【片頭痛の予防】片頭痛を予防するための治療と日常生活でできること

片頭痛は日本でも8-9%の人が悩んでいる頭痛です。20-40代女性の頻度が高く、特に30代女性では5人に1人は片頭痛を持っているという統計もあります。

一旦ひどい片頭痛が起きると、動けなくなってしまい仕事に手がつかなくなってしまいます。今では治療薬の進歩のおかげで、多くの患者さんでは日常生活に支障がでないように治療できるようになっています。
しかし、患者さんによっては、これらの薬を使っても頭痛を頻繁に繰り返したり、頻度が少なくても強い頭痛に悩まされる人もいます。

日常生活で発作を避ける方法はあるのでしょうか。また頻度が多かったり症状が強い場合に発作がでないようにするために日常生活でできること、あるいは予防する方法があるのでしょうか。
今回は、片頭痛を予防する治療についてお話しをしていきます。
※この情報は、2018年8月時点のものです。

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1.片頭痛のさまざまな症状

片頭痛はずきずきするような頭痛の発作を繰り返す病気です。ずきずきするのは血管の拍動であり、片頭痛の原因が血管にあることがわかります。頭痛外来を受診される患者さんの数が最も多い頭痛の一つです。

 

人によって症状の出方が違い、病気の名前の通り片側に頭痛がある場合もありますが、4割程度の人は両側に頭痛が出ます。一回の発作の持続時間は、数時間から3日程度と幅があります。頭痛は動き回ることで悪化することが多く、悪心・嘔吐を伴うこともあります。両親や兄弟姉妹に片頭痛の人が多いのも特徴です。

 

頭痛が起きる前に視野のなかにチカチカと光る点、ギザギザした光(閃輝暗点)が出現し段々大きくなっていき、それがおさまったころに頭痛がでてくるというのが最も典型的な片頭痛発作のパターンです。

 

しかし閃輝性暗点を伴わない場合も多いです。頭痛の程度も人さまざまで、同じ人でも頭痛が強く出る場合もあまり強くない場合もあります。ひどい片頭痛が起きると、動けなくなってしまい仕事に手がつかなくなってしまうこともあるのは上に書いた通りです。

 

頭痛の頻度は、いったん出現するとしばらく続き、通常1ヶ月に1~2度、多い人では1週間に1度と周期的に繰り返すのが特徴です。月に2ー3回以上起きるようであれば、頻度が高いといってよいでしょう。頭痛が長引くと刺激がさらに刺激を呼ぶといった悪循環に陥ってしまうことから、痛みが軽いうちに、早めに対処することが大切です。

 

2.片頭痛はどうして起きる?

片頭痛がどうやって起きるか、そのメカニズムはいまだに正確にはわかっていないところもありますが、基本的には血管で痛みが起きると考えられます。

 

頭痛の発作の際は、まず最初、脳の血管が収縮して、その後拡張が起きることがわかっています。片頭痛の発作のときに、このような血管の収縮と拡張が起きる原因のひとつが「セロトニン」という物質の放出であると考えられています。

 

ストレスなどの刺激を受けると、血小板から血管を収縮させる作用をもつセロトニンが大量に放出され、脳の血管が収縮します。次いでセロトニンが分解・排泄されて減少するにつれ、今度は収縮していた血管が急激に拡がり、これに伴って頭痛が起こると考えられます。これまでは、片頭痛はこのように脳の血管による頭痛、つまり「血管性頭痛」と考えられていたのですが、現在では血管だけの問題ではなく、脳幹と呼ばれる脳の一部にも片頭痛の原因があることがわかってきました。

 

 

何らかの原因で脳の太い血管が拡張すると頭蓋内血管に分布している神経終末から情報が伝わって三叉神経が刺激されます。すると血管作動性物質(神経ペプチド)が放出され、血管が拡張します。血管が拡張すると、ますます周りの三叉神経が刺激されます。

 

これにより無菌性の炎症が引き起こされ、炎症反応により次々に血管を広がっていきます。この刺激が大脳に伝わり“痛み”として認識されることによって、頭痛として感じられるのです。この刺激による興奮が、吐き気の中枢である脳幹の嘔吐中枢にも広がると、悪心・嘔吐などの随伴症状が起きると考えられています。また視覚を司る中枢(後頭葉)に広がると、閃輝暗点が起きると考えられます。

 

3.片頭痛の治療

軽度の片頭痛発作には、アセトアミノフェンや非ステロイド鎮痛消炎剤、いわゆる通常の「痛み止め」でも十分です。しかしこれだけではコントロールできない強い頭痛の場合もあります。これまでは血管を収縮させる薬であるエルゴタミン製剤といわれる薬がよく使われていました。

