モーラス®テープとロコア®テープの作用・適応などの違い、特徴を解説

打撲や捻挫、骨折、肩こりや腰痛・・・。体の痛みを訴えて病院を受診して、湿布薬が処方された経験を持っている方は多いと思います。

「モーラス®テープ」は1995年から使用されている湿布薬で今では日本で最も多く使用されている医療用湿布です。それに対して「ロコア®テープ」は2016年に販売開始の最も新しい湿布薬になります。

今回は、モーラス®テープとロコア®テープという2つの医療用湿布の特徴と違いについてまとめてみようと思います。
※この情報は、2017年9月時点のものです。

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1.モーラス®テープとロコア®テープの成分は?

モーラス®テープとロコア®テープ、どちらもテープタイプの湿布薬になり、成分として消炎鎮痛剤を含んでいます。まずは、それぞれの成分について詳しくまとめます。

1-1. 有効成分にNSAIDsを含むテープ剤

モーラス®テープの有効成分は「ケトプロフェン」、ロコア®テープの有効成分は「エスフルルビプロフェン」と「ハッカ油」です。
ロコアテープの2つの成分のうちハッカ油については後ほど詳しくまとめるとして、ここでは痛み止めとして使用されているケトプロフェンとエスフルルビプロフェンについてまとめます。
ケトプロフェンとエスフルルビプロフェンはどちらも「NSAIDs(Non-Steroidal Anti- Inflammatory Drugs:非ステロイド性抗炎症薬)」と呼ばれる消炎鎮痛剤でプロピオン酸系という分類に該当するものです。

NSAIDsとは?

飲み薬も含めて最も多く使用されている痛み止めの種類です。ロキソニン®やボルタレン®、イブ®もNSAIDsを含む医薬品といえばわかりやすいかと思います。
外傷などにより組織の細胞が傷つくと、そこからアラキドン酸という物質が放出されます。アラキドン酸はCOX(コックス、CycloOXygenase:シクロオキシゲナーゼ)という酵素によりプロスタグランジン(PG:ProstaGlandin)という生理活性物質に変換されます。このPGには様々な種類があり、体の中で大切な役割を持っているのですが、炎症部位で発痛物質の働きを活性化させたり、血流をあげて炎症を増強させたりする効果を発揮してしまいます。NSAIDsはCOXの働きを邪魔することで痛みや炎症を抑える効果があります。

 

1-2. ロコア®の成分はより強力なNSAIDs

ロコア®テープの成分であるエスフルルビプロフェンは新規成分ではあるのですが、昔から使われていた痛み止めであるフルルビプロフェンを改良したものです。

フルルビプロフェンはモーラス®テープの成分ケトプロフェンと同様に強い効果を持つNSAIDsで、1970年代から使用されている歴史の長い成分です。フルルビプロフェンを含む医療用の湿布には、ヤクバン®、アドフィード®、ステイバン®、ゼポラス®、ファルケン®、フルルバン®、フループ®などがあります。

フルルビプロフェンの構造を立体的に見ると鏡合わせのような2種類の形が存在しています。このような鏡合わせの関係を持つ構造関係を「鏡像(光学)異性体」と呼び、それぞれをS体、R体と分類します。研究の結果、フルルビプロフェンのR体はS体の1000分の1の効果しか持っていないことが明らかになりました。つまり、フルルビプロフェンの半分は消炎鎮痛剤としてほとんど働いていないということになります。そこで、S体であるエスフルルビプロフェンのみを医薬品として使用したのがロコア®テープということになります。

2.皮膚からの吸収が湿布薬のポイント

強いNSAIDsを使えば湿布の効果も強くなるかというと一概にそうとは言い切れません。飲み薬でもそうなのですが、いかに強い痛み止めを使ってもそれが患部に届かなければ効果を発揮することはできません。湿布の場合、皮膚から吸収され患部まで届かないといけない。特に皮膚からの吸収(経皮吸収)には様々な技術が必要で、製薬会社各社は常に研究を続けています。それでも、経皮吸収率が10%に満たない製剤も多く存在しています。
そんな中、今回取り上げたモーラス®テープ20mgの経皮吸収率は非常に高くなっており、69.74%となっています。

ハッカ油で吸収を高めたロコア®テープ

じゃあ、ロコア®テープの経皮吸収が劣っているかというとそんなことはありません。エスフルルビプロフェン自体の皮膚吸収が高いことに加え、有効成分として記載しないといけないほどの量のハッカ油を加えることでさらに吸収を高めることに成功しています。
ロコア®テープの経皮吸収率は44.46%で、組織だけでなく血液中にも吸収されやすくなっています。

