おとなも必要?「麻疹(はしか)」の脅威と予防接種のすべて

「はしか」は麻疹ウイルスによる感染症です。日本では予防接種が普及したため、2015年には日本に古くから土着していた麻疹ウイルスは排除されたと認定されています。しかし、気軽に海外へ旅行することができ、海外からの渡航者も年々増加している昨今、海外から持ち込まれた麻疹ウイルスが日本で流行することが多々あります。このため、日本国内にいてもはしかにかかる可能性は誰にでもあるといえるのです。

麻疹ウイルスは非常に感染力が強く、感染すると肺炎や脳炎などの重篤な合併症を起こすこともあります。小児では2006年から麻疹・風疹混合ワクチンの二回接種が定期化され、小児の罹患率は大幅に減少しました。

ここでは、はしかの特徴とおとながはしかにかからないために行うべき予防接種について詳しく解説します。

※この情報は、2018年5月時点のものです。

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1.「はしか」ってどんな病気?

「はしか」は麻疹ウイルスによる感染症です。はしかは肺炎や脳炎などの生命に関わるような重篤な合併症を起こすことがあり、中には数年後に神経障害が生じることもあります。ここでは、はしかとはどのような病気なのかを詳しく見てみましょう。

 

1-1. 麻疹ウイルスの脅威

麻疹ウイルスは非常に感染力が強いウイルスであり、空気感染や経口感染、接触感染など様々な感染様式を持ちます。特に問題となるのが空気感染で、感染者から排出されたウイルスに直接触れなくても同じ空間にいるだけで感染してしまう可能性があります。

 

感染力が強いため、例えば病院の待合室や公共交通機関で近くの席に座っているだけでも感染してしまう危険があります。実際、日本国内でも空港や病院で爆発的な二次感染が生じたケースがありました。

 

予防接種の普及によって、日本に古くから土着していたウイルス株は撲滅したことが2015年にWHOによって認定されています。しかし、海外から持ち込まれた麻疹ウイルスはどんなに厳密な感染対策を行っても完全に流行を防ぐことはできないのが現状です。特に予防接種前の乳児や現行の予防接種を受けていない世代への感染が広がりやすく、一度ウイルスが持ち込まれると、二次感染や三次感染が引き起こされ、爆発的な流行を起こすことが社会問題となることがあります。

 

1-2. はしかの症状

はしかは麻疹ウイルスに感染することから始まります。多くのウイルス性感染症は、仮に体内にウイルスを取り込んだとしても症状が出ないことも多々ありますが、麻疹ウイルスは感染力が極めて高く、感染した場合には95%以上がはしかを発症するといわれています。

 

麻疹ウイルスの潜伏期間は10~12日であり、一般的なウイルス性感染症よりも長いのが特徴です。潜伏期間を経た後は以下のような症状が順を追って現れます。

 

①発症1~3日:感冒様症状

はしかは潜伏期間を経ると、まず発熱や咳、鼻水など一般的な風邪とよく似た症状が現れます。発熱は軽度であり、多くは38度以下です。

 

このような症状が発症後3日ほど続くため、はしかだと気づかれずに病院を受診したとしても風邪と診断されることがほとんどです。しかし、一般的な風邪よりも倦怠感や他者から見た衰弱が著しいのが特徴で、乳児の場合には不機嫌になり哺乳力が大きく低下します。

 

また、口の中の粘膜にKoplik班と呼ばれる皮疹が出ることがあります。これははしかに非常に特徴的なもので、診断の手掛かりになりますがKoplik班が見られないケースも非常に多く、Koplik班がないからといってはしかを否定することはできません。

 

②発症3~7日:高熱・発疹

風邪の様な症状が3日ほど続くと、発熱は一旦治まります。ここで、多くの人は風邪が治ったと思うでしょう。しかし、はしかでは一旦熱が下がって半日ほど経った後に39度以上の高熱と重度な風邪症状、特徴的な発疹が現れます。

 

発疹は、赤く平らな形であり、耳の後ろやおでこ、首などからでき始め、徐々に顔、胴体、腕に広がり、2日ほど経つと足にまで広がります。全身に広がった皮疹はそれぞれが融合して形がいびつな斑点のようになります。その後、皮疹は赤色から徐々に暗い色味になり、消えていきます。

 

③発症7~10日:回復へ

発疹が出てから生じた高熱は4日ほどで治まります。そして、徐々に体力や風邪症状も回復していきます。しかし、症状がなくなっても皮疹は色素沈着して残ることもあります。

 

