【皮膚科医が解説】ネリゾナ軟膏、ユニバーサルクリームって?ステロイド外用剤の適正使用について。

ステロイド外用剤は皮膚の疾患の幅広い用途で使用する外用剤で、主には湿疹、虫刺され、その他さまざまな疾患の皮膚症状に用います。

ステロイド外用剤はその作用の強さより5段階に分類されます。ネリゾナ外用剤もステロイド外用剤の一つであり、作用の強さは5段階の分類のうち、強いものの上から2番目の「非常に強い(very strong)」に分類されます。高い効果が得られる薬剤ではありますが、仕様上で注意しなければいけないこともあります。

また、ネリゾナ外用剤はその基剤が軟膏、クリーム、ユニバーサルクリーム、ソリューションと4種類あり、使用用途によりそれらを使い分けることで、一層効果を高めたり使い心地をよくすることができます。

今回は、ネリゾナ外用剤の作用、効能効果、また基剤の使い分けについて解説するとともに、よくあるご質問にお答えする形で説明していきます。
※この情報は、2018年5月時点のものです。

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1.ネリゾナ外用剤とは?

1-1. ネリゾナ外用剤の成分と効果効能は?

ネリゾナ外用剤はステロイド外用剤の一つです。ステロイド外用剤の成分は合成副腎皮質ホルモンであり、人の副腎皮質から出ているホルモンと同じ働きを持つ人工的な成分です。そしてネリゾナ外用剤の成分は、様々な合成副腎皮質ホルモンのうち「ジフルコルトロン吉草酸エステル」という成分です。

 

ステロイド剤は幅広い疾患に適応がある薬剤で、その形態には点滴剤、内服剤、局所注射製剤、外用剤などがあります。これらの形態は疾患やその症状に対いてそれぞれの適応があります。様々な疾患に効果的な適応となっているステロイド剤ですが、一方、様々な副作用があることも事実です。

 

ステロイド外用剤は主に抗炎症作用を発揮するもので、皮膚のかゆみ、赤み、はれなどの炎症を鎮める目的で使用されます。具体的な皮膚症状としては、湿疹、虫刺され、アトピー性皮膚炎や乾癬などがあります。ステロイド外用剤は一般に血液中に成分が移行することはありませんので、点滴剤や内服剤などのような全身性の副作用について注意する必要はありません。

 

一方で皮膚局所への副作用として注意するべき点はあります。それは細菌・真菌などの感染による症状を悪する可能性、症状への効果を発揮したのちにも漫然と使用することで皮膚が薄くなり毛細血管が広がってみられるようになる、ということです。

 

しかし、感染症がある皮膚症状に対しても炎症を抑える目的でステロイド外用剤の使用が必要なこともあったり、症状の改善後に自己判断で使用をやめてしまうことで完全な治療に到達できないことなどもあります。

 

副作用に怖がるあまり、適正な使用が行えないと症状が改善しない、あるいはすぐに反復してしまうということがあります。効果が高く副作用がある薬であるからこそ、正しい知識を身につけ、使用方法については医師の指示に従い適正に使用することが大事になります。

 

ネリゾナ外用剤の効能効果、用法用量

 

効能効果

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症,ビダール苔癬,日光皮膚炎を含む),乾癬,掌蹠膿疱症,痒疹群(じん麻疹様苔癬,ストロフルス,固定じん麻疹を含む),紅皮症,慢性円板状エリテマトーデス,アミロイド苔癬,扁平紅色苔癬

 

用法用量

通常1日1〜3回,適量を患部に塗布する.

