薬剤師竹中さん
医師監修

薬剤師が解説!市販の酔い止め6選。注意点(副作用)・飲み合わせもチェック

竹中 孝行
コトブキ調剤薬局 横須賀店

 

旅行やビジネスなどでの長距離移動。乗り物酔いの心配さえなければもっと楽しめるのに・・・と思ったことはありませんか?

市販のお薬でも乗り物酔いに効果が期待できるものがあります。今回は、酔い止めの薬の選び方や酔い止めを利用する上での注意すべき点を解説します。「どのお薬を選べば良いのか?」「酔い止めの眠気などの副作用が心配」とお悩みの方のための手助けとなれば幸いです。

酔い止めについての正しい知識を理解していただき、乗り物酔いを和らげ、より快適に移動を楽しめるようになりますと幸いです。
※この情報は、2017年11月時点のものです。

1.そもそも乗り物酔いとは?

はじめに、乗り物酔いの症状と乗り物酔いが起こる仕組みについて簡単に説明します。
ご存知のとおり、乗り物酔いは、車、船、電車、飛行機など乗り物で移動した際に起こる次のような症状です。

・吐き気
・冷や汗
・顔色が悪くなる
・頭痛
・嘔吐
など

乗り物酔いは、医療用語だと、「動揺病」「加速度病」と呼ばれることもあります。

乗り物酔いが起こる原因としては、内耳(=耳の内部)の平衡感覚が関与しています。乗り物で移動すると景色が移り変わりますが、その眼から入る情報や座っているいった体の動きを感じる知覚と、耳の平衡感覚との間にズレが生じます。すると、そのズレによって脳が混乱し、乗り物酔いの症状が起こると考えられています。

2.薬剤師が解説、市販の酔い止め6選

2-1. 病院で処方されることがある成分

乗り物酔いに対して病院で処方されることがある代表的な酔い止めで、トラベルミン配合錠というお薬があります。市販薬でも同じ成分と量で販売されています。以前に病院で処方されたことがあり、自分に合っていたという方はこちらを選ぶとよいでしょう。

①トラベルミン(大人用)【第2類医薬品】/エーザイ

ジフェンヒドラミンサリチル塩(※1)と、ジプロフィリン(※2)の2つの主成分を含んでいます。乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和に効果が期待できます。トラベルミンシリーズは他にも販売されていますが、医療用医薬品であるトラベルミン配合錠と同じ組成のものは、こちらになります。

※1)ジフェンヒドラミンサリチル酸塩
抗ヒスタミン剤とよばれるタイプの成分で、めまいによって起こる嘔吐を抑えます。
※2)ジプロフィリン
めまいを改善します。

2-2. 長時間の移動に備えたいとき

持続性製剤といって、徐々にお薬の成分が放出し、長時間効果が持続するように特殊な工夫がされている市販薬があります。長時間の移動に備える場合は、持続性がある市販薬を選ぶようにしましょう。

②アネロン「ニスキャップ」【指定第2類医薬品】/エスエス製薬

乗り物に乗る30分前に服用し、1日1回1カプセルで長く効果が期待できるタイプのお薬です。抗ヒスタミン剤であるマレイン酸フェニラミン、副交感神経の興奮を抑えて、乗り物酔いの症状を和らげるスコポラミン臭化水素酸塩水和物をはじめ、他にも3つの有効成分が含まれています。

2-3. 眠気があまり出て欲しくない

基本的に、酔い止めには抗ヒスタミン剤が含まれており、副作用として眠気の症状があります。この鎮静作用によって、乗り物酔いの症状を和らげるという効果もあります。ただ、移動中も楽しみたいという気持ちがあり、できれば、眠気があまり出て欲しくないという方もいるかと思います。但し、全く眠気がおこらないような酔い止めは現状ないので、そこはご了承下さい。

③トラベルミンR【第2類医薬品】/エーザイ

医療の場では。めまいのお薬として使用されるジフェニドール塩酸塩を有効成分としており、比較的、眠気が少ない成分となります。その他にも、副交感神経の興奮を抑えて乗り物酔いの症状を和らげるスコポラミン臭化水素酸塩水和物や無水カフェイン、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)を含んでいます。

2-4. 乗り物酔いになってからでも効く

より高い効果を得るためには、乗り物に乗る30分前に事前に服用しておくことが基本です。

乗り物酔いの症状が出てから服用し、すぐに効果を期待する場合は、水なしでもすばやく溶けるタイプのお薬をおすすめします。紹介している市販薬以外にも、このようなサッと溶ける速崩タイプの市販薬には多くの種類があります。

④センパア・QT【第2類医薬品】/大正製薬

口にいれるとサッと溶け、水なしでも飲むことができます。抗ヒスタミン剤であるd-クロルフェニラミンマレイン酸塩と、副交感神経の興奮を抑えて乗り物酔いの症状を和らげるスコポラミン臭化水素酸塩水和物を有効成分として含んでいます。

2-5. 乗り物酔いしやすいお子さんの酔い止めとして

市販の酔い止めの服用には、年齢制限があります。大人量と同じものをお子さんが服用してしまうと、副作用のリスクが高まり安全面で注意が必要となるためです。

必ずパッケージや説明文書に記載されている用法用量をよく確認し、服用できる年齢を守るようにしましょう。

お子さんが飲みやすいように、錠剤タイプの他にも、ドリンクタイプや飴タイプなどもあり、味の工夫がされているものもあります。

⑤トラベルミンチュロップぶどう味【第2類医薬品】/エーザイ

5歳以上のお子さんで服用することができます。ぶどう味の他にもレモン味が販売されています。年齢によって、服用する量が異なるため、注意しましょう。抗ヒスタミン剤であるd-クロルフェニラミンマレイン酸塩と、副交感神経の興奮を抑えて乗り物酔いの症状を和らげるスコポラミン臭化水素酸塩水和物を有効成分として含んでいます。

