【糖尿病のお薬】メトグルコ錠®(ビグアナイド系)の作用・副作用、服用の注意点などを解説

糖尿病治療薬には様々なお薬があります。

毎日、服用するお薬や1週間に1度の服用のみで良いお薬、インシュリンの自己注射など日々、新しいお薬が開発され出回っています。

効き方も薬ごとで様々ですので気をつけなければならない事が沢山あります。そんな糖尿病治療薬のひとつにメトグルコなどのビクアナイド系とよばれるタイプのお薬があります。

今回は、メトグルコなどのビクアナイド系糖尿病薬の作用や副作用、服用の注意点などについて小ネタを挟みつつ解説していきたいと思います。
※この情報は、2018年6月時点のものです。

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1.ビグアナイド系糖尿病薬(メトグルコ錠®など)ってどんなお薬?

ビグアナイド系糖尿病薬とはビグアニド骨格という構造式を持った糖尿病治療薬のことを指します。現在、日本で使用されているビグアナイド系糖尿病薬は「メトホルミン」と「ブホルミン」の2種類があります。

 

メトホルミンは主にメデット錠®、メトグルコ錠®として販売されています。

 

ブホルミンはジベトス錠®として販売されています。

 

中東原産のガレガというマメ科の植物から有効成分が発見され古くから糖尿病治療薬として用いられてきました。体内血糖値を下げる働きをする物質は主にインスリンとなります。血糖値が高い時に体内ではインスリンの分泌が促進され、血糖値が下がっていきます。古くからある糖尿病治療薬はインスリンの分泌を促進したり、インスリン自体を体内に取り込むことで血糖値を下げ糖尿病の治療を行ってきました。

 

一方、ビグアナイド系の糖尿病治療薬はインスリンに関与することなく、血糖値を下げる働きがあります。肝臓において糖新生という働きを抑制することで体内の血糖値を下げる働きがあります。糖新生とは糖を新たに作る働きのことです。乳酸を介した肝臓での糖の生産を制御する事で体内の血糖値が安定するということになります。

 

医療現場では糖尿病患者へ食事療法や運動療法で血糖値の改善が見られない時に薬物治療の第一選択薬としてビグアナイド系の糖尿病薬が用いられる事が多いです。

 

その理由として「インスリンを介した血糖降下作用でない」が大きいからです。

 

インスリンはヒトが生きているうちに分泌される量が決まっています。そのため、インスリンを出し尽くすとインスリンを体外から供給しなければならなくなります。万が一に備えインスリンの余力を残しておいた方が良いのです。また、体内のインスリンの量が糖尿病治療薬などで必要以上に多くなってしまうと体内の糖の量が減ってしまい低血糖と呼ばれる症状が出てしまいます。低血糖の症状は冷や汗やふらつき、意識低下、昏睡状態など命の危険が晒されてしまう事があります。ビグアナイド系の糖尿病薬はこの低血糖の症状が比較的出にくい糖尿病治療薬になるため、扱いやすい薬であるとも言えます。

 

2.主なビグアナイド系糖尿病薬一覧

現在、日本で使用されているビグアナイド系の糖尿病薬は3種類あります。

2-1. メトホルミン製剤

①グリコラン錠®︎250mg
②メトグルコ錠®︎250mg、メトグルコ錠®︎500mg
③メトホルミン塩酸塩錠250mg「〇〇」、メトホルミン塩酸塩錠500mg「〇〇」(「○○」にはジェネリックメーカーの名前が入ります。

 

の3種類ありますが、詳しくは4.ビグアナイド系製剤の小話メトグルコ®とメトホルミン製剤の違いで解説となりますが、分類上は4種類となります。(3)のメトホルミン塩酸塩錠が曲者なのです。

 

どの薬も名前は違いますが、メトホルミンを主成分とした糖尿病治療薬になります。

 

2-2. ブホルミン製剤

ジベトス錠®︎50mg、ジベトンS腸溶錠®︎50mgの2種類になります。

 

2-3. 合剤

①メタクト配合錠LD®/メタクト配合錠®(ピオグリダゾン/メトホルミン配合)
②エクメット配合錠LD®/エクメット配合錠HD®(ビルダグリプチン/メトホルミン配合)
③ イニシンク配合錠®(アクログリプチン安息香酸塩/メトホルミン塩酸塩配合)

の3種類がメトホルミン製剤と他の糖尿病治療薬との配合剤となります。

 

3.ビグアナイド系糖尿病薬での副作用、注意点

ビグアナイド系の糖尿病薬を使用していて注意すべき副作用は乳酸アシドーシスという副作用です。疲労感や倦怠感、脱水症状、口渇、意識低下などの症状が出てしまいます。

 

メトホルミンはインスリンを介した血糖効果作用ではなく、肝臓での糖新生抑制による血糖降下作用があります。糖を作るルートを遮断する事で糖の増加を防いでいるのですが、逆に出発点の物質が余ってしまい体内に残ってしまう事があります。その残ってしまう物質が乳酸となります。

 