 

1-2. ネリゾナ軟膏のステロイドの中での位置付け「Very Strong」

ステロイド軟膏はそのステロイド成分の強さによってstrongest(最も強い)、very strong(とても強い)、strong(強い)、mild(普通)、weak(弱い)と5段階に分類されます。

 

ネリゾナ外用剤は「very strong」に分類され、いわゆる効果の高いステロイド剤となります。このランクのステロイド外用剤の適応ですが、使用する部位としては、特に皮膚が薄いといわれる顔や陰部に使用することは一般的ではなく、それらを除いた体に外用することが一般的となります。また症状としては中等度から重度の湿疹、虫刺され、その他自己免疫疾患などを対象とする外用剤となります。

 

 

1-3. 軟膏、クリーム、ユニバーサルクリーム、ソリューションの違い・使い分け

次に基剤についてです。いくつかのステロイド外用剤では同じ名前で複数の基剤タイプがあるものがありますが、ネリゾナ外用剤については最も多い基剤が備わった外用剤です。その種類は軟膏、クリーム、ユニバーサルクリーム、ローションがあります。

 

ネリゾナ外用剤のこれらの基剤の違いについてですが、軟膏、クリーム、ユニバーサルクリーム、ローションの順番で外用剤ののびがよくなっていくと同時に、保湿度が下がっていきます。いずれの基剤においても、正しい量を使用できていれば効果効能は変わりません。

 

軟膏

一般にネリゾナ軟膏などの軟膏は、油脂性の成分であり、刺激が少なく安全性に優れ、湿潤している病変へも乾燥している病変へも使用することができます。欠点としては、べとつきやすい、テカテカするという欠点があります。

 

クリーム

つぎにクリームについてです。クリームはいずれも乳剤性基剤で、全身の病変に使用でき軟膏に比べのびがよく、水でも落としやすいという特徴があり、一方で時に刺激性をもち湿潤傾向のある病変には好まれず、皮膚の保湿効果は軟膏より劣ります。

 

ネリゾナにはネリゾナクリームとネリゾナユニバーサルクリームがあります。いずれも同様に乳剤性基剤ですが、その配合方法、水分量の違いがありネリゾナユニバーサルクリームは水分量30%、ネリゾナクリームは水分量68%と、ネリゾナユニバーサルクリームのほうがより軟膏に近くべたつきが残るタイプであるのに比して、ネリゾナクリームはより伸びがよくさらっと使用できます。

 

ローション

最後にネリゾナソリューションについてです。ネリゾナソリューションは液体タイプであり、水分とエタノールが含有されています。

 

目立ちにくい、伸びがよい、清涼感があり、特に毛の生えている部分や範囲を広く使用したい場合には短縮した時間で使用することができます。その一方、軟膏やクリームに比べて皮膚が乾燥傾向となり、またエタノール成分により掻き痕などがある部位には一過性の刺激を感じることがあります。

 

 

1-4. ネリゾナ外用剤の使い方

では、どれくらいの量をどれくらいの範囲に使用するのがよいのでしょうか。いずれのステロイド外用剤に対しても共通に「FTU(Finger-tip unit)」という使単位の概念があります。これは人差し指の先端から第一関節までの量をさし、大人であれば大体0.5g程度に相当します。この0.5g相当の量で大人の手の平2枚分の面積に塗る量が適切といわれています。また、ローションタイプであれば1円玉大程度の大きさが0.5gに相当します。

 

塗り方は、やさしく肌にのせるように使用するのが正しい使用方法です。指などで軟膏をすりこむように使用することは摩擦による悪い刺激となりますので、注意が必要となります。

 

2.ネリゾナ外用剤の注意すべき副作用

ステロイド外用剤の副作用は、適さない部位や病変に使用をしている、症状が改善されているにもかかわらず漫然と使用を継続した際に出現します。

具体的な副作用としては、皮膚が薄くなる、毛細血管が拡張する、細菌や真菌が発症しやすくなるなどがあります。

ネリゾナ外用剤はvery strongの効果の高いステロイド外用剤であるため、これらの副作用の出現には注意が必要です。しかし、副作用を恐れるあまり、適応となる症状や場所への使用が少なくなることでも、症状が長期化することで、病変の拡大や皮膚への色素沈着があります。効果を得て副作用を避けるためには医師、薬剤師の指示を守って使用することが大事です。

 

3.ネリゾナ外用剤に関するよくある相談

3-1. 赤ちゃん、子供に使っていい?

