【医師が解説】意外に怖い!低温やけどの症状と予防・対処法を解説

倉田 大輔

カイロなどを着用していた場所が「かゆくなったり、赤くなったり」した場合、低温やけどの可能性があります。

寒い時期や屋外では、「カイロ」や「湯たんぽ」の出番が増えますが、『低温やけど』には十分注意する必要があります。

低温やけどは、「低温」という言葉のイメージから、「軽いやけど」と思われがちです。しかし、実際には、熱さを感じにくいだけで、皮膚の内部にダメージが加わっています。やけど跡が残ってしまう可能性もあるため、早い段階で、適切な処置を受ける必要があります。

 

今回は、低温やけどの症状について解説するとともに、その温度や時間、身近にあるモノで気を付けたいもの、また、もし低温やけどになった場合の対処法についても説明していきます。

※この情報は、2017年12月時点のものです。

 

1.『低温やけど』って!?

1-1. 「低温やけど」とは?

『低温やけど』は、熱源が高温な通常のやけどと異なり、熱源が低温なため、長時間触れていても熱さや痛みを感じにくい特徴があります。

 

1-2. 「低温やけど」の症状とは?

熱源が低いため、気付きにくいのが難点です。「低温やけど」に気付いた時には「皮膚が赤く腫れる」、「水ぶくれが出来る」などの比較的軽症な症状だけでなく、「皮膚深部(皮下組織)が壊れる」くらい重症の「やけど」になってしまうこともあります。

 

<やけどの症状>

 Ⅰ度: 赤み<痛みあり>

Ⅱ度: 水ぶくれ(水泡)<強い痛みあり>

Ⅲ度: 壊死、炭化。<痛みなし>

2.「低温」なのにナゼ「やけど」をする!?

普通、直接火に触れたり、熱湯がかかれば、ほんの一瞬で「熱い!」と反応し、すぐ熱源から離れる為、皮膚の奥まで「やけど」が及ぶ事は少ないと言えます。

体温より少し高く、触れていて「暖かくて気持ちが良い」位の温度でも、その熱源に長時間触れ続け、皮膚の深い部分にまで熱の影響を受け、見た目よりも重症なのが『低温やけど』です。

 

『低温やけど』は、ステーキに似ている!? ☆

 

十分に熱したフライパンにステーキ肉を入れると、短時間で表面は良く焼けますが、中は「レア」で肉汁が残ります。一方、温度が低いまままのフライパンで、じっくり焼くと、表面が焼ける頃には、中の深い部分も、十分に火が通る「ウェルダン」になります。

低い温度でもじっくり時間をかけて熱が加わる「低温やけど」は、「ステーキのウェルダン」によく似ています。

3.「低温やけど」がおきる温度と時間!?

「一般的なヤケド」は、熱源の温度が70℃であれば、約1秒で起きてしまいます。

ところが、『低温ヤケド』は『44℃では34時間、46℃では30分~1時間、50℃では23分』でゆっくりじっくり起きます。「お風呂のお湯」より少し高い温度でも十分に注意する必要があります。

 

4.こんな時は、特に「低温やけど」に要注意!

疲れが貯まって、眠り込んだり、お酒を飲み過ぎて居眠りする時は、熱さに対しての反応が鈍くなります。また、持病で糖尿病を患っている方も、足の神経などが鈍くなっているため、「低温やけど」に注意する必要があります。

 

5.『低温やけど』に注意する必要があるモノは?

通常、『低温やけど』は、熱さ(温度差)を感じにくい「高齢者」や「小児」に多い傾向があります。ところが、冬の屋外などでは、外気が寒く厚着をしている上、(外気にさらされる)顔や頭部に注意が行きやすく、足や腰、お尻などの「局所の熱さ(低温やけど)」に気付きにくい傾向があります。

 

さらに防寒用に「(使い捨て)カイロ」や「湯たんぽ、あんか」などを使う機会も増える季節ですが、特に気を付けたい点をご説明します。

 

・「貼るタイプ カイロ」

必ず衣類の上に貼り、同じ箇所に長時間当てないこと。湿布の上から貼ると気持ちが良いという人がいますが、張った部分の肌がデリケートになっているため、重ねることは避けましょう。貼ったまま寝てしまうのも注意です。

 

・「靴下用 カイロ」

「靴下用カイロ」は、酸素が少ない靴の中でも使えるように作られています。ただし、靴を脱いだ状態や身体の他の部位に使うと、過剰に「酸化反応(発熱)」が起き、高温になる危険性があります。開封後放置すると温度が高くなりやすいので、使用直前に開封することが良いでしょう。

 

・「湯たんぽ、あんか」

厚手のカバー等に包んでも、「低温やけど」を起こすことがあります。寝る前に寝具に入れて温めておき、寝る際には出すことが望ましいです。

 

・「ホットカーペット、温水(加温)機能付き便座」

  「ホットカーペット」や「温水(加温)機能付き便座」にお酒を飲んだ後など、長時間、横になったり、寝たり、座ったままの状態でいると「低温やけど」になりやすいです。

 

・「携帯電話などの充電器」

  寝る時に、枕元で動画などを見る方も多いでしょう。本体や充電器が熱くなって、「低温やけど」につながる危険があります。

 

6.『低温やけど』になったらどうする?対処法

「低温やけど」は見た目に異常が少なく、大した無いと思えても、実際には皮膚の深い部分が「やけど」を起こしていることがあります。ただし、やけど跡や傷跡で残る可能性もありますので、原則的には皮膚科や形成外科など医療機関を受診し、治療を受けることをお勧めします。

 

医療機関に行く前には、

 ・ゴシゴシ「擦ったり」せず、『ワセリン』等で保護すること。

・「水ぶくれ(水泡)」は、自分でつぶさないこと。

・アロエや油、味噌などを塗ったりしないこと。

以上の点を守って頂きたいです。

 

7.おわりに

 今回は、一見軽く考えてしまいがちな「低温やけど」についてご説明すると共に、日常生活の中で注意が必要な点などをご説明させて頂きました。

「やけど跡」が残ってしまうこともありますので、自分で色々と対処するよりは、皮膚科や形成外科など医療機関を受診し、適切な治療を受けることが望ましいと思います。

 

 

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