3.モーラス®テープとロコア®テープ、それぞれの特徴

それでは添付文書から読み取れるそれぞれの特徴についてまとめていこうと思います。

3-1. サイズ

ロコア®テープは10cm×14cmの一種類のみですが、モーラス®テープには20mg(7cm×10cm)、L40mg(10cm×14cm)の二種類が存在します。単にモーラス®テープと言っても小さいサイズが存在することを知っておいてください。

3-2. 使用可能な病名

日本の医療保険制度では薬剤ごとに使用可能な病名が定められています。保険上の使用が認められるためには試験を重ねてその効果と安全性が証明されないといけません。モーラス®テープとロコア®テープ、それぞれがどのような病名に対して使用可能なのか比較してみます。

モーラス®テープ

・下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
  腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)、変形性関節
  症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉
  痛、外傷後の腫脹・疼痛、
・関節リウマチにおける関節局所の鎮痛

ロコア®テープ

・変形性関節症における鎮痛・消炎

 

様々な病名に対して使用可能なモーラス®テープに対し、ロコア®テープは変形性関節症のみに使用可能となっています。モーラス®テープも最初から全ての病名に使用可能だったわけではなく、長い歴史の中で少しずつ使用可能な病名を増やしてきたので、ロコア®テープも今後、使用可能な病名が増えていくのではないでしょうか?

3-3. 使用方法〜ロコア®テープは注意が必要!

次に使用方法を比較してみます。モーラス®テープもロコア®テープも効果の持続時間が長いので1日1回の貼り替えで一日中効果を持続させることができるのですが・・・。

モーラス®テープ
 「1日1回患部に貼付する。」

ロコア®テープ
 「1日1回、患部に貼付する。同時に2枚を超えて貼付しないこと。

注目して欲しいのはロコア®テープの方です。「同時に2枚を超えて貼付しないこと。」というコメントが記載されています。これについては、詳しく解説してあります。

用法及び用量に関連する使用上の注意(ロコア®テープ)

本剤2枚貼付時の全身曝露量がフルルビプロフェン経口剤の通常用量投与時と同程度に達することから、1日貼付枚数は2枚を超えないこと。本剤投与時は他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には、必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意すること。

ロコア®テープを2枚貼ると痛み止めを飲んだのと同じくらい血中に成分が移行してしまうということです。つまり、ロコア®テープはそれだけ吸収が良いとも言えます。

4.注意して欲しい副作用など

飲み薬ほどではないですが、湿布薬といえども副作用は存在します。

4-1. 共通して注意したい副作用

共通の副作用として特に注意してもらいたいのは2つです。

A. 接触皮膚炎

膚炎と言っても、いわゆる湿布かぶれと言われる軽度のものから貼った部分以外にも広がるような重篤なものまで様々な症状があります。成分が皮膚に直接くっつく湿布薬はどうしても皮膚炎を起こしやすくなります。また、成分は問題なくても、粘着性を持たしたものが接触することでも皮膚炎が起こりやすくなります。皮膚が弱い方は注意が必要ですし、成分や添加物に対してアレルギーを持つ場合もひどい皮膚炎が起きてしまう可能性があります。
予防方法としては、

 ・できるだけ湿布を貼っている時間を短くする
 ・汗や汚れ、水気などをしっかり拭き取ってから貼る
 ・入浴直後の皮膚が柔らかくなっている時間には貼らない

などがあります。

B. アスピリン喘息の誘発

喘息を持っている方の中にはアスピリン喘息と言ってNSAIDsに反応して重篤な喘息発作を起こしてしまう体質の方がいます。その場合、湿布薬に含まれるNSAIDsに反応して喘息発作を起こしてしまう可能性があります。過去に痛み止めで喘息発作を起こしたことがある場合は湿布薬といえども避ける必要があります。また、湿布薬を貼っている時に喘息発作を起こした場合はアスピリン喘息の可能性がありますので、医療機関でそのことを相談してみてください。

4-2. モーラス®テープは直射日光に注意

モーラス®テープに特徴的な副作用として、「光線過敏症」というものがあります。これはケトプロフェンが光毒性を持っているために生じる副作用です。
モーラス®テープを貼った部分が紫外線を浴びることで強い皮膚炎が生じることがあります。湿布の形にくっきりとした日焼けのような状態になった方を見たことがあります。また、頻度は極めて少ないですが、それが全身に広がって重篤化することもあります。なので、モーラス®テープを貼っている場所が直射日光にさらされないように気をつける必要があります。また、厄介なことに、モーラス®テープを剥がした後でも光線過敏症が発生する可能性があり、長いケースでは数ヶ月後に発症することもあるので注意が必要です。

