非アルコール性脂肪性肝疾患とは?その原因と生活習慣の改善・減量で治療できるのかを解説

脂肪肝というと、お酒を飲む方というイメージがありますが、お酒を飲まない方も脂肪肝になる可能性があります。
これを非アルコール性脂肪性肝疾患といい、主に肥満、食事・運動などの生活習慣の乱れが影響するとされています。放っておくとしだいに肝臓の細胞が壊れていき、肝硬変、肝癌などになる危険もあります。

まずは、治療の上で大切なことが、食事・運動など生活習慣の改善すること、減量を行うことです。

今回は、非アルコール性脂肪性肝疾患がどういったものなのかを詳しく解説するとともに、治療方法、生活習慣の改善、減量による効果についても紹介していきます。
※この情報は、2018年6月時点のものです。

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1.非アルコール性脂肪性肝疾患とは?

1-1. どんな病気?診断方法

非アルコール性脂肪性肝疾患 (nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD) とは、飲酒をほとんどしないにも関わらず肝臓の中に脂肪が沈着している (脂肪肝がある) 状態を指します。

 

NAFLDの多くは肥満や生活習慣病 (糖尿病、脂質異常症、高血圧など) を元に発症することから、メタボリックシンドロームの肝臓病変として捉えられています。

 

NAFLDは病態がほとんど進行しないと考えられる非アルコール性脂肪肝 (nonalcoholic fatty liver:NAFL) と進行性で肝硬変や肝癌ができやすい非アルコール性脂肪肝炎 (nonalcoholic steatohepatitis:NASH) に分類されます。

 

     NAFLD=NAFL+NASH

 

本邦では肥満人口、メタボリックシンドローム患者の増加に伴って、NAFLDならびにNASHの患者さんが増加しています。ちなみにNAFLDは1000万人、NASHは100-200万人ほどいると推定されています。

 

NAFLDの診断方法には以下のようなものがあります。

 

①問診

NAFLDに関与するものとして肥満、糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどが確立しています。その他にも高血圧、睡眠時無呼吸症候群、甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症などとの関連も考えられているため、これらの病気がないかを確認します。

 

また、薬に関してもNAFLDとの関連が言われており、タモキシフェン (乳癌に対するホルモン剤)、バルプロ酸 (抗てんかん薬)、アミオダロン (抗不整脈薬)、免疫抑制剤 (ステロイド、メトトレキサート) などが代表的です。これらの薬を内服しているかどうかの確認も行います。

 

それと同時に飲酒量の確認も重要です。エタノール換算で男性210 g/週 (30 g/日) 未満、女性140 g/週 (20 g/週) 未満をNAFLD診断の基準とします。エタノール20gとはビールでは中瓶1本 (500ml)、日本酒1合 (180ml)、焼酎0.6合 (110ml)、ウィスキーダブル1杯 (60ml) 程度とされます。それ以上の量を飲酒する方はNAFLDではなく、アルコール性肝炎と診断されます。

 

②血液検査

NAFLDではAST値およびALT値の上昇 (AST<ALTのことが多い) がみられることが多く、疾患の拾い上げ (スクリーニング) には有用ですが、NAFLとNASHどちらの病態でも上昇することがあるため、両者の鑑別には使えません。また、NAFLDでは飲酒量が少ないにも関わらずγ-GTP値の上昇がみられ、診断の補助となります。

 

③画像検査

腹部超音波検査、腹部CT検査、腹部MRI検査などで脂肪肝があるかどうかを確認します。この中では腹部超音波検査が身体に負担がかからず簡便に行えるため、ほとんどの施設でまず実施されています。

肝臓内に脂肪の沈着があると、エコーで肝臓が白く表示され、「bright liver」という典型的な所見がみられます。

 

また、トランジェント・エラストグラフィー (フィブロスキャン®) という検査が2011年より保険適用となっています。専用のプローブを右肋骨の隙間に当て、振動波を発生させて肝臓を伝わる速度を計測することで肝臓の硬さを測定することができます。

 

同時にCAP (controlled attenuation parameter) という機能を利用して肝臓内の脂肪の量を推定することができます。ただし、機器が高価なため利用できる施設は限られています。この他にも、最近ではMRIによるMRエラストグラフィなど新しい技術が登場しており、普及が進んできています。