 

しかし急性期の頭痛をおさめる片頭痛の薬の中では、 トリプタン製剤はとくに有効性が高く、近年ではこれが治療の中心になっています。

 

片頭痛治療薬のトリプタン製剤は、セロトニン1B受容体に作用し、拡張した血管を収縮させます。さらにセロトニン1D受容体に作用して、血管拡張性の神経ペプチドの放出を抑制することにより、片頭痛の症状を消失させると言われています。

 

これによって片頭痛のコントロールが劇的に改善したと言われています。しかしこの薬は副作用として悪心・嘔吐がでることもありますし、血管を収縮させる薬であるため、脳梗塞や心筋梗塞のある患者さんでは使うことができません。強い頭痛発作への恐怖から、ついつい頭痛薬を乱用してしまう患者さんも多いので、治療をしているうちに、かえって頭痛が強くなる「薬剤乱用性頭痛」を引き起こすこともあります。

 

4.発作がでないようにするために日常生活でできること

片頭痛を予防するために、日常生活でできることにはどのようなことがあるでしょうか。

 

片頭痛のきっかけになりやすい状況は人によって異なりますが、一般的に頭痛を誘発しやすい因子がいくつか知られています。そのような状況や因子を認識して、できるだけ避けることができれば、片頭痛を予防することができます。

 

まずストレスが片頭痛のきっかけになることがあります。ストレスを避けることが大切だということは当然のように思えますが、実はリラックスした時にも頭痛が起きやすいともいわれています。睡眠不足は当然悪いのですが、寝不足による疲労や寝過ぎも頭痛の原因になるとされています。空腹などもきっかけになります。これらのことから規則正しい生活をして、食事の時間も一定になるようにするなどの工夫をすることが片頭痛の予防に役に立ちます。

 

また、外からの刺激が片頭痛のきっかけになることがあります。片頭痛の人では、光や音、におい、気圧などの環境の変化に脳の血管が過剰反応しやすいためと考えられます。ですから、戸外にでるときはサングラスをかけたり、香水などの匂いを避けたり、刺激が強い環境を避けたりするなどの工夫をするとよいことがあります。

 

乗り物にのることも頭痛のきっかけになることがありますので、注意が必要です。乗り物に特有のにおいもありますし、高速で流れる車窓の風景や日差しなども頭痛の引き金になることがあります。バスなどではエンジンの振動が頭痛のきっかけになることもありますので、乗るときは、後部座席や、タイヤの真上の座席など振動を避けるとよいこともあります。電車の車両がすれ違う時に急激な気圧の変化さえ頭痛の原因となることもあります。その場合、車両がすれ違わない側の座席に座るとよい場合があります。

 

一部の食品も頭痛を誘発することがあることが知られています。片頭痛は血管を拡張させたり、収縮させるような食品によって誘発されることもあります。

 

たとえば血管を拡張・収縮させるポリフェノールやチラミンは、赤ワイン、オリーブオイル、チーズ、ピーナツ、ハム、サラミ、ソーセージなどにふくまれています。チョコや柑橘類も血流を促進して頭痛を誘発することがあります。このような食品は気づいた時に避ける程度でもよいかもしれませんが、その食べ物を食べると必ず頭痛が起きるようであれば、避けるようにしましょう。

 

頭痛は、天候や生理周期などに影響されることもあります。低気圧が近づいてくるだけで、頭痛の頻度が多くなる人もいます。気圧の変化といえば、エレベーターに乗ったときの気圧の変化で頭痛が起こる人もいます。

 

女性の場合、片頭痛が、月経周期と関係することもあり、生理前から生理中にかけて痛みに悩まされるケースが多いと言われています。逆に、妊娠6ヶ月から頭痛が起こらなくなり、出産後にまた発症することなどから、女性ホルモンの変動が関係していると考えられています。これらの誘因については一つの因子だけで頭痛が引き起こされることがありますが、これらの因子が複数あわさって起きることのほうが多いです。

 

5.予防が必要になるのはどんなとき?

予防の治療が必要になるのはどんなときでしょうか。上のような日常生活上の注意をしていても、また片頭痛の薬を使ってもコントロールができず、頻繁に頭痛が起きたり、ひどい頭痛が出てしまいなかなかおさまらない場合もあります。このような場合、予防的な治療が大切になってきます。

 

具体的には、発作が月に2ー3回以上ある、頻度が少なくても重症度が高く持続する場合、月経の度に頭痛がおきることが予想される場合、急性期にのむ薬としてトリプタン製剤が使えない場合や無効な場合(妊娠している人、脳梗塞・心筋梗塞などトリプタン製剤がつかえない病気がある人など)、予防したほうが安くつく場合、などがあります。実際には、頭痛に対して薬物を使いすぎて却って頭痛が強くなる薬物乱用性頭痛、筋緊張性頭痛などの他のタイプの頭痛も伴って起きる混合性頭痛の場合にも、予防薬が用いられることがあります。

 

6.予防の治療にはどのようなものがある?