完全に症状が治まるまで一か月以上かかることも稀ではありません。

 

1-3. はしかの合併症

はしかは高熱や全身に広がる皮疹など、激しい症状が出やすいためはしか自体が重篤な感染症と言えます。しかし、麻疹ウイルスは人の体内に侵入すると、免疫を担うリンパ組織を破壊するため、発症している期間は免疫力が通常よりも低下します。その結果、麻疹ウイルス以外の感染症にもかかりやすくなり、はしかの治りも遅くなる場合があります。

 

このため、はしかには様々な合併症が生じやすく、乳幼児ではそれが原因で死に至ることもある恐ろしい感染症なのです。

 

最も多い合併症は中耳炎で約10%に発症するといわれています。また、肺炎や脳炎を合併することもあり、はしかの二大死因です。医療資源が豊富な日本でも2000年前後の流行期には年間で約30人がはしかが原因で亡くなっており、徹底した対策が必要な感染症の一つでもあります。

 

また、症状が治まっても、6~8年後に体内に残存した麻疹ウイルスによって亜急性硬化性全脳炎が引き起こされることがあります。これは様々な神経症状を生じ、予後が極めて悪く、平均して6年で死に至るとされています。

 

2.はしかを予防するには…

このようにはしかは非常に重い症状が現れるだけでなく、生命に危険を及ぼすような合併症を引き起こす感染症です。日本では2000年前後に流行した時期があり、2006年に小児に対する二回接種による予防接種が定期化されました。

 

ここでは、おとながはしかの発症を防ぐにはどのような対策を行えばいいのかを詳しく見てみましょう。

 

2-1. 感染予防

はしかの発症を防ぐには、麻疹ウイルスの体内への侵入をブロックすることが大切です。万が一、はしかにかかった人が身近にいたり、地域ではしかが流行した場合には、マスクの着用と手洗い、手指消毒を徹底しましょう。

 

また、乳幼児や麻疹ウイルスに対する抗体がないことが分かっている人は流行時期には不必要な人ごみへの外出を控えた方が無難です。

 

2-2. 予防接種

麻疹ウイルスは空気感染するため、標準的な感染対策を徹底しても体内に取り込まれてしまうことがあります。このため、はしかの予防策として最も大切なのは予防接種です。

 

予防接種は、弱毒化した麻疹ウイルスを皮下に注入し、麻疹ウイルスに対する抗体を獲得する目的で行われます。2006年から定期化された予防接種は、麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)であり、1歳時と小学校入学前の二回にわたって接種します。

 

かつての予防接種は1回のみでしたが、それでは抗体の形成が十分ではないことがわかってきたため、二度にわたる接種が行われるようになったのです。

 

①1978年から1990年生まれの人はご注意を!

1978年~1990年生まれの世代は、当時、はしかの予防接種は1回のみ行われていました。また、副反応として無菌性髄膜炎が相次いだことから接種率が低下したこともあり、十分な免疫が得られていない可能性があります。

 

特に、この世代は現在広く社会に出ている世代であり、乳幼児を持つ人の多くいます。つまり、感染してしまうと感染を拡大させてしまう可能性が高い人たちなのです。

 

この世代の人は血液検査で麻疹ウイルスへの抗体があるかを調べ、ない場合には予防接種を受けることをお勧めします。

 

一方、1990年以降に生まれた人は二回接種する機会があり、十分な抗体が形成されている可能性が高いと考えられています。

 

②どこで受けるの?

はしかの予防接種は、今では多くの医療機関でMRワクチンが使用されます。MRワクチンは風疹に対するワクチンも含まれていますが、風疹にかかったことがある人でも接種することが可能です。

 

小児の定期接種とは異なり自費での接種になりますが、感染予防効果は95%以上といわれており、抗体のない人は自分への感染を防ぐためだけでなく感染を広げる機会を減らすためにも確実な接種が望まれます。

 

予防接種は一般的な内科などの医療機関で受けることができます。費用は医療機関によって異なりますので、事前に予約を兼ねて問い合わせるとよいでしょう。

 

3.まとめ

はしかは死に至るような合併症を引き起こすことがある恐ろしい感染症です。しかし、予防接種によって感染を大幅に防ぐことができます。

 

1978年~1990年生まれの人は予防接種を一度しか受けておらず、はしかに対する免疫がない場合があります。該当する年代の人は、自身に抗体があるかを調べ、ない場合には予防接種を受けて感染をしっかり防ぎましょう。

 

執筆
医師:ママさん女医あっきー
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