【呼吸器内科医が解説】検診で腫瘍の影。肺がんと診断されるまでの流れを解説

職場の健康診断、地域の検診などで胸部陰影がみられ、病院を紹介されることがあるかもしれません。今後、どうなってしまうのだろうと非常に不安を抱えることだと思います。

日本で一番多いがんである肺がん。実はその診断は難しく、見つかったときには転移していたということもありえます。

肺がんの診断は、胸部レントゲン写真・胸部CT写真、そして肺の腫瘍から生検した組織を顕微鏡でみて「肺がん」と判断されます。続いて、病期(ステージ)診断が行われます。

検診で腫瘍の影がみえてから、どのようにして肺がんと診断されるのか、一般的な流れを解説していきます。また、たばこを吸われている方は特に、早期発見のためにご自身の健康管理が大切になります。
※この情報は、2017年8月時点のものです。

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1.職場・地域の検診など肺がんと診断されるきっかけ

私の外来に肺がんかもしれないと紹介される患者さんの多くのきっかけは、「胸部異常陰影」です。これは何かというと、職場の健康診断や地域の検診で胸部レントゲン写真・胸部CT写真で異常を指摘されることを指します。最初の時点では診断はわからないので、「異常陰影」とぼやかされているのです。

1-1 胸部レントゲン写真

さて、胸部レントゲン写真を1枚提示しましょう。向かって右側が左肺、向かって左側が右肺です。 これは、胸部レントゲン写真とあなたが対面しているものだと思ってください。向かい合った人の場合、自分から右側は相手の左側ですよね?

写真:左肺がん

この写真では左肺によくよく見ると丸い腫瘍があります。実はこれが肺がんなのです。このように胸部レントゲン写真で分かる陰影もありますが、分かりにくいところにあると、なかなか診断がつきません。そのため、今の医学では、胸部レントゲン写真1枚だけで「肺がんじゃなかった」と安心することはできません。胸部CTまで撮影して初めて安心できるのです。

1-2 胸部CT写真

写真. 胸部CT写真

胸部CTの方が、診断精度が高いので、もし可能であれば「1年に1回くらいは人間トックで胸部CTを撮影すること」をおすすめします。これであれば、肺がんを早期に発見できる可能性が高いと思います。「1年に1回胸部レントゲン写真」でも間違いではありませんが、胸部レントゲン写真はやはり取りこぼし(骨や血管が邪魔をして腫瘍があるかどうか分からないことがある)が存在するため、安心を買うなら胸部CT写真です。

2.肺に腫瘍があるとわかったら、次は気管支鏡検査

肺がんかもしれない、と言われたら、次に「気管支鏡検査」を受けなければいけません。いきなり外科手術で腫瘍をとってしまうという作戦もありますが、とってみたらがんじゃなかった、ということもありえますので、気管支鏡でまずは肺がんの確定診断をつけてしまう方が望ましいのです。

気管支鏡というのは、別名「気管支カメラ」のことで、要は胃カメラのようなファイバーを気管・気管支に入れる検査です。胃とは違って咳がゴホゴホと出やすいので、鎮静(中枢神経に作用する苦痛や不安を和らげる薬)をかけてやることが多いです。それでも、患者さんにとってはしんどい検査だと言われることもあります。この気管支鏡検査は、ものの10~20分くらいで終了します。

このときに肺の腫瘍から生検した組織を顕微鏡でみて「肺がん」と診断がつけられるのです。ひとたび「肺がん」と診断がつけば、次は「病期」を診断しなければいけません。

3.肺がんの病期(ステージ)診断

病期というのは、いわゆるステージのことです。よく「ステージ4=末期がん」と勘違いしている人がいますが、ステージ4というのは手術ができない状態で遠隔転移がある状態を指すものです。なんだよ、それって結局末期じゃないかと言われるかもしれませんが、末期がんというのは基本的に余命が半年以内で積極的ながんの治療の対象外にある状態を指す言葉で、しかも、最近は末期がんなどという言葉を私たちは使っていません(「終末期」という言葉を使います)。

病期が4の場合は手術ができなくなるので、抗がん剤治療の適応になります。病期1~3は条件次第では外科手術によって肺がんの病巣を取り除く処置ができるかもしれません。

4.たばこを吸っている方は要注意

肺がんとは、肺にできた悪性腫瘍のことです。いろいろな原因で肺がんはできますが、最も有名なリスクとして、たばこが挙げられます。

たばこの煙にはいろいろな「発がん物質」が含まれており、動物実験によって発がんさせる作用をもたらすことも証明されています。また、これまで実施された疫学研究において、たばこを吸う人で肺がんになりやすいということも分かっています1),2)。医学的・科学的にその関連性は間違いないとされているのです。

肺がんだけでなく、膀胱がん、頭頸部などさまざまながんのリスクになっているのがたばこです。百害あって一利なし。

じゃあなぜ全員たばこをやめないのか、というと、たばこには言わずと知れた依存性があるためで、やめたくてもやめられない中高年の方が多いのです。ニコチン依存症に該当する方は、禁煙外来に通院することができるので、今すぐにでも始めて下さい。

たばこを吸っている人は、肺がんの早期発見のためになおさら自分の健康管理に気を付けるようにしなければいけません。

5.まとめ

・肺がんの第一のリスクはたばこである。

・肺がんは胸部異常陰影として発見されることが多い。

・病期4の場合、手術適応外である。

次回は、病期が4と診断されて抗がん剤治療を受けなければならなくなった場合、どのような選択肢があるか紹介しましょう。

(参考文献)
1) Akiba S. Analysis of cancer risk related to longitudinal information on smoking habits. Environ Health Perspect. 1994 Nov;102 Suppl 8:15-9.
2) Sobue T, et al. Case-control study for lung cancer and cigarette smoking in Osaka, Japan: comparison with the results from Western Europe. Jpn J Cancer Res. 1994 May;85(5):464-73.

執筆
医師:倉原 優
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