目次
1.メチコバール(メコバラミン)とは
1-1. メチコバールの成分と効果
病院で処方されるお薬(医療用医薬品)であるメチコバールの有効成分は、「メコバラミン」です。このメコバラミンは、ビタミンB12の一種で、活性型タイプに分類されます。
ビタミンB12は、体内で重要な働きを担っており、末梢神経や中枢神経の機能の維持・修復を行う作用をもつことや血液中の酸素を運搬するヘモグロビンの合成にも関わっています。そのため、ビタミンB12が不足すると、末梢神経のはたらきが悪くなり、しびれや痛みを起こしたり、貧血を起こすこともあります。
特にメコバラミンは、他のビタミンB12と比較し、神経組織への移行性に優れているという特徴があり、末梢神経障害の治療に用いられます。
ちなみにメコバラミンは光によって分解される性質があることから、遮光性のあるシートに保管されており、遮光環境で保管する必要があります。メチコバールの錠剤が赤みを帯びた特徴的なシートに包まれているのはそのためです。
メチコバールのジェネリック医薬品は?
メチコバール注射液500μgは先発医薬品に分類されますが、メチコバール細粒0.1%、メチコバール錠剤250μg、メチコバール錠剤500μg自体がジェネリック医薬品に分類されます。
その他にも、ジェネリック医薬品は多数あり、おおくは、メコバラミン錠500μg「SW」などメコバラミンという名前に「メーカー名」がつきます。
1-2. どんな場合に使用される
メチコバールは、糖尿病性神経障害、多発神経炎などの「末梢性神経障害」、特にしびれ、痛み、麻痺などに対して用いられます。また、神経障害が原因と考えられるめまいや難聴、耳鳴りなど幅広い疾患にも医師の判断で用いられることがあります。
また、注射薬に関しては、末梢性神経障害に加え、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血にも用いられます。
即効性が期待できるというわけではなく、効果は穏やかですが、副作用が少なく安全性が高いことから継続的に処方されることが多いです。昔から広く使用されてきたお薬のひとつで、1972年から注射剤、1978年から内服が発売されており、40年以上もの歴史があります。
メチコバール の服用方法
※年齢、症状により適宜増減
■錠 250μg :
通常、成人は 1日6錠を3回に分けて服用(1日成分量1500μg)
■錠 500μg :
通常、成人は 1日3錠を3回に分けて服用(1日成分量1500μg)
■細粒 0.1% :
通常、成人は 1日3包を3回に分けて服用(1日成分量1500μg)
服用が3回に分けてですので、朝食後、昼食後、夕食後となっていることが一般的です。
2.メチコバールと同じ成分を含む市販薬はある?
メチコバールは主として単独でメコバラミンが含まれていますが、市販薬の場合、他のビタミン製剤なども合わせて配合されています。
メチコバールはエーザイという製薬会社より販売されていますが、市販薬でもエーザイが販売しているものがあります。
■ナボリンS【第3類医薬品】 / エーザイ
<特徴>
・メチコバールと含まれているメコバラミンの成分量が同じ(1日量1500μg)
・1日3回服用
・15歳未満は服用できない
・メコバラミンの他に、葉酸、酢酸d-α-トコフェロール(天然型ビタミンE)、フルスルチアミン塩酸塩(ビタミンB1誘導体)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)を含んでいる
その他、メチコバールと含まれているメコバラミンの成分量が同じで1日3回服用する市販薬としては次のようなものもあります。
■アクテージSN錠【第3類医薬品】 / 武田コンシューマーヘルスケア
■アリナミンEXゴールド【第3類医薬品】 / 武田コンシューマーヘルスケア
■ヘルビタS【第3類医薬品】 / 米田薬品
■リラッセ【第3類医薬品】 / エスエス製薬
■ユンケルB12アクティブα【第3類医薬品】 / 佐藤製薬
など
製造過程などを考慮しないで成分の量だけでみると、医療用医薬品であるメチコバールと相違がないものといえます。
但し、神経の痛みやしびれの原因としては様々なことが考えられます。自己判断で市販薬をしばらく服用していても効果を感じない場合や悪化しているような場合には、早めに病院を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。
3.メチコバール服用時の注意点
3-1. 副作用について
基本的に、副作用は少なく安全性が高いお薬です。
副作用があるとすれば、食欲不振や悪心・嘔吐、下痢、発疹などで、ほとんど心配はいりません。但し、いつもと違う気になる症状が出た場合には、服用を中止し、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
基本的にビタミンB12は水溶性ビタミンですので、過剰に摂取したとしても体内にたまりづらく、体外に排出されます。
安全性が高いお薬ですが、効果は即効性があるというわけではなく、継続的に服用することが大切なお薬です。医師から処方された場合には、指示どおり継続して服用するようにしましょう。
3-2. その他、飲み合わせなど服用について注意すること
特に飲み合わせについて注意する必要がないお薬です。痛み止めや風邪薬などと一緒に服用しても問題ありません。
それでも今服用しているお薬と飲み合わせが気になる場合には、薬剤師に相談してみましょう。
お薬の注意点としては、光によって分解されるため、遮光環境で保管する必要があります。
4.おわりに
今回は、メチコバールの成分であるメコバラミンの効果やどんな場合に使用されるのか、また、同じ成分を含む市販薬があるのかについても解説しました。
メチコバールと同じ成分であるメコバラミンを含む市販薬は販売されており、メコバラミン単独ではなく、他のビタミン製剤なども合わせて配合されているのが特徴です。
副作用は少なく、特に飲み合わせに注意が必要なものもないため、昔から広く使用されているお薬のひとつです。但し、即効性というよりは、継続して服用して効果がみられるお薬ですので、医師から処方された場合には、指示どおり継続して服用するようにしましょう。