「麻疹」と「風疹」の違い、見分けるポイントは?

麻疹と風疹は共にウイルスによる感染症です。どちらも発熱と発疹がみられる感染症であり、風疹は「三日はしか」と呼ばれることもあるため、軽度の麻疹であると考えられることがあります。

しかし、麻疹と風疹はそれぞれ別の疾患であり、感染経路や症状、注意すべき点なども大きく異なります。ここでは、麻疹と風疹の見分け方と注意すべきことを中心にそれぞれの特徴を詳しく解説します。

※この情報は、2018年5月時点のものです。

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1.麻疹と風疹~どのようにして感染するか~

麻疹と風疹はどちらもウイルスによる感染症です。しかし、その感染経路は異なり、感染した後の症状の現れ方も異なります。では、それぞれどのような特徴があるのか詳しく見てみましょう。

 

1-1. 感染経路

特定の感染症について正しい感染経路を知ることは、感染予防を行う上でも非常に重要なことです。麻疹と風疹はそれぞれどのような機会に感染する可能性があるのでしょうか?

 

①麻疹の感染経路

麻疹は麻疹ウイルスに感染することで発症します。予防接種が広く普及した日本では、2015年にWHOによって日本に古くから生息していた土着の麻疹ウイルスは排除されたことが認定されています。

 

しかし、海外への渡航や海外からの渡航者が増加している今日、海外から持ち込まれた麻疹ウイルスの大流行が度々問題となっています。

 

麻疹ウイルスは通常の感染症と同じく接触感染を起こすこともありますが、主に空気感染によって感染が広がります。空気感染とは、感染者から排出されたウイルスが空中を舞い、同じ空間にいる人が呼吸することでそのウイルスを吸い込んで感染するものです。

 

一般的な感染対策として、手洗いや消毒が奨励されていますが、空気感染はそれらの対策を行っても予防することはできません。また、通常の市販のマスクは非常に小さな麻疹ウイルスを通過させるので、マスクを着用しても完全に予防することはでません。

 

麻疹ウイルスは非常に感染力が高く、空港や病院で数分間近くにいた人に二次感染を起こすことも少なくなく、一度ウイルスが持ち込まれると爆発的な流行につながることがあるのです。

 

②風疹の感染経路

風疹は風疹ウイルスに感染することで発症します。しかし、風疹ウイルスは麻疹ウイルスのように空気感染は起こさず、飛沫感染と接触感染のみとされています。

 

感染者の咳やくしゃみと共に排出された飛沫の中には風疹ウイルスが潜んでおり、近くにいた人がその飛沫を鼻や口から吸い込んでしまったり、ドアノブや電気スイッチなどに付着したウイルスに触れてしまうことで感染するのです。

 

このため、風疹の感染予防は、手洗いや消毒の徹底が重要になります。また、飛沫はマスクを通過しないので、マスクの着用も大きな予防効果があります。

 

1-2. 症状の現れ方「不顕性感染」にご注意を!

多くの感染症はたとえウイルスや細菌に感染したとしても、目立った症状を起こさない「不顕性感染」を生じることがあります。

 

風疹も例外ではなく、約30%は不顕性感染であるといわれています。一方、麻疹には不顕性感染はほとんどなく、感染すると90%以上の人は発症して様々な症状が現れるのが特徴です。

 

不顕性感染で注意すべきことは、感染したとしても目立った症状がないため、感染を自覚することができず、適切な感染対策が行われないことです。このため、知らない内に身近な人に感染させてしまう可能性もあり、注意が必要なのです。

 

2.麻疹と風疹~症状~

麻疹と風疹は症状が大きく異なります。一般的には麻疹の方が重篤な症状が出やすいですが、風疹は妊娠中の女性が感染すると胎児に重篤の後遺症を遺すことが知られており、どちらも注意しなければならない感染症です。

 

では、麻疹と風疹は発症するとどのような症状が現れるのでしょうか?詳しく見てみましょう。

 

2-1. 麻疹の症状

麻疹ウイルスに感染すると、10~12日間の潜伏期間を経て、まずは38度程度の発熱と咳や喉の痛みなど一般的な風邪の症状が現れます。この症状は3日ほど続きますが、この時点で麻疹が疑われる所見はほとんどなく、口の中の粘膜に小さな白い斑点のような湿疹が散在する麻疹に特徴的なコプリック斑が見られることがあります。

 

