夏場はご注意を!咽頭結膜熱(プール熱)の特徴、感染予防対策などを解説

咽頭結膜熱とはアデノウイルスによる感染症で、一般的に「プール熱」と呼ばれるものです。夏場に小児を中心に流行し、発熱やのどの痛み、目の充血などを引き起こします。

アデノウイルスには多くの種類がありますが、咽頭結膜熱を引き起こすのは3型、4型などの限られたタイプのものです。非常に感染力が強く、プールでの接触やタオルの共用などから感染が広がりやすいため、「プール熱」と呼ばれているのです。

ここでは、咽頭結膜熱の特徴と感染予防対策について詳しく解説します。


※この情報は、2018年6月時点のものです。

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1.咽頭結膜熱とは…?

咽頭結膜熱とは、プール熱と呼ばれる夏風邪の一種です。主に小児の間で流行しますが、大人も感染することがあり、小児よりも重症化することがあるので注意が必要です。

では、咽頭結膜熱はどのように感染し、どのような症状が生じるのでしょうか?詳しく見てみましょう。

 

1-1. 咽頭結膜炎はアデノウイルス感染症

咽頭結膜炎は、アデノウイルスに感染することで発症します。アデノウイルスには約70種類のタイプがあり、その中でも咽頭結膜炎の原因となるのは3型、4型、7型、11型などの限られたタイプです。

 

①アデノウイルスの感染経路

アデノウイルスは飛沫感染や接触感染によって感染を広げます。

 

飛沫感染とは、感染者の咳やくしゃみの飛沫とともにウイルスが体外に排出され、それを他者が吸い込むことで生じる感染です。飛沫は水分を多く含むため、半径2m以内の範囲にしか飛散しませんが、近くにいる人は感染する危険があります。

 

一方、接触感染とは、感染者の飛沫や目の分泌物などに含まれるウイルスが、様々な場所や物に付着し、それを他者が触れることで感染するものです。咽頭結膜炎の場合は、タオルやシーツの共有などで感染することが多いとされています。

 

また、消毒管理が不十分なプール内ではウイルスがプールの水の中を漂い、他者の目や口の中に入って感染を広げる可能性があります。咽頭結膜熱が「プール熱」と呼ばれるのは、このように消毒が徹底されていないビニールプールなどを介して、小児の間で流行することが多いからです。

 

さらに、アデノウイルスは回復後も2~4週間は便とともに排出されるので接触感染の危険があり、感染対策には注意が必要です。

 

 

②大人は感染するの?

咽頭結膜熱は、小児を中心に流行し、5歳以下の患者が全体の6割以上を占めるといわれています。

 

しかし、大人もアデノウイルスに感染することで咽頭結膜熱を発症することがあり、多くは咽頭結膜熱の子どもを看病していた親が感染します。このため、咽頭結膜熱の患者が家庭内にいる場合には徹底した感染対策が必要となるのです。

 

1-2. 咽頭結膜熱の症状はさまざま

咽頭結膜熱はアデノウイルス感染によって生じますが、感染したウイルスのタイプによって様々な症状が現れます。

咽頭結膜熱の三大症状は、以下の通りです。

 

・発熱

・咽頭炎

・結膜炎

 

しかし、ウイルスのタイプによっては、肺炎などの重症な呼吸器症状、胃腸炎などの消化器症状、頻尿や血尿を生じる出血性膀胱炎、肝炎、膵炎、脳炎などが引き起こされ、なかには非常に重篤な状態に陥ることもあります。

 

①咽頭結膜熱の一般的な経過

咽頭結膜熱を生じうるアデノウイルスに感染すると、5~7日の潜伏期間を経て、発熱から発症し、頭痛や全身倦怠感などの症状が引き起こされます。発熱は38度以上になることが多く、関節痛や筋肉痛を生じることも少なくありません。

 

発熱とほぼ同時に、のどの痛みを伴う咽頭炎、充血や痛み、流涙、眼脂などを伴う結膜炎が生じます。通常、これらの症状は3~5日ほど続いて自然に治りますが、高熱などの強い症状が現れるため、乳児や高齢者では脱水症になることもあります。

 

②結膜炎の特徴

結膜炎を生じる感染症は多々ありますが、咽頭結膜炎による結膜炎は、下まぶた側の結膜に強い充血が生じるのが特徴です。また、通常は片方の目に症状が現れ、やや遅れて反対側の目にも発症します。

 

