【呼吸器内科医が解説】意外と知られていない肺炎の診断と治療

肺炎のこと、何となく知っていても意外と実際にはどんなものか知らないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?

肺炎と一言でいっても、奥が深いものです。通常は、細菌やウイルスによる感染症が原因のものを指します。肺炎と診断されたら早急に治療を行う必要があります。

ここでは、みなさんがかかる可能性がある市中肺炎を中心にまとめてみたいと思います。今回の記事をお読みいただき、肺炎の診断と治療がどのように行われるのか参考にしていただけますと幸いです
※この情報は、2017年7月時点のものです。

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1. 肺炎とは

肺炎とは、読んで字の如く、「肺に炎症を起こす病気」のことですが、通常、細菌やウイルスによる感染症が原因のものを指します。そのため、細菌によるものを「細菌性肺炎」、ウイルスによるものを「ウイルス性肺炎」などと呼びます。

肺に炎症が起こると、酸素をからだに効率的に供給することができなくなり、息がしんどくなります。
それによって肺以外の臓器にも悪影響が出てしまうのです。そのため、肺炎と診断されたら早急に治療にあたらなければいけません。

2. 健康な人でもかかりうる市中肺炎とは?

これを読んでいる読者の方がイメージしている、健康な人でもかかってしまう肺炎のことを「市中肺炎」と呼びます。
「市中」というのは時代劇に出てくる「市中引き回しの刑」でも分かるように、「世間」や「巷(ちまた)」という意味を持っています。

私たち呼吸器内科医が遭遇する肺炎の多くは「市中肺炎」です。そのほぼ全例が、細菌が原因になります。

よく、風邪をこじらせて肺炎になったとおっしゃる患者さんもいますが、風邪はウイルスによるものであり、風邪をこじらせてウイルス性肺炎になることはまれです。おそらく、その症状は風邪ではなく最初から細菌性肺炎の症状だったのでしょう。

さて、団塊の世代が高齢者になるに従って、国内の肺炎の罹患率は、増えています。若年者と比べて当然高齢者の方は、免疫力が劣るからです。高齢者が肺炎になると、内服の抗菌薬だけでは太刀打ちできないこともしばしばあり、入院を余儀なくされるケースが多いです。

特に、何かしら基礎疾患がある高齢者の患者さんは、往々にして入院治療を強いられます。

3. 病院で拡がると危険、院内肺炎とは?

院内肺炎とは、病院の中で起こると大変です。なぜ入院しているのに肺炎になるのか?そんな疑問をお持ちになる読者も多いでしょう。しかし免疫力の弱った患者さんは、病院に入院していようといまいと、常に院内肺炎のリスクにさらされています。

よくニュースで院内感染が取り沙汰されますが、あれは保健所が監視している特定の病原体が複数の患者さんに伝播したことを指すもので、通常の院内肺炎のことを指しているわけではありません。

なぜ市中肺炎と院内肺炎を区別しているかというと、市中肺炎の原因菌と院内肺炎の原因菌が異なるからです。ひいては、使用する抗菌薬の種類も異なるのです。

そのため、市中肺炎・院内肺炎という区別は、医療従事者サイドのためにある分類だと理解してもらえればよいと思います。

4. 風邪に似ている?!肺炎の症状

肺炎の症状として最も多いのは、「発熱」や「咳」といった風邪症状です。喀痰も黄色や緑色に変色していることが多いですが、風邪と肺炎を見分けるほどの手がかりはこれらからは得られません。症状だけでは肺炎か風邪か区別することは難しく、胸部レントゲン写真や血液検査をみなければ分からないこともあります。

風邪と異なるのは、鼻汁や咽頭痛が少ない点です。また肺炎の場合、発熱がすぐには収まらず、何日も高熱が続くことが多いです。

5. 画像検査が用いられる肺炎の検査

聴診などの身体診察も重要なのですが、肺炎の診断で最も信頼性がある検査は、「胸部レントゲン写真」や「胸部CT写真」といった画像検査です。前者の方が、値段が安いので、まずは胸部レントゲン写真を撮影することが推奨されています。

胸部レントゲン写真で肺炎のカゲがあったとき、元気そうなら外来治療も可能ですが、高齢者やぐったりしている患者さんの場合、入院して点滴治療をおすすめしています。

血液検査では白血球やCRPといった項目をチェックしますが、これは参考程度に過ぎません。
というのも、ウイルス性の風邪でも、これらが上昇することがあるからです。

肺炎だと断言できる瞬間は、やはり胸部画像検査で肺炎を目にしたとき以外にないでしょう。

6. 肺炎の抗菌薬による治療

肺炎の治療は、抗菌薬です。内服の抗菌薬と点滴の抗菌薬がありますが、簡単に書くと元気な人は内服で対処し、元気がない人は入院して点滴を受けてもらいます。

治療期間はおおむね1週間程度ですが、高齢者や基礎疾患がある患者さんの場合、もう少し長くなることもあります。

使用する抗菌薬は、主治医が想定している菌の種類によって異なります。

たとえば、最も有名な肺炎球菌という細菌の場合、ペニシリン系抗菌薬がよく用いられます。一方、院内肺炎の起因菌として有名な緑膿菌という細菌の場合、緑膿菌に効果のある別の抗菌薬を用いなければいけません。

肺炎の治療中にも発熱や咳がみられることが多いので、対症療法として解熱鎮痛薬や鎮咳薬が用いられることもあります。

7. ワクチンの効果は?肺炎の予防

肺炎を予防するために、よくテレビCMで放送している「肺炎球菌ワクチン」が用いられます。

ただ、その名の通り肺炎球菌にしか効果がありませんから、緑膿菌性肺炎を予防する効果はありません。
しかし、肺炎球菌は市中肺炎の原因菌として最もポピュラーなものであり、肺炎球菌を制することが医学的にとても重要なのです。

とはいえ、実は絶対に肺炎球菌性肺炎にかからないという保証はありません。おいおい、ワクチンのくせに予防できないんじゃ意味がないじゃないかと言われそうですね。

この肺炎球菌ワクチン、肺炎の発症そのものを確実におさえるというよりも・・・

肺炎球菌ワクチンには、「ニューモバックス®」と「プレベナー®」という2種類のワクチンがあります。自治体によって対応が異なるのですが、全国的に助成があるのはニューモバックス®だけです。ただし、65歳以上の患者さんで年齢が5の倍数(65歳、70歳、75歳・・・)の人だけです。

値段は、病院によっていささかの差はあるものの、だいたい以下の値段になっています。

・公費助成対象(年齢が5の倍数)のニューモバックス®:5,000円
・公費助成対象外ニューモバックス®:7,000円
・プレベナー®:10,000円

これだけ見ると、プレベナー®をうつ意味がなさそうに見えますが、医学的にはプレベナー®とニューモバックス®を両方接種することがすすめられています。肺炎球菌性肺炎を予防したいとき、自分の年齢が5の倍数ならば助成を使ってニューモバックス®を先にうつ、それ以外ならプレベナー®をうって5の倍数でニューモバックス®が打てるのを待つ、という作戦でもよいかもしれません。

8. まとめ

・肺炎の症状は風邪と似ているので、胸部レントゲン写真や胸部CT写真を見ないと確実な診断はできない。
・肺炎の治療は抗菌薬の内服あるいは点滴である。
・肺炎を予防する方法として、肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス®、プレベナー®)がある。