しかし、コプリック斑は見れないケースも多く、この所見だけで麻疹かどうかを判断することはできません。また、乳幼児ではこの時期に、下痢などの消化器症状を起こすこともあります。

 

そして、一旦熱が下がりますが、半日ほどで今度は39度前後の高熱が現れ、全身に鮮紅色の皮疹ができてきます。皮疹は顔からできやすく、胴体、腕、脚と広がっていきます。麻疹の皮疹はそれぞれが癒合して拡大するのが特徴です。

 

この状態は4日ほど続き、徐々に熱が下がって体力は元に戻りますが、皮疹は色素沈着を起こし、完全に消えるまで一か月ほどかかることが多いです。

また、麻疹は合併症を起こしやすく、1000人に1人は脳炎を起こし、重症な場合には死に至ることもあります。

 

2-2. 風疹の症状

風疹ウイルスに感染すると、2~3週間の長い潜伏期間を経て、頚部や耳の後ろなどのリンパ節が腫れ、全身に皮疹が現れます。38度台の発熱を生じることがありますが、半数の人には発熱はないとされています。

 

皮疹は薄い紅色で、細かい丘疹(やや盛り上がりのある米粒大の皮疹)です、が麻疹のように皮疹同士が癒合することはありません。また、通常は発熱も皮疹も3日程度で改善し、色素沈着などを起こすことはありません。

 

このため、風疹は「3日で治るはしか(麻疹)」と誤解されることがあるのです。

 

①胎児への後遺症!先天性風疹症候群にご注意を

風疹は軽度な症状のみで麻疹のような生命に危険を及ぼす合併症は少ないとされています。しかし、妊娠初期の人が風疹に感染すると、胎児に重大な後遺症を遺す「先天性風疹症候群」を引き起こすことがあります。

 

先天性風疹症候群は、心奇形・難聴・白内障が三大徴候であり、その他にも糖尿病や緑内障、精神発達遅滞など様々な症状が生じます。

特に妊娠初期の感染は先天性風疹症候群の発症率が高く、妊娠10週以前の感染では約半数で発症するといわれています。

 

2.麻疹と風疹~感染予防~

麻疹と風疹はどちらも重篤な症状や後遺症を生じることがあり、適切な感染対策が行われるべき感染症の一つです。しかし、麻疹は空気感染を起こすため、手洗いやマスクの着用、消毒などの一般的な対策だけでは感染を防ぐことはできません。

 

そこで重要な感染対策は「予防接種」です。麻疹と風疹にはワクチンがあり、予防効果は95%以上であるため確実な接種が望まれます。

 

3-1. 麻疹・風疹ワクチン(MRワクチン)

現在、日本国内で広く使用されているのは麻疹と風疹の混合ワクチンです。一般的にMRワクチンと呼ばれますが、これは2006年に小児に対して定期化したもので、一歳時に一回目、小学校入学前に二回目の接種を行います。

 

接種率は90%以上であり、予防接種の普及によって麻疹と風疹の患者数は大幅に減少しています。

 

3-2. 1978~1990年生まれの人は注意を!

1978~1990年生まれの人が受けていた麻疹と風疹の予防接種は、現行の二回式ではなく一回接種のみのものでした。しかし、一回接種だけでは抗体の形成が不十分であり、免疫がつかないことが分かっています。

 

このため、1978~1990年生まれの人は麻疹や風疹への免疫がない人が多く、現在国内で問題となっている海外から持ち込まれたウイルスによる集団感染は主にこの年代の人が罹患しているのです。

 

特に子どもを産み育てている世帯では注意が必要で、妊娠の予定がある人やその家族は抗体がない場合には前もって予防接種をうけておくとよいでしょう。

 

4.まとめ

麻疹と風疹は似ている病気と思われがちですが、それぞれ全く別の病気であり、感染の仕方や症状、注意点も大きく異なります。

 

具体的には、

・麻疹は空気感染する。

・麻疹は90%以上が発症し、高熱、皮疹が現れる。

・風疹は30%に症状が現れず、リンパ節の腫れと皮疹が現れるが発熱がないこともある。

・麻疹は癒合した鮮紅色の皮疹であり、風疹は小さな細かい薄紅色の丘疹である。

・風疹は妊婦に感染すると胎児が先天性風疹症候群を生じることがある。

これらの違いを踏まえ、予防接種を含めた適切な感染対策を行いましょう。

 

執筆
医師:ママさん女医あっきー
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