アデノウイルス11型の感染では、白眼の部分やまぶたの裏側に出血を生じることもあり、非常に強い痛みや異物感、羞明(光を異常にまぶしく感じること)を伴います。また、まぶたの裏に濾胞と呼ばれるブツブツができ、それが角膜を傷つけることもあるので注意が必要です。

 

1-3. 咽頭結膜熱の治療

アデノウイルスには抗ウイルス薬がなく、治療は発熱やのどの痛みなどへの対処療法が主体となります。

眼症状に対しては、結膜炎を発症することで目のバリア機能が低下して様々な細菌に感染しやすい状態となっているため、予防的に抗菌薬入りの目薬が使用されることもあります。

 

また、38度以上の高熱があり、のどの痛みで十分な水分摂取が行えない場合には、脱水症になる可能性があるため、点滴が行われることもあるでしょう。

 

2.咽頭結膜炎を予防するには…?

アデノウイルスにはワクチンがなく、咽頭結膜熱を予防するには、アデノウイルスの体内への侵入をしっかりブロックする必要があります。

アデノウイルスは家庭内での感染拡大が起こりやすく、家族に発症者がいる場合や身近で流行しているときには適切な感染対策を行いましょう。

 

2-1. 飛沫感染をブロック!

アデノウイルスの飛沫感染をブロックするには、「発症者に近づかない」ことが最も有効な予防法です。しかし、発症した子どもの看病が必要な場合や、公共交通機関などで知らないうちに感染者の近くにいるような場合では、「感染者に近づかない」という対策を講じることはできません。

 

このため、発症者の半径2m以内に近づくときや咽頭結膜炎熱が流行している時期の外出では、マスクを着用するようにしましょう。看病をする場合には、患者本人にもマスクを着けてもらうと尚よいです。

 

また、小さな兄弟がいる場合には、できるだけ部屋を分けて、飛沫感染をブロックしましょう。

 

2-2. 接触感染をブロック!

咽頭結膜熱は飛沫感染よりも接触感染によって感染が広がることが多いです。アデノウイルスは感染力が強いため、幼稚園や保育園などの小児が集団生活を行う場所や家庭内での感染拡大が生じやすい傾向にあります。

 

発症者がいる場合には、咳やくしゃみの飛沫と共に体外へ排出されたウイルスだけでなく、目の分泌物に含まれるウイルスも感染源となります。咽頭結膜熱は目に強い症状が現れ、痛みやかゆみ、眼脂などの症状を引き起こすため、目をこすったタオルや手には多数のウイルスが付着し、接触感染の原因となります。

 

また、ウイルスは水環境の中でも一定時間生き続けるため、感染者が入ったプールや浴槽にはウイルスが漂い、それを利用した他者に感染を広げます。

 

このため、接触感染をブロックするには、手洗いや手が触れやすいドアノブや電気スイッチなどの消毒はもちろんのこと、タオルや寝具の共用は避け、感染者が入浴する場合は最後にするなどの対策が必要です。

 

①アルコール消毒は無効

アデノウイルスは、アルコールが効かないウイルスです。通常のアルコール消毒では、ウイルスの外殻であるエンベロープと呼ばれる部位がアルコールの作用によって分解され、活性を失います。しかし、アデノウイルスはエンベロープを持たない特殊なウイルスのため、アルコールに晒されても活性を失わないのです。

 

このため、アデノウイルスの消毒にはアルコールよりも消毒効果の高い次亜塩素酸が必要となります。次亜塩素酸はハイターや漂白剤の主成分であり、消毒に使用する場合には市販のものを水で薄めて使用します。また、最近では「酸性アルコール」と呼ばれる、エンベロープを持たないウイルスに有効なスプレータイプの消毒薬も市販されていますので、使用してみるのもよいでしょう。

 

②回復後も感染対策を忘れずに

アデノウイルスは、感染後も2~4週間は便と共にウイルスが排出されます。このため、回復後も一か月ほどは手洗いの徹底や便座、水洗レバーの消毒などが必要です。

 

回復したからと安心して感染対策を怠ると、思わぬ感染拡大を引き起こすことがあるので注意しましょう。

 

3.まとめ

咽頭結膜熱は、アデノウイルスによる感染症であり、小児を中心に流行する夏風邪の一つです。症状は多様であり、非常に重篤な症状を引き起こすこともあります。

 

このため、適切な感染対策が重要となるのです。アデノウイルスは接触感染が生じやすい場所や物、感染対策に用いる消毒液などが一般的な感染症と異なります。しっかりとポイントを抑え、自身が感染を防ぐだけでなく、周囲への感染を広げないように注意しましょう。

執筆
医師:ママさん女医あっきー
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