【呼吸器内科医が解説】呼吸不全になることも。肺がしぼむ病気、気胸とは?

若年男性や慢性呼吸器疾患を持っている人に多い気胸という病気をご存知でしょうか。

気胸とは、肺が破裂、又は、胸郭に穴が空くことによって起こる肺がしぼむ病気です。外科的治療が原則で、重症の場合は、処置を早く開始しないと、呼吸不全になることもあります。

今回は、誰もがいつ起こるかわからない気胸という病気について解説するとともに、診断、治療方法、予防の観点からも、解説します。
※この情報は、2017年5月時点のものです。

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1.肺がしぼむ病気、気胸(ききょう)とは?

気胸という字面を見て、肺がしぼむ病気だと分かっていらっしゃる人は少数でしょう。私たちが「ききょう」とお伝えしても、多くの方が「桔梗」をイメージされるようです。

1-1.はじめに肺の仕組みを知ろう

気胸という病気について説明する前に、肺の仕組みを勉強しなければいけません。大丈夫!一般の人にも理解しやすいように簡潔に記載しますから!

 

私たちは、口から空気(酸素)を吸って、肺を膨らませます。このとき肺は、体の中の血管に酸素を手渡ししています。血管に入った酸素は、頭の先からつま先の活動源となります。つまり、身体の組織のすみずみまで酸素を行き渡らせるために私たちは呼吸をしているのです。

 

この肺という臓器は左右に2つあります。そして肺は胸郭という骨と筋肉で囲まれたタルのようなところにすっぽりとおさまっています。イメージとしては、胸郭というタルの中に肺という風船が入っている感じです。

1-2.気胸とは肺がしぼむことを意味します

気胸は、風船(肺)が破裂するか、タル(胸郭)に穴が空くか、どちらかの原因によって発症します。病院で遭遇する気胸のほぼ100%が前者、つまり肺が破裂することによって起こります。

風船が割れてしまうと、風船はしぼみます()。そう、気胸とは肺がしぼむことを意味します。肺がしぼむと、2つある肺のうち1つがうまく機能しなくなるため、息がしんどくなります。重症の場合、酸素療法を開始しないと呼吸不全になってしまうこともあります。

図: 気胸

2.なぜ肺がやぶれるのか?気胸の原因

2-1.最も一般的な原因、ブラの破裂

では、なぜ肺がやぶれるのか。これには諸説ありますが、最も一般的なものが「ブラの破裂」です。ブラとはブラジャーのことではありません、ブラとは、肺の中にできた小さな薄皮のことです。

 

風船が分厚ければ破裂することはありませんが、薄さ0.01mmといった極薄の風船だと破裂しやすいですよね。こういう薄皮になってしまった部分のことを「ブラ」と呼んでいます。この薄い部分がやぶれてしまうと、吸った空気が肺からどんどん胸郭へ漏れていくのです。

 

このブラの破裂は、成長期に縦方向に引き伸ばされることがわかっており、グングンと身長が伸びた若年男性に多いとされています。

2-2.病的にブラができてしまうことや原因不明なことも

また、病的にブラができてしまう病気もあります。たとえば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)という疾患は、たばこによって肺が壊れてしまい、肺がやぶれやすくなっています。高齢者の気胸で最も多い原因がこのCOPDと言われています。

 

中には原因が判然としない患者さんもおり、いつ何どき誰に発症するか予測できない疾患と言い換えることもできます。そういわれると、自分も気胸になってしまうのではないかと怖くなってしまいますね。

3.気胸は胸部レントゲン写真で診断(画像有)

気胸は胸部レントゲン写真で診断します。提示した写真はさきほどの図のように肺を真正面から撮影したものですが、向かって右の肺がしぼんでいます(ちなみに向かって右側は左肺です)。しぼんだ風船の辺縁に▼をつけていますが、分かりますでしょうか。

写真:気胸の胸部レントゲン写真

気胸の診断は実はとても簡単で、「息が苦しい!」と来院された患者さんの胸部レントゲン写真でこのような所見が得られれば、瞬時に診断ができるのです。

4.外科的治療が原則、気胸の治療

気胸の治療をどうするか。どうやら錠剤を内服して治るような病気ではなさそうですね・・・。残念ながら、気胸には外科的な治療法しかないのです(軽度の気胸の場合、何もせず自然治癒を待つこともありますが)。

具体的には「胸腔ドレーン」という管を胸に突っ込みます(図)。なぜこんな管を突っ込むのかというと、肺を外から膨らませてあげるためです。しぼんだ肺は、何かしら工夫をしないと再び膨らみません。その最も効果的な方法が、外から吸引するという方法なのです。

外から吸引して肺を膨らませている間に肺の傷口がふさがるのを待ちます。そんな大きな穴が肺にあくことは稀ですから、いずれ穴の開いた部分はふさがります。人間の治癒力をなめてはいけません。

この治療法、結局自然治癒にまかせている部分が大きいのですが、傷口がふさがったときに肺がしぼんでいては治りませんので、1週間程度は胸腔ドレーンで吸引し続ける必要があります。

図.:胸腔ドレーン

胸腔ドレーンだけでは治りそうにないとき、あるいは若くて元気な患者さんの場合、最初から手術を選択することもあります。これは、原因となったブラを切除したり、肺のやぶれた部分を手術でふさぎにいく治療法です。

5.気胸にならないための予防方法

実は、気胸を予防する方法はありません。ただ、歳をとってから気胸になるとなかなか治りにくい。そのため、COPDのような慢性呼吸器疾患に罹患しないよう、たばこだけは絶対に吸わないようにしていただきたいと思います。

 

高身長の若年男性が胸が痛くて息が苦しいときは、この病気を疑って病院を受診して下さい。

6.まとめ

・気胸は肺がしぼむ病気である

・高身長の若年男性、慢性呼吸器疾患のある高齢者は気胸になりやすい

・気胸の治療は外科的治療が原則である

執筆
医師:倉原 優
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