4-3. 痛み止めにアレルギーがなくてもモーラス®テープには注意が必要

モーラス®テープの成分はケトプロフェンなので、本来であればケトプロフェンアレルギーや添加物にアレルギーがある人がモーラス®テープを避ければいいのですが・・・。ケトプロフェンの場合、以下に記載する医薬品に対してアレルギーを持つ人でアレルギーが起こりやすくなることが知られています。
 ・チアプロフェン酸(スルガム®、チルガム®):消炎鎮痛剤
 ・スプロフェン(スルプロチン®、スレンダム®、トパルジック®):消炎鎮痛外用剤
 ・フェノフィブラート(リピディル®、トライコア®):脂質異常症(高脂血症)治療薬
 ・オキシベンゾン/オクトクレリン:日焼け止めに使用される成分
ですので、これらの薬にアレルギーを持っている可能性がある人はお薬手帳に記録するなどして、医療機関でしっかり相談するようにしてください。

4-4. ロコア®テープは飲み合わせに注意が必要

上にもまとめたように、ロコア®テープはその吸収率の良さ故に痛み止めの飲み薬を飲んだ場合と同じだけ血中に吸収されてしまいます。そのため、湿布薬としては珍しいのですが、以下の飲み薬との飲み合わせが発生してしまいます。

 ・エノキサシン(現在国内未発売)
 ・ロメフロキサシン(ロメバクト®、バレオン®)
 ・ノルフロキサシン(バクシダール®)
 ・プルリフロキサシン(スオード®)

いずれもニューキノロン系抗菌剤の一種ですが、ロコア®テープをこれらの薬と一緒に使用することで痙攣を誘発してしまう可能性があります。ですので、湿布薬だから大丈夫と思い込まず、お薬手帳を活用するなどして、必ず飲み合わせをチェックしてもらうようにしてください。

5.モーラス®テープとロコア®テープの値段

ロコアテープは1枚あたり44.80円なのに対し、モーラステープ20mgが1枚あたり26.20円、モーラステープL40mgが1枚あたり40.10円となっています。
まだ新しいロコア®テープにはジェネリックが存在しませんが、モーラス®テープはジェネリックが発売されています。

先発

後発

モーラステープ20mg

26.20円/枚

タッチロンテープ20、パテルテープ20、フレストルテープ20、ケトプロフェンテープ20(日医工、ラクール、テイコク、SN、トーワ、BMD、東光、杏林)

12.10円/枚

モーラステープL40mg

40.10円/枚

タッチロンテープ40、パテルテープ40、フレストルテープ40、ケトプロフェンテープ40(ラクール、日医工、SN、東光、テイコク、BMD、トーワ、杏林)

16.80円/枚


※薬の値段は2年ごとに変更になりますが、これは平成28年4月1日〜平成30年3月31日のものです。

湿布薬をジェネリックに切り替える時のポイント

積極的にジェネリック医薬品を推奨していきたいところですが、メーカーによって貼り心地や剥がれやすさ等の使用感が異なる場合があります。湿布薬の場合、効果と同じくらい使用感も大切だと思うので、そのことを頭において様子を見ながらジェネリックに切り替えていってもらいたいと思います。ですが、使用感についてはモーラス®テープとロコア®テープでも違いますから当たり前といえば当たり前のことですね。

6.最後に

日本で最も売れている湿布薬のモーラス®テープ、今一番新しい湿布薬のロコア®テープについてまとめました。
モーラス®テープは長年使用されている上で、現在でも売り上げ一位を誇ることから、その効果や安全性が高く評価されていることがわかります。それに対して、ロコア®テープは新規鎮痛成分を使用し、さらには飲み薬と同等の吸収という今までにない湿布薬です。
今回まとめたように、どちらもそれぞれ良いところ悪いところを持っています。この記事が、医療機関で自身の症状に適した湿布薬を選んでもらう際の参考になればと思います。

 

参考資料

・モーラス®テープ20mg/モーラス®テープL40m 医薬品インタビューフォーム 祐徳薬品工業
・ロコア®テープ 医薬品インタビューフォーム 大正製薬

 

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執筆
薬剤師:ぺんぎん薬剤師
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