1.マイコプラズマ肺炎の原因は「細菌」
マイコプラズマ肺炎の原因は、「細菌」です。肺炎マイコプラズマという細菌が呼吸器に感染することで、発症します。肺炎マイコプラズマは、分類上は細菌です。しかし、細菌に存在する細胞壁を持たず、大きさも細菌よりも小さいという特徴があります。
かつてマイコプラズマ肺炎はオリンピック病とも言われていました。4年に一度、流行するためこの名称がついていたのですが、近年では大きな流行はありません。しかし、マイコプラズマ肺炎がなくなったわけではなく、大きな流行とは言えないものの、2000年以降は徐々に感染者が増加している傾向にあります。
マイコプラズマ肺炎は1年を通して見られる病気ですが、冬に多くなります。患者の80%は14歳以下の子どもですが、成人でも感染することがあります。マイコプラズマ肺炎は症状が軽いこともあり、感染と発症に気づかず自然治癒してしまうこともあります。ただし症状が軽くても感染していることに違いはないため、周囲の人に感染させてしまう危険はあります。
2.マイコプラズマ肺炎の症状とは?
マイコプラズマ肺炎の最も特徴的な症状は、「長引く咳」です。咳は乾いていることが特徴で、咳込んでもあまり痰が出ません。発熱や倦怠感、頭痛といった風邪の諸症状が現れることもあります。不思議なことに小児に比べ、成人のほうが症状が重くなりやすいという特徴もあります。
また、風邪の諸症状に似た症状が現れるため、風邪やそのほかの呼吸器感染症と区別がつきづらいケースもあります。
感染した人の咳により、唾などが飛ぶことにより感染する飛沫感染が主な感染様式になります。そのため学校や職場、家庭内などで感染者がいると感染が広がる危険性があります。潜伏期間は2-3週間ほどで、それを過ぎると症状が現れます。
中耳炎や皮疹などを合併することもあります。稀なことではありますが、胸膜炎・心筋炎・ギランバレー症候群(神経障害により四肢に力が入らなくなる病気)などを合併することもあります。
3.マイコプラズマ肺炎の治療法、期間
マイコプラズマ肺炎は細菌に存在しているはずの細胞壁がありません。そのため細菌感染症を治療するのに有効なβ-ラクタム系抗生物質(ペニシリンなど)が無効です。そのため抗生物質の中でもマクライド系抗生物質と呼ばれるものを服用することが治療の中心となります。
マクライド系抗生物質には以下のような薬があります。
・クラリス錠
・ジスロマック錠
・エリスロシン錠 など
ただし、肺炎マイコプラズマの中には抗生物質への耐性を獲得したものもあります。俗にいう耐性菌というもので、以前は有効だった抗生物質が無効になっているケースも存在します。耐性菌に感染した場合は別の抗生物質により治療を行います。
服薬治療を開始すれば1-2週間の間に治癒します。
4.マイコプラズマ肺炎の予防法
マイコプラズマ肺炎は風邪と同じく呼吸器感染症です。もっとも重要なことは手洗いうがいです。特に学校やオフィスなど多くの人がいる場所で普段生活をしている場合はこまめにうがいをするようにしましょう。また咳が出ている人はほかの人に感染を広げないように、きちんとマスクをすることが大切です。
ただし手洗い・うがいは確実な予防法ではありません。ワクチンなどの根本的な予防策も存在していません。感染者が多く肺炎マイコプラズマに感染する機会が多かったり、再度大流行などが生じたりしたときはきちんと手洗い・うがいをしていても感染することがあります。
幸い、肺炎マイコプラズマ自体は感染力が強い菌ではありません。日ごろから疲労やストレスを避け、3食きちんと栄養バランスのよい食事を食べ、きちんと睡眠を取って免疫力を落とさないように心がけましょう。
5.まとめ
マイコプラズマ肺炎は乾いた咳が特徴の呼吸器感染症です。肺炎マイコプラズマという細菌に感染することで発症します。咳のほか、発熱や倦怠感、頭痛など風邪の諸症状に似た症状が現れるため、風邪やそのほかの呼吸器感染症と区別がつきづらいケースもあります。マイコプラズマ肺炎を発症したら、抗生物質による治療が有効です。ただし近年、耐性菌が問題となっているように抗生物質が効かないマイコプラズマ肺炎もあります。
長引く咳は風邪ではなく、マイコプラズマ肺炎である可能性もあります。知らずに学校やオフィスに行くと感染を広げてしまうこともあるため、長引く咳が気になるようならば医療機関で診察を受けるようにしましょう。