赤ちゃんや子供の皮膚は、大人と比較してとても薄いです。ネリゾナ軟膏はvery strongのステロイド外用剤であり効果が高いことより、赤ちゃんや子供に使用することは一般的ではありません。主治医の判断で使用する場合には十分に副作用に注意をする必要があります。

 

3-2.  ニキビや水虫は悪くなる?

ステロイド外用剤は炎症を抑える効果があり、それは炎症を引き起こしている自分の細胞の働きを抑えるという点にあります。そのため、ニキビや水虫、カビなどの感染症に対して戦う働きも同時に抑えてしましい、感染症に対しては弱くなってしまいます。

 

外用剤であれば、感染症に対して弱くなるというのは局所の皮膚だけの問題ですが、そのため細菌やカビが原因となっている皮膚症状に対しては使用しないことが一般的です。しかし、感染症が皮膚で起きて炎症を伴っている場合には使用することもあります。

 

3-3. どれぐらいの期間使用するとよい?

ステロイド外用剤は一般的には赤みとかゆみの両方が消えてから数日間使用を続けて少しずつやめるという使用方法を推奨します。

 

赤みが少し消えた、かゆみを自覚する程度の時点では、目に見える皮膚症状は改善しているように見えても、皮膚の中ではまだ炎症を起こす細胞が少しおさまっただけに過ぎない状態が想定されます。

 

その時点で使用を中止してしまうと、抑えられていた炎症を起こす細胞の働きが速やかに回復し、短い期間で同様の症状を引き起こし、結果的に治療期間が長引くこととなります。そのため、症状がよくなったと思ってからも数日から1週間程度は外用を継続し、徐々に中止することが大事だと考えます。

 

3-4. ステロイド外用剤はやはり不安、肌が黒くなる?リバウンドする?

私自身が診療に携わる中で、ステロイド外用剤に対して不安や抵抗を感じておられる患者さんが一定の割合でおられます。

効果的な記載のある情報がある一方で、副作用が重視されている情報にもたどり着きやすいということがあるためとは思います。

 

そのような患者さんで特に抱えておられる不安として多いものは、ステロイド外用剤の使用による肌の黒色変化(色素沈着)、リバウンド、感染症などが主です。さて、では現状はどのような状態なのでしょうか。

 

色素沈着

まずは色素沈着についてですが、ステロイド外用剤自身に皮膚の色を黒くさせる作用はありません。あらゆる皮膚炎、創傷などで赤みのある症状の治癒経過として茶色っぽい色調に変化し、その後に時間をかけて元の皮膚の色に近くなります。

 

最終的に元の皮膚の色に戻るかどうかは、その時の症状の程度、症状を呈していた期間の長さに反映されることとなります。ステロイド外用剤を使用することで、その治療経過が早まるため、一見使用したことにより皮膚の色調が濃くなったように自覚されますが、それはあらゆる症状の経過の一つということと考えることができます。

 

リバウンド

リバウンドについてです。ステロイド外用剤はとても効果的な薬効であり、使用している間は著効することが多いです。

 

しかし、あらゆる皮膚炎は、特定をできないことも多いですが、何かしらの要因で症状が出現しています。そのためステロイドの使用で症状が著効、改善し、中止することであたかもリバウンドしたようにとらえられることとなるかと思いますが、ステロイドそのものがリバウンドさせているという可能性はほとんどありません。

 

軽度の改善を認めた時点で早期に使用を中止してしまった場合には、治りきっていない症状が速やかに再発してしまいますので、前項に記載した通り、適切な時期まで使用を続けることが必要です。

 

感染症

感染症については、前項に記載している通り、外用している部分の感染症へは局所の皮膚に対して弱くなります。そのため、感染症を併発している部分の使用については注意が必要です。

 

3-5. すぐにお風呂などに入ると効果がなくなる?