⑥こどもセンパアS液【第2類医薬品】/大正製薬

3歳以上のお子さんで服用することができます。味は、グループフルーツ風味となっています。。抗ヒスタミン剤である塩酸メクリジンと、副交感神経の興奮を抑えて乗り物酔いの症状を和らげるスコポラミン臭化水素酸塩水和物を有効成分として含んでいます。

3.酔い止めを服用する上での注意点(副作用)

3-1. 酔い止めの副作用について

酔い止めに含まれる抗ヒスタミン剤は、乗り物酔いの症状を和らげる効果が期待できる反面、主な副作用として眠気があります。

眠気の出方には、個人差があり、人によっては強く眠気がでる場合もあります。一概に眠気が良くないかというわけではなく、眠気がでることによって、乗り物酔いの症状を緩和させる効果を期待することもあります。

酔い止めを服用した場合には、車の運転などを含め、危険を伴うような機械操作は絶対にしないようにしましょう。途中で運転を変わる予定がある場合には、酔い止めを服用しないようにしましょう。

眠気の他にも、抗ヒスタミン剤や副交感神経の興奮を抑えるお薬などを含む酔い止めの主な副作用としては、口の渇き、動悸、排尿困難、便秘、発疹などの症状もあります。

気になる症状があらわれた場合には、副作用の可能性がありますので、服用を中止し、様子をみて、医療機関を受診するようにしましょう。

3-2. 服用に注意が必要な方がいます

酔い止めに含まれる抗ヒスタミン成分において次に該当する方は注意が必要です。

・緑内障
→眼圧を上昇させ、症状が悪化する可能性があります。

・前立腺肥大
→排尿困難や尿閉などの症状が現れ、症状が悪化する可能性があります。

その他にも注意が必要な場合がありますので、市販薬の説明文書を必ず確認するようにしましょう。該当する場合には、購入時に必ず薬剤師または、登録販売者に相談するようにしましょう。

3-3. 花粉症や風邪薬など、他のお薬との飲み合わせに注意

花粉症薬や風邪薬などに含まれるアレルギー症状を抑える同系統(抗ヒスタミン)のお薬との飲み合わせ(併用)は、成分が重複し、副作用のリスクが高まる可能性がありますので注意が必要です。そのため、併用はしないようにしましょう。

市販薬に含まれている抗ヒスタミンの成分例

・マレイン酸クロルフェニラミン
・フマル酸クレマスチン
・マレイン酸カルビノキサミン
・塩酸ジフェンヒドラミン
・塩酸ジフェニルピラリン
・フマル酸ケトチフェン
・メキタジン
・フェキソフェナジン
・ロラタジン
・エピナスチン塩酸塩
など

3-4. お酒の摂取は控えましょう

旅行時に気分が良く、移動中もお酒を飲みたくなる方もいるのではないでしょうか?

しかし、お酒の量が少量だとしても、酔い止めのお薬を服用した場合には、お酒は控えるようにしましょう。お薬の作用が強まり、副作用のリスクが高まる可能性があります。酔いが強くでてしまったり、昏睡状態に陥ることもあります。

4.乗り物酔いを和らげる方法(薬以外)

乗り物酔いを和らげられるよう、お薬だけに頼らずにできることとして、以下のような方法もあります。

前夜には十分な睡眠をとり、体調を整えましょう
睡眠不足は、乗り物酔いを悪化させる原因になります。前日は、しっかりと十分な睡眠をとり、体調を整えておきましょう。

食事のタイミングと食事の量を考えましょう
移動する1時間前までには食事を済ませておくことをおすすめします。また、食べ過ぎや飲み過ぎは、吐き気の症状を悪化させる原因にもなりますので、適度な量を心がけましょう。

下を見たり、視覚的な刺激を避け、遠くの景色を眺めましょう
読書やスマホをみるなど、下を見ていたり、視覚的な情報が増え刺激を与えると酔いやすくなります。遠くの景色を眺め、視覚的な刺激をおさえるようにしましょう。

進行方向を向いた席に座りましょう
進行方向と逆の向きに座ると、加速の影響を受けやすくなり、より酔いやすくなるとされています。また、揺れは、乗り物酔いの原因となります。車の移動の際には、運転者に急発進、急停止、急ハンドルなどをできるだけ控えてもらい、山道ではスピードを上げないように伝えておきましょう。

可能であれば休憩し、新鮮な空気を吸いましょう
可能であれば、乗り物酔いが酷くなる前に移動を止め、休憩しましょう。移動を止めることが難しい場合には、窓を開けたり、船の場合は甲板に出たりと、新鮮な空気を吸うようにしましょう。

楽な姿勢をとりましょう
乗り物酔いの症状が見られた場合には、シートを倒したりし、楽な姿勢をとるようにしましょう。衣服が腹部を締めつけている場合には、圧迫をさけるため、ボタンやベルトをゆるめることで吐き気が和らげることができます。

5.おわりに

せっかくの楽しい旅行も、乗り物酔いになることが不安で、心配されている方も多いかと思います。少しでも安心して旅行が続けられるように、今回は、酔い止めの市販薬の選び方や、酔い止めを服用する上での注意すべき点を解説しました。

酔い止めを事前に飲んだという安心感も、気持ちの面で強みになることもあります。但し、酔い止めのお薬に頼りきりになるのではなく、旅行までに睡眠をよく取り万全の体調を整えておくことや、事前にできる対策もあります。ぜひ、参考にしていただけますと幸いです。

酔い止めについての正しい知識を理解していただき、乗り物酔いを和らげ、より快適に移動を楽しめるようになることを願っています。

 

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