 

⑤肝生検

肝臓の中に細い針を刺して肝臓の一部を採取し、顕微鏡で観察する検査です。NAFLDの中でも特にNASHの診断におけるgold standardとされ、確定診断をつけることができます。しかし、検査のためには入院が必要で、肝生検を行える施設も限られています。

 

1-2. 非アルコール性脂肪性肝疾患の原因

NAFLD発症に関わる最も重要な因子は肥満です。過食や運動不足などにより摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、肝臓に中性脂肪が蓄積して脂肪肝となります。

 

肥満の人では血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなり、このため肝臓内で中性脂肪がさらにたくさん作られるようになります。また、肥満の背景にはメタボリックシンドロームおよび生活習慣病である糖尿病、脂質異常症、高血圧などが存在すると言われています。

 

1-3. 放っておくとどうなる?その経過

NAFLの予後は健常人とほぼ同等ですが、NASHの予後は悪いとされています。

 

この理由としてNASHでは5-10年の経過で5-25%の患者さんが肝硬変に進展することが挙げられます。肝硬変になると年間2%の確率で肝臓に癌が出現します。また、NAFLDが持続すると動脈硬化が起こりやすくなります。

 

実際にNAFLDの方の死因として心血管疾患が多いことが報告されています。また、最近ではNAFLDの方は健常者に比較してうつや不安症状などの精神症状をもつ割合が高いことや、慢性腎臓病になりやすいことが明らかとなっており、肝臓以外にも様々な病気を引き起こすことが明らかになっています。

 

2.非アルコール性脂肪性肝疾患の治療方法

2-1. 生活習慣の改善(食事・運動・減量)

NAFLDの治療の基本は食事制限および運動による減量です。NASHの患者さんに対して減量の効果をみた研究では、5%以上体重が減少するとおよそ6割、10%以上減量するとおよそ9割の患者さんでNASHが改善しました。

 

このことから減量は極めて有用とされています。また、減量することで、併存している生活習慣病 (糖尿病、高血圧、脂質異常症など) の改善も同時に期待できます。

 

食事療法としては、間食をとらないよう心がけ、三度の食事をバランスよくとり、飲み物はジュースなど糖分の多いものを控えてお茶や水などにすることが重要です。なお、就寝前に食事を摂らないようにすることも大切です。

 

運動療法としては有酸素運動 (酸素を消費しながら行う運動) が推奨されています。ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどをできる限り毎日20分以上行うことが好ましいです。有酸素運動を継続して行うことで肝臓についた脂肪がとれることが研究で明らかになっています。

 

2-2. 病院での薬物治療

NAFLDそのものを改善する薬は現在のところありません。したがって、食事・運動療法と同時に生活習慣病 (糖尿病、脂質異常症、高血圧) がある場合はそちらの治療も同時に行うことが推奨されています。

 

具体的には高血圧に対しては降圧薬、糖尿病に対しては血糖降下薬、脂質異常症に対してはコレステロール低下薬や中性脂肪低下薬などが処方されます。

 

近年、NASHの患者さんに対してビタミンEが肝臓の脂肪化や炎症を改善することが明らかになり、食事・運動療法が困難な方に対して処方されることがありますが、長期間にわたって肝硬変への進行や肝癌の発症を防ぐことができるかどうかは、まだはっきりと証明されていません。

 

3.まとめ

NAFLD/NASHの患者さんは年々増加傾向であり、糖尿病と同様に国民病と言える時代が到来しています。

 

現時点ではNAFLD/NASHそのものを改善させる治療薬はなく、減量が治療の主体ですが、減量によってほぼ確実に脂肪肝は改善します。

 

それだけでなく、減量することで併存する糖尿病、脂質異常症、高血圧、メタボリックシンドロームなどの改善も期待できます。NASHになると肝硬変、肝臓癌となる危険性が極めて高くなるため、肥満のある方、生活習慣病のある方、健診で肝臓の数値の異常を指摘された方などは肝臓専門医を受診し、肝臓の状態をきちんと調べてもらうことが何より重要です。

執筆
医師:田舎の消化器内科医
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