ステロイド外用剤の薬効自体は30分程度で多く吸収され、1時間程度ではそのほとんどの薬効が吸収されます。

 

その時点で残っているべたつきは油性の保湿成分などの基剤がほとんどであり、それは極端にはふき取っても洗い流しても薬効としては吸収されていえることとなります。そのため、使用後1時間ほど経過した時点ではお風呂などに入っても効果は吸収できているということになります。

 

4.ネリゾナ外用剤の成分と同じ市販薬はある?

ステロイド外用剤は薬局やドラッグストアなど市販で購入することができます。しかし、市販で購入することのできるのは、安全性に配慮してステロイドランクが下から3つ目まで(Strong, mild, weak)となります。

 

そのため、very strongのステロイド外用剤であるネリゾナ軟膏と同様の成分を含む塗り薬は市販で購入することはできません。市販でステロイド外用剤を購入する際には、症状について薬剤師にご相談の上でご購入、ご使用をしていただくことがよいでしょう。また外用しても症状がよくならない場合には、速やかに医療機関を受診してください。

 

ステロイド成分を含む市販薬

<強い(Strong)>

・フルコートF(成分:フルオシノロンアセトニド)
 【指定第2類医薬品】田辺三菱製薬 / ステロイド薬+抗生物質(化膿止め)


・ベトネベートN軟膏AS(成分:ベタメタゾン吉草酸エステル)
 【指定第2類医薬品】第一三共ヘルスケア / ステロイド薬+抗生物質(化膿止め)

 

<普通(Medium)>

・リビメックスコーワ軟膏(成分:吉草酸酢酸プレドニゾロン)
 【指定第2類医薬品】興和 / ステロイド薬


・ムヒアルファEX(成分:吉草酸酢酸プレドニゾロン)
 【指定第2類医薬品】池田模範堂 / ステロイド薬+かゆみ止め


・ロコイダン軟膏(成分:酪酸ヒドロコルチゾン)
 【指定第2類医薬品】クラシエ / ステロイド薬

 

<弱い(Weak)>

・オイチミンD(成分:デキサメタゾン酪酸エステル)
【指定第2類医薬品】佐藤製薬 / ステロイド薬


・オイラックスデキサS軟膏(成分:デキサメタゾン酪酸エステル)
【指定第2類医薬品】第一三共ヘルスケア / ステロイド薬+かゆみ止め

 

5.まとめ

今回は、ネリゾナ外用剤について、成分、効果効能の解説と、よくあるご質問にお答えしてまいりました。

ステロイド外用剤に対しての誤った認識は、症状が改善する機会を失う、あるいは副作用で治療に対する不信感を抱く結果になりかねません。

少し過激な比喩となりますが、皮膚の炎症が火災とし、ステロイド外用剤が消火剤とたとえてみます。

軽微な火災の場合には消火剤を使用しなくともおのずと沈下することもあります。一方で消化せずに放っておくと火事が広がり、消化後にも焦げ跡が広く残ります。あるいは消化が不十分であれば再度火災が発生します。かと言って鎮火後も消火剤をばらまき続けると跡地は消火剤で劣化します。

 

同様に、皮膚の症状に対して、ステロイド外用剤を使用しなくても治る症状もありますが、放っておくとステロイド外用剤を使用しても症状の改善まで期間がかかったり症状改善後も色素沈着が残ったりします。あるいはすぐに治療をやめることで再発を容易にしてしまいます。一方で軽微な症状に強いステロイド外用剤の使用を続けたり漫然と使用を継続することで皮膚の菲薄化や毛細血管の拡張をきたします。

 

一番良い使用方法は、皮膚症状が出現しステロイド外用剤の使用が適正と判断された時点で、速やかに適正な使用を行い、症状が十分に改善したらゆっくりと使用を中止することです。そうすることで範囲が拡大したり、色素沈着が残ったり、あるいは副作用が出現したりすることを防ぐことができます。

ステロイド外用剤についての正しい知識をもち、効果的な使用をすることで、症状が少しでも早く改善されるとよいです。

 

 
執筆
医師:ミーマンバナナ
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