乳酸は体内に蓄積されると疲労や倦怠感、脱水症状、口渇、意識低下などの症状が出てしまう事があります。体内に水分量が少ないと乳酸アシドーシスの症状が出やすい事があります。そのため、水分量が少ない高齢者や腎機能に異常のある患者さんには注意が必要です。メトホルミン製剤は原則、高齢者や重度の腎機能低下患者には禁忌となっています。

 

4.ビグアナイド系製剤の小話

4-1. メトグルコ®とメトホルミン製剤の違い

2.①でメトホルミン製剤は分類上3つですが4種類に分ける事が出来るとありましたが、それには理由があります。

メトホルミン製剤は元々、グリコラン錠®をはじめとする製剤が販売されました。グリコラン錠は1日の用量が750mgまでと決まっていました。

 

そんな中、メトグルコ錠®が同じメトホルミン製剤として1日量2,250mgを上限とし用法用量の特許を別に取得し販売されました。

成分は全く同じ薬ですが、用法用量が異なると別の医薬品として扱いを受けます。用法用量が多いとその分、効果も期待され、メトグルコ錠®が医療現場で使用されていくようになりました。

 

医薬品は特許期限が過ぎると後発品、ジェネリック医薬品が出るようになります。この場合、先にグリコラン錠®のジェネリック医薬品が販売されました。当然、グリコラン錠の用法用量と全く同じジェネリック医薬品となります。その後、メトグルコ錠®のジェネリック医薬品も販売されるようになりました。

 

メトグルコ錠®は医療現場で大量に、特に250mg製剤が使用されていたため、各メーカーがジェネリック医薬品を販売するようになりました。現場ではメトグルコ錠®250mgのジェネリック医薬品は品薄状態が長く続いていた印象があります。そんなメトグルコ錠®︎250mgのジェネリック医薬品の供給が安定し、在庫が確保でき始めた時に事件?が起きました。

 

「メトグルコ錠®250mgのジェネリック医薬品はないものとして扱う」

 

と厚生労働省から通知がきたのです。

 

メトグルコ錠250mgのジェネリックがない事になってしまったのです。メトグルコ錠®の250mgの規格のみです。同じメトグルコ錠®の500mgの規格はジェネリック医薬品があり、250mgの規格はジェネリック医薬品の規格がないという不思議な現象が起きてしまいました。

 

そのため、ジェネリック医薬品であるメトホルミン塩酸塩錠250mg「〇〇」はジェネリック医薬品として扱われず、在庫が大量に余ってしまった記憶があります。患者さんにもその経緯をどう説明すべきか現場では混乱しました。私自身、「病院の採用がなくなってしまったので元に戻しました。」と言って誤魔化していくようにしたりしていましたが。

 

メトグルコ錠®のジェネリックの薬価はメトグルコ錠®とほぼ同じ薬価であったため、変更しても値段が変わらないという点が大きかったのだと思います。調剤薬局では患者さんに処方するお薬でジェネリック医薬品を多く提供すると点数を加算できる仕組みがあります。後発品の率を下げ、医療費削減の旨があったのだと考えています。それくらいメトグルコ錠®は医療現場で使用されていた経緯もあると思います。

 

またメトグルコ錠®とグリコラン錠®は同じ成分にも関わらず、上限量が異なるため、間違って処方されるケースがよくあります。グリコラン錠が今日から増量となっていて1,000mgになっていて処方をメトグルコ錠®に切り替えてもらうという事が起きたりしています。メトホルミン錠250mg「〇〇」もメーカーによって上限量が750mgであったり2,250mgであったりと添付文書をよくみないと異なる場合があります。しっかりと把握していないと同じ薬でも規格、商品名が異なって処方してしまうと医療過誤になってしまうので注意が必要です。

 

4-2. 適応外処方

ある調剤薬局で勤務していた時、メトグルコ錠®250mgが普段通りに処方されました。患者さんは20代の女性で、しかも処方箋をよく見ると産婦人科からの処方となっていました。糖尿病の薬が何故、産婦人科から?と同僚に聞いてみました。

すると同僚からは「メトグルコ錠®には排卵抑制の副作用があって不妊治療で処方されてる」と言われました。添付文書の用法にはもちろん、適応の記述は無く、副作用の欄にもそのような記述がなかったので驚いた記憶があります。海外や国内の文献でそのような研究結果があったために医師の管理のもと、処方されたケースでした。

当然、薬歴などには記載ができない内容となっています。

自分自身、このような適応外な処方を実際に見ると何故?どうして?と意欲が沸き立つ事があります。

 

5.まとめ

ビグアナイド系の糖尿病治療薬はよく処方される糖尿病治療薬です。メトホルミン製剤は規格や商品によって用法用量が異なっている珍しい薬でもあります。その分、注意しなくてはいけない薬でもあります。今回は治療薬以外に小ネタを中心に解説をしてみました。個人的にはこういう小ネタが好きなのでメトグルコ錠®は好きな薬の1つでもあります。

執筆
薬剤師:えりんぎの薬剤師
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