緩和ケアに必要不可欠。オピオイド薬の効果と安全性・副作用

がんの症状として痛みは一般的なものです。

がん患者の70%以上が痛みを訴え、中には生活に支障が出るレベルの痛みが生じることもあります。がんを治療するためにも、生活を守るためにも痛みを抑える緩和ケアは重要になります。緩和ケアに必要不可欠なのがオピオイド薬になります。適切に使用することで、痛みをコントロールすることが可能です。

一方、副作用を心配されている方も多くいらっしゃいます。

今回は、緩和ケアに使用されるオピオイド薬について解説し、特に安全性、副作用についても説明していきます。
※この情報は、2018年5月時点のものです。

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1.緩和ケアとは

オピオイド系鎮痛薬が主に使われるのはがんの「緩和ケア」の時です。

 

がんは日本人の死因のトップに位置する病気で、主な症状としては痛みが挙げられます。痛みの度合いは症状の進行度やがんが生じた部位にもよって異なりますが、日常生活に支障がでるレベルで痛みが発生することもあります。身体的な症状で言えば、痛みだけではなく倦怠感も問題となります。

 

痛みや倦怠感と言った身体的な症状のほかにも、不安や恐怖、絶望感などの精神的なプレッシャーもがんを発症することによる症状の一つです。

 

医療は進歩していますが、がんは発見が遅れると死亡する可能性が高い病気です。告知された時のショックや治療している間の精神状態もケアする必要があります。

 

緩和ケアはつらいがんの痛みの症状を抑え、QOLを低下させずに日常生活を送るための手段です。

 

「治療のためにはある程度の痛みやつらさはしょうがない」と思う人もいるかもしれませんが、それは違います。がんの治療は時に心身に負担がかかります。大変な分、日常生活を犠牲にせずに治療を行うことが重要になります。

 

緩和ケアで軽減させるのは主に痛みになります。初期の段階ではあまり痛みを感じないかもしれませんが、がんは症状が進行するととても強い痛みを生じるようになります。痛みを軽減させ日常生活を守るために使用されるのがオピオイド鎮痛薬という薬です。

(なお緩和ケアでは痛みだけではなく、倦怠感や食欲の低下、落ち込み、不安、絶望感などそのほかの症状も対象になっています。もし緩和ケアを受けることがあれば、自分が悩んでいること不安に思っていることを正直に伝えるようにしてください)

 

2.オピオイド薬とはどんな薬?

人間が痛みを感じるときは、痛みを伝える神経伝達物質が放出されます。たとえばがんにより細胞組織が破壊されると、痛みの神経伝達物質が放出され「オピオイド受容体」という受容体と結合し、脳へと痛みが伝えられ痛みとして実感します。

 

オピオイド薬は神経伝達物質よりも先に、オピオイド受容体に結合することで痛みを軽減させる働きがあります。代表的なオピオイド薬にはモルヒネがあります。そのほか、フェンタニルやコデイン、ぺチジンなどがあります。

 

オピオイドは医療用麻薬と呼ばれる薬ですが、必ずしも麻薬とは言えません。ヘロインやコカインなどの悪名高い不正麻薬は使用していくうちに、中毒性と依存性を形成し、止められなくなり、心身を壊してしまいます。しかし医療用麻薬であるオピオイドは痛みを緩和する医療目的で使用する限り、依存や中毒を形成する心配がほとんどありません。麻薬と聞くと少し怖いですが、緩和ケアのための強い味方と思ってください。

 

3.オピオイド薬の安全性・副作用

オピオイド薬は必ずしも麻薬ではないと言いましたが、適切に使用しないと麻薬のように依存性を形成することもあります。しかしがんのように強い痛みが生じる病気の痛みのコントロールに使用する場合、依存性が形成されることはほとんどありません。

 

痛みがない人がオピオイド薬を使用すると、ドーパミンという快楽物質が放出され脳が快感を得ます。その状態が長く続くと中毒となり、依存してしまうわけです。しかし痛みがある人がオピオイド薬を使用しても、ドーパミンの放出は抑制されます。そのため依存性が形成されることはありません。

 

ただし中毒性・依存性以外の副作用が生じることがあります。オピオイド薬の代表的な副作用には便秘が挙げられます。オピオイド薬を使用する8割以上の人に現れる副作用のため、珍しいことではありません。医師に相談すれば下剤などを処方してもらうことも可能ですし、食生活や運動習慣の改善で便秘が改善できることもあります。

 

そのほかの副作用として多いのは吐き気です。吐き気はオピオイド薬を使用し始めてから1-2週間の間に発生することが多く、その後徐々に収まっていく傾向にあります。眠気が生じる人もいます。眠気は今まで痛みにより、熟睡しづらかった人がオピオイド薬によって安眠できるようになりつい眠ってしまうというケースが多いようです。オピオイド薬を使用してしばらくすると、眠気もあまり現れなくなります。吐き気も眠気も日常生活に支障が出るくらいならば、一度医師に相談するようにしましょう。

 

4.まとめ

オピオイド薬はがんの緩和ケアで活躍する薬です。医療用麻薬とも呼ばれるため、中毒性や依存性が気になってしまう人も多いと思います。しかし痛みがある人に対して痛みのコントロール目的で使用する場合、そのような副作用は見られません。がんは治療そのものも大事ですが、今までと変わらない日常生活を送ることも同じくらい大切です。痛みや不安、恐怖などで悩んでいる時は迷わず医師に相談して、緩和ケアを検討するようにしましょう。

執筆
医師:大見貴秀
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