、夜間にエネルギー源として血液中に放出されます。

 

②解毒

肝臓には門脈という血管を介して栄養素だけでなく、アルコール、薬物、細菌なども流れ込みます。肝臓はこれらを分解して無毒化する働きをしています。これを解毒といいます。

 

③胆汁の産生

肝臓でつくられた老廃物を流す「胆汁」を生成・分泌します。また、胆汁は脂肪の消化吸収を助ける消化酵素としても働いています。

 

このような肝臓の働きがなくなると、人間は生きてはいけません。このため、肝臓は、生体にとって必須の働きを担う重要な臓器であるといえます。肝臓の働きが高度に低下すると、黄疸、腹水、足のむくみ、意識障害などが出現し、このような症状が出現した状態のことを肝不全と呼びます。

 

 

2-2. 肝障害とはどんな状態?

 それでは、肝障害とは一体どんな状態なのでしょうか。肝障害とは様々な原因によって肝臓の細胞が壊れている状態を指します。

 

ちなみに、よく「肝機能障害」という言葉を耳にすることがあると思いますが、肝機能障害とは「肝臓の機能(働き)」が障害された状態のことで、肝障害とは区別されることがあります。肝臓は沈黙の臓器とされ、多少肝臓の細胞が壊れても (肝障害が起こっても) 症状には現れません。ところが急激に大量に肝臓の細胞が壊れたり、あるいは長い期間をかけて徐々に肝臓の細胞が壊れたりした場合には、肝臓が耐えられなくなり、「肝機能障害」が起こります。

 

2-3. 肝障害の原因は

以下のように肝障害を起こす原因には様々なものがあります。

 

①ウイルス

B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは有名ですので、聞いたことがある方は多いと思います。その他にも肝障害を起こすウイルスとして、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルスなど様々なものがあります。

 

②アルコール

アルコールの過剰摂取が原因でも肝障害が起こります。1日平均エタノール80g (日本酒換算で3合) 以上の飲酒を継続すると肝障害が起こるとされています。

 

③薬

病院で処方される薬、市販の薬、漢方薬など様々な薬が原因となることがあります。

 

④脂肪

食べ過ぎや飲み過ぎなどが原因で肝臓に脂肪が蓄積すると脂肪肝になり、そこに炎症が起こることで肝障害がみられることがあります。

 

⑤肝臓癌

肝臓内に癌ができても肝障害が起こることがあります。

 

⑥胆道系疾患

胆汁という消化酵素が流れる通路を胆道といいますが、その胆管に異常 (結石や癌など) がみられると肝障害が起こることがあります。

 

⑦その他

 まれですが、自己免疫性の病気、遺伝性の病気など様々なものがあります。

 

3.肝臓の数値に異常があった場合、すぐに病院(精密検査)に行くべき理由

長期間にわたって肝障害が持続すると、肝臓がいたんで最終的に肝硬変という状態に至ってしまう可能性があります。

 

肝硬変になると黄疸や腹水、意識障害といった肝不全症状がみられたり、肝臓癌ができやすくなったりします。このため、検査で異常値を指摘されたら、すぐに精密検査を受ける必要があります。

 

4.数値に異常があり精密検査で経過観察と言われたら

経過観察となった場合でも、経過中に肝臓の数値が悪化する可能性もありますので、定期的な通院は必要です。主治医の先生とよく相談するようにしましょう。

 

5.まとめ

今回解説したように、肝臓に病気があると血液検査で様々な項目が異常値を示します。肝臓は沈黙の臓器であるため、症状が出た時点で肝臓の病気はかなり進行している可能性があります。したがって、健診などで肝障害を指摘された場合、できるだけ早く専門医を受診して原因を特定することが重要です。

執筆
医師:田舎の消化器内科医
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