片頭痛の予防には、抗てんかん薬、抗うつ薬、Ca拮抗薬、β遮断薬、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)など、様々な薬が用いられています。このうち保険適応の範囲で使えるのは、抗てんかん薬、Ca拮抗薬、β遮断薬の三種類です。それぞれについてみていくことにしましょう。

 

上で述べたように片頭痛の発作では血管の収縮→拡張という血管の反応が起こります。片頭痛の患者さんでは脳の血管が様々な外的な刺激に過敏に反応する傾向があります。そこで片頭痛発作の予防として、脳血管を選択性に拡張させ、片頭痛のきっかけとなる血管の反応を予防するカルシウム拮抗薬がしばしば用いられます。とくにロメリジン塩酸塩(ミグシス)は脳血管に比較的選択的に働くため、よく使われています。頭蓋内出血のある患者さんでは使えないので、注意が必要です。

 

ベラパミル、ジルチアゼムなどといったカルシウム拮抗薬も用いられることがありますが、これらは必ずしも脳血管に選択的に働くわけではありません。カルシウム拮抗薬は動物実験で催奇形性が認められているため、妊娠中あるいはその可能性のある女性には用いることができません。

 

片頭痛の予防には抗てんかん薬も用いられることがあります。デパケンやトピナ(トピラマート® )、ガバペンチン(ガバペン®)といった薬が使われ、発作の回数を抑制できることが知られています。とくにバルプロ酸ナトリウム(デパケン®)は、片頭痛予防薬の第一選択薬として国際的にも広く使われています。てんかんで通常使われる量より少ない量で効果があります。ただし抗てんかん薬は催奇形性や、生まれてきた子供に知能低下が起きやすいなどの副作用がでることがあるので、妊娠中の女性には使うことができません。

 

妊娠中は使える頭痛薬が限られてきますが、幸い妊娠中は片頭痛の頻度が減少する傾向があるようです。妊娠中の女性の予防には、β遮断薬であるプロプラノロール(インデラール®)が用いられます。同様の系統のβ遮断薬として、メトプロロール、チモロール、ナドロールなどがありますが、これらは妊娠中の方には使えません。β遮断薬でも内因性交感神経刺激作用のある薬は片頭痛の予防効果がないとされています。またβ遮断薬は心不全や喘息のある患者さんでは使用できません。

 

他の降圧薬としてカンデサルタン(ブロプレス®)、オルメサルタン(オルメテック®)、リシノプリル(ゼストリル®、ロンゲス®)などの降圧薬も予防薬として有効であることがわかっています。しかし片頭痛の予防薬としての保険適応がないので、高血圧も合併している患者さんに使われることが多いです。

 

抗うつ薬が片頭痛の予防に使われることもあります。とくに選択的セロトニン再取り込み阻害薬であるフルボキサミン(ルボックス®/デプロメール®)や、三環系抗うつ薬であるアミトリプチリン(トリプタノール®)がよく用いられます。これらについてもわが国では保険適用が認められていませんので、うつがある人で用いられます。

 

月経に伴って起きる傾向の強い片頭痛では、月経のコントロールをすることが発作のコントロールにつながることがあります。

 

予防薬の効果をみるには、約1ー2ヶ月以上の期間が必要になります。低用量から有害事象がない限りゆっくり増量し、2-3か月観察しながら効果を判定していくことになりますが(3-6か月間継続する場合もあります)、効果がないと判断したら他の薬剤に切り替えます。

 

いつまで予防の薬を続けるべきかについては一致した意見はありませんが、予防薬の効果があり頭痛もおさまってきたら、ゆっくりと予防薬を減量し、可能な場合には中止します。漫然と投与を続けるのはよくないといわれています。予防薬を用いても完全に頭痛がなくなるわけではありませんので、頭痛が半分くらいに減ったら十分、という程度に考えておくことが大事です。

 

7.まとめ

片頭痛の予防についておわかりいただけたでしょうか。頭痛の薬をもらっていても、片頭痛の頻度が多かったり、頻度は少なくても強い頭痛が見られる方、慢性的な頭痛が楽にならない方は、一人で悩まず、一度頭痛外来や脳神経内科・脳神経外科を受診してみることをおすすめします。

執筆
医師:子煩悩神経内科医
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